森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2022.09.27
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ヨーロッパでは、火薬を使った「発破」で鉱物資源の採掘やトンネルの採掘をおこなっていたのですが、日本ではそうしませんでした。
火薬による発破を日本に伝えたパンベリーは、火薬の使い方を知りながら、日本人が石の採掘に応用しなかったことを不思議がったといいます。
高い技術力を持ちながら、それを自然を征服するために使わなかったからです。
それはなぜか?

自然を破壊するなんて美しくないからです。
じゃあ、何に使ったのか。
みんなが楽しめる花火に使ったのです。
これがもともとの日本人の感性なのです。

日本人は、お茶を道にして茶道を生み出し、剣は剣道、書は書道、弓は弓道、華は華道、なんでもそれを道にしてきたのです。


勝つか負けるかじゃない。損か得かでもない。
美しいかどうか。かっこいいかどうか。
これは突き詰めれば、みんなが笑い合えるかどうか、より多くの人を幸せにするかどうかです。
(人生最後の日にガッツポーズして死ねるたったひとつの生き方 ひすいこたろう A-Works)

これは、日本人が、便利か不便か、役に立つか役に立たないか、よいか悪いか、正しいか間違いか、勝つか負けるか、仲間か敵かという対立的な価値判断とは全く違う価値観を持っているということを説明していると思います。

どんな価値観なのか。

それが美しいか醜いか、調和がとれているか崩れているか、感動するか嫌悪感を催すか、味わい深いか無味乾燥かという価値観を持っているということだと思います。
日本人はことさら対立をあおるのではなく、それを乗り越えて、調和、平和、幸福、感動を希求する習性を持った民族と言えるのではないでしょうか。

外国では宗教が違えば、戦争も辞さないという考え方をします。
是非善悪の価値判断が絶対的な物差しになります。
征服するか征服されるか二者択一の世界で生きているのです。


森田理論に是非善悪の価値判断をしないで、事実を事実のままに見ることが大切であるというのがあります。

この善し悪しとか苦楽とかいう事は、事実と言葉との間に非常な相違がある。
この苦楽の評価の拘泥を超越して、ただ現実における、我々の「生命の躍動」そのものになりきって行く事ができれば、それが大学卒業程度のものでもあろうか。
「善悪不離・苦楽共存」ともいうのもこの事である。
(森田全集第5巻 653ページ)


これは完全主義という観念にとりつかれて、葛藤や苦悩でのたうち回っているというものです。100点でなければ、仮に90点、80点、70点という高得点であってもすべて0点とみなすというような極端な考え方の事です。
白か黒かのどちらかに決めつけてしまうのは破滅的な考え方です。

このような考え方を是正する一つの方法として、それが美しいか醜いか、調和がとれているか崩れているか、感動するか嫌悪感を催すか、味わい深いか無味乾燥かという見方を心がけるというのは如何でしょうか。
一般的には、100点か0点に決めつけてしまうのではなく、事実をよく見て、20点から90点の間の正しい評価づけを行うというのが基本です。
森田理論は相対立する考え方をことさら際立たせるのではなく、対立する考え方の調和を目指すという考え方なのです。
どんなに悲惨な事実であっても、どんなに理不尽な事実であっても、最終的にはその事実を受けいれて、止揚していきましょうという考え方です。





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Last updated  2022.09.27 06:20:11
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