森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2019.10.24
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森田療法や森田理論の学習をしている人は、他の精神療法は最初から排除してしまう場合があります。
これはまずいいのではないか。森田先生はそんなことはされないと思います。
一つ一つ実際に確かめて神経症の治療に応用できるのかどうかを判断されたに違いありません。
確かめる中で、森田理論の優位性や問題点、改善点がはっきりと分かってくるものだと思います。

精神療法の一つに認知行動療法があります。
これは認知療法と行動療法を組み合わせて、神経症の克服を目指しているものです。
精神療法としては、唯一保険適応です。

認知療法は、神経症に苦しむような人は、ある出来事に対してネガティブに考える傾向が強い。
それが考え方、生活面、行動面に悪循環を招いている。

マイナスにばかり考える癖を認知療法によって、プラス面も考えられるように訓練していく。

行動療法は、不安をいくつかの階層に分けて、取り組みやすいものから、実際に不安に直面させていく。
例えば快速・特急電車に乗れない人に、まず駅に行く。切符を買う。
各駅停車の電車に乗る。次の駅で降りる。
最終的に快速・特急電車に乗れるまで、行動面を前面に押し出した治療法です。

神経症は、森田理論学習のように言葉でそのからくりを説明し、理解しただけでは解決しません。
例えば、不安神経症で死んだ人はいません。動悸や息苦しさで一時的にパニックになって、破局的に考えることで、発作が起きているんですよ。そのままじっとしていれば、いずれ収まります。
だから発作が起きたときは、慌てず落ち着いて行動しましょう。
などと言葉でそのからくりを説明し、考え方を改めさせようとしても、急には電車に乗れるようにはならないでしょう。
実際に体験して、安全であることを自分の身体で体得するということがいかに重要かということです。
そういう意味では、森田理論学習は観念に偏りすぎて、行動面がおろそかになっているかもしれません。

そこに気づいて、森田理論の学習だけではなく、実践・行動、生活面への応用を心がけている人は素晴らしいですね。実際にそういう人は素晴らしいオーラを放っています。

現在の認知行動療法は、原法をいろいろと改善して新しい試みが次々と生みだされています。
その一つに、「アクセプタンス&コミットメント・セラピー」というのがあります。
これは難しい言葉ですが、森田理論に非常に近いセラピーです。
「アブセブタンス」というのは、自分の中に湧き起こった自動思考、とりとめのない考え、不安や怒りなどの感情、身体の痛みや違和感・・・。

「コミットメント」とは、「今・ここ」に意識を戻して、今、自分の目の前にある物事や出来事、今、本当にやるべきことに傾倒していきましょうという考え方です。
一言でいえば、不安や恐怖を目の仇にして、無くそうとして格闘するのではなく、それを自然なものとして、あるがままに受け入れていきましょう。
そして、日常茶飯事や仕事、自分の夢や希望に向かって前進してゆきましょうという考え方です。
この考え方は、森田が専売特許のように思っていましたが、どうもそうではなくなってきたようです。
そして認知行動療法が素晴らしいのは、この考え方が行動療法と結びついて、実際の活用方法までを提案して、強力にサポートしていることにあります。
私たちはこれに見習い、新しい森田理論の活用法を見出していく必要があるようです。
「生活森田・応用森田」を理論学習と同じ程度に比重をアップしていくことが求められています。





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Last updated  2019.10.24 06:20:06
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