森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2021.12.13
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カテゴリ: 最新の脳科学
最近のMRI(核磁気共鳴画像診断)は電磁波を使って1ミリ単位で脳の働きをとらえることができるそうです。プラス思考の時は脳のどの部分が活性化し、マイナス思考の時はどの部分が変化しているかを突き止めることが可能になっています。
これを利用して脳の報酬系回路と防衛系回路の流れを見てみましょう。

まず報酬系神経回路の流れです。
イケイケどんどんの積極的、快楽系神経回路の流れです。
神経伝達物質としてはドーパミンが絡んでいます。
主にドーパミンが情報伝達を担っているのです。
その他アドレナリンやβエンドルフィンも絡んできます。
報酬系神経回路は、別名A10神経系(快感をもたらす神経)と言われています。
依存症というのはこの回路が活性化し過ぎているのです。


A10神経系は脳幹から出発しています。
脳幹は呼吸、体温調整、血液循環、消化など最も基本的な生命活動を調整しています。無意識的に調整しますが、その時の心の状態に影響を受けています。
心身が穏やかな時は正常に問題なく働いています。

つぎに視床下部に入ります。
ここは性欲、食欲、睡眠、排泄など人間の基本的欲求をコントロールしています。

ここから先は枝分かれします。
1番目は、記憶の脳である海馬に進みます。
記憶の脳は短期記憶と長期記憶に分けています。
短期記憶はすぐに消去されますが、安全や生存に関わるような重大な記憶、反復された記憶は長期記憶として別の場所に格納されます。
成功体験が数多く収納されていると、新たな挑戦をするときに、その記憶を呼び出してきます。挑戦意欲が高まり今度もまた成功確率が高くなるのです。

2番目に、感情の脳(扁桃核)を通り、学習・記憶・言語の脳と言われる側頭葉に達しています。

つまり、やる気を起こさせる脳である側坐核や腹側被蓋野などに向かいます。
この部分は私たちの意欲や行動力に大きな影響力を及ぼしています。
そこが司令塔となり、報酬系神経組織に属する脳全体を駆け巡ります。

最終的には、人間だけに大きく発達している前頭前野に達します。
この部分が活性化することで、生産的、建設的、創造的な活動に繋がっています。


一方人間には防衛系神経回路も標準装備されています。
攻撃だけでは思わぬ落とし穴にはまってしまいます。
攻守あいまってバランスをとっているのです。
防衛系神経回路はノルアドレナリンが絡んでいます。
その後コルチゾールなども絡んできます。
こちらはA6神経系回路と言われています。

不安や恐怖、不快感などにさらされると、脳幹が動きます。
呼吸、体温調整、血液循環、消化などに微妙な影響が出てきます。
心の危機に体の方が即座に対応してくるのです。
つぎに視床下部に入ります。
防衛系神経回路に支配されると性欲や食欲がなくなり、不眠、胃腸などが不調になります。

つぎに、記憶の脳である海馬に進みます。
記憶の脳は短期記憶と長期記憶に分けています。
安全や生存に関わるような記憶は長期記憶として別の場所に格納されます。
ミスや失敗、恥ずかしい思い、悲しい感情、後悔した体験などは、今後の危険回避のために、どんどん蓄積されていきます。
普通は成功体験よりも失敗体験の方が数多く蓄積されています。
今度また同じようなことに取り組む時、その記憶を引っ張り出してきて、「ダメだ、また失敗するだろう」などと決めつけてしまうのです。行動の足かせとなります。

扁桃体で嫌い、不快、できないと判定された感情は、青斑核(A6神経)に運ばれます。この部分は防衛系神経回路の司令塔的役割を担っています。
小さな神経組織ですが、数十億という防衛系神経組織に影響を与えています。
生産的、建設的、創造的な行動を抑制して、心身の安全確保に専念するように指示しています。基本的には危険回避の方向に向かいます。
黄色信号や赤信号を点灯させて、総力を挙げて防衛態勢を取らせているのです。
そのために精神活動は内向きになります。無気力で覇気がなくなります。

この2つの神経系の関係は、普段は報酬系神経回路が前面に出て大いに作動し、その行き過ぎを防衛系回路が制御するというのが望ましいと思われます。
しかし分別がついてくると、危険回避の考え方が主導権を取り、報酬系回路が抑制的になる人が多いようです。
努力することを回避して逃避的になり、生きがいを無くしていきます。

現代人は、報酬系回路の賦活が緊急課題となっていると思います。
人間は対象に働きかけて、課題や問題点の解消のために精進するという宿命を持った生き物です。それに沿った生き方をするためには報酬系神経回路を活性化することが大切になります。

そのためには、達成可能な大きな目標を持つ。目標をしっかりイメージする。
先入観を排除して正しく現状分析を行う。
かくあるべしを排除して、今現在の事実に素直に従う。
現実を踏まえて、大きな目標に向かう道筋をつける。
つまり、短期で達成可能な小目標をいくつも設けて成功体験を積み重ねる。
その途中で失敗をしても、軌道修正を繰り返しながら目標に向かう。
立ちはだかる壁や失敗は成功のための糧にしていく。
目標達成できるまで粘り続ける。
この路線にのって生活している人は、生きがいを持った人生を送ることができるのではないでしょうか。この点については明日詳しく見ていきます。





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Last updated  2024.06.04 09:07:35
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