森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2023.02.20
XML
五木寛之氏のお話です。

生きていれば誰しも、不幸な出来事や死にたくなるような情けない局面に直面することがあります。また、「泣きっ面に蜂」とはよく言ったもので、トラブルや不幸というものは重なるものです。そんな弱りきったときに「人生には無限の可能性がある」「夢は必ず実現する」といったポジティブ思考は何の役にも立ちません。

五木さんは、12歳の時、北朝鮮のピョンヤンで、敗戦を迎えました。
頼りにしていた母親を失い、それまで正しいと思っていたことはすべてくつがえされ、目を覆いたくなるような悲惨な状況の中、九州に引き揚げてきました。
引き揚げても住む家さえなかった。それを身の不幸と思いました。
でも考えてみれば、自分よりも不幸な子供たちはたくさんいた。

私はそんな時、徹底したネガティブ思考でしのいできました。
「人生とは苦しみの連続である」と覚悟を決めたのです。

そうすると、その諦念の底から、かすかに湧いてくる力がありました。
「それしかないなら、引き受けるしかないな」という、「居直りのエネルギー」です。
ネガティブ思考を突き詰めていくと、いつか底を打ちます。
するとそこから、新しい力が生まれてくる。
このように、ネガティブ思考から生まれたポジティブ思考は相当に強いものです。捨て身で覚悟を決めたこころから生まれてきているのですから。

もしあなたに、次々と不運が襲ってきたら、無理にそれに対抗しないことをお勧めします。むしろそれを柔らかく引き受け、そして居直ってください。

居直るということは覚悟を決めたということです。
すると、ちょっと味わったことのないようなパワーが湧いてくると思います。
それが仄かなものでも、あなたの覚悟という基盤から生まれた新しいエネルギーです。そのエネルギーを使って、あなたなりのポジティブ思考をしてみてはどうでしょうか。
(ただ生きていく、それだけで素晴らしい 五木寛之 PHP 44ページ参照)

稀に最悪の状況に追い込まれながらも、発奮材料に変えることができる人がいます。そういう人は、ミスや失敗、最悪な環境や境遇がエネルギーの供給源になっているのです。
そういうネガティブ要素がなかったなら、普通の人で終わっていた可能性が高い。
これは、森田でいう最悪の事実にきちんと向き合うことができたからこそ可能になったと考えられます。



事実をあるがままに認めることができれば、葛藤や苦悩はなくなります。
その結果、貴重なエネルギーの無駄使いがなくなります。
事実にしっかりと足場を築いて、夢や目標を見上げることができれば、そのエネルギーを使って、逆転人生の始まりとなります。
これが五木氏の言われている「居直りのエネルギー」の発揮のことです。
このことを森田では「生の欲望の発揮」と言います。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2024.06.01 23:43:00
コメントを書く
[観念重視から事実重視への転換] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

森田生涯

森田生涯

Calendar

Comments

森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
森田生涯 @ Re[1]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ コメントありがとうございま…
stst@ Re:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、こんばんは。 過去に何度かコ…
軸受国富論@ Re:森田の正道を歩むとはどういうことか(06/05) かの有名なドクターDXの理論ですね。ほか…

© Rakuten Group, Inc.

Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: