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カテゴリ: 陽明学


後世〔こうせい〕復〔ふく〕すべからず。
三代(※夏・殷・周)以下の治は、後世〔こうせい〕法〔のっと〕るべからず。
惟〔ただ〕三代の治行う可〔べ〕し。
しかれども、世の三代をいう者、其の本〔もと〕を明らかにせずして、
其の末〔すえ〕を事とす。又〔また〕復すべからずと。
三代の法、今の時に叶い侍るや。

 云う。万世師とすべく、他方〔たほう〕法〔のっと〕るべきは堯舜の治也。
礼いまだ備わらずといえども、渾然〔こんぜん〕として存〔そん〕せり。
篤恭〔とくきょう〕にして天下〔てんか〕平〔たいら〕かなり。
易簡〔いかん〕の善、至徳に配し、中和を致して天下位し万物を育するの至り也。
子思〔しし〕云〔いわ〕く、仲尼〔ちゅうじ〕、堯舜を祖述し、文武を憲章す。
孟子云く、堯舜を師としてあやまてる者はあらじと。
唐虞三代共に其の本を明らかにする時は一つ也。
其の末を事とする時はみな復すべからず。
三代以下は道行わざれば、いうにたたず。
世の三代というもの、多くは周の博文〔はくぶん〕の末を事とせり。
夏商〔かしょう〕をまじえ、時に応ずるをとれる者すくなし。
孔子〔こうし〕云〔のたまわ〕く、夏〔カ〕の時を行え、殷〔イン〕の輅〔ロ〕にのれ、
周の冕〔ベン〕を服せよ、楽〔ガク〕は即ち韶舞〔ショウブ〕をせよ。
これ、孔子の、堯舜三代の法の其の時に行うべきものを取り給う意なり。
聖人の法は、春夏秋冬の時によりて、衣服飲食動作の異なるがごとし。
久しければ弊〔ツイエ〕あり。故に時に因って損益すべし。
又〔また〕曰〔のたまわ〕く、麻冕〔マベン〕は礼也。今、純〔イト〕は倹せり。
吾〔われ〕は衆に従わんと。
緇布冠〔しふかん〕(※黒い布の冠)は
三十〔さんじゅう〕升〔ヨミ〕の布を用うることを礼の法也といえども、
今の人の手になりがたし。故に世人これを省約〔せいやく〕す。
孔子もしたがい給う也。
三代の礼といえども、今の世人の人情・時勢・気力に叶いがたきものは用うべからず。
万々歳といえ共〔ドモ〕、日本の他方というとも、祖述して師とすべきは唐虞の治也。
孔子の云〔のたまわ〕く、無為にして治るものは其れ舜か。
黄帝堯舜、衣裳を垂れて天下治る。

 問う。陽明子云く、行うに太古の俗を以てせんと欲するは、老仏の学術也と。
まことに朴〔バク〕に反〔カエ〕り淳に還〔カエ〕ることは、
万物を放下せずば叶うべからず。
専〔もっぱ〕ら無為を事とするは、三王(夏・殷・周の王)の、
時に因〔より〕て治を致すが如くなること能〔あた〕わず。

 云う。無為にも又〔また〕真〔しん〕あり。
時に因て治を致して、近き者いとわざる(厭わざる)は即ち無為なり。
俄かに太古純朴の跡をかえし行わむと欲すとも、得〔う〕べからず。
勢いある人しいてなさば、大いに害あるべし。
天下の大乱は、虚文勝ちて実行〔じっこう〕衰〔おとろ〕うるよるといえども、
事を以て倹約朴素にかえさんとするは、ただ其のままの虚文不実にて、
すておくにはおとり(劣り)て、乱いよいよすすむべし。
事の多少博約にかかわらず、唯〔ただ〕心の誠を立て、天下誠を尊びば、
太古無為純朴の真ならむ。
風俗は漸〔ゼン〕を以て復して害あるべからず。





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Last updated  2022年03月19日 06時52分29秒


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