森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2022.12.06
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沢庵和尚は、「不動智神妙録」の中で、「もし1か所に心を止めて置くならば、そのことにとらわれて動きが用を成さなくなるし、考えれば考えにとらわれてしまう。だから、考えも判断もきれいに捨て去って、心を心の中の、1ヶ所に止めずに全身に行き渡らせることが必要だ。そうすることで一瞬一瞬の状況に応じた自在な動きがかなう」と言っています。

武道の達人は相手が攻撃をしようと考えたとたんにわかってしまうといいます。
どこを攻撃しようとしているかも瞬時にわかるので、達人はちょっと体をかわすだけです。それで凡人はあらぬ方向に飛ばされてしまいます。
達人は、凡人と見方がちがうのです。どのように違うのでしょうか。

凡人は視線を一点に向けます。対象の全体ではなく部分に注意を向けているのです。 そのため相手の体のどの部分から動きが始まっているのかが分かりません。
やっと大きく動いたところに気がついて「アッ、こう来るぞ」「よし、こう動こう」などと考えます。その間に軽々1本とられてしまうのです。

達人は、見るでもなく見ないでもない見方で見ます。
このような見方は、実は平常心で見る見方です。
平常心とは、読んで字のごとく、平常であたりまえのことをあたりまえに、ありのままに見る心です。


これを武道では 「居付き」 というのだそうです。
心がその場に居付くと、自由自在な動きができず、相手の動きに翻弄されてしまいます。

私たちの日常生活でも、絶え間なく新しい出来事に遭遇します。
そのつど「居付いて」いては人生ままなりません。
世の中がままならないのではなくて、自分の心がままならないのです。

これは特別のことではありません。
誰でも毎日の生活の中であたりまえやっていることなのです。
例えば、主婦が食事を作るとき、メニューが決まって台所に入れば、野菜を切りながら、考えもせずに味噌汁の火加減を調整しているでしょうし、野菜に衣をつけながら油に入れ、次々とてんぷらを揚げていく、その間にテーブルに食器を運ぶ。
めまぐるしく、忙しく立ち回っているときは、流れるように心と体は協調して動いています。
(セロトニン呼吸法 有田秀穂 高橋玄朴 地湧社参照)

これは森田理論の「無所住心」の世界のことではないでしょうか。

うわの空で他の事を考えながら注意を向けているとうっかりミスを起こします。

ところが一点に注意や意識を固定し、いつまでもとらわれていると心と体の流れが止まります。これが問題なのです。自然はめまぐるしく流動変化しています。
注意や意識を昆虫の触角のように四方八方に向けて、流動変化の兆しを掴み、変化に同調した動きをとるように心がける。
気になる問題点をそのまま抱えて、変化の流れに乗り遅れないようにする。
その流れの中で解決可能な問題を処理し、解決不可能な不安はそのまま持ち越していく。これが森田が目指している生き方となります。





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Last updated  2024.06.04 10:18:53
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stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
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