森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2019.08.24
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カテゴリ: 神経症の成り立ち
ある40代の男性は、出勤前にトイレに行ったあと、妻や娘に「お父さんのトイレの後、臭い」といわれました。大変ショックを受けました。でも家のトイレは一つしかないので使わざるを得ないのです。
そこで自分はできるだけ後で済ませるようにしました。
そして今ではトイレが終わった後、消臭剤を振りかけることが日課になっているそうです。
そのうち家で済ますことはできるだけ我慢して、駅の公衆トイレを利用するようになりました。
少し早く出て会社のトイレを利用することもあります。
そのうち電車に乗ると自分が悪臭を出しているのではないか気にするようになりました。
テレビコマーシャルでやっている臭い消しをわきの下に振りかけるようになりました。
職場では、自分の口から悪臭が出ているのではないか。体臭で若い人たちが自分を避けているのではないか。などと気になり始めて、仕事に集中できなくなりました。
神経科にかかると「自己臭症」と診断されて治療を受けているということでした。


それを予期恐怖して、無臭化に力を入れるようになっている。

ポーラ文化研究所の調査では、自分の臭いが好きと答えたのはわずか1%。
男性の66%、女性の81%が自分の口臭、汗の臭い、足の臭い、体臭を抑える努力をしていた。
何回も歯を磨く、シャワーを何回も浴びる。脂取り紙を使う。無臭剤をつかう。香水を使う。下着をたびたび取り換える。

例えばシンガポールに行くと、毎日暑いので汗がよく出る。それとともに体臭もきつくなる。
そこでどうしているかというと香水やオーデコロンを振りかけて、自分の体臭をごまかしている。
現地の人に近づくと香水のにおいがする。街中がなんか独特の人工的なにおいがする。

無臭化については、大量に流されるテレビコマーシャルが拍車をかけている。
消臭剤、除菌剤、抗菌剤などは大きなマーケットを形成している。
これでは香りで季節の移り変わりや料理を楽しむという五感の機能はどんどん衰えてしまいます。
果物や草花の臭いを軽視し、鈍感になってしまう。


自然なものを自分たちの都合に合わせて、すべて排除しようと考えることは、自然に反する行動をとっていることなのです。
自分の気持ちや意志を押さえつけて、周囲の合わせていくばかりでは、生きづらくなってしまいます。
嫌のものはなんでもかんでも排除するという考えは、一時はうまくいったかに見えても、長期的にみれば自然の流れに反することですから、破綻や破滅に向かって突き進んでいるのです。

不安や恐怖、不快感、違和感についても、それを取り除いたり、逃げ回っていてはいけません。
それらは有史以来人間や動物に備わっているものです。

それらの役割や特徴を十分に学習する必要があります。
そして生活の中にどのように活かしていくのかと考えて、上手に付き合っていく必要があります。
そのことを森田理論の学習で学ぶことができます。精神療法では極めて珍しいことです。
不安と欲望という単元です。ここを学習すると、不安と欲望の関係もよく分かってきます。
ですから、他の単元よりは、より重要な学習項目になります。
官庁でいえば、国税庁という庁レベルではなく、財務省という省レベルの学習項目となります。
そういう意識で学習することをお勧めします。





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Last updated  2019.08.24 09:33:53
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森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
森田生涯 @ Re[1]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ コメントありがとうございま…
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