森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2021.10.17
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自分の健康や生活を損なうことが分かっているのに、やめるにやめられない。
あるいは、反社会的行為で警察沙汰になるかもしれないのに、つい手が出てしまう。
たとえば、飲酒、喫煙、ギャンプル、ネットゲーム、過食、薬物、盗撮、痴漢、ストーカー、盗み、暴力、暴言、虚言、詐欺、遅刻癖などがあります。

これらは、ブレーキが故障した車を運転しているようなものでとても危険です。
我慢することができなくて、本能のままに行動すると、後で取り返しのつかない事態に追い込まれます。自分の健康や生活が破壊され、社会的には抹殺されるような事態に陥らないとも限りません。本能むき出しで衝動的な暴走行動はどう取り扱ったらよいのでしょうか。

これらに対して、「条件反射制御法」という治療法があります。
2006年平井愼二医師(千葉県の下総精神医療センター・精神科医)によって確立されて、臨床面で大きな成果を上げています。比較的新しい治療法です。今では学会まであります。
全国各地で問題行動を起こす人たちの立ち直りの手段として活用されています。やめたいのにやめられない行動で苦しんでいる方は、ぜひ参考にされるとよいと思います。

これはパヴロフの条件反射が基礎となっています。

しかしベルを鳴らして餌を与えるということを繰り返していると、犬の脳は餌が出てくるというとを前もって察知してしまうということです。
ある刺激を繰り返して与えていると、無意識的に、いつもと同じ行動をとってしまうということです。これが問題になるのはマイナス行動を自動的に選択してしまう場合です。
冷静な時に考えると、こんなことは人間としてやってはいけないと分かっていることを、無意識のうちに当然のように選択してしまうのです。
後で冷静になって考えると、健康を害し、自分や家族の生活を破壊し、社会的な制裁を受けるようなことでも、自ら歯止めをかけることはできなくなるのです。
普段は人格者と思われているような人でも、二重人格者のような一面を見せるのです。

なぜこんな悲惨なことが起きてしまうのでしょうか。
人間は不安やストレスを抱えた場合、なんとか解決して苦しい状況を打開しようとします。
太古の昔は、肉食獣におそわれる危険性が絶えず付きまといました。
絶えず周囲にアンテナを拡げて危険を察知しなければ生き延びることはできませんでした。
もし危険があれば、仲間に知らせて、一緒になって一目散に逃げるしかありません。
木の上に登るか、洞穴の中に逃げるか、弱いものをいけにえにして他のものが助かる道を選択するか、とにかく命がけなわけです。そのうち逃げているだけでは、人類は絶滅してしまう。

最初は他のものと協力して、槍のようなもので闘っていました。
今では銃のようなものがあります。頑丈な四輪駆動の自動車に乗り、銃を装備していると、アフリカのサバンナでも肉食獣の餌食になることはありません。
そういうことが分かっていますから、無防備で肉食獣がたむろしているところに行くことはありません。
これは人類がそういう成功体験を持っており、その経験に基ずいて必然的に正しい行動を選択しているのです。

人類が自然の脅威に対して、今まで生き延びてきたということは、対応方法を身に着けてそれが機能してきたということです。

成功体験を持っていると、同じような危険なことが起きた場合、迷わずその成功体験に基づて、即座に行動を開始できるのです。

やってはいけないということをつい衝動的にやってしまうということは、以前にどうしたらよいか分からないで右往左往したことがあるのです。
そしていろいろ考えて、その苦しくてつらい状態を曲がりなりにも脱するストレス解消法を身につけたのです。それを平井医師は、「生理的報酬を得た」と表現されています。
それが大脳にしっかりと記憶されているのです。

それが自分の健康や家族の生活、人様に迷惑をかけないものなら何ら問題はありません。
ところが最初あげた問題行動によってストレスを回避しようということになると、これは大いに問題になります。

こういう出来事に対する自動的な行動は、自分の健康や生活を破壊し、社会的制裁を科せられることになることであっても、そのとき是非善悪の判断が正常に機能していないのです。
残念なことですが、問題行動に理性を失い猪突猛進してしまうのです。

これは意志が弱いから起きているのではないのです。
脳がそれを選択して生き延びるような仕組みができているのです。
例えば、過去に今まで一流の経済学者としてテレビに出ていた人が、エスカレーターで盗撮して警察に検挙される事件がありました。今までの信用は一挙に失われてしまいました。
さらに人間的に野放しできないダメな人と評価されてしまいました。
それ以外の面では、飛び抜けて優秀な面を持っているのに、人格全体を否定されて、ダメ人間として取り扱われることになりました。
これは、本人にとっても社会にとっても大きな損失となります。

こういう人は、時と場合によっては、自分は本能むき出しの衝動的な行動をする人間であると自覚することが肝心です。
時と場合によっては、自己統制能力は働かなくなると自覚できればよいのです。
自分一人では無理ならば、他人の監視のもとに行動することが必要になります。

こういう人は「条件反射制御法」を取り入れて予防することが役に立つと思います。
興味や関心のある方は、ネットで検索してみてください。
千葉県にある下総精神医療センター(独立行政法人 国立病院機構)をはじめ、全国各地に専門病院があります。また書籍もあり、分かりやすく解説されています。
「やめたいのにやめられない 悪い習慣 をやめる技術」 小早川明子 フォレスト出版など。

この衝動的で短絡的、後で取り返しのつかない自己破壊的、反社会的な行動に自覚のある方は、何としても阻止する術を持たないと、一瞬で自分の将来は暗澹たるものになります。
具体的な「条件反射制御法」については明日紹介いたします。





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Last updated  2021.10.17 07:49:57
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