森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2022.04.13
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4月号の生活の発見誌に次のような記事がありました。

森田療法を学ぶ前は、森田療法で神経症を治すことが出来るという希望がありました。森田療法を学ぶにつれて単純に森田で治るとは考えられなくなりました。
治りたいと思えば思うほど症状がきつくなる現実に打ちのめされました。

これは深刻な問題です。私の場合で振り返ってみました。
私の症状は対人恐怖症でした。
人から非難、否定、からかわれる、無視されることが苦痛でした。
苦痛をなくするというよりも、逃げ回ることばかり考えて生きてきました。
生きることは苦しむことだと思っていました。

森田理論学習の自助組織に参加して36年になります。

森田に関わっていなかったら、のたうち回ってみじめな人生に甘んじていたと思います。では対人恐怖症が治ったのかと言われると、それもちょっと違うという気持ちです。
治るとか、治らないとかという問題を議論する必要がないという心境です。

では森田の学習で何を学び、どんな心境の変化が起きたのか。
対人恐怖症を持ちながらでも、何とか楽しく生きていける。
4月号の巻頭言に、「日常のささやかな幸せが人生の幸せ」という記事がありましたが、私もその様な心境です。
「たかが人生、されど人生」という気持ちで、生活を精一杯楽しむことが出来るようになりました。

森田理論で役に立ったのは、対人恐怖症の裏には人から評価されたい、一目置かれるような人間になりたいという大きな欲望があることが分かりました。
対人恐怖症をなくすることよりも、他人から尊敬され、褒められるような人間になるように努力精進することが肝心であることが分かりました。
「対人恐怖症という不安」と「一目置かれる人間になるという大きな欲望」を天秤に例えてみました。
そしていかにしてそのバランスをとっていくかにエネルギーを投入した方がよいという結論に達しました。
この考え方を持つようになってきてから、対人恐怖症で振り回されことは少なくなりました。


次に対人恐怖症には、「不即不離」の人間関係作りが有効だというのが分かりました。コップ一杯の親しい人間関係を5つくらいというのではなく、コップに少しだけの人間関係をたくさん作るという方法です。
人間関係は、必要な時に、必要に応じて、必要なだけを心掛ける。
これは画期的な考え方だと思います。
これだけでも、森田を学習してよかったと思っています。

そして高良武久先生から、対人関係で苦しんでいる人は、エキスパートを目指しなさいと教えてもらいました。

専門家になれば、対人関係で悩むことはなくなるはずだと言われたのです。
このブログを始めてくしくも10年目になります。
この考えは確かに間違いなかったと思っています。

それから私は完全主義、理想主義の塊でした。
言い換えれば、頭でっかちで、観念優先で現実、現状、事実を批判・否定ばかりしてきました。この態度が自分を苦しめていることが分かりました。
森田理論学習で、事実に寄り添う態度を身につけることを学びました。
これはまだ道半ばですが、方向性とやり方は森田理論学習で理解しました。
事実本位になることが、生の欲望への登竜門だと考えています。
今後はこの方法で進んでいくことにしています。

神経症で苦しんでいた時は、100%症状のことで頭の中が一杯でしたが、生活が好循環してくるとともに、その比率が少しずつ下がり始めました。
今現在は少なくとも50%程度には下がっていると思います。
神経症から縁が切れたのかと言われると返答に苦しみます。
でもこの程度の治り方で自分としては十分に満足しているのです。
むしろ対人恐怖症が全部なくなると、自分の個性もなくなってしまうのではないかと考えています。個性のない人間にはなりたくありません。





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Last updated  2022.04.13 06:37:08
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森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
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