森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2023.10.12
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人間には欲望が起こると、それを抑制するような感情も同時に湧き上がってくるという機能がある。
森田先生はこの機能を「精神拮抗作用」と言われている。

例えば90分飲み放題の居酒屋で思う存分酒を飲みたいと思ったとき、飲み過ぎると二日酔いになって明日の仕事に差し支えるという気持ちになる。
結婚相手にふさわしい人が見つかり告白しようと思ったとき、もし振られたらどうしようという不安も同時に立ち上がる。
私の場合は老人ホームなどでアルトサックスで老人たちを楽しませてあげたいと思うと、もし失敗したらどうしようという予期不安が同時に立ち上がる。

欲望と不安による抑制力がうまい具合にバランスが取れれば適切な行動がとれます。
しかし現実では、精神拮抗作用という機能は備わっているのに、バランスを上手にとることができない場合が多い。
欲望一辺倒になると自分の健康を損なう、財産を失う。人間関係が悪くなる。人様に迷惑をかける。
不安に振り回されるようになると、神経症になります。行動は逃避的、回避的になります。


どうすれば精神拮抗作用という機能を使いこなすことができるのでしょうか。
まず子どもの時の親のしつけが大いに絡んでいると思います。
子どもに欲望が起きた時、親が近くにいて少し我慢する。
少しだけ耐えるという訓練が必要になります。
過保護に育てられると、欲望が野放し状態になり、抑制力を持った人間にはなれません。

不幸にして過保護に育てられた人はどうすればいいのでしょうか。
森田先生は次のように話しされています。
富士山で強力のような仕事をしている人は、仕事を始めたときは1週間くらい足が痛くて便所でかがむこともできないくらいの痛みが出てくる。
そこであきらめてしまっては仕事にならない。
その痛みに耐えて仕事を続けていると、痛みがなくなりシーズンを通して仕事ができるようになる。

この話は耐えがたい痛みがあっても、そのまま我慢して仕事をしていると、痛みがいつの間にか消えていく。それは過去の成功体験によって分かっている。

経験を持ち合わせていないと「この仕事は自分には無理だ」ということになります。
不安を持ったまま仕事を続けると、時間が経てば状況は一変する場合があるという体験は大きな意味を持ちます。

しんどい、辛い、やる気にならないということは仕事や生活の中でいくらでもあります。
それらを回避する、逃げるという対応をとっていると、いつまでたっても不安に耐える、我慢するという体験はできません。
イヤで面倒なことであっても、必要な時に必要なことから逃げないということは、精神拮抗作用を正常に機能させるためにはとても大切なことなのです。


欲望にはいろいろありますが物欲、所有欲、飲食欲が厄介です。
これらを追い求めていると果てしがありません。欲望が暴走しやすいのです。
この問題は普段生活の中で抑制することができます。
便利で機能のよい商品は次々に発売されています。
その結果まだ修理すれば使えるものがどんどん廃棄されてしまう。
自分が持っているものでメンテナンスをすれば十分に機能を果たすことができるものは、安易な買い替えは抑制するという態度を堅持することが大事になります。

飲食欲も外食すればおいしいものはいくらでもあります。
三度の食事は自分で作るという基本姿勢を崩さないことが肝心だと思います。
普段から物欲などの欲望を抑制することは「精神拮抗作用」を正常に機能させるために大切なことです。






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Last updated  2023.10.12 06:38:54
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