森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2016.12.19
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森田理論学習にはとても面白い現象があります。
神経症を克服されていると思う人が、益々森田理論にとりつかれていくのです。
生涯にわたって関わりを持ちたいという気持ちがだんだん強くなっていくのです。

他の療法は神経症を克服してしまえばもう用はありません。
薬物療法にしても、認知行動療法にしても、カウンセリングもそうです。どうしてなのか。

森田理論は神経質性格を持って、いろんなことにとらわれて道を踏み外しやすい人たちに、どう生きていくべきなのか、を教えてくれているからだと思います。
そういう意味では神経症治療のためのツールではなく、人生論、人間学に近いものだと思います。これを私は「森田人間学」となづけている。
人間学といえばアドラー心理学、老荘思想、親鸞や道元の仏教、他人中心から自分中心の生き方、人間関係療法などが思い浮かびます。
森田理論というのはそういう人間学、生きがいとは何かといった分野で燦然と輝くだけの内容を持っています。

人間は自然を意のままにコントロールして現在にいたっているが、そういう考え方でこれからもやっていけるのか。
それは1個人に対するだけではなく、人類が将来にわたって繁栄していくための文化論、文明論でもあります。

こういうと森田理論の神経症治療のすぐれた面は無視するのかと言う人も多いと思います。
そういうことを言っているのではありません。神経症治療としての役立つ面は確かにあります。
でもそれは森田理論の全体の枠組みから見ればほんの少しでしかない。
極論すれば20%か30%ぐらいでしかない。
後の大半は人間の生きがいや生き方を取り扱う格調の高い人間学の分野に属しているのである。

こうしてみると、森田理論が他の神経症治療に押されて昔のような生彩を欠いていることを嘆き悲しむ必要はない。
むしろ他に神経症治療に効くよい治療法があれば、森田療法としては、そちらを応援した方がよい。
薬物療法、認知行動療法、カウンセリング、その他30もあると言われている心理療法に任せた方がよいのだ。森田療法はその中の1分野にとどまっているだけである。
もちろん森田療法で神経症を治療したいという人は拒む必要はない。

それは学会に参加されている精神科医、臨床心理士の数の差になって表れている。

今の時代に求められるのは、神経症のすべての治療法を整理して、あなたにはどの治療法が役に立つのかを提示してあげることである。
それぞれのメリット、デメリットを提示して、神経症に陥っている人が間違いのない選択をするために援助することが求められている。我々がその役割を果たせないだろうか。

森田理論は神経症の治療を視野に入れてもよいが、そのことに全面的に偏っていてはいけない。
それよりは神経質者の「人間の再教育」の分野で思う存分にその持てる力を発揮すべきである。


森田理論は社会から、そういう世界に羽ばたいていくことが求められていると思うのである。
そのことが森田療法を創始された森田先生の望むところではあるまいか。
それは社会全体が神経症の悪循環のような状態に陥っているので、その突破口としての使命を果たす役割が求められていると思うのである。





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Last updated  2016.12.19 07:10:11
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