森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2023.05.27
XML
禅に 「鐘が鳴るかや 撞木が鳴るか 鐘と撞木の間が鳴る」 という話がある。

狐につままれたような言葉です。
これについて森田先生は次のように説明されている。

これは一定の性質を備えた身体があって、これに外界の刺激が加わるときに、はじめて精神活動の起こるものであるということを示したものである。
しかも精神は、鐘と撞木の中間に存在するものではない。
精神という固定した実体があるのではない。
薪が燃えるときに、刹那もそれが一定の形を保つことができないように、内界と外界との間に、相関的に絶えず流動変化しているもの、それが精神というものである。薪でもない、酸素でもない。燃焼の現象が、そのまま精神である。
外界の事象である撞木が当たって、はじめて内界である鐘の実質の震動を起こす、そこに精神現象がある。
「撞木が当たれば鐘が鳴る」のである。
潜在意識という特殊な活動体があって病が起こるのではない。
(神経質の本態と療法 森田正馬 白揚社 34ページ)

不安や恐怖の感情は、外界から刺激が加わることによって発生しているものである。外界の働きかけに応じて初めて精神活動が起きているということです。
しかも精神活動は常に流動変化しているものであると言われています。

同じ刺激であっても、それをどのように受け取るのかは人によって違います。
高性能のレーダーを標準装備している神経質者の場合はより敏感に反応します。
その刺激をどのように受け取るかは、感情は自然現象ですのでどうすることもできません。

ここで肝心なことは、外からの刺激に対して、きちんと向き合っているかということです。たとえば夜道を一人で歩いている時、ザワザワと音が聞こえると、近くに幽霊がいるかもしれない、あるいは熊やマムシのような動物がいるのではないかと思うと怖くなります。
前後不覚になって急いで駆け出すと、不安や恐怖はどんどん大きくなっていきます。
慌てふためいてしまうので、思わず石にけつまずいて大けがをするようなことにもなります。こういう恐怖体験を持っていると、もう二度とその道や夜道は敬遠するようになります。

この場合、怖いけれども、冷静になってザワザワの正体を突き止めてやろうという態度が大事になります。

あるいは棒切れのような戦う道具を用意する。

ネガティブな感情にきちんと向き合うことができれば、不安や恐怖に後ろから追いかけられてますます窮地に追い込まれることはなくなります。
きちんと向き合うだけで、不安や恐怖の勢いは急速に衰えてくるものです。

外からの不安、恐怖、違和感、不快感から逃げることばかり考えている人は、それらを取り除こうとしている人と同じです。
強迫観念に追い掛け回され、神経症で苦しむことになります。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2023.05.27 06:38:03コメント(0) | コメントを書く
[森田理論の基本的な考え方] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

連休で困る業界もあ… New! 楽天星no1さん

石上神宮 禁足地へ New! へこきもとさん

うつ症状を伴う激し… メルトスライム25さん

神経症を克服します♪ ROSE33333さん
「私」がいる幸せ えみこた2さん

Profile

森田生涯

森田生涯

Comments

森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
森田生涯 @ Re[1]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ コメントありがとうございま…
stst@ Re:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、こんばんは。 過去に何度かコ…
軸受国富論@ Re:森田の正道を歩むとはどういうことか(06/05) かの有名なドクターDXの理論ですね。ほか…

Calendar


© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: