森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2019.03.12
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カテゴリ: 神経症の成り立ち
2月号の生活の発見誌に不潔恐怖の人の話がある。
強迫観念とは、非常に嫌な感情です。
ですから、この嫌な感情を、なくそうとか排斥しようとか、ねじ伏せようとして強迫行為をしてしまうのですが、強迫行為をすればするほど、いやな感情は精神交互作用で大きくなり、完全に負け戦です。
強迫観念と事実は違うということをしっかり認識して事実に基づいた生活を実践することが大切です。

「もしかしたら閉め忘れたところがあるのでは」 「もしかしたらきれいに拭けていないのでは」 「もしかしたらきれいに洗えていないのでは」みな強迫観念です。
この強迫観念に従ってする行動は強迫行為となってしまい、追い込まれてしまうのです。
「もしかしたら」に振り回されてしまうのです。
戸締まりなど、確実にしまっているという確信はもてないけれど、 「確認した」という事実にすがる、食器などきれいに洗えたという確信は持てないけど、 「一生懸命に洗った」という事実にすがる、 「一生懸命に拭いた」という事実にすがる。
後ろ髪を引かれる思いでやるしかありません。


いったん五感で確認しても、思索、判断力などを司っている大脳の前頭前野がしゃしゃり出てきてしまうのです。そして、常に主導権を前頭前野が握っており、五感や直感は軽視されてしまうのです。
ですから強迫行為は動物にはありません。人間にだけあるものです。
精神拮抗作用で、五感や直感が否定されるのが普通の状態になっているのです。
強迫行為をしている人は、強迫行為や自分が嫌で嫌で仕方がないのです。

強迫行為をする人は、幼児のころ、母親とのスキンシップが欠けており、そもそも他人を無条件に信頼するという経験が乏しかったという人もいます。暖かい人間同士の触れ合いが持てないことで、五感や直感への信頼感にも影響を与えているのかもしれません。
この方は、行動したという事実は歴然とあるわけですから、その事実だけはきちんと認めていく。
そして耐えがたいことではあるが、強迫行為から決別するという方法をとられているようです。
理屈としてはその通りなのですが、それが出来ないから強迫行為を止められないという側面もあります。

また別のある方は、強迫行為は精神拮抗作用が原因となって発生している。
戸締まりをした、ガスの元栓をきちんと締めた、手をきれいに洗ったという事実があっても、その反対観念がどうしても出てくる。その反対観念が出てくるというのは、人間の宿命である。
そういうことが自覚できれば、強迫行為の成り立ちが分かる。


私はそれに加えて、五感や直感力を強化することにも取り組んだ方がよいと思う。
五感はネガティブで否定的なものだけではなく、うれしい、楽しい、清々しい、気持ちがよいなどというポジティブで肯定的な面もある。
おいしいもの食べること、体を動かすこと、芸術や文芸作品を味わう事、スポーツをすることによって、五感はどんどん鋭くなっていくものである。そういう改善への道もありだと思う。

それから、強迫行為をする人は、他者への信頼感も希薄な面があるので、広く浅く人間関係を広げることによって、 「心の安全基地」という人間同士の基本的信頼関係を再構築して行く方向で努力していく。
これは直接強迫行為の改善には結びつかないかもしれないが、強迫行為を続ける人の、自分の人生を楽にしてくれる。このように、総合的に取り組んでいた方がよいのではないかと考えています。





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Last updated  2019.03.12 06:30:10
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森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
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