大原健士郎先生の話です。
身近な例でいえば、赤の他人に対しては、家族に対するのとは違って、言葉遣いや振る舞いに十分気を遣うだろうし、ときには、自分の欠点をカモフラージュしたりもするだろう。
また、会社では心を鬼にしてでも叱らなければならないこともあるが、そんな時は怒っている仮面をつけて厳しく接する。
逆に、自分がむしゃくしゃしていても、にこやかに接しなければならないときは、笑顔で接しようと心がける。
これらは、現実の生活の中では当たり前のことなのだ。皆それぞれ仮面を被っているのだが、その時に、
「自分だけが特別で、これは病気だ」などと思ってしまうと、非常に苦痛となって神経症の状態になってしまいかねない。
仮面と言うとなんだか偽善的に思われがちだが、これは人づきあいには必要なものと知るべきなのだ。
(「不安な心」と上手に付き合う本
大原健士郎
105
ページより引用)
大人の対人関係は、人格と人格との付き合いである。
人格を英語で表すと、パーソナリティーとなるが、このパーソナリティーの語源は、ラテン語の「仮面」
(
ペルソナ
)
である。
ギリシア劇で俳優たちは仮面をつけて演技をしたと言われている。
日本の能などでもそうである。
人間は自分の欠点を隠し、長所だけを表面に表して仮面で対人関係を形成している。顔色の悪い女性は頬紅や口紅をつける。
儀式に参加する人はそれなりの服装をする。あれもこれも仮面の 1
つである。
「仮面を拒否する」生き方は、人間関係を窮屈にするだけだ。
自分の心をむき出しにするのではなく、隠してくれる「仮面を認める」ことで、人間関係はスムーズに運ぶのである。
(同 131
ページより引用)
この話は、森田理論学習で言うと、感情と行動は別物として取り扱うと言うことだと思います。
普通の人は人間関係において、明確に感情と行動を切り離している場合が多い。
私たちはこの 2
つをなかなか分離して取り扱うことができない。
つまり大原健士郎先生が言われるように仮面をつけないで、感情のままに行動していると言えるのではないでしょうか。
たとえば、心の中で「あの人は嫌いだ」といったん思ってしまうと、その気持ちをそのまま相手にぶつけてしまう。
不機嫌な態度をとる、挨拶をされても挨拶を返さない。
こんなことが何回も重なると、相手は逃げていってしまう。
また、こういう態度はあらゆる場面で発揮され、ついにはみんなから背を向けられて孤立してしまう。
そうなってしまうと、人間関係が破綻してしまい、ついには会社を辞めざるを得なくなる。実に残念な結果となる。
森田ではどんなに相手のことを憎んでもよい。
でも、その気持ちを態度としてあらわしてはいけない。
役者のように演技をしてみるという気持ちをしっかり持っておくことが大切となる。
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