森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2024.02.02
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帚木蓬生氏は自然には癒し効果があるといわれています。

満開の桜を見上げるだけで、人は一瞬、生きている幸せを感じます。
砂浜に立ち、潮風に吹かれながら、寄せては退く波を見つめていると、ささくれだっていた気持ちが、どこか穏やかになります。
満天の自然の中で天の川や星々を見上げていると、自然に抱かれて生きている安心感を覚えます。

自然が人の心を癒し、元気を与えてくれる事実については、いくつもの研究成果が示しています。
手術後の患者を、窓の外に樹木が見える病室と、四方を壁で囲まれた病室に分けて入れると、緑の見える部屋にいる患者のほうが回復が早いのです。
マンションの住民に関する調査では、棟内に樹木や緑の多いマンションのほうが、子供への虐待が少なく、パートナーへのDVも少ないという。
緑がほとんどない都会のど真ん中のホテルに宿泊したとき、居心地の悪さを感じるのはそのせいかもしれませんね。

帚木蓬生氏は自然の役割として次の3点を挙げておられます。


人の悩みの大部分は、注意力を自分の内側に向けているために生じます。
ああでもない、こうでもないと考えあぐね、解決策を見出せないまま悶々とするのです。
そんなとき、身も心も自然のなかに置いてみると、注意が否応なく外界に向けられます。
双眼鏡や虫眼鏡、それに昆虫図鑑や植物図鑑、鳥の図鑑を持参していれば、もはや注意力は自分の内面から一気に解放されます。
忌まわしい内なる注意力は、より広い自然の営みに向けられ、興味や好奇心、想像力が喚起されます。

2、時の流れや巡る季節を人に気づかせてくれる点です。
若葉が少しずつ緑を濃くし、やがて色づき、落葉し、雪が降り、冬が去ると、また野に花が咲き乱れます。
雲ひとつない晴天かと思えば、白い雲がぽっかり浮かぶ空になったり、三日後には黒雲に覆われ、大雨になります。
そうした自然の変化を目のあたりにすれば、人は時の移ろいと、物事の変転を実感させられます。
人の感情も自然と同じように、移ろいます。
怨みや憎しみとて、大地の岩みたいに、いつまでも人の心に居すわっていません。

その事実が自然の中で直観できるのです。

3、癒しそのものです。
きのう、今日、明日と、かかえている自分の難題など、自然の営みのなかでは、些細事に過ぎません。
そう考えると、熱していた頭が冷え、展望が開けてきます。
四方を壁に囲まれた部屋にいては、決して見えなかった出口と光明が見えてくるはずです。

(生きる力 森田正馬の15の提言 帚木蓬生 朝日新聞出版 129ページから132ページ要旨引用)





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Last updated  2024.02.02 06:20:07
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