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カテゴリ: 意匠
Artist in His Studio Rembrandt
The Artist in his Studio , 1629

Garnet Crow - Call my name
http://www.youtube.com/watch?v=UQRrN4F5kY4



「どうもおかしい」

故・山本七平さん著『小林秀雄の流儀』に
とても興味深い記述があるので、一部抜粋してみます。


 しばらくして、またTさんのところへ行った。
 例によって、「退屈に堪(た)へる練習」がはじまった。
 しかし私はただ彼の宋官窯の青磁の壺だけを見ていた。
 確かにすばらしい。しかしあれと違う。
 これは「宝石だ、いや宝石以上のものだ」という、
 あの、迫って来る感動がないのである。
 私はそれを見つつ、ついうっかり、
 「どうもおかしい」と言った。
 Tさんの顔色が変わり、爆発した怒りは罵声となり、
 ついに絶交状態になったが、
 そのとき私は、少々あっけにとられていたので、
 彼がなぜそんなに怒ったのかわからなかった。
 私が「どうもおかしい」と言ったのは、
 感動が湧いて来ない私自身がおかしいと、
 ひとりごとを言ったのである。
 だが後に「おかしい」というのはこの道の言葉では
 「贋物」の意味だと知ってやっと彼の怒りを理解した。
 そしてそれを聞いたとき、
 なぜ贋物を「おかしい」と言うのかもわかった。
 私に鑑識眼があると思わぬから、
 「自分がおかしい」と言ったわけだが、
 「おかしい」と感ずるのは品物がおかしいためかも知れぬ。
 いわば自己の鑑識眼を絶対化すればおかしいのは私ではなく、
 その壺のはず、Tさんはそう解して激怒した。
 そう思うと「おかしい」は「贋物」へのまことに的確な表現である。
 (『小林秀雄の流儀』所収「小林秀雄の「分かる」ということ」)


まだ自分がナイフに興味を持ちはじめたばかりの頃、
ラブレスやクーパーなどの、コレクター垂涎の
カスタムナイフを実際に手に取って見る機会があったのですが、
少しも欲しいという感情が湧いてきませんでした。
むしろ「これは一回見たらもう十分だな」と思うほどでした。
その後も数多くのラブレス・ナイフを見、
コピー品を山のように見たものの、やはりまったく欲しくない。
ある年の8月8日に来日したラブレス本人を数十センチの距離から見ても
なんの感慨も浮かばない始末でした。
日本の幽霊に十字架を向けても怖がらないとか、
ドラキュラに九字を切っても通じないようなものでしょうか。
映画『エクソシスト』では、悪霊パズスに対して、
神父が十字架と聖書のことばを使って威嚇してましたが。

(本稿続く)



Arizona Custom Knives - John N. Cooper
http://www.arizonacustomknives.com/sold/?artist=301
10868-1.jpg






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Last updated  2009年12月11日 02時04分27秒
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