森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2022.09.21
XML
カーネギーの「道は開ける」という本に次のような逸話が紹介されています。

弁護士のジェオリ・ルアナ氏はウィーンからスウェーデンに移り仕事を探していた。
貿易会社で働こうとさまざまな会社に手紙を出した。
そんなとき、ある会社から手紙が届いた。
「私どもの仕事について、貴殿は愚かな思い違いをしております。新しい方の採用予定はありません。仮に必要でも、スウェーデン語を満足に書けない方は採用しません。貴殿の手紙は間違いだらけです」

ジェオリ・ルアナ氏はその手紙を読んで、短気なドナルドダックのように怒った。
このスウェーデン人はどうして自分が字も満足に書けないというのか。
このスウェーデン人の手紙こそ間違いだらけなのだ。
そこでジェオリ・ルアナ氏は、さらにその男の怒りを煽る手紙を書き始めた。


「ちょっと待て。この男が正しくないと、どうして言い切れるのか。私はスウェーデン語を勉強してきたが、母国語ではない。知らずに間違えているかもしれない。それなら、仕事に就くためには、もっと勉強しなければならない。そのつもりはなかったかもしれないが、結果的にこの男は私に良いことをしてくれた。不愉快な手紙だったが、借りができたことは事実だ。だから、彼の好意に対し、お礼の手紙を書くことにしよう」

ジェオリ・ルアナ氏は、それまで書いていた痛烈な内容の手紙を破り捨て、別の手紙を書き始めた。
「採用を予定されていない中、わざわざお手紙いただき感謝いたします。御社について思い違いをして、申し訳ありませんでした。・・・私の手紙の文章に文法的な間違いがあったことには気がつきませんでした。大変お恥ずかしい限りです。お詫び申し上げます。これからは、スウェーデン語を一層熱心に勉強し、間違いを治そうと思います。改善のきっかけをつくっていただき、ありがとうございます」
数日もたたないうちに、ジェオリ・ルアナ氏に再び手紙が届いた。
そこには面接に来るようにと書いてあった。
そして仕事をもらうことができた。

この逸話を森田理論で分析してみたいと思います。
最初に自分を非難する手紙を受け取って激怒しています。
森田でいうと、怒りの感情は二次感情、初二念の考えと聞いたことがあります。
その感情に従えば、事態は悪化して、欲求不満に陥ります。

ジェオリ・ルアナ氏は、今一歩間をとって、一次感情、初一念、純な心を見つめ直しています。相手の態度に激怒したが、自分の方に非があるのかもしれない。

そのことに対して感謝の手紙を送ろう。

不快な事実をあるがままに受けいれて、今できる最善の手を尽くしたということです。森田理論の眼目の一つは、「かくあるべし」の押し付けをやめて、事実本位に移行するということです。
事実本位に移行すると、エネルギーの無駄遣いが無くなります。
そして冷静になり、そのエネルギーの有効活用を考えられるようになります。
マラソンでいえば過酷な国内予選を勝ち抜いて、オリンピックのスタート地点に立つことができるようになるということです。


なお事実本位に近づく方法として、2021年7月11日から7月23日まで投稿していますので、興味のある方はご参照ください。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2022.09.21 06:20:13
コメントを書く
[観念重視から事実重視への転換] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

大谷が輝いている理… New! 楽天星no1さん

うつ症状を伴う激し… メルトスライム25さん

神経症を克服します♪ ROSE33333さん
「私」がいる幸せ えみこた2さん
真実追求ブログ 真実追求さん

Profile

森田生涯

森田生涯

Comments

森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
森田生涯 @ Re[1]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ コメントありがとうございま…
stst@ Re:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、こんばんは。 過去に何度かコ…
軸受国富論@ Re:森田の正道を歩むとはどういうことか(06/05) かの有名なドクターDXの理論ですね。ほか…

Calendar


© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: