森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2019.07.10
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藤井輝明さんは2歳のころから、顔に海綿状血管腫というアザができました。
それが大きくなるにつれてどんどん大きくなっていったそうです。
右目の周りから右頬にかけてかさぶたのように腫れあがっているのです。
子供のころはこの病気のせいで友達から「化け物」といわれていじめられていました。
大人たちからはジロジロ見られたりしました。

手術をしましたが治りません。
大人になってからは、筑波大学や名古屋大学で勉強するくらいの秀才だったのですが、顔のアザを理由に50社から入社を断られたそうです。
大手銀行では、成績は良かったのですが、その顔で顧客訪問や銀行窓口営業をされると銀行にマイナスになるといって断られたそうです。その理不尽な対応にとても憤りを感じたそうです。
どんなに努力してみんなに受け入れられようとしても、やることなすことがすべて裏目に出てしまうのです。


普通の人でしたら自分の不幸を恨んで、投げやりになるのではないでしょうか。
人生の理不尽さを嘆いて、引きこもったり、親を恨んで自暴自棄になったり、自殺を企てたりするようになるのではないでしょうか。
私たちのように強い「かくあるべし」に振り回されている人は、自然にその流れに飲み込まれてしまうでしょう。自分に寄り添うことなんてできません。自分を自分で痛めつけてしまうのです。
これでは不幸の連鎖で悪循環が永遠に繰り返されてしまいます。

藤井さんは後に熊本大学医学部の教授になられました。
さらに、顔に病気や傷を抱える人たちの差別や偏見をなくすために、学校や社会での講演活動も続けられています。「この顔でよかった」という本では、堂々と海綿状血管腫の顔を表紙に晒されています。
副題は、「コンプレックスがあるから人は幸せになれる」です。
これは森田理論でいうと、海綿状血管腫を持っている自分を認めて受け入れているということです。
その現実を踏まえて、偏見や差別のある社会に身を置いて、自分のできることを着実に実行されているのだと思います。

この病気になったからこそ、他人の温かさも人一倍感じることができるようになったといわれています。
病気を糧にして、普通の人では経験できないようなこともたくさん体験できました。


どうして私たちが目指している事実本位の生活態度を身に着けられたのでしょうか。
私は両親の力が大きかったと思います。一時は一家心中を考えたこともあったようですが、基本的には親が常に子供に寄り添って温かく見守ったその成果だと思います。

お母さんはこんなふうに子供を励ましています。
「輝ちゃん、コンプレックスや悩み、ストレス、不安、悲しさに100%自分の心を支配させてはダメよ。誰しもコンプレックスや悩みがあるけれど、それらとうまく付き合いながら人間は成長していくもの。人と比較する必要なんてない。1年前、2年前の自分と比較して成長しているかどうかがポイントだよ」

「輝ちゃんには魅力やチャームポイント、長所がたくさんあるから、欠点や短所ばかり気にしないで、長所もしっかり自覚して、いい面を伸ばしなさい」






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Last updated  2019.07.10 07:28:59
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森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
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