森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2023.04.07
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カテゴリ: 生の欲望の発揮
生命科学者の柳澤桂子氏のお話です。

この方は、三菱化成生命科学研究所主任研究員をされていました。
仕事にも子供にも恵まれて順風満帆の生活を楽しんでいた32歳の時突然病が襲ってきた。
その時、この病気とは一生涯付き合うことになるとは思ってもみなかったそうです。原因不明の病気である。膠原病に似たような激しい痛みがある。
そして最後は起き上がることもできなくなり、寝たきりになられました。
普通は自分の運命を呪い自暴自棄になるのではないでしょうか。
柳澤氏は病気を得たことで、人生とは何かについて深く洞察できるようになりました。今日からその一端をご紹介します。
参考図書は、癒されて生きる 女性生命科学者の心の旅路 岩波書店です。

柳澤氏は、1年のうちの半分近くを病院で過ごすこともあった。

それは、自分が妻の座、母の座に居座ることへの叱責ともなった。
疑問と責め苦のなかで、家庭を壊さないようにしていくことは並大抵ではなかった。

また、何かの間違いではないかと思ったり、もうすぐよくなるのではないかと思ったり、揺れる気持ちで何年かを過ごした。
しかし、すべての期待は裏切られ、苦しいからだの状態は繰り返し訪れた。
病気の進行につれて、生活は束縛され、身体的な苦痛も増してきた。
数か月に一度ずつ、ちょうど火事が燃え広がるように症状が悪化していく。
ステロイドが効くことがわかってからは、かなり楽になったが、それでも病気の進行を止めることはできない。

徐々に失われていく能力、徐々に増していく苦痛を見つめていたのでは、そればかりが拡大されて感じられる。
失われたものではなく、残されている能力に目を向けることによって、気持ちは救われるのです。
生きているということは、かならず残された能力があるということです。
そのようにして、自分を眺めなおしてみると、私にいかにたくさんのものが残されているかということが分かりました。


残されているものに目を向けると、おのずと感謝の気持ちが湧く。
そして、ほんのささやかなことにも喜びを見いだせるようになる。

そのうち私はいろんな本を読み始めた。
宗教書、哲学書、文学書などを乱読するうちに、次第に何かが見えてくるように思えた。何かから解き放たれていく自分を感じた。
人間であることの悲しみが薄らいだわけではない。

しかし、本当の悲しみを知ってしまったのは、私だけではないということに気づいたのである。
それらの感銘深い本の著者たちは、みなその悲しみを知っていた。
その悲しみを受け入れて、しかも立派に生き抜いた人たちである。
私はもはや孤独ではなかった。
たとえ書物を通してでも、共感できる人々にめぐり合えたのである。

この続きは明日ご紹介します。





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Last updated  2023.04.07 06:37:48
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stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
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