森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2018.05.02
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プロ野球をテレビで観戦していると、今の球はストライクではないのかと思うことがよくあります。
あるいは反対に、どうも外れているような気がすることもあります。
審判も大変なのでしょう。ストライクゾーンにボールが半分、あるいは3分の1入ったか、入っていないかなとをその都度判定しているのです。これでは審判によって差が出るのは当然のことでしょう。
ボール気味の球でもストライクという人もいれば、とにかく厳しくやるのがアンパイアだときわどいところはほとんどボールという人もいます。
走塁での微妙な判定はリプレイ検証というのが始まりました。
ビデオ検証により判定が覆ることがあります。
しかし、当然ですがストライクやボールの判定のリプレイ検証はありません。
だから、個々の審判の特徴をあらかじめ知っておく事は大切です。

プロ野球の選手は、自分のストライクゾーンを自分の体に覚え込ませています。

不満はありながらも、そのケースがほとんどでしょう。
なかには、腹を立てて「なんで今のがストライクなんだ。お前の目は節穴か」などと悪態をつく選手もいます。あまりにもしつこすぎて、退場させられる選手も出てきます。
こうなりますと、審判を敵に回すことになるので、後々まで悪影響がついてまわります。

この点では、落合選手の対応はとても参考になります。
落合選手は現役時代、試合前に、とにかくよくアンパイアと喋っていました。
また試合中、本人がややボールと思ったものを仮にストライクと言われても、顔に露骨に不満を表したり、高圧的に「今の低いだろ」などと声に出したりはしません。
そんな時、落合さんはゆっくり振り返って、そのアンパイアに向かって、いたって優しい口調で、 「ちょっと広めに取っているように思えるんだが、今日はそこまで取っているんだよな」と事実確認をします。決してお前の判定は間違っているなどという事は言いません。
あくまでも事実の確認をしているのです。
ところがこういうことを続けていると、審判たちの間には、 「やはり落合さんはきわどいところがすごくよく見えている」というイメージが定着するのです。
落合さんは元々選球眼のよい選手です。それに加えて、ある種の威厳のある確認行為を繰り返すことで、ただでさえ良い選球眼がそれ以上によいような印象を審判の方々に植え付けられるのです。
そうこうしているうちに、落合さんが狙い球を外して甘い球を見逃したとしても、審判が「ボール」と言うようになりました。時として落合さんに有利な判定をするようになったのです。


この話は森田理論に通じる話です。
審判に文句を言う選手は、自分の「かくあるべし」を審判に押し付けているようなものです。
その結果、ストライク、ボールの判定が覆ることは全くありません。
それどころか反対に逆襲を浴びて、自分を不利な立場に追い込んでしまいます。
もしそれが仮に正しくても、百害あって一利なしです。


その審判の判定の事実の確認作業を淡々と行っているのです。
そのためには、試合前からざっくばらんな話をしながら、試合中でも確認作業程度の話ができる人間関係を作り上げています。
そして、受け入れがたい事実の確認作業を積み重ねることによって、最終的には自分がその事実に対応しようとしているのです。変化に対応しようとしているのです。
審判は是非善悪で自分たちを非難したり評価してしないので、落合選手の世界に自然に引き込まれてしまっているのです。これが落合選手の審判を味方につけるということだと思います。
こういうことを継続していると、全体が丸く収まっていくのです。

この話は私たち神経質者にとっても、とても参考になる話です。
他人に対して「かくあるべし」を押し付けて、改心させるようなことを言うには及ばない。
相手の実際の行動・実践に対して見たままの事実だけを述べる。事実の確認作業を行う。
その事実に対して、「私はこのように思ったのだが、その見方は間違いないのかどうか。教えてもらえないだろうか」と低姿勢で聞いてみる。そのような対応を繰り返すことで、相手との関係が険悪な関係に陥ることなく、双方にとってメリットが出てくるのではないでしょうか。
そこには批判、強制、否定、拒否、無視、脅迫など相容れない相互信頼の人間関係が構築できるのではないでしょうか。これが森田理論から導かれる、人間関係のコツだと思われます。





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Last updated  2024.05.31 20:31:29
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stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
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