森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2024.01.06
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カテゴリ: 生の欲望の発揮
2014年3月3日で心療内科医の黒丸尊治先生の治療方法について取り上げました。

この投稿記事によると68歳の男性で半年前から背中に痛みある。
ひどい痛みで1日中家の中で過ごしている。
整形外科、神経内科、麻酔科などで見てもらったが改善にはつながらなかった。
心の問題かもしれないと黒丸先生のところにやってきた。

黒丸先生は男性の話を聞いて次のように話した。
「2年前に奥さんを胃がんで亡くされたとのこと。
2年経ったとしても、忘れられるものではないでしょう。
奥さんへの思いが強ければ、余計に忘れられるものではありません。

いや、むしろそうしていないといけない時期なのかもしれません。
そうすることで、たまっているものを吐き出し、それでうまくバランスをとっているのでしょうね。だから、今のような状態をしばらく続けておいてください」

「しかし、こんなにしんどい症状を持ちながら、今までやってこられたというのは紛れもない事実ですよね。
ということは、そこには何か症状をうまくコントロールするコツみたいなものがあるはずなんですが、それをぜひ教えていただきたいんですが・・・」

「そんなことをいわれてもねえ、多少ましなのは銭湯に行くぐらいですかね。それと散歩をしているときも多少はましですかね。気がまぎれるせいかもしれません」

2週間後の診察では、ちょっとは楽になったらしい。
「いったいどうしてそんなに痛みを和らげることができたのか教えて下さい」と聞いた。すると患者さんはいろいろとよくなった理由を教えてくれるそうだ。

黒丸先生は、それを「素晴らしいですね」と評価するだけでは、心の治癒力を十分に引き出すことはできないと言われている。
治療としては不十分なものになってしまうどころか、かえって患者さんに不信感を抱かせ、症状をさらに悪化させてしまうことすらある。

黒丸先生は次のように聞いている。
「ではもし7の痛みが6に減ったとしたらどんなことができるようになるでしょうかね」

「ほかには」
「碁を打ちに出かけたり、もう少し食事が食べられるようになるかな」

​もう少しよくなったとすれば、何が違ってくるか、どんなことができるようになるか、といった質問をすることで、患者自身で「こんなことをしたらいいかもしれないな」という思いを引き出すようにすることが大事になる。​

その積み重ねが好循環となり、さらに症状の軽減を招く。
この患者は食欲が出てきて、今までおかゆのようなものしか食べられなかったのに、ご飯を食べられるようになってきた。
以前好きだった碁も打ち始めた。


「あなたの体の状態では、今これだけのことができれば十分でしょう。
これ以上やろうと思わなくて結構ですよ。
あとは、このままの状態を続けてくださればけっこうですから」
「ああ、今の状態でいいんだな」と思えば安心する。
そうなれば人間は不思議なもので、「もう少しやってみようかな」と思うものです。

3回目の受診では背中の痛みは80%はとれたそうだ。
4回目の受診では痛みがなくなり治療は終了した。

素晴らしい話だと思います。
これは神経症にも応用できそうです。
明日は具体的な例で考えてみたいと思います。





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Last updated  2024.01.06 06:54:39
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