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●ゲッツ・W・ヴェルナーの単著『すべての人にベーシック・インカムを』が4月30日に出版された。新たな展開があるわけではないが、「無条件のベーシック・インカム&消費税以外の税の全廃」論の思想的背景が詳細に述べられている。ヴェルナー自身が経営するドラッグストアチェーン「デーエム」の企業文化の紹介も織り交ぜられている。『すべての人にベーシック・インカムを』~基本的人権としての所得保障について~ゲッツ・W・ヴェルナー●参考までに、前著『ベーシック・インカム~基本所得のある社会へ~』については、「ベーシック・インカムと税制」で紹介してある。●今回は、要点を抜書きする形で紹介することとした。但し、訳文のままではなく、少なからず私自身の言葉で書き直していますので了解下さい。第1章 三分の一労働社会全面的な他給自足経済においては、なぜ社会から生産的労働が消えて、文化的な労働が生まれるのか?生産効率の大幅な向上に伴い、失業率は傾向的に高くなることはあっても低くなることない。稼得労働にありつけないことは例外現象ではなくなっているが、これはあたりまえのことであるにも関わらず、我々はこれを困った問題として考えている。「すべての労働者に仕事場を!」と。他方で、社会的に有用かつ不可欠な家事や育児、様々なボランティア活動は稼得労働としては扱われていない。ますます少ない労働で豊かさは増大する--これこそ真に楽園のような状況ではないか--にもかかわらず、我々は「職を求めて」「額に汗して」日々のパンを稼がなければならないように仕向けられている。人間の殆どの歴史は欠乏状態にあった。しかし人間は遂にこの欠乏を克服し、自給自足経済から全面的な他給自足経済に移行した。「労働=所得」という図式は自給自足経済での原理であり、とうの昔に破綻している原理である。我々は、全面的な他給自足経済では新しい原理の経済に移行しなければならない。第2章 市民権としての所得なぜ無条件のベーシック・インカムは無意味な《労働権》に対する唯一のオルタナティブなのか?ベーシック・インカムによって所得保障は、市民をのっぴきならない生存不安から解放し、それによって自身のために意義深いことや社会にとって有用なことを行うのに必要な自由裁量を手に入れることになる。企業は「われわれの職場は魅力的か?」と自問せざるをえなくなる。魅力的な職場を提供できなければ高給を提示して人を雇用せざるをえなくなる。社会から生活を保障された被雇用者は雇用主と対等の関係になり、賃金奴隷から解放される。かくして初めて真の労働市場が成立する。逆に、今後ますます必要になる人間に関わる労働(社会福祉的および文化的な労働など)が稼得労働として扱われるようになる。ベーシック・インカムに対する異議を唱える懐疑家は、自分自身に関してはつねに楽観主義者であるけれど、他者に対しては永遠に底なしの悲観主義者である。もっと簡潔に言えば、「私自身は良い資質と意図をもっているが、他の人たちは怠け者で、無目的だ」というものである。自己認知と他者認知の不一致はさしあたり脇におくとして、確実に言えることは、生存の不安から解放された市民の圧倒的大部分が何もせずに家にいたいなどとは思わないということである。ローマ帝国の崩壊の原因は下流階層がますます荒れて統治不能になったことではなく、問題は上流階層の傲慢であり、退廃にあった。今日これと同じ問題が繰り返されている。事実、我々は下流階層の問題を抱えているのではなく、問題なのは上流階層にある。経済恐慌を起したり環境破壊を主導的に行っているのは上流階層の人間達である。■参考:BIに対する反批判ベーシック・インカムに対する反批判第3章 信頼は人間を醇化する「デーエム」の企業文化が自発性と自己責任に立脚しているのはなぜか?●詳しくは紹介しないが、中心となる考え方を抜き出してみた。集団の命は、個人の自発性が集団の意識によって担われていることによってたもたれる。企業内で個人の自発性が開花し得るのは、集団が個人の自発性を活かそうとする意識を共有する可能性と意志がある場合だけである。従業員は、何かをなさねばならないという義務感から解放されているからこそ、自由に何かをなすのである。●ここには、3~4年前に紹介した日本の2つの会社との共通点があるように感じた。NHK3chの未来人未来の会社:樹研工業●現代社会の会社組織はすべからくピラミッド型の封建社会である。これに対して、未来の会社組織のありかたが、これらの企業から垣間見られるように思う。■参考:未来社会の会社のイメージ『未来からの伝言』の「第六の部屋 ハイパーハウス」
May 29, 2009
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第3章 共有資源と価値の分かち合い<税制改革と市民所得>●雇用税・所得税・利潤税・付加価値税・利子配当税の減税、最終的には廃止する。・人間は共有財産から取り出すものに対して税を支払い、共有財産に貢献した場合には税の減免をうけ、市民はすべての共有財産の配分を受ける権利がある。●代わりに、資源の消費と環境に被害を与える活動に対して課税する。・廃棄物と汚染を吸収する環境浄化能力のある自然資源にこそ価値があるのである。だから自然資源を使用したり独占する人や組織は、労働と創意によって付加する価値への課税の代わりに、自然から引き出す価値に対して対価を支払うことになる。・エネルギー税は交通費用を現在よりも割高なものにするので、地域経済が活発したり、職住近接が増したりする。●現行の租税を他の財源-地価-への課税に切り替える。・土地の賃貸価格に対して課税する。・土地の売買価格が低下し、土地の投機取引は手痛い打撃を受け、土地の独占は割に合わなくなる。●市民所得(基礎所得)を導入する。・市民所得」は人々が有給で働くことのできる土台と有用な無償労働をするための収入基盤の双方を市民に提供するものである。・免税や多様な福祉年金のかわりに、すべての市民に支給される市民所得をエコボーナス(環境税)によって導入する。・近代の「雇用主と雇用労働者」という階級区分は、古代や中世の「主人と奴隷」、「領主と農奴」が消滅したように、次第に消滅していくであろう。●地価税は土地が資産としての価値を失うことに通じる。市民所得(ベーシック・インカム)によって所得が保障されるのであれば相続資産を大きくする意味が消失していく。地価税と市民所得の共同歩調によって無相続制度社会の入口にたどり着くことになる。●地価税はアダム・スミス以来、多くの経済学者から好評をうけてきたとのことである。土地公有化の道を拓きり、シルビオ・ゲゼルの「自由土地」へと繋がるかもしれない。第4章 貨幣と金融●今日の貨幣と金融システムは不公正であり、エコロジーに有害な影響を及ぼし、経済的にも効率が悪い。貨幣と金融システムは貧しい人や国から豊かな人や国へ資源を組織的に移転している。●「金を増やさなければならない」という自己命令によって、生産(と消費)を必要以上の水準へ押し上げている。そのような自己暗示によって、経済は貨幣が貨幣を増やす方向へねじ曲げられ、そして実際の商品やサービスの提供には不利な方向に曲げられている。●利子と割引率は資源の急速な開発を助長し、エコロジーを破壊し、富の不公正な配分の元凶である。●経済生活のグローバル化と地域化の同時進行が、国内通貨と並んで超国家通貨と地域通貨の出現とともに起きると想定することは筋の通った話ではなかろうか。これは補足原理に基づくものともいえよう。・新しい超国家通貨・既存の国家通貨・通貨発行を望む地方政府当局が発行する自由選択的な新しい地域通貨と準通貨と交換手段・LETSの延長線上にある自由選択的な近隣組織や地域社会の準通貨と交換手段●為替レートのようなものでなければ従来の国や地域レベルの経済を守れないというのであれば国家通貨や地域通貨は今後とも必要になる。しかし、これは過渡的社会でのことであって、最終的な未来世界の姿としてはグローバルな減価する単一通貨があるだけで済むのかもしれない。・「資源の消費と環境への影響課税」が世界的に実施されるならば、交通・輸送コストがアップするので、地域経済の自律化が促進する。・地球規模の市民所得が実施されれば、所得格差がなくなる。・良質の製品がより安価で供給されることはある程度担保される必要がある。門戸は必要だが、頑丈すぎるものは必要ない。<利子と負債と電子マネー>●政府の新しい資金を経済に出す過程(信用創造)が政府から銀行に委託され、銀行は利子付き融資の形で発行する資金から利益を上げることができるのはなぜか。政府は市民所得の形成者として、政府自身で資金を直接的に供給してはいけないのか。●利子の役割をドラッスティックに制限すること、たとえば経済全般にわたって負債を持ち株に切り替える方法は、望ましくまた可能なことであるか。この考え方の方が「高利貸しは罪悪である」というイスラム教や初期キリスト教の教えに一致するものなのである。●マイナスの金利があってもよいのではなかろうか。これはシルビオ・ゲゼルの提案である。この方法は、人々が地域貨幣を死蔵することなく使用することの奨励につながり、地域経済を刺激した。銀行の当座預金のような流動性の金融資産にマイナスの金利をつけさせることはできないだろうか。●銀行の信用創造機能に対する疑問や政府自身が市民所得のための貨幣発行に関しては、前述の『新しい貨幣の創造』で詳しく論じられている。●「経済全般にわたって負債を持ち株に切り替える方法」は私が考えた、未来社会への構造転換に際して行う「借金を投資に書き換える処理」と同じことである。借金が無くなる社会で投資や寄付のみが資金調達の手段になる。■参考■未来社会の誕生5章 グローバル経済●現在の世界銀行や国際通貨基金(IMF)や世界貿易機構(WTO)は世界の民衆の多数を代表していないし、信任も得ていない。それらの機関の政策と現在の国連組織における地位は改革しなければならない。それらの機関の極端な金融依存の巨大プロジェクトや輸出主導の成長政策や「自由」貿易に基づく開発への傾斜は、南の多くの国の経済の脆弱化を強め、貧困を拡大し、環境の悪化をもたらしてきた。<地球税>●海洋漁業、大陸棚採鉱、航路、航空路、大気圏外、電磁スペクトルのような国際資源の利用に対する課税と料金徴収●地球環境を汚染したり損害を与える活動、あるいは国境を越えて損害をもたらすもの、たとえば二酸化炭素とフロンガス、油漏れ、廃棄物の海洋投棄、その他海洋と大気の汚染行為にたいする課税と料金徴収●軍事費と武器輸出にたいする課税●国際的な収入の造成および国民経済の自立増強を促進するために、世界的に一斉におこなう世界貿易政策にたいする一般的追加課税●国際通貨の交換取引にたいする一律課税●いずれにしてもこの本が、EU委員会からの要請に答えて作成した報告書であるというのであるから驚きである。内容的には。私の考える「未来社会の構造」と多くの要素がオーバーラップしてもいる。EUがこのような未来社会を志向しているということになるのであろうか。
May 22, 2009
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●下記の本はシュマッハー双書の第1号として出版されたもので、原題は『経済の改革:千年紀の挑戦』(Transforming Economic Life : A Millennial Challenge)である。また、この本は著者であるロバートソンがEU委員会からの要請に答えて作成した報告書の要約版とのことである。原本の出版は1998年で、この訳本は1999年11月になっている。先に紹介した同じ著者の『新しい貨幣の創造』の方が後(2001年12月)で、紹介の順番が出版年の順番と逆になっている。●副題として~「市民所得」(ベーシック・インカムのこと)・地域通貨・資源・金融システムの総合構想~と銘打たれているように、「著者の考える21世紀の経済システム展望」は私の考える未来社会のシステムと同じようなコンポーネントからできている。●私の未来社会は「望ましい姿としての未来社会」であるが、この本の未来社会は相対的に過渡的な未来社会の姿であるように思う。21世紀の経済システム展望(シュマッハー双書)ジェイムズ・ロバートソン●以下で緑字は訳文から抽出であるが、抽出文章を短くするために必ずしも訳文のとおりとは限らない。第1章 経済システムの転換●経済のシステムを直線的な過程としてではなく、循環的な過程としてとらえること。●消費拡大、生産増強、資金増殖を自動的に強化する正のフィードバックをもつ仕組みを断ち切ること。●世界経済を互いに競争する国民経済の集まりとして取り扱うのではなく、一つの世界の地域分割型の経済システムとして取り扱うこと。・もしも経済がまったく規制のないまま動き出すと、間もなく強大になる人が出てきて、他の人々の自由を奪い、自由市場は急速に不自由な市場になるであろう。他方、細かいところまで政府の干渉を受ける経済は、まもなく非効率なものとなって堕落する。必要なことは、政府と法律と貨幣(税金と財政など)によって方づけされた枠組みの中で自由に機能する市場経済である。第2章 共通の様式<枠組みの改革の例示>●雇用の増加、環境にやさしい開発、公正の普及を促進するための税制の改革を行うこと。●税の減免や現在の数多くの福祉給付金に代えて、全市民に無条件で支給する「市民所得」を導入すること。●依存性をつくりだし、また環境の点から持続可能とはいえない開発を奨励する補助金やその他の公費による事業を中止すること。●公正で持続可能な方法を採用する請負業者を支援する公的発注政策を導入すること。●自立を増進する地域経済を振興すること。●活動の経済的、社会的、環境的成果と進歩を測る新しい指標を開発すること。●組織の社会的、環境的働きぶりを監視するための会計、監査、報告手続きを開発すること。●輸送、エネルギー、雇用、保健所、警察、刑務所のようなものの需要にたいする供給を増やすのではなく、その必要性を減らすこと。<消費、生産、金融--その連結システム>…消費者が生産者、金融機関とともに今日の強制的システムの連結した仕組みのなかにあるかぎり、消費が絶えずパンク寸前まで膨れるのを止めることは不可能である。商品やサービスにたいする消費者の購入を最大限に拡大しようとする商業宣伝が絶え間なく、政府、企業、メディア、経済学者、経済評論家の応援を受けながら、経済成長と好景気ほど「よいものはない」と家庭に押し入ってくる。これこそ「生産を拡大しなければならない」という脅迫観念の現れである。その強迫観念は、次には、企業の経営者にたいする株主や従業員からの、また血も涙もないグローバルな金融取引所の競争企業や相場師からの「資金を増やせ」という圧力になる。そしてその次には、金融業界、金融評論家、ジャーナリストが国民所得(GNP)の成長を説く政府のかけ声に符丁をあわせた「資金増殖」の号令は、現在の貨幣と金融システムの中心機能である利子と負債によってさらに勢いづけられる。<一つの政界経済システムの構築をめざして>…現在のすべての人にとって自由な(実際はある人々にとってのみ自由な)グローバル化している経済よりも、さらに自立的でるが協同的であり、多様であるが統一されており、自由であるが秩序あるものとして--設計されなければならない。この新しいモデルは、地域と超国家の双方の段階で、新しい経済と貨幣の制度(税制と通貨など)を求める声が次第にあがってきていることを反映したものである。…その制度の構造は民衆と地域と国家の自立を促進するように設計されなければならない。その制度は、対処できない外部の経済の不安定から人々を守るために、ある程度の保護と絶縁装置を組み込むようにすべきである。…要するに、経済システムを含めて、およそ安定してよく機能するシステムは、故障が起きた時にも十分機能し続けるシステムであって、別の場所で発生した混乱にたいしてサブシステムが自律性と回避性を十分保持できるようにしているということである。…雇用と所得にたいする課税から、エネルギーの使用と汚染にたいする課税へ転換し、また非合理な補助金を廃止すれば、人々の交通と輸送を少なくし、環境に優しい移動手段や方法を選ぶようになるであろう。長距離の輸送や出張や取引の旅行にかかる費用が大きくなると、地域経済の自給化がさらに進むことになる。市民所得の給付は在宅ワークや近隣での就業をしやすくするので、職場との往復距離は短くなるにちがいない。
May 20, 2009
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●私も参加した今年3月8日の「第2回ベーシック・インカム入門の集い」での関曠野さん講演録「生きるための経済」全文が掲載された。●細かいところを聞きもらしているので、講演された内容が公表されるのは誠にありがたいことである。ベーシック・インカムや政府貨幣に興味がある人は是非眼を通して頂きたい。●関さんの講演を聞いたとき、私が数年前に考えた「未来の経済システム」に類似した経済システムを、90年ほど前に既にダクラスが考え、社会運動としても展開されていたことを知って正直驚いた。●その後2カ月の間にC・H・ダグラスに関する記述のある『新しい貨幣の創造』や『生産経済より信用経済学へ』も読んでみた。●私の知識と理解力不足もあるのかもしれないが、講演録を改めて読んでみて感じた3つ疑問点を書き出してみることにした。1.正当価格、国民配当とインフレとの関連●会場での質問者と同じく疑問になった点であるが……国民経済計算をやってみて、仮に、生産の総計が100、消費の総計が75だったとします。すると25%の消費ギャップがあります。これをどうやって埋めるか。それならこのギャップに等しい割合で小売価格を一律に引き下げたらいい。…小売部門は売上伝票をとっておいて、国家は割り引きした25%の分を後で小売部門に対して補償します。…このディスカウントによって消費と生産が均衡し、インフレが起きなくなります。●との説明であったが、会場での質問者の疑問は国民配当(ベーシック・インカムのこと)を支給し続ければ、インフレになるのではないかということであり、インフレにしないためにばら撒いた貨幣(国民配当)をどのように回収するのかということであったように思う。講演録を読み直しても疑問が晴れないのであるが…。2.正当価格について●ダグラスの意図からすると国民経済計算を行って全てのモノやサービスに正当価格を決めるということになるのであろうか。ダグラスの想定しているのは市場経済なのか価格統制経済なのかと疑問に思う。●減価貨幣の市場経済だってありえる。モノやサービスには量や品質の良し悪しもあり、価格はやはり市場が決めるものであって国民経済計算が決めるべきものではないと思うのであるが…私がなにか誤解しているのだろうか?●ところで、前掲の『新しい貨幣の創造』には、これに関連して次のような著者の記述がある。しかし、私の考察の結論では、「適正価格(正当価格)」の実際の算定は、統計数学を利用するにしろ、不可能であると考える。したがって「社会的クレジット」の適正な発行額の算定は不可能である。…「適正価格」は毎日、何千、何万という品目で決定しなければならない。…それよりも、実践的に現場で働くモノが生産組織を管理し、職場から全員が民主的に経営参加する共同組合生産様式による経済体制をつくるほうが現実的である。…3.国家信用局(国立銀行)から企業への融資企業に対しても公共通貨(政府貨幣)は無利子で融資される。企業はそれで自分の好きな商品を作っていい、儲かると思ったものを作っていい。●との説明であったが、徹底的な民主主義というのは投資や融資も民主主義で行われるべきもの、投資も機会均等で…と考えている私にとっては、意外な話であった。●市民も企業などに融資を行うのかもしれないが、国立銀行は突出して(個別市民の総体よりも大きな)融資主体になる。この巨大な融資機関がどのように融資先を選別するのであろうか? 官僚主義を生んだり、利権の元になったりしないだろうかという疑問である。●これに関連しては関さんも、次のように述べている。たとえばです、公共通貨で企業に融資するとして、公共性の高い企業に融資するのはいいけれど、パチンコ屋に融資するかどうか、ちょっと考えちゃうんです。…●このような、国立銀行による企業融資を考えるならば、私の考えるような「希望者全員に投資配当をばら撒いて、皆で企業等へ融資や寄付するような仕組み」の方がよほど民主的であると思うのであるが…。■参考:投資配当未来の通貨システム(2)
May 16, 2009
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●今回の金融危機を受けて出版された、丹羽春喜教授の本も読んでみた。●内容は、前回の記事で紹介した『日本経済繁栄の法則』と基本的には同じである。手頃な価格の本なので是非読んでみて頂きたい。政府貨幣特権を発動せよ。丹羽春喜●本の趣旨は麻生政権にたいする提言書ということになろうか。■政策担当者に対する要請1.デフレ・ギャップの巨大さと、その意味を知れ!2.乗数効果ならびに有効需要の原理が健在であることを認識せよ!3.「国の貨幣発行特権」の大規模発動で財政財源を確保せよ!4.総需要管理のための「国民経済予算」の制度を確立せよ!■一般庶民に対する経済政策的アピール1.国民にまったく負担をかけない新規財政財源を数百兆円確保!2.国の負債の大量償還! 国の負債を半減!3.5~10年間250兆円を投入、年率5%以上の経済成長を10年!4.年金アップ! 社会保障の画期的充実! 防衛力も整備!5.デフレやインフレを防ぐ真の「歯止め」の確立!…となっている。大言壮語や虚言の類ではなく、政府貨幣特権を発動すれば可能なことである。●「国威」とか「国権」とか人間が勝手に作った縄張りを守るための「防衛力も整備」は無条件では賛同しかねるが、それ以外に関しては賛同できる。
May 10, 2009
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●丹羽春喜教授の本は、今までに読んできた経済学の本というものは一体何であったのだろうかという感慨を持たずにはいられないものである。●下記の本が発行されたのは1999年で小渕政権時代であるが、世界的信用恐慌の下で、デフレ・ギャップがより大きなものとなっている今日、著者の指摘事項・政策提言内容の有効性・重要性は一層増していると言えるかもしれない。日本経済繁栄の法則●今回は、論評を加えずに、この本の要点を書き出すに留めた。詳しくは著者の書物や下記のページをご覧下さい。経済学博士 丹羽春喜正統派 ケインズ主義宣言/丹羽春喜日本経済10%成長論●見出しは私が勝手につけたものである。1.真の財源とは日本は不況と財政破綻の悪循環、不況と円高の悪循環、リストラの悪循環という3つの悪循環に陥っている。…日本経済はずいぶん長くこの3つの悪循環にとらわれてきました。「デフレ・ギャップ」を「需給ギャップ」と呼ぶことは適切ではありません。--なぜならば、「デフレ・ギャップ」は単なる需要と供給のギャップではなく、需要と供給能力のあいだのギャップのことだからです。現在のわが国のように、巨大なデフレ・ギャップという形で厖大な生産能力の余裕が存在しているときには、政府紙幣が刷りまくられて大量に支出されても、景気が良くなってみんなが豊かになれるだけで、政府にとっても国民にとっても、だれの損失や負担にもなりません。明治維新のときはもちろん日銀なんて無い。だから政府が太政官札を発行しました。…そういう政府発行のお金をまず戊辰戦争の戦費を支弁するために使った。慶應3年12月から翌年元年12月の歳出合計が3050万円、紙幣発行収入が2404万円、実に歳出の78.8%を紙幣発行収入が占めています。慶應3年12月から明治2年9月までだと、歳出合計5129万円、紙幣収入4800万円で、なんと93.6%にもなる。…ここで重要なことは、それでも物価が安定していたということです。遊休していた生産能力が動きはじめ、商品の供給が増えたからです。…イザというときにものをいうのは、お金よりもむしろ生産能力なのです。いまわが国には、この生産能力の余裕が年間GDPベースで200兆円もある。これこそが実はわが国経済にとっての「真の財源」なのです。…お年寄りから赤ん坊まで一律に、40万円くらいずつの臨時ボーナス--「潜在経済活力費」とでも呼称すればよい--を政府が出すことにすればようでしょう。……必要とあれば、このような施策を何年か続ければいい。需要を増やさずに金融緩和だけを行う政策は、資金がマネーゲーム的な投機に用いられる恐れがあり、危険である。減税について言いますと、もともと金まわりのいい人が税金を払っているわけで、減税とはそういう人にお金を返すことなのですから、人々のお金の支出を増やさせるという効果に関しては即効的ではありません。おまけに貧富の差の拡大をもたらします。……だったら全国民に一律支給のほうがはるかに簡単で、政府機構を肥大化させる必要もない。…現在のわが国経済における総生産の水準は、本来的に労働量と資本設備の総合で見た場合の完全雇用・完全操業状態のもとで達成可能なはずのレベルから3、4割も下回っている。つまり「デフレ・ギャップ」が30%から40%も発生しているということなのです。しかも、このギャップは、過去20数年にもわたって、趨勢的に拡大しているということなのです。2.円高阻止、財政健全化、景気振興政策の実現という一石三鳥の秘策為替レートという特殊な価格のはたすきわめて重要な機能の一つは、わかりやすく言えば、ゴルフのような競技での「ハンディキャップ」です。…現実には、大部分の場合、国によって通貨を異にしていて、「為替レート」によってそのような異なった通貨のあいだの交換がなされていて、この「為替レート」が、国と国とのあいだおける絶対的な生産性水準を埋める「ハンディャップ」の役割を演じているからです。…このメカニズムにより、生産性の絶対的水準がはなはだしく低い国であってさえも、「経済自立」が可能になるのです。…その為替レートがそれ自体がわが国内の完全雇用・完全操業状態に照応して決まってさえいれば、わが国としては、なんら、産業空洞化問題について心配する必要はないのです。…為替レートが「購買力平価」からいちじるしくかけ離れた異常な値となってしまったときには、為替レートの「ハンディキャップ供与機能」が失われ、「正常な国際分業」は破壊されてしまうのです。…全世界の国際通貨市場(外為市場)で、毎日、1兆ドル以上もの取引が行われているといっても、そのほとんどすべてが「カラ買い」と「カラ売り」であって、ドルの「現金」が実際に動いている額は、ほんのわずかでしかないのです。…日銀が、「外為市場」の動きとは無関係に、たとえば135円=1ドルといった、わが国の産業が競争力を維持することができて「空洞化」を避けうるようなレートをあらかじめ設定・宣言しておいて、同行の本店と支店において、顧客の要求があれば、米ドル「現金」を、このレートで無制限に買取るということを断行しはじめたとするならば、その効果はきわめて絶大であるにちがいないのです。もちろん、この場合、日銀は「円」の日銀券で支払えばよいのであり、しかも、日銀は、買取った「ドル」を担保としていくらでも日銀券を発行しうるのですから、日銀にとっては、このような措置を実施するための財源は無尽蔵といってよいわけです。…このようにすれば、現在の異常な「円高」を阻止し、是正することは、しごく容易なのです。当然、そうなれば、わが国の産業の「空洞化」は食い止められ、経済成長率は回復し、株価なども急騰することになります。…日銀が、「円高」阻止のためのドルの「無制限」買取りを断行して、莫大な量のドルを保有するようになるということは、実は、日本の政府がこれまでに発行してきた厖大な量の国債を、なんの苦痛もなしに回収・整理する絶好のチャンスの到来を意味するものであるということです。…「円高阻止」のための措置を断行することで保有することになる巨額のドルを利用して、米国の国債や社債を大量に買いこめばよいのです。そして、日本の国内において、日銀は、それらの国債や米企業の社債との等価交換で、これまでわが国の民間部門が保有してきた日本政府発行の国債を日銀の手中に回収すればよいわけです。要するに、以上は(1)「円高」阻止、(2)財政「健全化」、(3)景気振興政策の実現という「一石三鳥」の秘策に他なりません。3.構造改革路線の誤り…デフレ・ギャップは、現在のわが国経済においては、30から40%にもおよんでいます。つまり、年間200兆から300兆円もの潜在GDPが、空しく実現されずに失われているということです。いまの趨勢が続けば、今後の10年間だけでも、このようにして空しく失われる潜在GDPが合計4000兆円にも達することになります。しかし、見かたを変えれば、このデフレ・ギャップは生産能力の余裕にほかなりませんから、国民経済的な見地からすれば、これこそがわが国の経済社会が持っている「真の財源」です。この巨大な「真の財源」を活用しさえすれば、国民の生活水準の大幅な引き上げをはじめ、社会資本・社会保障の充実、防衛力の整備、高齢化社会の乗り切り、自然環境の改善、途上国への援助等々、なんでも存分にやってのけることができます。…平成不況がはじまってから今日まで、わが国の朝野を通じて広く唱えられてきたところの、「まず構造改革をやれ! それがすむまでは、総需要拡大政策などはやるな!」といった意見は、根本的に間違っています。そのうえ、リストラ、構造改革、等々は、企業どうしで注文を削りあうことに他なりませんので、不況を激化させる要因でもあります。…それは、総需要の拡大によって不況が克服され、経済が成長率を回復して、完全雇用・完全操業の「天井」が視野に入ってきた段階になってから行うことですし、また、そうなれば、市場メカニズムの働きで、それは自ずからスムーズに行われていくことにもなるはずです。「供給サイド型」構造改革政策とし称して、不況による需要不足で稼働率が下がっている余裕生産能力を「潰してしまえ!」という政策は、「真の財源」を破棄しようとすることに他なりません。…デフレ・ギャップという形の生産能力の余裕としての「真の財源」が、事実上、無尽蔵なほどに存在している以上は、総需要を大幅に増やしても、それに応じて、すぐに、あらゆる商品の供給がどんどん増加することになりますから、物価の「需要インフレ的」な高騰といったが起こる心配はありません。そもそも、デフレ・ギャップが生じているときに、それも同時にインフレ・ギャップも発生するなどということは、理論的にも実際的にも、絶対に起こりうることではありません。税金とか国債の発行というのは、政府の財政収入をまかなうためのものと考えるべきではない。つまり、景気の過熱を防ぎ、インフレ的な総需要過大の状態を発生させないようにする手段が租税とか国債なのであって、政府の収入をまかなうためではない。●丹羽教授は、小渕政権、小泉政権への建白書を書いてきた、政府首脳は政府通貨の効力を知らないはずはない。政府は貨幣発行権をもっているし、政府貨幣として硬貨も発行している。●人間の常識というのは妙なものである。理論的に間違いが無いと分かっていても、前例のないことや権威と称する学者などからの批判があると先頭を切っては行えないものらしい。逆に変だと思っても(経済学に限らず物理学などでも)常識になってしまった知識は、疑いようの無い真理(政府通貨インフレ論、相対性理論など)となってしまうようだ。●減価貨幣が用いられた経済はいずれも(古代エジプト、中世中期、ヴェーラやヴェルグル)大いに発展した。政府貨幣がコントロールする経済も大発展するに違いない。●資源を無尽蔵に消費する経済の発展は人間的な社会とはいえない。しかし、経済を利子貨幣の命令ではなく、人間のコントロールの下に置くためには、通貨改革が不可欠になる。当面、政府通貨、減価貨幣、ベーシック・インカムのいづれかひとつでも実現できればと思う次第である。最短距離にあるのがこの政府通貨かもしれない。
May 6, 2009
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●Gバンクの配当(政府通貨)の回収方法には次の2つがあると述べてきたが… 1.減価貨幣 2.消費税●このうち、「2.消費税」というのはモノやサービスの購入・調達時に、消費税と同様にして支払うことになるからである。しかし、実態は配分したお金の回収率のようなものである。●これは政府の財源のための税収としてのものではない。財源はシニョレッジとしての政府通貨の発行そのものにあるので、税金は不要である。●従って「2.消費税」は「2.消費時における回収率」あるいは単に「2.回収率」と呼ぶべきかもしれない。
May 2, 2009
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