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1.負債によって創造されるお金●人は、まず間違いなく、通貨といえば紙幣やコインを思い浮かべる。しかし通貨の大半は現金ではなく、銀行口座に記載されている数字=商業銀行のデータベースに書き込まれている数字にすぎない。●現代社会では、通貨発行量の95%が商業銀行の信用創造によるものである。●金融バブルは、この商業銀行の信用創造が引き起こしたものである。●銀行通貨は金持ちの味方であって、貧乏の味方では決してない。本当に困っている人や企業には金を貸してくれない。●ところで、「貸す」「貸さない」という表現は適切ではない。銀行で「貸し出されるお金」は、銀行が誰かから借りているお金を融通しているのではなく、無から創造されるものだからである。●正確には、「貸す」のではなく「創っている」のである。人や企業が借金した時にお金が生まれる。<参考>「負債としてのお金」(Money As Debt)のテキスト2.政府通貨に対する誤解●大抵の人は、この実態を知らずに、次のように言う。(1) 政府通貨には通貨発行益(シニョーレッジ)があるので、通貨発行の旨みを覚えた政府は通貨の乱発に走るようになる。(2) 政府というものは信用できるものではない。政府通貨は過去にハイパーインフレを引き起こしてきたことがあるので発行すべきではない。●ベーシック・インカムに賛成する人の中にも政府通貨の発行に反対する人がいるのは非常に残念なことである。●ところで、国債による財源調達ならば、政府は国債の乱発を差し控えるのでろうか。もう十二分に後世にツケを回しているのではなかろうか。政府は必要に迫られて、国債という借金に依存せざるをえなかったのであろう。●そもそも、通貨発行益のある政府通貨を使用すれば良いのに、何故こんな愚かなことを続けていくのであろうか。政府自体にも政府通貨に対する偏見がある。●権威には頼りたくないが、国連で「通貨と金融制度の改革について」提唱するノーベル賞を受賞したジョセフ・スティグリッツ教授も、財源確保手段として政府通貨の導入を唱えている。日本では丹羽春喜教授が声高に唱えている。政府にもこの声は届いているはずだが…。<参考>政府通貨の威力丹羽春喜:救国の秘策の提言3.商業銀行通貨(現在の通貨)の方が問題がある●翻って、現在の商業銀行通貨は信用できるものであろうか?●幾多の経済バブルを引き起こしてきたのは、信用創造に基づく商業銀行通貨ではないのか。●経済が沈滞し、貧困に喘ぐ多くの人々がいる時こそお金の供給が必要であるのに、財布の紐を引き締めて供給しないのは、銀行通貨ではないか。●「貸した」以上の金の返済を市場からかき集めて返済しろと命令するのは銀行通貨ではないのか。●全ての人や企業に利潤追求動機を強要するのは銀行通貨=利子貨幣以外のなにものでもない。この動機こそが、人間関係を荒んだものとし、数多の犯罪の元凶となり、自然環境を破壊するのである。●政府貨幣は、確かにハイパーインフレを引き起こしたことがある。生産力に見合わない通貨の供給はインフレをもたらすことになる。このことは十分監視する必要がある。●要は、通貨の発行と回収のルールを明確にし、政府がこれを遵守し、国民が政府を監視する仕組みを確立すれば良いのである。●但し、無茶な政府は選挙制度を通じて交代させることができる。曲がりなりにも政府には民意を反映できる。●政府通貨は、人々が困っている時には、人々の要望に応じて発行可能である。ハイパーインフレを引き起こしそうであれば止めさせることもできる。●これに対して、銀行通貨はインフレを起そうがバブルを引き起こそうが止められない。人々が困っている時には金を「貸さず」、儲かり過ぎるような(危険な時に)大量の通貨が創りだされる。銀行通貨に民意を反映することなどできる相談ではない。4.現在の重要課題●日本では民主党による政権交代が現実味を帯びてきた。●民主党がマニフェストを発表したとのことである。政策には、財源の必要のないものもあるが、社会保障制度、景気回復、財政再建といったものは、安定的な財源の確保こそが最重要課題である。●自民党も民主党もこの重要課題に答えを出していない。●私の考える、現在最も必要とされている政策は以下のとおりである。(1) 政府貨幣を財源としたベーシック・インカムによる生活不安の無い社会の実現(2) 政府貨幣の回収手段としての消費税率の欧州並みの引き上げ(3) 所得税率の削減、法人税・法人の社会保障費負担などの削減(法人課税は製品価格に上乗せされて物価となり、最終的に消費者が負担しているので意味が無い)●ベーシック・インカムは景気の回復に寄与し、安定的な需要として経済変動の振幅を小さくする。●私は丹羽春喜教授のような経済成長論者ではないが、教授によれば、日本経済には40%以上の遊休生産余力があるとのことである。確かに多大な供給能力がある状態で、大量の政府通貨が発行されたとてインフレ懸念には及ばない…との教授の話はもっともである。●政府貨幣を用いれば、政府貨幣による国債などの償還も容易になる筈である。●銀行通貨=利子貨幣にとって経済成長は不可欠である。政府通貨は利子を必要としないので、必ずしも経済成長を必要としない。●現在の社会は銀行通貨=利子貨幣の支配下にあるため、人間は経済成長の奴隷になっている。人は経済成長という至上命令の犠牲者なのである。政府通貨やベーシック・インカムは、人と経済の関係を逆転させる大きな第一歩になるであろう。
July 28, 2009
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●以前、動画『負債としてのお金』を紹介しました。●私の考える未来社会にたどり着くには、ベーシック・インカムと政府通貨による経済・通貨の改革が不可欠です。動画「負債としてのお金」は、銀行貨幣が経済・社会・地球環境問題の主たる原因であることを明らかにしています。そして銀行から通貨発行権を政府に返還させることの意義を説いています。●知っているようで殆どの人が知らない、知らされていない脅威の真実がそこにあります。●今回はMoney As Debtの日本語字幕をすべてタイピングしてみました。●WEBで動画を見れるのに、なぜわざわざタイピングのような面倒なことをと思われることでしょう。●そう、あたなは動画を見ることができます。しかし、世の中にはインターネットを閲覧できない人の方が多いのです。●この字幕テキストは動画を見た人が、動画を見ることができな人に印刷物として配布してでも見せて欲しい…という私の願いによるものです。●字幕のテキスト化は著作権法違反になるのかもしれません。しかし、この動画を作成した人及び日本語化した人達は、この動画の内容を全ての人に伝えたいとの意図をもっている…との自己流の解釈によって、許してもらえるものと思っています。●「負債としてのお金」のテキスが欲しい方は、下記の画像をクリックして下さい。「負債としてのお金」のテキストページ
July 15, 2009
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(4)新しい所有の形態●ここで、シューマッハーはアーネスト・バーダーが設立したスコット・バーダー社について言及する。…バーダーは若い頃サラリーマンとしての自分の将来に強い不満をもっていた。また、「労働市場」とか「賃金体系」といった考え方、とくに人間が資本を使うのではなく、資本に使われるのだという思想に反発を覚えた。…しかし、現実にぶつかった壁は、株主総会に独裁的な権限を与え、株主がコントロールする経営の階層性だった。バーダーはこの会社で「人間に奉仕する経営という理念にもとづく革新」を行おうと決意する。バーダーは、次の二つのことを抜きにしては決定的な革新は行えないということを、ただちに悟った。第一は、所有権のあり方を変えることである。従業員の利益への参加だけなら、会社の設立以来実行してきたことで、これでは不十分である。第二は、一定の自己否定的な規制を進んで受けいれることである。第一点を実行するために、彼はスコット・バーダー自治体というものを設立して、スコット・バーダー社に対する所有権をこれに移した。…第二点を実行するために、バーダーは新しいパートナー、つまり自治体の成員である旧従業員と協定を結んで、基本規定をつくった。●この規定を書き出すと長くなるので、要点だけにしてみた。1.会社の規模を350名程度を上限とし、これ以上の増員が必要な場合は、同じタイプの新しい完全独立の組織単位をつくる。2.仕事に対する報酬は、年齢・性・職種・経験に関係なく最低と最高の格差を7以内とする。3.「自治体」成員は非解任であるが、自発的辞任はいつでもできる。4.取締役会は「自治体」に対して全面的に責任を負い、「自治体」は取締役の任命の承認、拒否、取締役の報酬を承認する権利と義務をもつ。5.「自治体」は純益の40%以上を受け取ってはならず、最低60%は納税と再投資のために留保する。「自治体」は受け取った利益の半分は労働者へのボーナスに、残り半分を社外の慈善目的に当てる。6.製品を戦争関連の目的に使うと思われる顧客には売ってはならない。●因みに、スコット・バーダー社はバーダーが30歳の1920年に設立され、31年後に従業員161人、年間売上62万5000ポンド、純益7万2000ポンド以上の中堅企業になっていたとのことである。●シューマッハーは新しい所有形態について提案する前に、「自由:全体主義」「市場経済:計画化」「私有:集団所有」に関する組み合わせは「自由・市場経済・私有」と「全体主義・計画化・集団所有」という可能性だけしかないというのは合理的ではないとして。文字どおりの「混合経済」を実現できるような大企業の所有権「制度」を創りあげるにはどうしたら良いかを考える。●これらの考えを整理した後で企業の新しい所有形態について次のように提案する。但し、以下の抜書きは訳文のとおりではない。先進国の大企業が、公共投資で築かれた産業基盤から多大な便益を得ている。しかし政府当局はその利益を直接には享受しておらず、真っ先に私的に配分された利益の残余から財政支出をまかなうために税で取り立てることになる。…そうだとすると、私的利益の中の公共の取り分-いい換えれば
July 6, 2009
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●E・F・シューマッハーは経済学者である以上に活動家である。学者の書いた本は往々にして、本人提案よりも本人以外の学説などの解説でページ数の大半が割かれているもの多い。その点、シューマッハーは実に多岐にわたる提案をしている。●第1部の「現代世界」では仏教経済学などの考えが目新しく映る(ポランニーに言わせれば資本主義の方が歴史的には特異な経済システムであるだろう)かもしれない。第2部の「資源」が最も世界的に注目を集めた資源・環境問題に関する論述であり、化石燃料や原子力の利用に関して警告を発している。第3部の「第三世界」では開発途上国のための中間技術開発や世界200万農村対策などを具体的に提案している。第4部の「組織と所有権」では組織の所有権の公有化などを論じている。●この第4部の「組織と所有権」では、第2章で大規模組織のあり方について触れ、第3章では私企業と対比しながら国有化に関する批判的検討を行っている。●今回は、このうち組織の所有権の公有化に関して紹介することにした。ここには、組織の社会化に関して私が考えていたのとは異なるアイデアが示されており、未来社会への過渡的な組織のありかたのひとつとして考えられないかと思ったからである。(2)企業の公共化に関する提案●シューマッハーは第4部の4章の「所有権」で、R・H・トーニーの所有権についての考えかたを紹介している。私的財産についていうと、第一の、しかももっとも基本的なことがらは、(a)創造的な仕事の助けとなる財産と、(b)創造的な仕事にとってかわる財産とを区別することである。(a)には自然で健全な要素がある。自営業者の個人財産がそれにあたる。一方、(b)には不自然で不健全な性格がある。みずから働かずに他人の労働に寄生する人の個人資産がそれである。……「したがって、どんな形態の財産について議論しているのかを明らかにしないで、私有財産に賛成したり、反対したりするのは無益なことである」…一部の社会主義者が、土地や資本の私有が必然的に有害だと考えているのは、保守主義者がいっさいの財産になにか神秘的な神聖さがあるとするのと同様に、愚かで独善的な形式主義である。ここでただちに明らかになるのは、私有権の問題では、規模が決定的な意味をもっているということである。小企業から中小企業に変ると、所有と仕事の結びつきはもう薄れてしまう。私企業は私的性格を失うと同時に、地域においては社会的役割をもってくる。その役割は地域を越えてさらに広がるかもしれない。私有財産という概念自体がますますあやしくなってくる。大規模企業になると、私有権の観念は不合理以外のなにものでもなくなってくる。大企業の財産は実質的には私的なものではなく、またそのようなものではありえない。●端的に言えば、多数の人々にモノやサービスを提供し、多数の従業員を雇用し、その家族を養う企業を私的に所有(私物化)するというのは不合理なことであるということになろうか。利権料、地代、独占的利潤、さまざまな種類の剰余金--といった権利は、すべて「財産権」である。こういう財産権に対する決定的な批判は……通常財産権を弁護する際に使われる論拠そのものの中にある。その論拠とは、財産権という制度の意味するものは、労働者にその労働の果実を与えることによって勤勉を奨励するということである。そうだとすると、人が自ら働いた成果としての財産をもつのがだいじであるのとまったく同様に、他人の勤労の成果である財産を手に入れることはやめなくてはならない。大規模企業のいわゆる私有権を廃止する途はいろいろあるが、いちばんよく知られてのが、ふつう「国有化」と呼ばれている方法である。(3)国有化の問題大規模企業のいわゆる私有権を廃止する方途はいろいろあるが、いちばんよく知られているのが、ふつう「国有化」と呼ばれる方法である。…その言葉は特定の経営形態、つまり政府任命の役人が現役員にとってかわり、その全権を行使するという形態を実際には指すものとなってしまった。●と分析するが、民間企業側からの批判については、次のように反論している。民間企業側は、倦むことなく国有化産業はもっと「責任能力」を持つべきだと主張している。これはいささか皮肉といえよう。なぜならば、もっぱら公共の利益のために働く国有企業の責任能力は、今では非常に高まっているのに反して、私的利益を追うものと自認している企業の責任能力はほとんどゼロにひとしいからである。…と展開していき、国有化の条件を整理していくが、これについては割愛する。●シューマッハーは、国有化それ自体が問題ということではなく、結論としては次のようなことであろうと述べている。最後になったが、国有化のいちばんの問題点は、国有化の計画に当たる人たちが行きすぎた中央集権を好む癖のあることである。●この点は私の見解とも一致する。但し、私は「中央集権を好む癖」ではなく「中央集権が必然化する傾向」であると考えている。これは所謂、組織という手段が組織目的に置き換わってしまう必然性=堺屋太一氏がいう「組織の退廃」である。●この必然性は組織の内部構造に原因がある。役所は外部からの批判や干渉を受け難い閉鎖的組織であり、同時に命令に基づく官僚機構であるため、組織の設立目的ではなく、組織の権限拡大など組織に貢献する人物や上司に忠実な人間が出世する仕組みになっている。●このことは、自分の給料や役職を保証してくれるのは市民や消費者ではなく、組織の幹部達であってみれば当然あり、暗黙のうちに作り上げた組織内の論理でしか動かなくっているのである。<参考>◆組織一般:未来社会の組織(境界の無い世界3)●そして次の5章の新しい所有の形態を提案する。
July 4, 2009
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●おそまきながら、痛めた肩をなだめすかしつつE・F・シューマッハーの『スモール・イズ・ビューティフル』を読み終えた。スモール・イズ・ビューティフル(人間中心の経済学)E・F・シューマッハー●今回は、この本の内容紹介(エッセンスの抜書き)は行わない。Wikipediaでシューマッハーの記事を探してみたが無かった。代わりに下記に比較的良質の紹介があるのでご覧頂きたい。◆渡瀬義孝のLiberal Utopia(1)ニュー・エコノミックスなどとの関係●『スモール・イズ・ビューティフル』からの本流は、先に紹介したニュー・エコノミックスとしての『生命系の経済学』で、その基幹となるマネーシステムの提案としての『21世紀の経済システム展望』や『新しい貨幣の創造』などであると思っている。●まずは、商業銀行がどのように負債としての利子貨幣を創造し、経済つまり人間社会を支配しているかを解説した動画『Money As Debt(日本語字幕版)…お金ができる仕組み=銀行の詐欺システム』をご覧頂きたい。●これを見たあとで、『新しい貨幣の創造』を読めば、著者のロバートソンが何故このような本を書いたかが分かるであろう。これが資本主義という悪の心臓部だからである。●環境経済学やエントロピー経済学などを『スモール・イズ・ビューティフル』からの流れと位置づける考えもあるのかもしれない。しかし私の偏見によれば、下々の人間の生活と直接的関係の薄い経済学は「人間中心の経済学」とは言えない。生態系や外部経済を対象領域に取り込んだからといって生活に困窮している人々を救えるわけではない。●北欧の国々が環境改善に積極的なのは環境経済学などのお陰ではなく、社会保障システムをベースとした社会規範の変化があるからであって、逆では決してない。人々を幸福にする経済システムがあってはじめて自然環境も守られるというのが私の持論である。●CO2の排出権取引制度は、資本主義システムの持続的発展のためのもの=環境のビジネス化の産物である。国家間・業界内では排出量を巡る駆け引きに終始し、これを金融資本が餌食にしようとしている。●『生命系の経済学』の延長線上にある最終的な姿が、手前味噌の未来社会の姿『未来の経済システム』であると考えている。●これは以下の4つに集約される通貨と税制の改革である。(1) 銀行による信用創造の廃止=政府貨幣の使用(2) 基本配当(ベーシック・インカム)や投資配当(投資や献金などの利他的行為のための資金)の無条件交付(3) 地球税(資源利用料と環境汚染料)以外の全ての税金の廃止(4) 政府貨幣の回収方法として、ハードマネーの場合には消費税のような方式、ソフトマネーの場合には減価貨幣の使用…以上である。--------------------------------------●怪我のその後であるが、昨日、頭と顎の傷口の抜糸をした。舌はかなり修復されているように感じる。問題は肩だが、少しづつ痛みが軽くなってきている。希望的観測で1週間、遅くとも2週間あればテニスのできる肩になるだろうと期待している。
July 1, 2009
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