森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2022.01.26
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今日は「条件反射制御法入門」(平井愼二・長谷川直美 星和書店)という本から、依存症がどのようにして引き起こされるかを考えてみたいと思います。

ストレス(身体的、精神的ストレス、人間関係の悪化)が加わると、動物的な神経系である第一信号系(動物的な脳)は活動を始め、生きる方向に動きます。
つまり生理的報酬(安堵、満足、快感)を獲得するように向かうのです。

このとき、過去に頻繁に生理的報酬を獲得した精神活動が反応しやすく、過去の問題行動(仕事をさぼる、暴言や暴力、確認行為、パニック発作、摂食障害、反社会的行動など)が再現されるのです。なぜなら、その問題行動は、生理的報酬により定着した反射連鎖が(無意識的、自動的に)作動することにより生じるものだからです。

これは、「やめたくてもやめられない」自己破壊的行動、反社会的な犯罪行動は、あなたの理性が弱いから起きるものではないということを意味しています。
人間の脳の仕組みとして、衝動的な「動物的な脳」が理性的な「人間的な脳」よりも、先にしかも強力に作動するようにできているのです。

ですから、過去、現在そのようなとの返しのつかない行動を持っていたとしても、あなた一人に責任を負わせて罪を償うことはあまり意味がありません。
もし責める必要があるのならば、そのような脳の仕組みに向けられるべきです。
また、過去の生理的報酬は、大脳にドパミンやβエンドルフィンという快楽を伴う伝達物質を放出して、再現されることが多いのです。無防備に問題行動の連鎖が続くのです。


ですから動物脳が無意識的、自動的に連鎖して発動することは抑制することが大切になります。
その一つの手段として、これらは条件反射として無意識に行われているので、条件反射を遮断すれば、問題行動がなくなるのではないかという発想のもとに考えられた治療法が、「条件反射制御法」なのです。具体的な方法はこの本にこの本に記載してありますので、依存症の方は参考にしてください。

ここでは森田療法との関連性についてみておきましょう。
森田では、生の欲望の発揮に向かうことを目指しています。
しかしついうっかりしていると、生の欲望は暴走してしまいやすいのです。
「不安と欲望」のバランスが崩れて、欲望が暴走し始めると厄介なことになります。人間同士が他人を押しのけて自己の欲望を無制限に追い求めるようになるのです。そして他人や他国を攻撃するようになるのです。
人間の歴史は、欲望が暴走し争いや悲惨な戦争の連続でした。

次に不安やストレスや苦悩を抱えた人は、その苦しみから逃れようとします。
神経症で苦しんでいる人も、苦しみから逃れようとします。
しかし現実にはなかなかその苦しみから逃れられない。
そのような状況に追い込まれたときに一時的に楽になれる方法があります。

この方法は一時的には有効ですが、長い目で見ると依存症に陥りやすい。
バランスのとり方があまりにも両極端に振れやすいのです。
依存症に陥ると人間関係が悪化、健康問題、経済問題などを引き起こします。

そういう脳の仕組みを自覚することが肝心です。
欲望を優先にしながらも、不安を活用して、欲望を暴走させないようにする。

森田理論の「欲望と不安」という単元は、そのことを教えてくれています。

もし依存症に陥っている人がおられましたら、この条件反射制御法は学習して活用してみる価値があります。





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Last updated  2022.01.26 06:21:50
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森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
森田生涯 @ Re[1]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ コメントありがとうございま…
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