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カテゴリ: 陽明学



 云う。せなかは不動無欲の所〔ところ〕也。
人の身中、目の見〔み〕・耳の聞〔きき〕・口の味〔あじわい〕・鼻の臭〔かぎ〕・
腹の飲食〔のみくい〕・手の取〔とり〕・足の行〔ゆく〕、みな欲あり動あり。
ただ背〔せなか〕のみ欲なく動なし。故に一身の本〔もと〕たり。
一身は背の不動につきて用をなす者なり。これ我が身によりてたとえをとれり。
心無欲にして身の主〔あるじ〕たるべし。欲ある時は一身に主たることあたわず。
況〔いわん〕や家・国・天下をや。
欲は好み悪〔にく〕みなり。好んで得むことを欲し、悪むでは去らむことを欲す。
其の好悪〔こうお〕にもとる時は心うごきさわぐ。
或いはいかり或いは恐れて心くらくなれり。心は霊明を以て身の主たり。
霊明の真〔しん〕を失う時は主の用なし。
これを放心というなり。




 一 学友問う。雷〔らい〕は天のいかり(怒り)という説あり。

 云う。よろこびとはいうべし。雷雨のうごくみちみてり。
草木〔そうもく/くさき〕生意〔せいい〕をまし、人気〔にんき〕すずしく心地よろこばし。
先王以て楽〔ガク〕を作り給えり。
風来共に造化の常はよろこばし。常にこゆるはいかりとも云うべし。
周公の徳をあらわさんがために大風おこり、
北野の天神の忠臣の怨みを感じて甚雷〔じんらい〕ありしたぐい也。





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Last updated  2022年12月09日 22時05分21秒


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