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政治学者のダニエル・ジブラットさんがオピニオン欄で「選挙で民意得た後、自由脅かす指導者、常に制度鍛えねば」と説いているので、紹介します。(ダニエル・ジブラットさんのオピニオンを1/08デジタル朝日から転記しました) 自由や平等、他者への敬意に裏打ちされる民主主義というシステム。最近の世界の動きをみると、その先行きに、何か不穏な空気を感じてしまう。そこで、民主主義の危機を論じた著書が評判になったダニエル・ジブラットさんを米ハーバード大学に訪ねた。民主主義を守り、育てるため、何が必要か。新年を機に、改めて考えた。Q:2018年の著書「民主主義の死に方」(新潮社)が評価を受けています。刺激的な題名ですが、民主主義は、もはや機能しなくなったということですか。A:ハーバード大の同僚と書いた本ですが、ドイツ語や日本語、ポルトガル語、トルコ語など15ヵ国語に訳され、世界中で出版されました。昨秋の大統領選で軍事独裁を賛美する極右候補が勝利したブラジルでは、一時的とはいえ、あらゆるジャンルの中でベストセラーになりました。強権的な指導者が世界各地で誕生するなか、民主主義への危機感が高まっているのでしょう。 題名から勘違いしてほしくないのですが、民主主義は死んでいないし、死にかけているとも思っていません。この米国でも、トランプ政権の誕生前も今も民主主義は確かに、脈を打っています。ただ、過去200年以上存在しなかったような危機に直面しているのは事実です。Q:どんな危機ですか。A:三つの脅威があります。民主主義的なルールに従おうとしない大統領がホワイトハウスにいることが一つ。政治的な二極化、分裂が深まっていることが二つめ。そして三つめが、経済的な不平等や格差の拡大です。それぞれが民主主義にとっては慢性の病気のように深刻な問題です。放っておくと死に至る可能性があります。Q:トランプ氏は民主主義的なルールに従おうとしない、と指摘されましたが、彼自身は、大統領選挙という民主主義のシステムによって選ばれていますよね。A:その通り。そこがまさに、現代の民主主義の大きな問題です。Q:というと?A:独裁者はクーデターや暴力的な事件を通して権力を掌握することがかつては多かった。ただ、現代の独裁者は違います。銃声ではなく、選挙で権力の座に就く。最初は社会の抱える問題を打破してくれるとの期待を背負った人気者として、民主的に登場してくるのです。だが権力を握った後、メディアを含む対立相手の自由を奪うことなどによって、民主主義を侵食していくのが特徴です。Q:民主主義を脅かす指導者にみられる特徴を「四つのリトマス試験紙」として示していますね。A:民主主義のルールを軽んじること、対立相手の正当性を否定すること、暴力を許容・促進すること、メディアを含む対立相手の市民的自由を奪おうとする姿勢――です。私の教え子で、(米政治誌『アメリカン・アフェアーズ』創刊編集長の)ジュリアス・クライン氏は選挙中、トランプ氏を支援する活動をしましたが、その後暴力を容認する姿勢にショックを受けて決別したそうです。もっと早くこの『四つの基準』を世に出しておけば、すべて当てはまったトランプ氏の問題に多くの人が気づいてくれたのでは、と思います。 ■ ■Q:民主主義に迫る脅威は、米国だけの現象ではありません。A:欧州や中南米、アジアでも同様です。ハンガリーやトルコ、ポーランド、ブラジル、フィリピンなどの国々で、移民への厳しい姿勢など極端な政策を掲げる政治家や政党が台頭しています。オーストリア、フランス、ドイツ、オランダなどでも票を伸ばしています。ただ、こうした状況をみていたずらに自暴自棄になっても、何の解決にもなりません。民主主義を脅かす事態がいつ起きても耐えられるように、それぞれの国の民主主義を鍛え直し、機構と機能を強固にする、という備えを常にし続けることが何よりも重要です。Q:民主主義を担う我々有権者にはどんな備えが必要ですか。A:民主主義とは、スイッチを押すだけで自動で動く機械ではないのです。どんなに優れた憲法や仕組みがあったとしても、不断の努力が求められ、常にエネルギーを注ぎ込まなければならない。人々がしっかり政治について考え、語り合い、意見を表明することがまず大事です。何年かに一度だけ、選挙にさえ行けばそれで済む、のではないのです。そうした努力によって人々の不満や怒りをしっかりと政治の場に反映させることができ、変化し続けることができるのです。Q:常に鍛え、磨いていく必要があるということですね。A:そうです。完成はなく、永遠に進化を続けなければならないのです。米国は代表的な民主主義の国ですが、だれもが投票できるという、今では当たり前と思われている制度が米国で成立したのは1960年代に入ってからです。逆にこの国でそれが完成する前の40年代に、米国は西ドイツや日本の民主化を後押しし、だれもが投票できる社会を実現させていたというのも興味深い事実です。私は米国も他の国から民主主義について学ぶことがあると思い、研究を続けています。 ■ ■Q:17年の別の著書「保守政党と民主主義の誕生」(未邦訳)では民主主義で重要な役割を果たす政党の存在に注目していますね。現代は、その政党が社会の分断と分裂を助長しているのでは?A:確かに政党が強くなると『我々と敵』といった意識をあおってしまうことがあります。健全な民主主義の課題は過度な党派対立を防ぐことですが、米国では今、ご指摘のように政党が分断をあおっている面があります。95年に下院議長に就いたギングリッチ氏のような指導者によって共和党は急進化、過激化しました。民主党を敵と見なすことで、『白人プロテスタントの不安』を求心力とした利益団体になってしまい、党派闘争を激しくさせてきました。Q:その共和党で圧倒的な支持を集めるのがトランプ氏です。A:(トランプ氏が当選した)16年の米国の大統領選結果がなぜ起きたのか、いまだにみんなが原因を探しています。ただ、二大政党制では、どんなに極端な候補者でもどちらかの政党の正式な候補になってしまえばあとは五分五分です。前回の大統領選挙でも、共和党支持者の9割はトランプ氏に投票しました。民主主義を守るために、民主党のクリントン候補に投票しようという共和党の指導者はほとんど出ませんでした。 なぜトランプ氏が共和党の候補になれたのか、という問いが重要だと思います。かつて米国の政党は自動車王フォードや、大西洋無着陸横断飛行を行ったリンドバーグらが過激な主張で一般有権者の人気を得た時にも、党の候補から排除しました。ところが前回の大統領選で共和党は、米国の政党が過去には果たしてきた『門番』の機能を果たせなかったのです。Q:トランプ大統領は選挙中から、既存メディアを敵視する発言を繰り返し、自らツイッターなどで直接、有権者と世界にメッセージを発信し続けています。A:現代はインターネットやソーシャルメディアの発達が人々の行動を大きく変えています。19世紀以来、各国の政党が開発してきた手法がそれほど効果を発揮しなくなりました。世界中の政党と政党指導者が、この時代に合った、有権者とつながり、有権者を動員する新しい方法を創造的に生み出そうと模索している最中だと思います。先日もドイツの『緑の党』の幹部がここを訪れ、同じテーマで話し合いました。 ■ ■Q:なるほど。ではシンプルな質問を一つ。民主主義を機能させるうえで、権力を持つ指導者の側に問われることは何でしょうか。A:政治で競い合う相手は敵ではなく、正当な存在であると認める『相互的寛容』。政治家が特権を行使するときに節度をわきまえるという『自制心』。これらが何よりも大事でしょう。この二つを私たちは民主主義を守る『柔らかいガードレール』と呼んでいます。非常に、非常に重要です。 政治における寛容とは、政治的ライバルを敵や危険な脅威だとみなさないことです。第2次世界大戦前のヒトラー、ムソリーニやフランコ、冷戦期のカストロやピノチェト、最近のプーチンやチャベス、エルドアンといった指導者はみな、対立相手に『存在を揺るがす脅威』というレッテルを貼って権力の集中を正当化しました。Q:人々がしっかり政治について考えることが重要との指摘がありました。日本では安倍晋三政権のもと、そうした議論の前提になる公文書の改ざんや隠蔽、政策決定における官僚の忖度といったことが大きな問題になっています。A:それは警告を発しているといえるでしょう。一般論になりますが、本来、公務員は政治権力から一定の距離を保ち、公平でなければなりませんし、そうでなければ健全な民主主義を守ることも難しくなります。不可欠な前提が揺らぐことで、民主主義の空洞化は、少しずつ、ゆっくりと、目に見えない形で進むのです。 (聞き手・池田伸壹) *ダニエル・ジブラット:1972年、米国生まれ。2003年からハーバード大で教え、現在は教授。共著「民主主義の死に方」は15ヵ国語に訳されている。ウン 勝てば官軍の安倍さんと、それに忖度する官僚どもが悪いというわけでんな。・・・だけど今の若者は選挙に行かないから政権にアホ扱いされてるしなあ。民主主義 生かすためにダニエル・ジブラット2019.1.08この記事も 朝日のインタビュー記事スクラップR9に収めておきます。
2019.01.08
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図書館で『壊れた地球儀の直し方』という本を、手にしたのです。政治家やジャーナリストが公言できないようなことを、青山さんは腑分けして目の前にさらしてくれる感があるでぇ。【壊れた地球儀の直し方】青山繁晴著、扶桑社、2016年刊<「BOOK」データベース>よりアメリカもEUも中国も壊れていく。世界大戦の敗者の出番が来た。それは、ぼくらだ。さぁ、何からやろうか。幻の名著が新書で待望の復刊!<読む前の大使寸評>政治家やジャーナリストが公言できないようなことを、青山さんは腑分けして目の前にさらしてくれる感があるでぇ。rakuten壊れた地球儀の直し方日本を守るシンクタンク創立を、見てみましょう。p340~343<十三の章 テロから日本を守るシンクタンク創立まで> 「官と民が対等に話し合う場」といっても、国家公務員が民間にフランクに話せば守秘義務に触れないかという困難な問題もある。だが、ある政府高官が法制局とも非公式にすりあわせ、「政府側はあくまでオブザーバー参加」という形で解決した。こうして史初めて、「実力部隊を持つ政府機関」と「規制する側の官庁」、そして「規制される側の民間企業全社」が対等にラウンドテーブルで話し合う場が創られた。 1999(平成11)年度に予備的に始まり、翌2000年度から本格開始、2001年の9.11テロで、この研究プロジェクトの先見性と正しさが証明される結果となり、2002年も継続した(そして現在も、いささかも変わらずに続いている。2016年5月3日、記す)。 この道筋は、あまり平坦ではなかった。官、民ともに、参加はしても「ほんとに日本にテロの脅威なんかあるのかぁ」と半信半疑、半身の構えでいるひとが少なくなかったからだ。それがひとり、またひとり真剣な姿勢へ変わっていったのは、9.11テロの現場から吹いてきた風だけではない。強い風ではあったが、それだけのせいではない。 それまで同じ席を囲んだことのない人びとが一緒に考える、そこから出る不思議なエネルギーのおかげではないだろうか。 ある規制官庁の高官は、この研究プロジェクトの参加メンバーが集まった席上、率直な口調でこう言った。「9.11テロが起きたとき、わたしはすぐに、実力部隊を持つ政府機関の幹部に電話をかけられた。このプロジェクトで知り合っていたおかげですよ。これがなければ正直、顔も知らなかった」 官と民だけではない。この国では官と官もお互いに蛸壺に入っている。その壷から、ほんの短時間だけでも出て、互いの長い8本の足を触れあってみただけで、大きな頭を生き生きと動かせる。 そして日本のエネルギー・インフラストラクチャー(基盤施設)のテロに対する防護体制は現に、革新的に変わりつつある。わたしは守秘義務を負っているあら具体的に語ることはできないが、国民の命の安全にとって大きな改善であることは、国民のひとりとして、また専門家として明言する。 この研究プロジェクトの大きな柱のひとつは、欧米諸国のエネルギー・インフラはどうやってテロに備えているかという調査だ。 セキュリティに関して、欧米の情報管理は想像を絶するほどに厳しい。日本からやってきたひと、つまりその国から見れば外国人には、それが日本政府の人間であっても防護体制の中身はなかなか見せない。しかも日本には、諜報機関をはじめ欧米の関係機関のカウンター・パートを持たない問題があり、テロ防護を欧米諸国が具体的にどうしているのかの情報は決定的に不足していた。 わたしは、守秘義務を負う民間人、つまり「官と民の間に立つ人間」という従来の日本にはなかった立場で諸国と交渉した。その際には、やはり記者時代の人脈も活用した。 脂汗と冷や汗が同時に流れるような作業だったが、それを進めるうちに、アメリカとヨーロッパ諸国、さらには韓国や中国の関係者たちとの信頼関係が築かれていった。もたれ合う関係、あるいは主と従の関係でもない、互いに信ずるところをぶつけ合う関係である。 言うべきをストレートに言い合える関係という意味では、アメリカ人がいちばん、つくりやすい。その点は、アメリカ人は今でも確かに世界一、フェアなひとびとだ。 そしてわたしは必然的に、テロ防護の直接的な情報だけではなく、安全保障、外交、国際関係をめぐる幅広い情報を、金融・経済まで含めて交換するようになっている。 わたしは、より重大な情報に触れるようになるにつれ、より公平な立場になることを目指すようになった。三菱総研に入って4年3ヶ月を経た2002年4月、三菱総研時代の仲間とともに独立総合研究所(独研)を創立した。 日本の総合シンクタンクは、銀行か証券会社か、あるいは旧財閥の傘下にある。金融・経済財政政策担当大臣(当時)の竹中平蔵さんがシンクタンクのエコノミストたちを指して、「銀行や証券業界ノヒモ付きで、不利益になることは言えない立場なのに、まるで公平な立場のような顔をいて物を言うなら、国民に嘘をつくことにんる」と発言したのは、この指摘の限りにおいては正しい。ウーム ジャーナリストのあとに、民間シンクタンクに入ってその後、独研を創立したわけか・・・独立独歩我が道をゆく青山さんでんがな♪『壊れた地球儀の直し方』5:イラクでの取材p124~129、p135~136『壊れた地球儀の直し方』4:北朝鮮崩壊後に誕生する「反日連邦」に備えよp90~93『壊れた地球儀の直し方』3:米朝戦争シミュレーションp249~260『壊れた地球儀の直し方』2:なぜ胡錦濤は国家主席になれたのかp208~212『壊れた地球儀の直し方』1:日本の警察には担当大臣がいないp45~49
2018.10.13
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図書館で『壊れた地球儀の直し方』という本を、手にしたのです。政治家やジャーナリストが公言できないようなことを、青山さんは腑分けして目の前にさらしてくれる感があるでぇ。【壊れた地球儀の直し方】青山繁晴著、扶桑社、2016年刊<「BOOK」データベース>よりアメリカもEUも中国も壊れていく。世界大戦の敗者の出番が来た。それは、ぼくらだ。さぁ、何からやろうか。幻の名著が新書で待望の復刊!<読む前の大使寸評>政治家やジャーナリストが公言できないようなことを、青山さんは腑分けして目の前にさらしてくれる感があるでぇ。rakuten壊れた地球儀の直し方バクダッドでの青山さんを、見てみましょう。p124~129<四の章 共同通信バクダッド支局へ> 目を覚ますと、そこはもう、バクダッドの喧噪と渋滞の真ん中だった。 だが、健康な都市の渋滞ではない。動かない車の列が二重、三重に道路の多くを占めているために、まともに走ることができない。やがて、その奇妙な車列はすべて、ガソリンスタンドから並んで延びていることが分かった。 産油国のイラクにガソリンがなく、タクシーの運転手を含めて、とにかく車のある者はみな、スタンドに終日並んでいるのだ。久しぶりに口を開いたサラは「パイプラインはテロリストに破壊されるし、何よりオイルを米軍が押さえているから」と言う。それが理由のすべてとはわたしは考えないが、イラク経済の実情をこの車列が語っていることは間違いない。 車で埋まった道の、わずかな隙を縫ってじりじりと進み、この最後の行程は不意に終わった。 サラは、武器を手にした民兵が固める一角で車を止め「エンド」と言った。そこが、」わたしの最初の目的地、共同通信バクダッド支局へ通じる路地の入り口だった。 バクダッド着、12月1日午後3時ちょうど。アンマンとの時差1時間、13時間半の行程はとにかく生きて完了した。 車を降り、縮こまって曲がった腰をギリギリと音を立てて伸ばすと、向かって左側に黄色い巨大なビルがそびえ、重火器で攻撃されたらしい穴がいくつも開いている。パレスティナ・ホテルだ。世界中のジャーナリストが、ここなら安全と集まったが、まず米軍が戦車砲を撃ち込み、次にサッダーム殉教者軍団の残党がロケット砲を発射した。 「ミスター、あなたの立っている、その場所でテロリストがロケット砲を構えて撃った」とサラは言った。RPG7の命中した箇所は最上階に近く、大きな噴火口のなかに中小の噴火口が重なったように見える。RPG7が「実戦」で命中した現場は初めて見るから、わたしはしばらく、しげしげと見あげていた。 そのわたしを、民兵がカラシニコフ小銃を構えて睨んでいる。逃げ出せば、当然に撃たれる。ふつうにしていれば、こうしたときはまず撃たれない。 噴火口から左下へ目を移していくと、アマリカ軍戦車がロイターTVのクルーを砲撃して殺傷した部屋の跡が黒く焦げている。 パレスティナ・ホテルと通りを挟んだ向かい側には、ショッピング・モールが半壊で続いている。共同通信は、攻撃を避ける智恵として、目立たないその場所に支局を構えているということだった。 モールの一番奥まで歩き、黒いガラスのドアを押すと、そこには小さな白い空間が意外なほど静かに残されていた。アパート形式のホテルのロビーである。 両手を出して、約束の支払いよりも多くを要求するサラに、ある程度だけを上積みして渡し、別れを告げた。(中略) さぁ、共同通信の支局を探そうとロビーの奥へ歩き出すと、乾いた音がしてロビーが薄暗く変わった。停電だ。 暗い館内の階段を登ると、ドアの開いた一室があった。きっとここだろう。テロを避けるために電話番号も公開していないし、日本で出版されるこの本にも何階の何号室かを記すことができないが、ペルー日本大使公邸人質事件でリマに支局を構えたときも、共同通信はドアを開いていた。わたしを育ててくれた古巣のこの体質が好きである。 一歩入ると、イラク人が六人、狭い空間に詰めている。驚きの眼で一斉にわたしを見た。あ、これは通訳や助手だな。親戚や兄弟もついでに押しかけているのかも知れない。 その奥の部屋を覗きこむと、及川仁支局長が穏やかな表情で、壁に貼った地図の前に立っていた。凄惨な民族紛争で黒煙のあがっていたボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボを、当時は政治部の記者だったわたしが訪れ、外信部のサラエボ支局長だった及川さんと出逢って以来の再会である。 「あ、青山さん、いや、よくぞご無事に」 及川さんは、はにかんで微笑した。地獄で仏、わたしの疲弊した頭にはそんな古い言葉が明滅した。イラクでの取材を見てみましょう。p135~136<五の章 ファッルージャでテロリストに会う> バクダッドは、たとえばCNNの報道で見てきたよりも徹底的に破壊されていた。大統領官邸や空軍省、情報省といったあたりはもちろんのこと、ただのスーパーマーケットや住宅も、空爆や砲撃で無秩序な断片に変わり果てている。その石の下で流れた人血、飛び出した脳髄や内蔵が変わり果てて、一部はまだこびり付いていた。 バクダッドを流すうち、わたしたちのあいだに早くも不思議な、ほのかな連帯感めいたものが芽生えてきた。 そこで、わたしはネビルに「ファッルージャへ行きたい」と告げた。 運転するネビルも助手席のアドナンも驚いて振り返り、わたしを見つめた。「ファッルージャは、昼間に通ってきたけれど、夜にもう一度、行きたいんだ」 ネビルは英語を話せないが、聞くことはできる。ハンドルから両手を離して広げ、アラビア語で叫び、アドナンがそれを英語に通訳する。「そんな馬鹿な」 わたしは後席から身を乗り出して言った。「ネビル、きみは大統領やその息子たちの警護官だったんだから、サッダーム・フェダイーン(殉教者軍団)にも友だちがいるだろう。その友だちは、ファッルージャに夜に行けば会えるだろう。内緒で会わせてくれ」 ネビルは無言で、顔いっぱいに「なぜ、そんな危ないことを」と問いかけている。ウン ジャーナリストとしての経験に裏打ちされた論述は(多少ハッタリ気味でも)切れ味がええでぇ♪『壊れた地球儀の直し方』4:北朝鮮崩壊後に誕生する「反日連邦」に備えよp90~93『壊れた地球儀の直し方』3:米朝戦争シミュレーションp249~260『壊れた地球儀の直し方』2:なぜ胡錦濤は国家主席になれたのかp208~212『壊れた地球儀の直し方』1:日本の警察には担当大臣がいないp45~49
2018.10.09
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図書館で『壊れた地球儀の直し方』という本を、手にしたのです。政治家やジャーナリストが公言できないようなことを、青山さんは腑分けして目の前にさらしてくれる感があるでぇ。【壊れた地球儀の直し方】青山繁晴著、扶桑社、2016年刊<「BOOK」データベース>よりアメリカもEUも中国も壊れていく。世界大戦の敗者の出番が来た。それは、ぼくらだ。さぁ、何からやろうか。幻の名著が新書で待望の復刊!<読む前の大使寸評>政治家やジャーナリストが公言できないようなことを、青山さんは腑分けして目の前にさらしてくれる感があるでぇ。rakuten壊れた地球儀の直し方米朝戦争シミュレーションを、見てみましょう。p249~260<生物兵器テロ> アメリカ空軍第35戦闘機航空団に属するF16が、列をなして誘導路から滑走路へとゆっくりと動いていく。次から次へと闇から現れる。F16を格納しているシェルターはまだ、すっぽりと夜の中だ。 テレビ・クルーが懸命に掲げるライトは、機体をうまく捉えられない。熱い透明な排気が、ゆらゆらと立ちこめるのだけがライトに浮かびあがっている。 F16C/Dファイティング・ファルコン戦闘攻撃機の尾翼のひとつを、ようやくテレビ中継車の明りがとらえ、WWの二文字が浮かびあがった。 このWWの印は、世界中に展開するアメリカ空軍の航空団のなかで、ここ三沢の部隊にしか許されていない。WWとは、Wild Weasel、すなわち野生のイタチの頭文字だ。戦闘機隊のなかでも、もっとも危険の高い、攻撃的な任務に就く「栄誉」が与えられている。その任務は、敵の対空ミサイル基地をはじめ「脅威の源をたつ」という任務であるとアメリカ軍内部で規定されている。 湾岸戦争のあとには、空中給油を受けながら遠くイラク南部へ飛び、飛行禁止区域の爆撃を日常的に行なっていた。 数をかぞえていたCNNのカメラマンが「いやに多いぞ。時間といい、数といい、こりゃ大変かも」と呟き、顔見知りになっているNHKのカメラマンが隣で、真剣に頷いた。 この三沢基地に核ミサイル・ノドン100号が飛んでくるかも知れないから、どこの社も「燃料注入の開始」がアメリカの偵察衛星で確認されれば、すぐに撤収する構えでいたが撤収と言っても、どこへ? ノドン100号は、ほんとうに弾頭に原子爆弾があるかどうか未確認ではあっても6基が発射台に載せられている。射程距離は推定1500キロメートル、日本列島がほぼすっぽりと入る。 それに射程1300キロメートルのノドン1号は、実に200基前後が実戦配備されている。そのうち確実に日本まで飛来できるミサイルは60基弱という情報もあるが、重大な問題は、生物・化学兵器の弾頭を搭載しているミサイルが多数ありそうだということだ。 もしも北朝鮮が、これらミサイルを一斉に撃てば、海上自衛隊がイージス艦に配備した艦上迎撃ミサイル、SM3を連射し、航空自衛隊が地上に配備しているペトリオットPAC3迎撃ミサイルをフルに撃っても、撃ち漏らした核ミサイルがただ一発あれば、日本はふたたび被爆国になる。 生物・化学兵器を積んだミサイルが迎撃網をかいくぐって着弾する恐れは、より大きい。着弾地点がどこであっても、ウィルス・細菌や毒ガスによって日本が広く汚染される危険は現実のものだ。 そう考えれば、日本と世界に流れる楽観論は不思議と言えば不思議であった。だが、北朝鮮の独裁者が自らの消滅を必ず招く「日本攻撃」「韓国攻撃」よりも亡命を選ぶだろうという予測が、圧倒的に優勢だった。北朝鮮が国家としてすでに経済的に存続が難しいところへ追い込まれている以上は、自らと家族の安寧だけをせめて図るだろうと誰もが考えたのである。 だから取材陣はテレビも新聞も雑誌も逃げずに、こうして三沢基地の網に張り付いている。「まさか核戦争にはならないだろう。あるとしても米軍の限定的な攻撃だけだ」と自分たちに言い聞かせるようにして、連日、米軍の動きを撮影しては報道している。 ファイティング・ファルコン戦闘攻撃機は、腹に叩きつける衝撃音とともに、あっという間に黒い空へ駆け上がっていく。 滑走路に二機が翼を並べて進出し、そのまま同時に離陸する。その二機の尻に機首を付けるように、滑走路入り口まで追尾していた二機がまた、翼をすれすれに並べて飛翔する。 それを14度、繰り返して、暗闇の離陸は28機に達した。三沢に常駐するのは40機だから、7割が一気に出撃した。警戒や哨戒の飛行とは、もはや思えない。取材陣は声にならない叫びを上げながら、ちりじりに走り回り始めた。 三沢から約1300キロメートルの北朝鮮・北東部の山岳地帯で、最初の地中核爆発が起きたのは、それから48分後だった。 そのあと3分のあいだ、朝鮮半島の北半分には、人類が初めて経験する核の同時多発爆発が炸裂した。すべて地中である。 ヒロシマ、ナガサキに次いで人間がついに新たな核兵器を使用した瞬間でもあった。 F16C/Dファイティング・ファルコン戦闘攻撃機から、地中貫通型の小型戦術核ミサイル「マイティ・モール」が、北朝鮮の日本海沿岸を北から南に舐めるようにラナム(羅南)、キルジュ(吉州)、シンポ(新浦)、ハムフン(威興)、ウォンサン(元山)の地下へそれぞれ1基ずつの計5基、撃ち込まれた。(中略) 日本各地の地震観測所は、北朝鮮の18ヶ所で大地震が発生したことを一斉に観測し、それが20数分後に、「アメリカ空軍が北朝鮮を地中貫通型の小型核兵器で攻撃した可能性がある」というニュース速報になってテレビ画面を走ったときには、すでに、ホワイトハウスの執務室から大統領がテレビ演説を行なうことが決まっていた。 最初の核爆発から、きっかり半時間後に演説を始めた合衆国大統領は青一色の太いネクタイを締め、「われわれは神が許したもうことを信じる。半時間前にわれわれが示した勇気こそが、人類を破滅から救ったのであるから」と最初の一言を放った。ウーム この後、生物・化学兵器の弾頭を搭載したノドン1号の1基が迎撃網を突破して三沢基地に着弾するという迫真のシミュレーションになっています。『壊れた地球儀の直し方』2:なぜ胡錦濤は国家主席になれたのかp208~212『壊れた地球儀の直し方』1:日本の警察には担当大臣がいないp45~49
2018.10.09
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図書館で『壊れた地球儀の直し方』という本を、手にしたのです。政治家やジャーナリストが公言できないようなことを、青山さんは腑分けして目の前にさらしてくれる感があるでぇ。【壊れた地球儀の直し方】青山繁晴著、扶桑社、2016年刊<「BOOK」データベース>よりアメリカもEUも中国も壊れていく。世界大戦の敗者の出番が来た。それは、ぼくらだ。さぁ、何からやろうか。幻の名著が新書で待望の復刊!<読む前の大使寸評>政治家やジャーナリストが公言できないようなことを、青山さんは腑分けして目の前にさらしてくれる感があるでぇ。rakuten壊れた地球儀の直し方青山さんは中国をどう見ているのか、また東アジアの地政学的認識について、見てみましょう。p208~212<なぜ胡錦濤は国家主席になれたのか> アジアでは、ふたつの発火点が見え隠れしている。 ひとつは朝鮮半島である。 ここでは、もともとひとつであった民族がふたつに分断されている。その北部、北朝鮮では独裁政権が崩壊の気配を漂わせている。それは、無理に統合されたものが分解したヨーロッパや中東とはちょうど逆に、無理にわけられたものが、ひとつに戻る動きである。 そして、それだけではない。 ヨーロッパや中東と同じように、「無理に統合されたもの」がいずれ崩れ去る気配も漂っている。 中国だ。 中国は国連に届け出た人口で13億人、人口問題の専門家のなかには14億人をはるかに超えるとみるひともいる。その膨大な人口を抱えて、すでにエネルギー不足に陥っている。日本に伝わる中国の姿は沿海部が大半で、一人っ子のサラリーマン家庭が多いように見えているが、わたしが内陸部に入ってみると戸籍にも入れない子供が農家の庭先を走り回っている。 中国は、周辺民族の侵入を、こころの底から恐れてきた国である。「中国4000年の歴史」と言い、それを誇りながら、実は途中でモンゴル人に滅ぼされ「元」という国に変わった。近代でも女真族に滅ぼされ「清」という国に変わった。歴史は何度も途切れているのだ。 わたしが中国を最初に訪れたとき、1980年代前半の中国は、個人の富よりも国を思う若い人がほとんどであった。拝金主義にくまなく冒された現在からすれば嘘のような夢のような話だ。 若手記者であるわたしには、監視役を兼ねて若い男性通訳が中国当局によって付けられた。 仕事の合間に、万里の長城に向かうことになり、車のなかで彼は「中国人は、少なくとも昔は戦争が好きだった日本人と違って、古代から崇高な平和主義者です。その証拠が万里の長城です」と大きな声で言った。 わたしはこの彼が好きだったが、「いや、ちょっと待ってください」と答えた。 「それは違うでしょう。平和主義者だったのじゃなくて、周辺民族より戦争が弱かったから、やむを得ず、あまり意味がないと分かっていても大変な努力を費やして長い砦を築くしかなかったのがほんとうでしょう。愛国者でも嘘はいけない」 彼は長く沈黙し、「また今度、青山さんと一緒に考えましょう」と言った。この答えをわたしは好きだ。彼の誇りと愛国心と、そして素直さが自然に表れている。 漢民族は、周辺民族への恐れのために、かつては万里の長城を築いた。築いたが、その甲斐もなくモンゴルに征服されたために、現在ではそのモンゴルの一部やウイグル、さらにはチベットを呑み込んで「人民共和国」をつくり、彼ら異民族の反乱を「人民解放軍」の武力行使で抑えている。 江沢民体制のあとを継いだ胡錦濤国家主席は、穏やかな笑顔だけが印象に残り、一見すると何が優れていて巨大国家のリーダーなのか分からない。実はチベットで、反抗したチベット人の大量殺害を果断に指示、実行し、それをきっかけに頭角を現したのである。周辺民族の脅威を冷徹に抑えた実績は、中国漢民族にとっては何よりも評価の対象になるのだ。 中国にとっては、北朝鮮も、実質的にこうした「周辺民族の併合」に近かった。 中国からいても、自らを頭とするなら北朝鮮は喉であり、その下の大きなアメリアン・パワーの一群、韓国から日本そしてアメリカ本土から中国を隔ててくれる、貴重な「喉」である。 この喉を失うと中国は、やがてウイグルやチベットの反乱を抑え込めなくなる可能性がある。 ユーゴに始まりイラクを経て、東進する潮流がアジアに至り、朝鮮半島と中国大陸という日本の死命を左右する地域に、ユーゴよりもイラクよりも遥かに巨大な戦乱と「本来の姿に戻るための膨大な流血」が待っている。 それが日本に何をもたらすのか。 日本の同盟国アメリカ、主人アメリカは、これまでの潮流すべてに深く関与してきた。しかもブッシュ大統領は加速度を付けて、直接に手を下す度合いを高めている。 日本国民が、敗戦後からこれまでと同じようにアメリカの従属者として、すなわち曖昧な自立、曖昧な独立の姿でいるならば、アメリカの先兵として動くほかない。 イラクでは古い型の戦争こそ終わった。だが新しい型の戦争、すなわち市民の姿をしつつプロフェッショナルな軍事訓練を積んだテロリスト、ないしテロリストに似た兵士が自在に攻撃してくる戦争が続く。いや、これからむしろ激化するだろう。その戦場へ、「海外での武力行使」が禁じられ「武力による威嚇」すら禁じられた自衛隊が小泉総理によって送られるのは、まさしくその始まりである。『壊れた地球儀の直し方』1
2018.10.07
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図書館で『壊れた地球儀の直し方』という本を、手にしたのです。政治家やジャーナリストが公言できないようなことを、青山さんは腑分けして目の前にさらしてくれる感があるでぇ。【壊れた地球儀の直し方】青山繁晴著、扶桑社、2016年刊<「BOOK」データベース>よりアメリカもEUも中国も壊れていく。世界大戦の敗者の出番が来た。それは、ぼくらだ。さぁ、何からやろうか。幻の名著が新書で待望の復刊!<読む前の大使寸評>政治家やジャーナリストが公言できないようなことを、青山さんは腑分けして目の前にさらしてくれる感があるでぇ。rakuten壊れた地球儀の直し方総務省や自衛隊、警察庁、国家公安委員会の現状について、青山さんのご意見を見てみましょう。ニッポンのジャーナリスト達は腰が引けている領域なんだが、このご意見を見てびっくりポンでおました。p45~50<日本の警察には担当大臣がいない> わたしは総務省の入り口に立った。 ここはかつての自治省、郵政省、総務庁が統合して生れた巨大な役所だ。西暦2001年1月のことだった。敗戦前の日本で最強の官僚機構だった「内務省」の再来だと言う人もいる。この総務省のビルは、その戦前の内務省があった土地に立っている。 内務省は国民国家に必要だ。 ところが内務省と名乗らず、総務省という捉えどころのない名前にしてある。それだけなら、まだいい。英文名、すなわち国際社会での正式名称はMinistry of Internal Affeirs and Communications という。この名の中心のInternal Affeirsとは内務、つまり外務省の外務と対になる「国内のこと」だ。 日本政府が正式に決めたこの英文名称を邦訳すると直訳では内務通信省だが、要は内務省だ。国際社会ではごく自然に、そう受け取られている。外国人には「内務省」と言っておきながら、国民には総務省と言う。 こうした「自国民を疎外するのか」というダブルスタンダードが、敗戦まもなくの時代から今に至るまで日本にはたくさん温存されている。 たとえば自衛隊を日本政府は海外でSelf-Defense Forces(SDF)と呼んでいるが、この意味が分かる英米の市民はいない。defenseという言葉は「自らを守る」という意味だから、そこにself自分の、という言葉が付いている理由が分からない。戦車、戦闘機、潜水艦などを完備する定数24万人もの軍隊がなぜarmy ではなくforces なのか分からない。 この場合、force はふつう警官隊を意味する。英米人が無理に解釈すると「他人を守るのじゃなくて自分だけを守る謎の警官隊でいて警官じゃない、正体不明の巨大組織かなあ」ということになる。Self-Defense Forces は英語であって英語ではない奇怪な言葉だ。(中略) 単なる言葉、呼称の問題ではない。日本はもともと言霊の国なのだ。 わたしは総務省ビルに入るとき、たまに胸のうちでちいさく溜息をつく。ここに警察庁という役所がある。敗戦前の内務省は警察力を握っていたから最強官庁だった側面がある。今の警察庁は同じビルにはいるが、総務省の一員ではない。「警察抜きなんだから、もはや内務省じゃなくて総務省なんだ」と知友の総務官僚は言うが、ではなぜ英文では内務省なのか。 しかし、ちいさな溜息の原因は他にある。内務省から出された警察庁は、ではどこに行ったのか。実はどこにも行かずに孤児でいる。だから担当大臣がいない。しかも手足をもがれたというか、逆に頭を失ったというか、妙な実情でいるのは自衛隊だけでなく警察もそうなのだ。 これを正確に知らされている日本国民はいない。 なぜ分かる。 日本国民を代表するはずの国会議員すら知らないからだ。(中略) 同じ戦争で同じ相手に負けたドイツは、陸海空軍も国家警察も持っている。しかし日本は国軍が無くて自衛隊というだけではなく国家警察もないために、たとえば特殊部隊も自治体毎にバラバラに訓練を受ける。重大テロともなれば各地の特殊部隊の力を統合せねばならないから、ふだんから国家の警察部隊も備えるのが世界の常識だ。 敗戦前の日本は国家警察を持っていた。それはいわゆる特高、特別高等警察だ。特高は法を逸脱した暴虐的な拷問を重ねた証拠が残っている。 それを糺すのではなく、敗戦後の日本は要は国家であることをやめようとしたから、主権国家の根幹の国軍も国家警察も放棄した。日本が独立をとっくに回復したイアなお、それがそのままになっている。 だから警察は総務省から外し、見かけ上は、内閣府の外局という立場の国家公安委員会が管理することになっている。しかし国家公安委員会とは何者か、知っている国民がどれほど居るだろうか。実態は、5人しか委員がいなくて、うち一つの椅子は共同通信を含め特定のマスメディアが、いわば天下り先として確保したりしている。ウーム 国家の成り立ちが、敗戦直後のアメリカに隷従する形のままになっていたのか・・・これは、日米地位協定と同じように、官僚たちが隠しておきたい真実なんでしょうね。
2018.10.07
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<内田先生かく語りき9> 「内田樹の研究室」の内田先生が日々つづる言葉のなかで、自分にヒットするお言葉をホームページに残しておきます。最近は池田香代子さんや、関さんや、雨宮さんなどの言葉も取り入れています。(池田香代子さんは☆で、関さんは△で、雨宮さんは○で、池田信夫さんは▲、高野さんは■で、金子先生は★、田原さんは#、湯浅さんは〇、印鑰さんは@、櫻井さんは*、西加奈子さんは♪で区別します)・『街場の憂国論』文庫版のためのあとがき・直言3月号「韓国の教育と日本のメディア」・人口減社会に向けて・時間意識と知性・Madness of the King・吉本隆明1967・大学教育は生き延びられるのか?・こちらは「サンデー毎日」没原稿・奉祝「エイリアン・コヴェナント」封切り・米朝戦争のあと(2件)・気まずい共存について(長くなるので省略、全文はここ)2018/04/03『街場の憂国論』文庫版のためのあとがきより 巻末に僕が不安げに予測した通り、「現在の自民党政権は、彼らの支配体制を恒久化するシステムが合法的に、けっこう簡単に作り出せるということ」を特定秘密保護法案の採決を通じて学習しました。その結果、2014年夏には集団的自衛権行使容認の閣議決定があり、2015年夏には国会を取り巻く市民の抗議の声の中で、安全保障関連法案が採決され、2017年には共謀罪が制定されました。 そうやって着々とジョージ・オーウェルが『1984』で描いたディストピアに近い社会が現実化してきました。その間ずっと安倍晋三がわが国の総理大臣でした。ほんの一週間ほど前までは、彼が自民党総裁に三選され、年内にも改憲のための国民投票が行われるということが高い確度で予測されていました。でも、3月に入って森友学園問題についての公文書改竄が暴露されて、今は再び政局が流動化しております。ですから、この本が出る頃に日本の政治状況がどうなっているか今の時点では予測がつきません。そういう政局を横目にしつつ、文庫版あとがきとしてはもう少し一般的な話として「国の力とは何か」ということについて一言私見を述べておきたいと思います。 率直に言って日本は急激に国力が衰えています。国力というのは、経済力とか軍事力とかいう外形的なものではありません。国の力をほんとうにかたちづくるのは「ヴィジョン」です。 「ヴィジョン」とは、自分たちの国はこれからどういうものであるべきかについての国民的な「夢」のことです。かたちあるもののではありません。「まだ存在しないもの」です。でも、それを実現させるために国民たちが力を合わせる。そして、そのような夢を共有することを通じて人々は「国民」になる。そういうものなんです。まず国民が「いる」のではありません。「あるべき国のかたちについて同じ夢を見る人たち」が国民に「なる」のです。その順逆を間違えてはいけません。2018/03/17直言3月号「韓国の教育と日本のメディア」より 韓国に毎年講演旅行に出かけている。ご存じないと思うけれど、私の著作は教育論を中心に十数冊が韓国語訳されていて、教育関係者に熱心な読者が多い。ここ三年ほどの招聘元は韓国の教育監である。見慣れない文字列だと思うが、日本とは教育委員会制度が違っていて、韓国は全国が17の教育区に分割されていて、それぞれの区での教育責任者である教育監は住民投票で選ばれているのである。 数年前にこの制度が導入された結果、多くの教育区で教員出身の教育監が誕生した。彼らは自身の教員経験を踏まえて、できるだけ教員たちを管理しないで、その創意工夫に現場を委ねるという開明的な方針を採った。その結果、日本ではまず見ることのできない自由な校風の公立学校が韓国の各地に続々と誕生している。 そういう歴史的文脈の中で、私のような人間が各地の教育監に公式に招聘されて、教員たちを前に講演をするということが起きている。日本には私に講演を依頼する教育委員会が一つもないという現実と比較すると、日韓の教育行政の差異が際立つはずである。(長くなるので省略、全文はここ)
2018.04.06
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横田基地へのオスプレイ配備が急遽前倒しになったそうだが、あんな人口密集地に危険なオスプレイ配備とは・・・現政権は「拒否の権限は日本にない」とヘタれているが、時代錯誤のような日米の地位協定の見直しを要求すべき時期ではないか!・・・ということで、『オスプレイ配備の危険性』を再掲します。********************************************************************<『オスプレイ配備の危険性』>図書館で『オスプレイ配備の危険性』という本を手にしたのです。オートローテーションが効かない機体と聞けば、工学系の人間には「フェイルセイフでない」と聞えるわけで・・・たちどころにその危険性が認識できるのだが。【オスプレイ配備の危険性】真喜志好一, リムピース著、七つ森書館、2012年刊<「BOOK」データベース>より第1章 危険なオスプレイが全国に展開される(オスプレイが全国に展開されることの意味/オスプレイとは、どんな航空機か/低空飛行訓練が全国で展開される)/第2章 オスプレイ配備の危険性(オスプレイの何が問題か/オスプレイ普天間配備の危険性/主任分析官が証言するオスプレイの欠陥/V―22オスプレイー空飛ぶ恥)/第3章 沖縄のオスプレイ問題(1995年からの問題の経緯/環境アセスメントとオスプレイ配備/オスプレイ配備をめぐる住民への説明と国会答弁/ジュゴン訴訟で得られたオスプレイ配備の議事録/アッス訴訟でのタカミザワ証人尋問/「環境レビュー」と事故説明文書から読めること/米軍の安全基準に合わない普天間飛行場は即時閉鎖を)<読む前の大使寸評>オートローテーションが効かない機体と聞けば、工学系の人間には「フェイルセイフでない」と聞えるわけで・・・たちどころにその危険性が認識できるのだが。rakutenオスプレイ配備の危険性オスプレイの欠陥に関するアーサー・レックス・リボロ氏の証言を見てみましょう。p73~74 ■オートローテーションの能力欠如 オートローテーションとは滑空のヘリコプター版である。ヘリコプターはすべてエンジン故障や回転翼の駆動システム内の故障でパイロットがローターへのパワーの伝達を意図的に切る必要に迫られる、あるいはローターそのものの故障で完全にあるいは突然パワーを喪失しても滑空して安全に着陸できる能力を持っている。 V-22が安全に自動回転できないということは今ではメーカーも海兵隊も認めていることだ。しかしこのことが提起する意味合いはほとんど深刻に受け止められていない。すなわち、V-22はもし民間の輸送機だったらFAA(連邦航空局)規則によって基本的耐空性要件を満たしていないということだ。 にもかかわらず、海兵隊幹部はこの問題にまったく懸念を示しておらず、若者が戦闘という状況下で、V-22に乗員として乗るよう求めることにまったく抵抗はない。 FAAの耐空性要件は軍用機には適用されないが、過去には同等の要件がすべての乗客を乗せた軍用機に課されていた。V-22は国防総省内でこの政策からの最初の逸脱を意味する。私の考えでは、このことは、この航空機の大儀に対する盲目的忠誠心を支えるために皮肉にも兵士の命を軽視していることを意味する。 海兵隊首脳部や、それに国防総省調達担当高官や連邦議会が消極的同位を通して、この非難さるべき態度を取ることは、彼らが今後V-22の戦闘による損失に加担したことになる。オートローテーションだったら命を救えたかもしれないのに。このかなり大きなそして道理に合わないリスクの意識的軽視は法的には無謀な行為と見なされると思う。 V-22のエンジンが全部駄目でも固定翼モードに転換することによって安全に着陸できると主張する擁護者は自分をごまかしているかあるいは故意に事実を歪曲している。V-22は垂直離着陸モードから固定翼モードに転換するのに12秒必要だ。この間に、両方のエンジンが作動しなくなるかまたは一つのエンジンが相互接続のドライブ・シャフトとともに故障したときには、V-22は理想的な条件下で、約1600フィート落下する。だから、地上1600フィート以下で垂直離着陸モードでいるときに全パワーを喪失した場合は、大惨事を引き起こす。こんな危険なV-22の訓練は、アメリカの過疎地域とか海上で行ってほしいものである。人口稠密な日本での訓練などとんでもないのだが。
2018.04.05
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衆院選挙では、小池さんの誤算があったにせよ、あらためて自公の強さを思い知ったわけでおます。ということで、図書館に予約している『自民党―「一強」の実像』という本を、心待ちしているのです。【自民党―「一強」の実像】中北浩爾著、中央公論新社、2017年刊<BOOK」データベース>より自民党は結党以来38年間にわたり政権を担い、2度「下野」したが、2012年に政権に復帰。一強状態にある。その間、自民党は大きな変貌を遂げた。本書は、関係者へのインタビューや数量的なデータなどを駆使し、派閥、総裁選挙、ポスト配分、政策決定プロセス、国政選挙、友好団体、地方組織、個人後援会、理念といった多様な視角から、包括的に分析。政権復帰後の自民党の特異な強さと脆さを徹底的に明らかにする。【目次】第1章 派閥ー弱体化する「党中党」/第2章 総裁選挙とポスト配分ー総裁権力の増大/第3章 政策決定プロセスー事前審査制と官邸主導/第4章 国政選挙ー伏在する二重構造/第5章 友好団体ー減少する票とカネ/第6章 地方組織と個人後援会ー強さの源泉の行方/終章 自民党の現在ー変化する組織と理念<読む前の大使寸評>衆院選挙では、小池さんの誤算があったにせよ、あらためて自公の強さを思い知ったわけでおます。・・・ということで、時宜を得たこの本を読んでみます。<図書館予約:(7/18予約、2/01受取)>rakuten自民党―「一強」の実像「第6章 地方組織と個人後援会」から自民党の強さの源泉を、見てみましょう。p237~<保守系無所属という存在> 自民党を最も基底の部分で支えているのが、保守系無所属の地方議員である。ここでの無所属には異なる二つの意味があり、一つが立候補届出時に無所属とする議員、もう一つが自民党籍を持たない議員である。自民党では後者の意味で使う場合が多いようであるが、それはどのような存在なのか。 保守系無所属が大きな割合を占める町村議会について、全国町村議会議長会が2011年に実施した意識調査およびそれに基づく報告書「町村議会議員の活動実態と意識」から探ってみよう。 まず注目されるのは、議員報酬の平均が月額約21万円と低く、町村議会議員の世帯の年収総額に占める議員報酬の割合が、五割未満という回答が全体の69.5%に達することである。九割以上という回答は4.5%にすぎない。そのため、議員専業を意味する無職の比率が、23.4%と少ない。 しかも、無職のかなりの割合は、定年退職後の男性や専業主婦の女性が占めているようである。一般の会社員は兼職が難しい以上、町村議会議員になることに高い金銭的なハードルが存在する。 したがって、町村議会議員に就任するのは、兼職が可能な自営業者や会社・団体役員が必然的に多くなる。職業別の構成比を見ると、国勢調査では2.1%にすぎない農林水産業が町村議会議員の44.6%、同じく1.4%の商業が20.4%を占めている。 いうまでもなく、農林水産業、商業、会社経営といった職業は、自民党の支持者に多い。議員報酬の低さが一因となって、町村議会の構成は自民党に有利になっている。 もちろん、議員報酬だけが理由ではない。農民や商工業者といった旧中間層は、職業を世襲的に相続することが多く、人的ネットワークを幅広く持ち、仕事柄、地域に対する関心が強い。リソースなどの面で地域のリーダーになりうる存在なのである。しかも、農村部では社会の同質性が高いため、急中間層のなかの有力者が、そのあま重要な政治的地位を占める傾向がある。実際、町村議会議員は、町村内の各地域を代表するポストとみなされ、有力者間の調整によって決められる場合が少なくなかった。(中略) 自民党幹事長を務めた加藤紘一は、保守系無所属とは人徳を有する地域のリーダーであると書いた。比較的高い教育を受けて時間や金銭的に余裕があり、お祭りや年中行事を取り仕切ったり、農作業の段取りや田畑への水の配分を公平に行ったりと、地域のために積極的に貢献するような人物である。 加藤は「保守勢力とは、地域リーダーシップが代表する地域意思の総体であって、自由民主党とイコールではない」と強調しているが、さらに「最近地方が自民党から離れ始めているような気配が感じられるようになった」という危機感を示している。2009年に自民党が下野する直前のことである。 野党時代の自民党は、地域で少人数の会合を開く「ふるさと対話集会」を開始したが、それは加藤の提案によるものであった。地域に根を張る保守系無所属に依拠しつつ自民党を再構築する試みといえる。 その一方で、保守系無所属の地方議員を自民党の内部に組み込み、地方組織を強化する努力もなされている。そのための枠組みが、地方議員連絡協議会である。『自民党―「一強」の実像』2:小泉さんや安倍さんの政治手法(続き)『自民党―「一強」の実像』1:小泉さんや安倍さんの政治手法
2018.02.06
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衆院選挙では、小池さんの誤算があったにせよ、あらためて自公の強さを思い知ったわけでおます。ということで、図書館に予約している『自民党―「一強」の実像』という本を、心待ちしているのです。【自民党―「一強」の実像】中北浩爾著、中央公論新社、2017年刊<BOOK」データベース>より自民党は結党以来38年間にわたり政権を担い、2度「下野」したが、2012年に政権に復帰。一強状態にある。その間、自民党は大きな変貌を遂げた。本書は、関係者へのインタビューや数量的なデータなどを駆使し、派閥、総裁選挙、ポスト配分、政策決定プロセス、国政選挙、友好団体、地方組織、個人後援会、理念といった多様な視角から、包括的に分析。政権復帰後の自民党の特異な強さと脆さを徹底的に明らかにする。【目次】第1章 派閥ー弱体化する「党中党」/第2章 総裁選挙とポスト配分ー総裁権力の増大/第3章 政策決定プロセスー事前審査制と官邸主導/第4章 国政選挙ー伏在する二重構造/第5章 友好団体ー減少する票とカネ/第6章 地方組織と個人後援会ー強さの源泉の行方/終章 自民党の現在ー変化する組織と理念<読む前の大使寸評>衆院選挙では、小池さんの誤算があったにせよ、あらためて自公の強さを思い知ったわけでおます。・・・ということで、時宜を得たこの本を読んでみます。<図書館予約:(7/18予約、2/01受取)>rakuten自民党―「一強」の実像「終章 自民党の現在」から小泉さんや安倍さんの政治手法(続き)を、見てみましょう。p283~284<右傾化する理念> 自民党の理念の変化を具体的にみてみよう。ここでは日本国憲法に体現される戦後的価値を擁護するのをリベラル派、それを「押しつけ憲法」と否定し、「自主憲法の制定」を唱えるのを右派と呼ぶ。このような意味でのリベラル派が右派を抑え込むことに成功したのが、河野総裁によって行なわれた1995年の綱領的文書の改定であった。その当時、自民党は社会党および新党さきがけと連立を組み、新進党に対抗していた。そうしたなかで、「自主憲法の制定」の党是が事実上棚上げされたのである。 ところが、1998年、社民党とさきがけが自民党との閣外協力を解消する一方、社会党の出身者を含みリベラル色が強い民主党が、解党した新進党に代わって二大政党の一角を占めるべく結成された。それ以降、自民党は民主党に対抗して党内の結束を固めつつ支持基盤を強化するため、「自主憲法の制定」の党是など右派的な理念を強調するようになる。 その背景には、冷戦の終焉や階級対立の弛緩に加え、利益誘導政治によって国民の支持を調達したり、党内の結束を図ったりすることが難しくなったという事情があった。 このような自民党の右傾化を主導したのが、安倍普三である。 (中略) 2005年の改憲案のポイントは、大きくいって三つ存在する。第一は、第9条第2項を修正し、自衛軍の保持を明記することであり、第二は、国の環境保全の責務や犯罪被害者の人権など、新しい人権の挿入であり、第三は、政党条項の新設をはじめとする統治機構改革であった。全体としてみれば、穏健な内容にとどまったといえる。それは、天皇制や国民の権利などに関して「自民党らしさ」を求める安倍の主張が、小泉の判断によって斥けられた結果であった。 ところが、2009年に政権を奪われた自民党は、リベラル色が強い谷垣禎一を総裁に選出しながらも、安倍を会長とする創生「日本」の圧力も加わり、民主党との差異化を図るため右派的な理念を一層強調するようになる。まず翌年、新たな綱領を制定し、「日本らしい日本の保守主義」を政治理念に掲げ、「新憲法の制定」を打ち出した。地方議会でも、右派的な内容を盛り込む意見書を採択するキャンペーンを展開した。さらに2012年、新たな改憲案として「日本国憲法改正草案」をまとめた。 小泉総裁の下で作成された2005年の改正案よ比較して、2012年の改憲案は著しく右傾化した。『自民党―「一強」の実像』1
2018.02.03
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衆院選挙では、小池さんの誤算があったにせよ、あらためて自公の強さを思い知ったわけでおます。ということで、図書館に予約している『自民党―「一強」の実像』という本を、心待ちしているのです。【自民党―「一強」の実像】中北浩爾著、中央公論新社、2017年刊<BOOK」データベース>より自民党は結党以来38年間にわたり政権を担い、2度「下野」したが、2012年に政権に復帰。一強状態にある。その間、自民党は大きな変貌を遂げた。本書は、関係者へのインタビューや数量的なデータなどを駆使し、派閥、総裁選挙、ポスト配分、政策決定プロセス、国政選挙、友好団体、地方組織、個人後援会、理念といった多様な視角から、包括的に分析。政権復帰後の自民党の特異な強さと脆さを徹底的に明らかにする。【目次】第1章 派閥ー弱体化する「党中党」/第2章 総裁選挙とポスト配分ー総裁権力の増大/第3章 政策決定プロセスー事前審査制と官邸主導/第4章 国政選挙ー伏在する二重構造/第5章 友好団体ー減少する票とカネ/第6章 地方組織と個人後援会ー強さの源泉の行方/終章 自民党の現在ー変化する組織と理念<読む前の大使寸評>衆院選挙では、小池さんの誤算があったにせよ、あらためて自公の強さを思い知ったわけでおます。・・・ということで、時宜を得たこの本を読んでみます。<図書館予約:(7/18予約、2/01受取)>rakuten自民党―「一強」の実像「終章 自民党の現在」から小泉さんや安倍さんの政治手法を、見てみましょう。p280~282<新自由主義的改革と利益誘導政治> 人事における包摂と排除の違いは、政策とも密接に関連している。小泉首相は「古い自民党をぶっ壊す」と叫び、利益誘導政治を打破すべく、政府の介入を抑制し、市場メカニズムを重視する新自由主義的改革を断行した。 具体的に述べれば、大幅な歳出カットを行い、公共事業費を毎年3~4%削減するとともに、年金・医療などの社会保障費や地方自治体向けの補助金・交付金を抑制した。「平成の大合併」も推進する。労働市場をはじめ様々な領域で規制緩和が進められ、郵政事業や道路公団の民営化も実施された。 それに対して2012年に首相の座に復帰した安倍は、アベノミクスを打ち出し、積極的な金融緩和、公共事業などの財政出動、規制緩和をはじめとする成長戦略を「三本の矢」と位置づけた。 大規模な金融緩和を中心に据えつつ、自民党の伝統的な利益誘導政治と新自由主義的改革とを両立させようとしたのである。そうしたなか、公共事業費や土地改良予算が当初予算で毎年増額され、診療報酬も本体部分のプラス改定が続いている。地域活性化を図る「地方創生」も掲げられた。 安倍首相が自ら「世界で一番企業が活躍しやすい国を目指す」、「岩盤規制を打ち破るための『ドリルの刃』になる」などと演説したように、新自由主義的改革が進められているのは確かだが、そこには大きな限界が存在する。 例えば、自民党の友好団体の御三家の一つである全特を敵に回した小泉の郵政民営化とは異なり、農協改革はJA全中の同意の下、その一般社団法人化にとどまった。准組合員の利用制限が見送られ、自民党の集票を担う都道府県中央会も実質的には温存された。 それとの関連で、政策決定プロセスも異なる。いずれも首相直属の諮問機関を駆使して官邸主導の政策決定を行なっている点では共通している。しかし、郵政民営化を看板政策とする小泉首相が、郵政族などの抵抗を押し切るために、自民党の事前審査制に風穴を開けようとしたのに対して、安倍首相は弱体化した農林族の同意を取りつけながら農協改革を進めるなど、事前審査制を巧みに利用することで、トップダウン的な政策決定を安定的に実施している。 小泉内閣による新自由主義的改革が、全特をはじめ友好団体の弱体化や離反に拍車をかけたのとは違い、安倍政権の下での自民党は業界団体などとの関係を緊密化させている。(中略) 以上要するに、安倍自民党は、「自主憲法の制定」の党是をはじめ、右派的な理念を中心に据えて民主党・民進党に対向する一方、自民党が内包する様々な要素を両立させ、党内の一体性を確保している。現在も自民党では、党内の足並みの乱れが2009年の政権からの転落の大きな原因になったという認識が根強い。つまり、「内なる結束」と「外への対抗」という点にこそ、安倍自民党の特徴が存在する。<右傾化する理念>(追って記入予定)しかしまあ、衆院選の選挙結果であるが…安倍さんのなりふりかまわない衆院解散に、準備不足の野党は翻弄されたわけで、とくに小池さんの奢りと誤算が大きかった。北朝鮮や中国の脅威を「国難」として選挙戦を戦った政権党の勝負勘は鋭かったと言えるし…外国メディアもそのあたりを評価しているようです。
2018.02.02
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半藤一利さんがインタビューで「国難は自作自演、勇ましい首相発言、和平壊した過去も」と説いているので、紹介します。(半藤一利さんへのインタビューを9/29デジタル朝日から転記しました)衆議院が解散された。安倍晋三首相自ら「国難」と表現した情勢下、国民は政権選択を迫られる。与党が3分の2以上を占めたり、同調する勢力が増えたりすれば、9条を含めた憲法の改正は現実味を増す。今回の選挙が日本の歴史で持つ意味は何か、国民は投票で何が問われるのか。昭和史を見つめてきた半藤一利さんに聞く。Q:半藤さんは昭和を中心に日本の近代史を深く見てきました。そうした歴史的な視点から見て、今回の解散、総選挙の意味をどう考えますか。A:これからの日本の針路が戦争と平和のどちらを主軸に進むのかを左右する、極めて重要な選挙だと思います。岐路に立つ日本で、冷静な議論が求められるときに、安倍さんが今回、『国難突破解散』とおっしゃって危機感ばかりをあおっていることに強い違和感を覚えます。 国難といって現在、最大の問題は北朝鮮情勢でしょうが、これはご自分がつくっていませんか、自作自演の危機ではないか、と申し上げたい。安倍さんは国連総会で、今は対話の時でなく圧力をかけるべき時だと述べてきましたが、それでは危機を高めるばかりです。 昭和史で似たようなケースがありました。日中戦争が始まった後、ドイツが間に入って和平工作を手がけました。まとまりかけたのですが、現地軍がこれを無視して進撃を続けて当時の首都南京を陥落させてしまう。和平の条件をつり上げて中国国民党を率いていた蒋介石を怒らせてしまう。 この時、近衛文麿首相が『蒋介石政権を対手にせず』と言い放ち、解決は遠のきました。結局、戦争は泥沼化していきます。このように和平の結実は実に微妙なものです。それを勇ましい言葉で台無しにした歴史の戒めを思い起こします。 ■ ■Q:現在の北朝鮮情勢の中で、日本ができることがありますか。A:不幸な経験ですが、日本には対立が不毛な結果しか招かなかったという痛みの過去がある。また唯一の被爆国として、核戦争の悲惨さを米国、北朝鮮両国に言って聞かせられる資格もある。それらを発揮せずに、ただトランプ大統領に寄り添っている。第2次世界大戦を始めたヒトラーのドイツと組んで三国同盟を結び、破局へ導いた時代が脳裏に浮かびます。Q:野党やマスコミは「大義なき選挙」と批判しています。A:そうとばかりはいえないでしょう。大げさに言えば、日本の選挙ではありますが、トランプさんがやっている力の誇示と威迫の手法を信認するか、しないかを問う選挙にもなるのです。安倍さんが国難突破と位置づけたことで、そのパートナーであるトランプさんと合わせて、平和を維持するために動くか、逆に制裁をさらに強めることを支持するのか、期せずしてそうした大問題を問い直す選挙になったと思います。Q:かつて日本で、危機を前面に出して戦われる選挙などがあったでしょうか。A:選挙ではありません。が、権力闘争に使われたことがある。第2次大戦で、ドイツがフランスへ攻め入りパリを陥落させた際、日本国内では三国同盟に反対してきた米内光政内閣を『バスに乗り遅れるな』のかけ声の下、引きずり下ろす材料にしました。畑俊六陸軍大臣を辞任させ、陸軍が後任を出さず内閣総辞職に追い込んだ。 ドイツと組むため都合のいい内閣として第2次近衛内閣が組閣され、三国同盟が締結される。太平洋戦争への道を一瀉千里に進み、揚げ句、亡国寸前まで至ります。Q:安倍首相は、「日本を取り戻す」と言い、言論の自由を侵しかねない特定秘密保護法を施行させ、内心の自由を損ねると批判がある共謀罪の内容を含む組織的犯罪処罰法を改正しました。憲法9条に抵触する疑いのある安全保障関連法なども手がけてきました。A:かねて安倍さんが言ってきた『戦後レジームからの脱却』というのはこうしたことだったのでしょう。私たちは戦後、国民主権、基本的人権の尊重、平和国家を三本柱とする新日本を建国したと思っていました。安倍さんが『脱却』と言っても、『そんなことができるか』と高をくくっていた。しかし、3年ほどであなたが指摘した法律を次々と実現させた。改憲したわけではないが、緊急事態法制以外は、ほぼ目的を達成させてしまいました。 以前、麻生太郎副総理がナチスドイツの手法を引き合いに、『ある日、気がついたらワイマール憲法が、ナチス憲法に変わっていた。あの手口を学んだらどうか』と言って問題化しました。しかし集団的自衛権の行使容認について、憲法を変えずに、閣議決定で可能にした。まさにナチスの手法を学んだようです。 ■ ■Q:衆院選の自民党公約に憲法9条への自衛隊明記を盛り込むと安倍首相は明言しました。A:今度の選挙で与党で3分の2、あるいは安倍さんの改憲案を支持する勢力がそれに匹敵する勢力を持てば可能でしょう。しかし、その前提としての諸法律はすでに整備済みで、いわば9条改憲は集大成に過ぎません。 戦前の軍機保護法にかわる機能を特定秘密保護法が担うでしょうし、政府に反対するものたちを次々に押さえることも共謀罪を駆使すれば可能です。メディアの統制も、政権に不都合な取材を共謀行為と認定すればわけないことです。記者が3~4人も引っくくられれば、新聞社も一気に萎縮するでしょう。改憲の前に、そうした道具を着々と整えてきたんです。 平和や自由という戦後の日本人が得た価値を守るのは、若い世代の人たちの役割です。しかし、それらが当たり前のものとして育った世代には、本当の大切さ、失った時の怖さが骨身にしみていないのでしょう。Jアラートが鳴って、頑丈な建物に避難する、机の下に潜り込む。それらが全く無駄とは言いませんが、本質はミサイルが飛ばないよう、政府に外交を展開させ、平和を確実にさせることです。 私が子供の時は戦争中でした。爆弾なんか怖くないとか、焼夷弾もすぐ消せる、なんて歌を教えられました。信じた人が昭和20(1945)年3月10日の東京大空襲の際、自ら消そうとして火炎の渦に包み込まれました。そんな愚を繰り返してはなりません。Q:小池百合子東京都知事が代表を務める希望の党は憲法改正に肯定的です。民進党も党の方針がぐらついて見えます。半藤さんがおっしゃる政策や外交の受け皿になる政党が、見当たりません。A:野党の離合集散が始まったようですから、先行きは読めません。ただ、都民ファーストの会の都議に、毎日新聞が憲法改正の賛否を聞いたら、ほとんどが無回答でした。自民党予備軍なのかどうか、見極めが必要でしょう。 ■ ■Q:日本の将来をどう築くかといった本質的な問題より、目先の利害調整、例えば消費税の使い道や、どこの政党がくっつくか、安倍さんと小池さんがどうやり合ったか、といったおもしろさ、すなわち政治の劇場化の様相が濃くなってきました。A:満州事変の際、国際連盟の派遣したリットン調査団の報告に基づく満州撤退の対日勧告を不服として、日本代表の松岡洋右が連盟の議場から退場した時、日本の世論と新聞は喝采しました。当時は犬養毅首相が海軍の青年将校に殺される5・15事件の発生もあり、政党政治が液状化していました。国民が松岡のパフォーマンスに反応したのは、そんな閉塞状況に思考停止に陥っていたからでした。 森友、加計両学園問題を抱える安倍政権が、高い支持を得ています。それが信頼からだ、とは思われません。低成長や高齢化などによる閉塞感が背景にあって、『日本を取り戻す』というかけ声にいちるの望みをかけているとしたら、不健全で危険な兆候です。Q:結局、どういう未来を選択するかは私たち有権者です。今度の選挙で、国民は何を問われ、突きつけられていると考えますか。A:冒頭、極めて重要な選挙になるといいました。問われるのは、有権者の世界観です。日本だけでなく、米国も欧州も内向きになっている。世界全体で取り組まねばならない、環境や平和、貧困や格差是正も自国ファーストで解決しようとする。しかし、全体で譲り合い、調整しなければ大きな問題は解決できません。 北朝鮮の問題についても、自国の安全だけを大事に考えていては、本当の解は得られないでしょう。この地域で利害を共有する日中韓3カ国が北朝鮮を説得して話し合いのテーブルに戻すしかないでしょう。 1930~40年代の日本は、まさに今の北朝鮮の似姿です。あのとき、日本をなだめたり説得したりできる国はなかった。しかし、今は日本がそうした役回りを発揮できるはずです。針路を決めるということは、そうした大戦略を持つ政党があるかどうか見極めること、無ければ有権者自らが声を出して政党を叱咤激励することです。そこまでの積極的な関与が求められる複雑でやっかいな時代に入ってしまったのです。(聞き手 編集委員・駒野剛) *半藤一利:1930年生まれ。53年に文芸春秋に入り、雑誌「文芸春秋」編集長などを務める。「日本のいちばん長い日」「昭和史」など著書多数。(2017衆院選)岐路に立つ平和半藤一利2017.9.29この記事も 朝日のインタビュー記事スクラップR4に収めておきます。
2017.10.06
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図書館に予約していた『老いる家崩れる街』という新書を、待つこと約4ヶ月でゲットしたのです。大使の関心としては、住宅過剰社会とか、バブルを煽るかのような新築誘導税制、コンパクトシティ、古民家再生あたりになるわけです。【老いる家崩れる街】野澤千絵著、講談社、2016年刊<「BOOK」データベース>より現在約800万戸の空き家が15年後には2100万戸を超える…3戸に1戸が空き家に!「再自然化」する空き家、スラム化する分譲マンション、漏水・破裂する水道管、不便な立地の「サ高住」住みやすい「まち」に必要なものとは?【目次】第1章 人口減少社会でも止まらぬ住宅の建築(つくり続けられる超高層マンションの悲哀/郊外に新築住宅がつくり続けられるまち/賃貸アパートのつくりすぎで空き部屋急増のまち)/第2章 「老いる」住宅と住環境(住宅は「使い捨て」できるのか?/空き家予備軍の老いた住宅/分譲マンションの終末期問題/住環境も老いている~公共施設・インフラの老朽化問題)/第3章 住宅の立地を誘導できない都市計画・住宅政策(活断層の上でも住宅の新築を「禁止」できない日本/住宅のバラ建ちが止まらない/都市計画の規制緩和合戦による人口の奪い合い/住宅の立地は問わない住宅政策/住宅過剰社会とコンパクトシティ)/第4章 住宅過剰社会から脱却するための7つの方策<読む前の大使寸評>大使の関心としては、住宅過剰社会とか、バブルを煽るかのような新築誘導税制、コンパクトシティ、古民家再生あたりになるわけです。<図書館予約:(12/28予約、5/10受取)>rakuten老いる家崩れる街住宅過剰社会に対して著者の挙げたアラームを、見てみましょう。p14~16■私たちに残された時間は長くない 私たちは、現時点で投票権を持たない将来世代の住宅やまちを作っています。このまま住宅過剰社会を助長すれば、将来世代に負の遺産となる住宅やまちを押しつけてしまうのです。最も迷惑を被るのは、私たちの子供や孫たちです。 住宅過剰社会からの脱却に向けて、私たちは、空き家を減らす、中古住宅の流通を促進する、市場に依存しすぎた新築住宅中心の市場から転換することが必要不可欠です。特に、すでにある住宅のリノベーションや建て替えをし、住宅の質を市場性を持つレベルに高めたうえで、住宅市場に流通させていくことが必要です。 さらに、こうした住宅単位の話だけではなく、災害リスク、インフラや公共交通・生活利便サービスの維持、公共施設の再編・統廃合、地域コミュニティ、ライフスタイルの変化に対応した暮らしやすさといった生活環境・・・など、多様な分野が複雑に絡み合う住環境としての問題を多元的に解きながら、現世代だけでなく、将来世代も暮らしやすいまちへと改善していかなければならない時期にきているのです。 私たちに残された時間は、そう長くありません。 私は都市計画の研究者として、これまで、都市計画法制度、特に人口減少社会にむけた土地利用計画や開発許可制度のあり方の研究とともに、様々な自治体の都市計画行政にも関わらせて頂いています。その中で、都市計画や住宅政策が高度経済成長期の都市化志向の枠組みのまま、いわばフリーズ状態に陥っている点に強い危機感を持っています。 本書の第1章では、住宅の「量」の観点から、大都市部ではなぜ大量の超高層マンションがつくり続けられているのか? 大都市郊外や地方都市の農地エリアでは、なぜ野放図に住宅地の開発や賃貸アパート建設が続いているのか? について、都市計画の観点から具体的に解き明かしていきます。 第2章では、住宅や住環境の「質」とりわけ「老い」の観点から、老いた戸建て住宅や分譲マンションに待ち受ける終末期問題、公共施設やインフラなどの住環境の老朽化問題に着目しました。そしてこのまま何も手を打たなければ、次世代に負の住宅・負のまちを押しつけかねないという深刻な実態を明らかにします。超高層マンションの欺瞞や危険性を、見てみましょう。p38~40■資産価値の下落と管理不全状態 もちろん、非常事態になることは極めて稀だから、こうした災害時のリスクを認識したうえで購入すればよいという考え方もあります。「大手企業関連の管理会社がいるし、今は問題なさそうだから安心だ」とも考えられがちです。しかし、分譲マンションは、どのような区分所有者がいるのか、区分所有者による管理組合にどのような意識・能力があるかによって、将来にわたって建物の維持管理が適正に行われるかどうかが未知数という、極めて不安定な仕組みで成り立っていることも認識しておく必要があります。 超高層マンションについては、一般のマンションに比べて、建物の上層階、中層階、下層階で、購入する所得階層が分かれていたり、世代・家族構成が多様なため、管理組合が、様々な事情を抱えた区分所有者同士の合意形成を行ない、将来にわたってマンションの維持管理を行うことが果たしてできるのか、専門家の間でも疑問視する声が多いのです。 そして、マンションの維持管理を管理会社に丸投げすると、ずさんな管理や場当たり的な修繕をされたり、新築時に分譲会社が設定した修繕積立金だけでは大規模修繕ができなくなると、資産価値が大幅に下落したり、最悪の場合、管理不全状態に陥る危険性さえ懸念されています。 もし、超高層マンション1棟全てが賃貸住宅の場合には、所有者は企業等であることが多いため、事業者が自分たちの資産価値の維持や収益確保を目的として、建物等の維持管理をきちんと行う場合が多く、たとえ複数の企業間の合意形成が必要な場合でも、住民同士の場合に比べると、ハードルはそこまで高くない場合が多いでしょう。 しかし、分譲の超高層マンションでは、1棟500~1500戸もの住戸数があることから、区分所有者が大量にいるというだけでなく、居住用か投資用かといった取得目的や区分所有者の所得階層・世代・家族構成・国籍が多様であるが故に、合意形成が極めて難しくなってしまうのです。 特に、大規模修繕等で修繕積立金が不足したり、災害などで突発的に修繕が必要となった場合、修繕すべき内容や各住戸が支出すべき金額についての合意形成ができないと、一気に管理不全状態に陥り、不良ストック化の道をたどる危険性も考えられるのです。いやー 超高層マンションとは怖いですねえ。短期に転売する才覚がないと買えないシロモノのようです。『老いる家崩れる街』1
2017.05.12
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国会でも森友学園予定地の産廃処分疑惑で揺れているが・・・以下報道によれば、15年9月4日、近畿財務局の会議室で財務局幹部、国土交通省大阪航空局の担当者、設計業者、工事業者の4者が「土壌改良工事」について協議したようです。その後、森友学園籠池理事長は「国がごみを撤去していたら開校が遅れる」と土地の買い取りを望み、結局、財務局は2016年6月20日、1億3400万円で売却したそうで・・・これは極言すれば、国有地が不当に安売りされたわけですね。お役人というものは、大物政治家が絡むと(安倍夫人が絡むと)、かくも言わずもがなの忖度が習いとなっているのかと思うわけです。国会では、野党から籠池理事長の喚問が要求されたが、はたしてどうなることやら?喚問がないとしても、財務省役人の犯罪的悪知恵は究明して然るべきであろう。2017年03月07日森友学園予定地の産廃土「財務局が埋め戻し提案」 工事関係者証言より 学校法人「森友学園」への大阪府豊中市の国有地売却問題で、2015年に地下3メートルまでの埋設物を撤去した際、財務省近畿財務局が費用抑制を理由に、一緒に出た産廃土をその場に戻す「場内処分」を求めてきたと、工事関係者が証言した。半年後、経緯を知った学園の籠池泰典理事長は財務局の対応に不満を示したという。その3ヶ月後、定期借地契約から売買契約へ切り替わった。▼1面参照■学園側、不満示す 朝日新聞は、工事業者が作成した「打ち合わせ記録」を入手した。それによると15年9月4日、近畿財務局の会議室で財務局幹部、国土交通省大阪航空局の担当者、設計業者、工事業者の4者が「土壌改良工事」について協議した。 工事は定期借地契約中の15年7~12月、環境基準を超える鉛やヒ素を含む汚染土と、敷地8770平方メートルのほぼ全域の地下3メートルまでの「埋設物」を除去する契約で、地主の国が1億3176万円を負担した。 工事関係者によると、汚染土の処分後、地下の掘削を始めると、コンクリートがらなどのほか契約外の生活ごみが混じった産廃土も出たため、処分の予算が付くかどうか財務局側と打ち合わせた。 記録によると、業者側が「産廃は仕分け処分費が高く、撤去すると膨大な金額になる。工事を進めてよいか」と相談。財務局側が「上層部への説明がつかない」などと難色を示すと、業者側は「それなら場外に出さない方法を考えるしかない」と反発。財務局側は「場外処分を極力減らす方法を考えて」「借り主との紛争も避けたいので、場内処分の方向で協力お願いします」と求めたとされる。 廃棄物処理法は、工事現場で出た産廃土はごみと土に分けて適正処理するよう義務づけている。工事関係者は「国の指示はおかしいという認識はあった」と取材に話した。実際には目に付くごみだけ取り除き、容積が減った分は真砂土を入れたという。 工事関係者は16年3月、籠池理事長に、財務局側の提案で産廃土を「場内処分」したと初めて伝えた。籠池理事長は工事関係者に不満を示したという。自民党の鴻池祥肇元防災担当相の事務所が作成した「陳情整理報告書」にも、籠池理事長が同月14日に『昨年9月、近畿財務局より不当な提案があったと11日に聞いた」と語る様子が記録されていた。 国会での審議によると、籠池理事長は翌15日に財務省も訪問。同24日には「国がごみを撤去していたら開校が遅れる」と土地の買い取りを望んだ。財務局は6月20日、1億3400万円で売却した。 こうした経緯について、6日の参院予算委員会で民進がただすと、財務省の佐川宣寿理財局長は「掘り出したごみを埋め戻すといったようなことを近畿財務局が指示するということはございません」と答弁した。 その後の民進のヒアリングでは、近畿財務局の担当者への聞き取りについて、財務省の担当者が「していません」と説明。「財務局の人間が法令に違反するようなことを言うわけがない。確かめるまでもないと思っている」と述べた。だが民進の議員から詰め寄られ、「組織として検討する」と答えた。■安全性、府が確認へ 大阪府の松井一郎知事は、学園側に報告を求めるとしていた産廃土撤去後の土壌の安全性について、府で確認する考えを示し、「これだけ虚偽の報告が出てきており、学校側がやりましたということに対して、すんなり認めることはできない」と述べた。安倍さんは、会計検査を行いその結果を待ちたいとのべたが・・・だいたい政治絡みの案件は会計検査院の手に余るわけで・・・財務省の疑惑解明などは守備範囲外なんだが。
2017.03.08
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豊洲市場の設計疑惑その後を追ってみたい。東京都政という旧態依然の既得権益に切り込んだ小池さんの切れ味が鮮やかであるが・・・小池新党の動きを見てみましょう2016-12-15小池新党の行方~衆議院解散時期にも影響かより 東京都知事選で小池百合子氏を支援した7人の区議、いわゆる7人の侍に対して、自民党都連は自民党からの除名処分を決めた。自民党は7人の区議に対して、対話の機会、弁明の機会を与えたが、結局彼らはそれを断り、こうした事態に至った。この自民都連との対決姿勢には当然のことながら小池知事の意向があるはずだ。小池知事は都議会の運営において、都議会自民党を懐柔するか、対決するかの選択を迫られた。様々な利権が組み込まれており、改革のためには「対決」しかないと判断したのだろう。全面対決を覚悟し、来年の都議選で「小池新党」から遠慮なく候補者を擁立し、自民党都議の数を半減させる方向に舵を切ったといえる。自民党以外の都議の多くを準与党化させれば、「小池新党」の候補者が4分の1から3分の1を占めるなら、与党的勢力で過半数を取ることができる。そこで初めて思い切った改革が可能になる。 都議選での方向は定まったと言える。東京都だけの独特のシステムであった政党復活予算の仕組みも廃止することを決めた。これは都議会自民党にとっては非常に大きな衝撃であったに違いない。最大会派の都議会自民党の裁量は大きく、これは直接的に都議の「手柄」となる。利権構造ができやすいもので、小池知事がこの仕組みにメスを入れるのは当然だ。都議会自民党からすれば、政党復活予算がなくなり、議会で野党化するとなると、これまでの状況が一変し、「権力」が激減したことを意味する。これで知事も都議会自民党も全面対決しか選択肢が残らない形となった。中途半端な懐柔路線が消えた。大阪での維新の会創設時の勢いにも似ているが…既得権益という泥舟から小池丸という新船に逃げる鼠のような自民党都議の定見の無さも鮮やかである(笑)しかし、何と言っても、黒い鼠に勝るとも劣らない小池さんの胆力が、ええでぇ♪事の発端を見てみましょう。2016-11-02盛り土から地下空間へ 独断変更、残る「なぜ?」より 東京都の豊洲市場の施設の下に盛り土がなかった問題が発覚して50日余り。都の再調査で「いつ」「誰が」が特定された。しかし、「なぜ」、都知事の方針が一部局の判断で「独断的」に覆され、その事実が上層部に報告されないまま、巨大事業が進められたのかまで解明されたとは言い難い。「(責任者も経緯も特定できない)空気のような問題から、かなり絞り込めた」。1日の記者会見で、小池百合子知事は硬い表情を崩さず語った。 「流れの中で進んだ」とあいまいな表現にとどまった9月30日の第1次調査報告から一転。「都民や市場関係者、議会を欺いて」(報告書)、敷地全面盛り土と説明してきたことを念頭に、「事実と異なる説明を続けたのはもはや言語道断」と強い口調で述べた。 都が1日に公表した第2次自己検証報告書によると、2009年2月、都は敷地全面に盛り土をする整備方針を機関決定。しかし、豊洲市場の整備を担当する新市場整備部は、10年11月から始めた建物の設計づくりの段階から、建物下に盛り土をしないことを前提に作業を進めていた。 背景について報告書は、国が進めていた土壌汚染対策法の改正に「市場当局が神経をとがらせていた」と指摘。将来的に汚染土壌が見つかり、同法での対応が求められた場合に備え、重機などを搬入するモニタリング空間を地下につくる基本認識が生まれたとした。 報告書は、同部が都の整備方針を覆す独自の決定をした「場」を11年8月の部課長会だったと特定。関係者証言から、会議を主催した新市場整備部長がモニタリング用の地下空間の設置を部の方針として確認したと認定した。 部長は「(モニタリング空間を)つくらないのはダメだと言っただけ」と反論しているが、報告書は「方針の遵守や上司への報告・説明、(有識者による)技術会議などに確認するべき立場にあったが職責を全うしていない」と断じた。 また、第1次報告書で「盛り土がないことを知らずに答弁していた」と証言した土木の担当部長についても、「知り得る立場にあった」として責任があるとの判断をした。 都の事情聴取では、「敷地全面盛り土」を提言していた専門家会議や技術会議に対し、方針変更を報告して再検討すべきだったとの認識を示した管理職は一人もいなかったという。 地下空間が設置された経緯は解明できたものの、都の決定に反する計画が進められた理由については不透明さを残した。調査にあたった都幹部は「当時の管理職の間に、盛り土計画に替えて、地下空間をつくるという意識が明確にあったとは感じられない。盛り土がなくても地下空間で安全性は高まると認識していたかもしれない」と述べた。 1次調査の発表時、担当者らの処分に言及しなかった小池知事だが、5日後の都議会で、「懲戒処分などの対応をとる」と初めて言及、再調査を指示していた。都幹部は「あいまいな結論を許さない世の中の流れを見て判断したのだろう」と話す。(別宮潤一、伊藤あずさ)■安全性確認へ工程表 築地市場から豊洲への移転を、いつ、どういう基準で判断するのか。小池氏は1日、安全性の確認についてのロードマップ(工程表)を近く公表する考えを明らかにした。 土壌汚染対策の柱とされた盛り土がないため、都は有害物質の影響を改めて調べている。判断材料の一つが、2014年から都が市場敷地で続ける地下水の汚染物質の検査の結果だ。2年間の計画で続けており、最終9回目の結果が来年1月半ばに出る予定。9月に結果が出た8回目では、初めて環境基準をわずかに超すベンゼンやヒ素が検出され、9月末からの大気検査でも国の指針値の最大7倍の水銀が見つかった。こうした検査結果を、都の専門家会議が「食の安全」の観点から再検証する。 一方で、都の市場問題プロジェクトチームは、豊洲市場の施設の耐震性など、建造物の安全性を調べている。小池氏は、「食」「建造物」の二つが安全かどうかを確認し、移転できるかどうかを判断する方針だ。(小林恵士)小池さんの強力なスタッフを東京都は変わるのかに見てみましょう。黒い鼠もうかうかできないのではないか。
2016.12.30
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都政改革本部特別顧問の上山信一さんがインタビューで「五輪も豊洲も湾岸、際限なきコスト増」と説いているので、紹介します。(上山さんへのインタビューを12/21デジタル朝日から転記しました) 大阪府・市に続いて東京都でも目に見える「改革」が進められようとしている。しかも「豊洲」「五輪」と、みんながびっくりした課題を抱えて。東西の自治体トップから「特別顧問」を託された元官僚で元外資系コンサルタントは何を見て、どう変えようとしているのか。その手法に問題はないのか。Q:東京五輪・パラリンピックの三つの会場について、かえるかえると言って結局かわりませんでした。小池百合子東京都知事が負けたと見られていますが。A:大事なのはコストを抑えることです。私たちは2兆円3兆円かかりそうだという懸念からスタートしました。どう抑え込むか。その仕組みをどう作るか。日本の組織委員会と議論してもらちがあかない。そこで『3兆円かかるかもしれない』と発信したら、IOC(国際オリンピック委員会)がチャンスとばかりに反応した。今後、負担をいやがる住民の反対で招致都市がなくなることを恐れたのです。それで都、組織委、IOC、国の4者協議が出来て、とにかく総コストを早く開示しよう、都民の負担を下げようと一致した。こうして組織委に外圧がかかったのです。これが大事です。Q:でも会場変更はできませんでした。A:目的はあくまでも最終コストの抑制です。すでに着工していたものを含め都の3施設で合計410億円、約2割強を削減できた。それに、まず隗(かい)より始めよです。IOCに対し、都は着工後でも見直す、総コストの抑制に手段は選ばないとアピールし、組織委にもコスト抑制の方法を教えた。会場変更は一石三鳥を狙ったわけです。今後の課題は個々の支出の抑制と管理です。Q:今でもボート・カヌーの会場は宮城県の長沼の方が良かったと思いますか。A:はい。でも現実にできないものはしかたない。私はテクノクラート(技術官僚)なので『思い』で仕事はしません。でも小池さんには被災地への強い思いがありましたね。そもそも復興五輪で始まったのにと。 ■ ■Q:築地市場の豊洲移転も大変な課題です。問題の本質はどこにあると見ていますか。A:豊洲市場も五輪の施設も極端に高価なハコもの建設の話です。特に豊洲は、いくら規模が大きく土壌汚染があったとしても5800億円もかかるのは不思議です。一つの県の年間予算の額です。どうやったら使えるのか。計画から工事までのすべてが不透明。どこかにお金が消えたと思われてもしかたがない。 もう一つは湾岸開発の視点。豊洲も五輪施設も、都は埋め立て地に建てたがった。確かに移転計画当時はトラックのために広大な場所が必要とされました。でも今やインターネットで売買できるし、物流基地は郊外でいい。民間企業なら築地は残して観光名所に改造するかもしれません。 都には、ひたすら海を埋め立てて開発事業を続けたいという衝動と組織の慣性があるのでしょう。江戸時代からのDNAかもしれない。それが豊洲市場や五輪施設を作らせている気がする。とにかく海を埋め、何かを建てる。惜しげもなく金を使うことが自己目的化しているように見えます。Q:豊洲の建物の下は盛り土ではなく空洞でした。でも、いつ、誰が、なぜ決めたのか、なかなかわかりませんでしたね。A:石原慎太郎さん以降、歴代の知事が組織をきちんと管理してこなかった。 ガバナンス(統治)と情報公開の不足です。部下に全部まかせ、議会ともなあなあで、トップが事業をチェックしなかった。 お金があるから、利害調整もあまり必要なかったのでしょう。ほかの自治体では20年ぐらい前からお金がなくなり、首長が『あきらめてください』と頭を下げて調整してまわった。その中で情報公開が進み、住民の意識も上がった。でも都は違いました。Q:そこも改革しますか。A:いずれ東京も人口減少に転じます。超高齢化社会の時代に合わせて、当然、変えていかないと。 ■ ■Q:ところで、都庁に来て、見て、聞いて、感じたことは。A:最初の印象は『現状肯定型ばかり』です。五輪の問題で言えば小池さんから『一体いくらコストがかかるのか、本当にあれだけの施設が必要か』という問いが与えられました。それで都の担当部署をヒアリングすると、答えはいつも同じ。『IOCとの協約で守秘義務があって話せない』『資料は出せない』『議会に説明したことは変えられない』……。公務員が保守的なことには驚きませんが、都民への負担や情報公開の意識が薄いと気づきました。Q:それでどうしましたか。A:IOCとの協約を見せて下さいと言ってもなかなか見せてくれない。小池さんが『知事室に持ってきて下さい』と言って、やっと知事室に届けられました。Q:そもそも、特別顧問とは、どんな仕事をするのですか。A:知事の求めに応じ、職員とともに政策や業務の評価や見直しをし、改善策を提案します。都政改革本部には11人いて、私はその統括をしています。Q:条例など法的な根拠は。A:設置要綱があります。改革本部のホームページを見て下さい。Q:実際にはかなり踏み込んだ仕事をしていますね。これが顧問かと思った人も多いのでは。A:五輪の問題はかなり特殊でした。都には組織委の出費を管理する権限がない。ところが赤字は全部負担させられる。IOCとの協約の中でゆがんだ構造になっている。その中でコストを下げるには、タフな交渉と積極的な情報公開が必要です。ですから、知事の指示で国際会議に出て交渉したり、必要な時には記者会見したりしました。 その他の案件も含め、知事と相談して行います。言われていないことは一切やりません。言われたからやる。Q:知事に言わせることは。A:個別案件で、こういう状況です、次はどうしますかとキャッチボールする中で、はありますね。知事から電話がきて『これやって』と言われることもあるし、断ることもあります。Q:今の立場は官僚と政治家に分けたら、どちらが近いですか。A:もちろん官僚です。霞が関出身の感覚でいうと、省庁の局長クラスの審議官の仕事に近い。Q:役所内を調査するそうですが、どういうことを。A:例えば納税者の視点から質問を各部署にぶつけ、データや根拠を出してもらう。それを過去や民間、他県の実績などと比べて課題を洗い出す。政策評価といわれる手法です。役所の職員は優秀だし情報量も多い。でも仕事が大きい割に、何が本来の目的かわかっていないことがある。なぜ建てるのか、なぜこの広さなのか、基本的な問いに答えられないことがよくある。素朴な問いを発して一緒に考えていきます。Q:具体的には。A:五輪施設の海の森を例にあげると、都の資料には年間35万人が来てにぎわうとある。でも本当に年間30回も大会が誘致できるのか、他の競技会場と競合しないのか。過去の事例と今後の計画を出して下さいと言う。すると、あれは競技団体側の努力目標だったとわかった、といった具合です。 ■ ■Q:調査チームは脚光を浴びました。こうした手法は、演出先行の劇場型、メディア活用型の改革に陥る恐れがありませんか。A:あるでしょうね。あるでしょうが、劇場って何でも利用しますね。観客を演者にすることもある。五輪の予算は知事のガバナンスがきかない特殊な案件でした。だから、何でも情報公開するしかないと考えた。過去に起きたこともいま起きつつあることも。するとメディアが小池さんや森喜朗さんを演者のように仕立てた。我々も評価にさらされ、週刊誌などで悪役にされました。みんなで劇場を作って関心が高まりました。 そうしたら『2兆も3兆もかけるのはおかしい』とみんなが合唱し始めた。そうだそうだと私も言うし、客席の人も言う。大改革だから、最初のうちはこういう場面があってもいい。これくらいやらないと東京都は変わらない。でもずっとやるのは変だし、続きません。今まで起きたことは全部正しいと思っています。Q:「改革屋」を自称する上山さんが目指すことは。A:官から民へ、そして国から自治体への分権化です。役所の仕事のうち、株式会社や財団など独立した経営組織に任せた方がいい分野はまだまだ多い。Q:なぜですか。A:独立したら、当事者もやる気が出るし、楽しいからです。効率もサービスも良くなります。 分権化とは、中央集権体制の見直しです。産業構造も各地域に合ったものにしていく。だから、私は一番自立できそうな大阪の改革を手伝ってきました。中央政府が全国を引っ張る仕組みは、もう時代遅れです。(聞き手 編集委員・刀祢館正明) ◇上山信一:57年生まれ。運輸省、マッキンゼー社などを経て慶応大学教授。大阪府・大阪市特別顧問も。著書に「『行政評価』の時代」など。ウン 元官僚の上山さんだけに、都政の病巣をよく把握していると思うのです。それから小池知事の緊急処置のようなコストカットを正しく評価しているのが、ええでぇ♪東京都は変わるのか上山信一2016.12.21 この記事も 朝日のインタビュー記事スクラップR2に収めておきます。
2016.12.22
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31日の報道では、小池さんを支持する人が85%との調査結果が出ているそうです。すごいやんけ♪昨今の豊洲市場設計変更疑惑や、オリンピック施設見直しに対する小池知事の動きは、大使も大いに賛同しているのですが・・・朝日の次の記事が気になるのです。2016年10月31日小池塾、都議会自民に照準 側近は「圧力かけ続ける」より 東京都知事の小池百合子氏は30日、自ら塾長を務める政治塾「希望の塾」を開講した。全国から4827人が応募し、選考の結果、2902人が入塾した。「政治を学ぶ場の提供」を目的に掲げるが、来年の都議選の候補者養成や「小池新党」の布石との見方もあり、都知事選で争った自民党には警戒感が広がる。かつての古巣でもある自民党に対して、喧嘩をふっかけるかのような小池さんの鼻息はあらいが・・・かつて橋下さんが仕掛けた政治塾や新党は今では落ち目ですね。たしかに、小池さんは橋下さんよりは度量が上だと思えるのだが・・・・はたしてどんな第三極を狙っているのだろうか?
2016.11.01
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小池新都政が発進したが、スタート直後から豊洲市場移転問題、オリンピック施設のドンブリ勘定など、叩きがいのある懸案が待っています。それにしても、小池さんがこれほど、核心を見抜く洞察力、スピード感のある行動力を持っているとは予想外でおました♪自民党、民進党を追う第3の党を目指すのか?・・・・凄い隠し玉なのかな?昨今のメディア報道に接して、つい怒りのツイートを発した大使であるが・・・該当ヵ所を集めてみました。@とにかく、公開の専門家審議会を開いて得た結論などを無視すとは、納税者をバカにしているとしか思えないわけで・・・都政が国政の手法を真似していて、国政の劣化を後追いしているのが良くない!@豊洲市場移転では400億円増額再入札時に、99%落札となる官製談合があったようです。こういう既存システムの解明、改革に小池・新都知事の手腕が期待されています。@豊洲市場移転のドタバタであるが・・・箱物建築の際に、官製談合があったようですね。それから都政であるが・・・上にいくほどアホで無責任になるところなど、旧陸軍と同じ構図が見えますね。@NEWS23で豊洲市場移転を報じているがナウ、400億円の事業費UPの裏に談合の疑惑があるとのこと。また、都が出してくる資料は全面的に黒塗りとなっているということだが、これは官製談合があるということか?@森組織委員会会長と小池都知事のバトルが始まったが・・・オリンピックの費用が当初の4倍になるというドンブリ勘定が問題なんでしょうね。予算にシーリングを設けなかった黒幕は誰か?@豊洲市場移転先の地下水脈の水質調査の結果は、ベンゼン、砒素が基準値オーバーとのこと。・・・・ということは、盛り土うんぬんよりも、豊洲市場移転先が食品関連施設には適しないということになりますね。都の担当者は知っていたと思うけど。@豊洲市場移転の盛り土方針無視について、都の調査では責任者不在とのこと。・・・「むかし陸軍、いま都庁」の観があるで。@NHK報道によれば、h22年にモニタリング空間という言葉が公に出ていたそうです。つまり、盛り土しても地下水汚染の恐れありとの認識があったのだろうが、専門家審議会の決定との不一致について考えが及んでいないようです。モニタリング空間というアイデアは、地下水汚染を危惧する技術系職員から出ているのだが・・・盛り土という専門家審議会の結論を軽視するアイデアであり、都民に対する背信にも当たるのだが、都職員にはその危機感が欠如していたようですね。30日の朝日で、小池知事会見を見てみましょう。2016-09-30豊洲問題で誤った説明「恥ずかしい状況」 小池知事会見より 東京都の築地市場(中央区)が移転する予定の豊洲市場(江東区)の主要施設の下に土壌汚染対策の盛り土がない問題で、小池百合子知事は30日の記者会見で、「責任者を特定することは難しい」とする調査結果を発表した。「今回の事態を招いたのはガバナンス(内部統制)と責任感の欠如」と厳しく批判。巨大組織に構造的な問題があるとして、縦割り打破などの組織改革に取り組む方針を示した。 会見では、都の調査チームがまとめた自己検証報告書の内容を小池氏が説明。いつ、どの時点で誰が盛り土をしないことを決めたのか▽なぜ、都議会や都民への説明責任を果たせなかったか、の2点を最重要ポイントとして挙げた。 盛り土なしの決定については、2008年の技術部門での内部検討から、13年2月の実施設計完了にかけ、五つの段階で決まった過程を示したが、責任者は特定できなかった。都民への説明責任の欠如は、土壌汚染対策の土木担当と建物の建築担当の縦割りによる連携不足や、ずさんな引き継ぎなど、組織運営に不備があったとした。 この結論に小池氏は「いつ誰が、という点は、ピンポイントで指し示すのは難しい。流れの中で、空気の中で進んでいった。それぞれの段階で責務が生じる」と述べた。敷地全体に盛り土をしたとの説明を続けたことは「誰も気づかず、チェックさえなかったという恥ずかしい状況」とした。 小池氏に続き、地下空間を設ける設計を進めた11~12年当時の中央卸売市場長だった中西充現副知事や岸本良一・現中央卸売市場長らが会見し、謝罪。2人は「盛り土の上に建物があると思っていた。理解が足りなかった」と述べ、部門トップとして「責任を痛感している」と繰り返した。フンフン、黒幕は中西充現副知事や、岸本良一・現中央卸売市場長と特定できるのか・・・あとは、小池・新知事の決断にかかっているのだろう♪
2016.10.01
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図書館に予約していた『日本戦後史論』という本をゲットしたのです。まつこと半年か・・・この本の論調は陳腐化してないどころか、ますます日本の病癖を指摘して止まないようです。戦後70年の必読書!というキャッチコピーにも納得でおます♪【日本戦後史論】内田樹×白井聡著、徳間書店、2015年刊<商品の説明>よりこの国はなぜ今、戦争ができる国になりたがっているのか? 右傾化する日本と世界、親米保守という矛盾、領土問題の本質、反知性主義ともいえる現状……。この国が来た道、行く道を、『日本辺境論』『街場の戦争論』などの内田樹氏と『永続敗戦論』で大注目の論客、白井聡氏が縦横無尽に語りつくす。「敗戦の否認」という呪縛や日本人に眠る「自己破壊衝動」など、現代日本に根深く潜む戦後史の問題の本質をえぐりだす。戦後70年の必読書!<読む前の大使寸評>団塊の世代もこの歳になれば、「戦後史とは何だったか?」と思うわけです。<図書館予約:(7/27予約、1/19受取)>Amazon日本戦後史論この本の「はじめに」は白井さん、「おわりに」は内田先生が受持っています。長文の「はじめに」の一部を以下に紹介するが・・・なんか白井さんの決意表明のような厳しさがあります。<はじめに>p4~7 ところで、政治哲学の世界では、「愛国主義」とか「愛国心」と訳される言葉には、二つのものがあると言われてきました。一つは、パトリオティズムであり、もう一つはナショナリズムです。両者の違いについては盛んに論じられてきましたが、多くの場合、前者は「自然なもの」、後者は「操作されたもの」と受け止められています。言い換えれば、前者は「下から」、「民衆の生活から自然に湧き上がる郷土への愛」がそのまま拡大したものとして捉えられるのに対し、後者は「上から」、「国家のエリートが作為的につくり出し、民衆に押しつけることで彼らを時の政府に対して従順にさせ、他国民への傲慢な優越感を植え付ける企み」として捉えられます。 ですから、簡単に言えば、パトリオティズムは善きものであるのに対して、ナショナリズムは悪しきものだとされます。「愛国心は、ならず者の最後の避難場所である」という有名な警句がありますが、これは後者の意味での「愛国」を指したものと考えられます。愛国心をかさに着たならず者が、政府に従順でない人々を非国民・売国奴呼ばわりし、したい放題をするという光景は、洋の東西を問わず、数多く観察されるものです。 しかし、このように二つの愛国主義が概念としてきれいに切り分けられるとしても、両者を実際に区別するのは簡単なことではありません。誰でも、自分が慣れ親しんだ自然環境、風土、食べ物、そして人々等に対する愛着を持っているでしょう。こうした心情が郷土愛と呼ばれ、その拡大版がパトリオティズムだと言われます。(中略) 以上のような事情から、政治を学問的に取り扱う際に、愛国主義は大いに危険視されてきました。20世紀前半の二つの世界大戦においては、人々が熱狂的な愛国心に駆り立てられることで未曾有の規模での殺戮が行われた事実がある以上、こうした警戒感が強くなったのは当然のことでした。それゆえ、20世紀後半の人文・社会科学は、ナショナリズムとしての愛国主義に対する批判的解明の作業を進めることにもなりました。 これらを踏まえたうえでなお、内田さんと私の対話は愛国主義を打ち出すものとなりました。その理由は、一つには、ならず者たちの愛国主義がしょうけつを極めているという事情があります。 上は内閣総理大臣から下はヘイトスピーチの市民活動家に至るまで、郷土への愛着は何ら感じられない一方、幼稚な戦争趣味と他国民への攻撃性だけが突出した悪性のナショナリストたちが、愛国主義の旗印を独占しています。これらの輩が、愛国者面をした単なるならず者であることを徹底的に暴露しなければなりません。 もう一つの理由は、先にも述べたように、私たちは今当事者として、この国で起きている問題(原発の問題はその筆頭です)に、正面から取り組まなければならない、ということです。それは、人類ないし地球全体といった普遍的なものに対する義務でもあります。 私たちの国土に対して絶大な愛着を感じる存在は、例えばドナルド・キーン氏のような少数の例外者を除けば、日本に暮らしてきた私たち以外にはいません。私たちが当事者としての無限責任を負わないなら、地球の一部としてのこの国土は、ならず者たちによって使い尽くされた後、見捨てられ、最終的には打ち捨てられることになるでしょう。ですから、「この国土」に愛着を持つ「この私たち」こそが、その自然を、その社会を死守する主体にならねばならない。内田先生が、安部政権の劣化をからめて、戦後史を見直すことの意義を語っています。<戦後史を見直す動きは時代の要請>p19~21 僕の父親たちの世代がそうですけれど、「負けてよかった」という気分がどこかにあった。馬鹿なやつが威張らなくなって、平和と民主主義の国になった。貧しいけれど、ずいぶん明るい社会になった。だったら、それはそれでいいんじゃないか。 「なぜ負けた」という問いは、どこかで「次は勝つ」というマインドに接合します。「次はアメリカに勝つ」ためにという真剣さがなければ「なぜアメリカに負けたか」という問いは前景化しない。でも、戦中派には「次は勝つ」というような気分はまったくありませんでした。 ナショナリストたちにさえまったくなかった。だって、右翼の巨魁たちは次々とCIAのエージェントに採用されてしまったんですから。「負けてよかった」という楽天的なマインドと、「なぜ負けたか」を追求する主体がどこにもいなかったという現実の帰結として、敗戦経験を正面からクールかつリアルに総括するという事業が70年にわたってネグレクトされてきた。そういうことだったと思います。「もう戦争の話はいいじゃないか。済んだことなんだから」という当事者たちの嫌気によって、ほんとうは何があったのか。どうしてこれほど負けたのか。日本人はこの戦争で何を失ったのかといった一連の問いが問われぬままに放置されてきた。 でも、いくら「なかったこと」にしても、現に「あるもの」はそこにあり続ける。日本は敗戦の経験を正面から引き受けることを怠ったために、アメリカの従属国でありながら、主権国家のようにふるまっているという自己欺瞞から抜け出せないでいる。その事実を白井さんのような若い鋭利な知性が、「これはおかしい」と指摘するようになった。 「身内の恥」を当事者たちはふつう言挙げしません。口に出して、ようやくかさぶたができた傷口をこじ開けて、塩を擦り込むようなことはしない。でも、当事者ではない世代は「これはおかしいでしょ」ときっぱり指摘してくる。これはある意味で自然な過程なんだと思います。 ドイツでもフランスでもイタリアでも、敗戦の全面的な総括はやはり敗戦直後にはできなかった。かなり長い時間が経って、「その話はなかったことにしてくれないか・・・」という世代が退場した後に、はじめて「この負け方の総括、おかしいじゃないですか」という世代が登場してきた。「戦勝国」フランスでも、対独協力したヴィシー政府についての歴史学的な研究が始まるまでには戦後40年という歳月が必要だったんです。 日本ではようやく戦後70年が経ってから、「あの戦争で日本は何を失ったのか。失ったものをどうやって隠蔽してきたのか」という問いが立てられるようになった。そういうふうにして見ると、集団の英知の総量というのは時代によって変わるわけではないと思います。ただ残念なことは、白井さんたちが登場してきたにもかかわらず、安部政権誕生以来の2年あまりで戦争責任や敗戦責任をめぐる政治的言説の質はますます劣化しているということですね。内田先生と白井さんが対米従属を語っています。<対米従属が生きる道と信じる人たち>p39~41内田:戦後日本の国家戦略は「対米従属を通じて対米自立を果たす」という大変にトリッキーなものでした。何度もあちこちで書いていることですけれど、僕はこれを「のれん分け戦略」と呼んでいます。丁稚が手代、番頭、大番頭と出世して、ある日大旦那さんに呼ばれてこう言われる。「お前も長いことよく忠実に仕えてくれた。ありがとうよ。これからはもう一本立ちして、自分の店を持ちなさい。明日からはお前も一国一城の主だ」。 そういう展開を日本人はアメリカに対して期待しているんです。政治家も官僚も学者もメヂアも。みんな、そう信じている。 これはあるいはかつて中華皇帝に朝貢していた華夷秩序の辺境国として、身にしみたマインドなのかもしれません。宗主国に対して「従順なふり」をしていると「いいこと」がある。臣下の礼を取っていると、中華皇帝からさまざまな下賜品が下され、「王」の位を賜り、自分のいるあたりの辺土は自治して構わないという一札が頂ける。そのコスモロジーがいまだに日本人の中にはしみついている。白井:ところが困ったことに今はグローバル資本主義の時代になって、周縁的領域だからどうでもいいやというふうに放っておいてはくれません。やれTPPに入れとか、司法制度をアメリカ流に改革しろだとか、無茶なことを押し付けられる。 日本の有権者を見ていてほんとうに唖然・呆然とすることが多いんですけれども、2年前の選挙のときもTPPについて「聖域なき関税撤廃ということになったら、われわれは交渉から撤退する」と自民党は公約した。こんなスローガンを信じる人間がこの国にはたくさんいるということにあらためて衝撃を受けました。 今まで自民党が公約をどう扱ってきたかを見れば、公約が守られないのは自明です。かつて「大型間接税は導入しません」と言いながら、選挙が終わったとたんに「消費税をやります」とかありましたね。間接税は国内の問題に留まっているわけですが、TPPは国内に留まらない。アメリカの帝国主義のお先棒を担ぐことを自民党がやっているわけです。(追って記入予定)
2016.01.25
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高速増殖炉「もんじゅ」については、規制委員長から日本原子力研究開発機構に管理能力無しとの勧告が出されたが・・・六ヶ所村の再処理工場の試験運転は、今どうなっているんだろう?ということで、日本原燃のHPを覗いてみたのです。再処理工場アクティブ試験の概要より■再処理工場の試験運転とは・・・? 再処理工場では、操業を開始する前にいくつかのステップを踏んで、次第に実際の運転に近づけながら段階的に試験運転を行っています。 これらの試験では、機器の動作や性能の確認などを行い、あわせて機器などの不適合や故障を操業前に早期に見つけ出し、手直しを行います。また、試験を通じて、運転員や保修員の技術力の向上、運転手順書などの充実を図っています。 なるほど、アクティブ試験の段階で足踏みあるいは難渋しているようですね。核燃料サイクル事業は、破綻寸前という有様のようですね・・・・まさにトイレの手当てが無い中の原発再稼動ということのようです。
2015.11.20
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『イスラム国』の著者ロレッタ・ナポリオーニさんがインタビューで「一種の偽装国家、実態以上の存在に」と説いているので、紹介します。図書館で借りた『イスラム国』が良かったので、過去に遡って、この記事を読んでみたのです。(ロレッタ・ナポリオーニさんへのインタビューを3/18デジタル朝日から転記しました)日本人人質2人が犠牲になるなど、残酷な行為によって私たちの目を引くようになった過激派組織「イスラム国」(IS)。だが、その破壊的な側面にだけ目を奪われていると彼らの本質を見失うと指摘する論者が欧州にいる。日本は、そして国際社会は、どうISと向き合うべきなのか。考えを聞いた。Q:あなたは、国家建設をめざす組織である点こそがISの最大の特徴だと指摘していますね。A:これまでのテロ組織とISとの最大の違いは、地元住民との合意を積極的に形成しようとしている点にあります。客観的に見ても、彼らは地理的に大きな領域を『国家』として経営し、収入を得ています。 例えば『首都』と定めたラッカ(実際にはシリア領内)では、長年の紛争で破壊された水や電気といった社会基盤を整備しています。交易市場を整え、ヤミ市場で不当な利益を得る者が出ないように価格を監視しました。児童へのポリオワクチン接種も実施しました。ある種の近代性を持って、統治にあたっているのです。 だからといって、彼らに国家として正統性があるわけではありません。でも彼らと戦おうというのなら、正確な定義が必要です。一種の『擬装国家』である面は見逃せません。武装組織が『国』を作ろうとした先例として、かつて私が調査した中では、パレスチナ解放機構(PLO)がありますが、ISは今、より大きな地域を支配しています。Q:ISはイスラム法に基づく法廷も設立しました。A:紛争下で法と秩序が消え、正義を求め、不満を申し立てる場がなくなってしまったからです。イスラム法の厳格な適用は多くの人に確かに残酷と映ります。例えば殺人で有罪となった者の磔(はりつけ)。ただ、実際にイスラム法に規定された刑罰です。 ■ ■Q:そもそも何がISを生んだと考えていますか。歴史的にみて、欧州列強による植民地支配に責めを負わせる声もあります。A:中東の地図が西欧列強によって書き換えられたことは、この地域では誰もが指摘することです。西洋の利益で引かれた国境線は、中東の人々の利益は反映されませんでした。 だからこそISは、植民地支配に根ざした国境の破壊を目標に掲げたのです。もちろん、国境線を流血によって引き直すのは正しくありません。でも『アラブの春』が結局失敗に終わり、政治的分断が起こった中東では、民主的手段による変革が事実上成功しなかった現実があります。その落胆が中東の民衆のIS建国への期待につながりました。 ISにとっては2010年、イラクで存亡の危機に直面した際、紛争が起きたシリアへ向かったことが転機となりました。私は、シリアでISに代理戦争を戦わせようとアラブ諸国、特にサウジアラビアが陰で資金を出したとみています。そうした国にとって、今やISはフランケンシュタインとなりました。Q:ISによって日本人の人質も犠牲になりました。事件を巡る日本政府の対応をどう見ますか。A:文明社会のルールに従って行動し、なおかつ身代金を支払いたくないというのであれば、人質が殺されるのを防ぐ方法が必要でした。身代金を支払わないという決定は、世界中のあらゆる国がそれに従うのなら効果があります。しかし現実には、例えばイタリア政府は支払っていると報じられています。そうした政府が表立って認めることは決してありませんが、人命には値段が付けられないから最後に支払うケースが出てくるのです。 ISは純粋な経済的必要性というより、対IS有志連合の弱点をつく目的から身代金を要求しています。身代金を支払った国の人質は解放され、そうしなかった日本の人質は犠牲になる状況を作ることで、有志連合の弱さ、不公正さを見せつけようとしています。 そもそも、日本人がISに拘束されたことが分かっていたのに、安倍晋三首相がなぜIS対策として2億ドル拠出を表明したのか。私には理解できません。率直にいって、大きな政治的過失だったと思います。Q:安倍氏が表明したのは人道支援で、それを問題視するのは筋違いではありませんか。A:真に人道的なことをしたいのなら、シリア難民受け入れを表明するとか、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に支援をするとか、ほかの道があります。民主的な選挙で選ばれた政府に代わってできたエジプト軍事政権の前で、資金拠出を表明する必要はありませんでした。 安倍首相はISの政治的な能力や知識を過小評価していたのではないですか。ISにとって、日本人人質事件は自分たちの力を世界中へさらに売り込む手段でした。日本国内でもISへの感情的な反応が生み出され、彼らにとっては驚くほど都合の良いPRになったのです。Q:格好のタイミングで、日本もISに利用された、と。A:身代金要求は挑発であり、挑発を受けた段階で、日本政府にできることは何もありませんでした。最初は『72時間以内に2億ドル』という要求でしたが、そんな大金をそんな短時間に支払うことはそもそも不可能でした。パイロットが犠牲になったヨルダンは紛争への一層の関与を余儀なくされ、今やエジプトもそうです。ISは、中東全体に戦闘の混乱が広がることを望んでいるのです。混乱に乗じて自分たちの権力基盤を確立できるからです。 ■ ■Q:事件を受けて、日本は今後どう進むべきだと考えますか。A:最善の道は局外にとどまることです。2人の人質を殺されたことは悲劇ですが、私なら報復はしません。ISを巡る状況を作ったのは、日本ではなく、私たち欧州と、その同盟国で、イラクに侵攻した米国なのです。欧米が始末をつけなければならない問題です。 ISへの対抗姿勢を明確にした人道支援表明の背景に、安倍氏の憲法改正への意欲があったという理解が国際社会に広まっています。首相は日本国民の代表としてそこにいるのであって、独裁者ではない。国民の総意に基づかずに、どんな形の関与も表明するべきではなかったのです。これまでなら、政治責任が問われたのではないですか。Q:欧州でも、イスラム国への恐怖は最近、格段に高まりました。A:ISのローマ侵攻を心配する報道までありますね。私たちは欧州でISができることを過大評価し、中東での脅威を過小評価しています。実際にすべきこととは正反対です。 私たちがISが残酷な組織だと強く感じるのは、初めてソーシャルメディアを通じてそれを見せられているからでもあります。フェイスブックやユーチューブは、ごく最近の現象で、ISはそれらをフルに活用する最初の過激派組織になりました。 残酷な映像を見せられれば見せられるほど、彼らを絶対的で大きな存在と感じてしまいます。映像が彼らの持つ力を実態以上に増大させる。彼らはそういうメディアの性質をよく理解しています。だからこそ私たちはISの幻想を解体する作業を始めなければならないのです。 実際の脅威は中東にあることを見つめ直す必要がある。空爆を実施していますが、一般市民が犠牲になります。子供が1人死ぬごとにIS加入志願者が10人増えるでしょう。 ■ ■Q:国際社会全体が考えねばならないことも、その点ですか。A:出発点は、空爆をはじめとする軍事介入は無効だという認識だと思います。欧州を守るため、中東での『新たな植民地支配』を試みようとしても、それは地上軍部隊を現地に派遣し、今後30年は駐留を続けることを意味します。現実には欧米の世論は決して受け入れません。 中東のことは中東の人々にまかせることです。彼ら自身に政治変革の方向決定や地図の書き直しを委ね、そして中東の政治的再編を認めようとするべきです。例えばエジプトで再び政変などが起きた場合、2年前、軍事政権を支持したような動きを二度としてはなりません。 ISに対して、19世紀のような古典的な秘密外交が必要でしょう。外部に知られることのないように、IS支配地域で支持に回った部族勢力などとひそかに関係を築き、ISがどう動こうとしているか着実に把握するのです。ISは極めて狡知で、メディアの扱いもたけている。そのように動いて初めて、封じ込めに近づくことができるでしょう。 *Loretta Napoleoni:ジャーナリスト、対テロ・資金洗浄問題コンサルタント 1955年ローマ生まれ。米英で経済学、国際関係論を学び、テロ組織を研究した著作を発表。近著「イスラム国 テロリストが国家をつくる時」(文芸春秋)。<取材を終えて> ISに対して、日本は局外にとどまるのが最良の選択、とナポリオーニ氏は断言する。その根底にあるのは長年対テロ専門家として、過激派組織を主に資金調達という下部構造の面からみてきた客観的視点だ。実際にはすでに関与は不可避とも思えるが、軍事介入への加担に前のめりに傾斜するのも、後ろ向きに弱腰になるのも、いずれも感情にとらわれた対応であり、上策ではないだろう。固定概念やイメージにとらわれず、ISを冷静に見つめ直す出発点として、耳を傾けるに値する。(ヨーロッパ総局長・梅原季哉)国際ジャーナリストでもあるナポリオーニさんから見ると、日本人人質事件で示した安部さんや日本政府の不手際が一目瞭然だったようです。あまつさえ、独裁者と非難されては・・・安部さんも形無しでんな。IS 本質を見極めるロレッタ・ナポリオーニ2015.3.18ナポリオーニさんの『イスラム国』という本を先頃読んだのだが、なかなのジャーナリストだと思うのです。【イスラム国】ロレッタ ・ナポリオーニ著、文藝春秋、2015年刊<「BOOK」データベース>より対テロファイナンス専門のエコノミストが放つまったく新しい角度からの「イスラム国」―。多頭型代理戦争の間隙をつき、領土をとり、いち早く経済的自立を達成した「イスラム国」は、テロリストがつくる史上初めての国家となるのか?<読む前の大使寸評>「イスラム国」の自爆トラック作戦に、クルド人部隊も苦戦しているようです。今後のシリア戦線の行方は、展望が開けるのか?<図書館予約:(2/25予約、7/29受取)>amazonイスラム国イスラム国byドングリこの記事も 朝日のインタビュー記事スクラップに収めておきます。
2015.08.18
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ロシア高等経済学院教授、アレクセイ・マスロフさんがインタビューで「不一致まだ見えぬ若夫婦のようだ、各所で駆け引きも」と説いているので、紹介します。中国と同床異夢のようなロシアは、なかなかしたたかです。・・・大丈夫?安部さん。(アレクセイ・マスロフさんへのインタビューを6/10デジタル朝日から転記しました) ロシアと中国の動きを念頭に、「力による領土拡大を許さない」ことを確認した主要7カ国首脳会議(G7サミット)。片や、中ロの最近の結びつきは「蜜月」とも呼ばれる。だがモスクワの中国専門家、アレクセイ・マスロフ氏は、両国の連携の底に潜む同床異夢の側面を指摘し、日本にロシア外交の再検討を迫る。《モスクワで5月に開かれた「対ドイツ戦勝70周年」記念式典には米欧日の多くの首脳が出席を見送る一方、中国の習近平国家主席が出席した。 中ロ首脳会談では、西シベリアから天然ガスを中国に供給する計画を進めることや、モスクワとボルガ川沿岸を結ぶ約800キロの高速鉄道建設への中国の協力などが決まった。その後、地中海では、中ロ艦隊による初の合同軍事演習も実施された。》Q:中ロの結びつきは、最近一層深まってきたように見えます。A:今日のロシアと中国には共通の目的、志向がたくさんあることを、まず押さえるべきです。それは世界の最強国と同列に立ち、それらの強国に自分たちの要求を押しつけたいという願いです。 ロシアの多くの外交専門家たちは最近、G7を『去り行く20世紀の遺物』と位置づけ、中ロとインド、ブラジル、南アフリカでつくるBRICS首脳会議などこそが『21世紀の機構』といいます。現在の中ロはいわば、新婚間もない、お互いの『性格の不一致』もまだよく見えていない若夫婦のような状態だとも言えるでしょう。Q:やはり蜜月関係ですか。A:内実をよく見なければなりません。中ロの良好な関係は何よりも経済分野で顕著ですが、その基本は依然、ロシアの石油、天然ガスの対中輸出です。ロシアは国内の先端技術や新規製造業を盛んにするための協力拡大を望んでいますが、進展は見られない。 天然ガスは、中国への供給価格の交渉が難航しています。中国は中央アジアのトルクメニスタンからもガスが買えるので割高な価格で急いで合意する必要がないし、ウクライナ危機の影響もあって欧州向け供給量が減ったロシアの足元を見ています。石油も、中央アジアで中国に最も近いカザフスタンは中国に安く売る姿勢を見せます。こうした環境で、中国は『より友好的な価格』などの優遇をロシアに求めているのです。Q:欧米との関係悪化後、プーチン大統領は「ロシアは東を向く」と語りましたが。A:中国は『ロシアは中国を向いた』と受け取りました。しかし、ロシアにとって『東』とは、日本、韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国も指しています。中国は『ロシアのガスと石油は中国だけに』という考えですが、ロシアは日本も含め、東方で協力してくれるすべての国にガスや石油を売りたいのです。 ■ ■《中国の習指導部は、今後の大きな外交戦略として、陸と海のシルクロード経済圏構想「一帯一路」を打ち出す。ロシアとかかわるのが、中国の資金によってアジアと欧州間で内陸部の輸送インフラなどを整備する構想だが、ロシアはこれに全面的に参加する意向までは示していない。》 シルクロード構想の本質は、中国の立場を強める政策です。中国は多くの国々を、自分たちの政策実現のためのコマと見なしています。中国が新しい輸送網創設のために投資をすることは、多くの国にとって利益ではありますが、それらの国々が中国に完全に従属してしまう恐れもあります。 ロシアにもベラルーシ、カザフスタンなど旧ソ連圏の国々との間で経済統合を進める構想があります。主な目的は先端技術を中心にした製造業や繊維工業、畜産業などの再生ですが、ロシアは2000年以降の原油高騰で得た潤沢なお金をこれらの分野に投入するのを怠り、後れをとりました。片や中国はこうした分野が強力です。だから中国に主導権を握られることのないよう、シルクロード構想には全面的に参加せず、連携にとどめるという、複雑な対応をとっているわけです。 ■ ■Q:経済的利害を巡る中ロのさや当ては分かりましたが、政治面はどうでしょうか。5月のモスクワでの式典出席でも、米欧と新興国では対応が分かれましたが。A:世界に新たな二つの陣営が形成されたとは言えないでしょう。ロシアは米欧との協調から離れ、『ロシアの側』にあると見なす『極』を束ねて米欧に対抗する政治モデルに戻ろうとしています。しかし、中国が完全に『ロシアの側』かといえばそうではない。中国は非常に柔軟で、米国とも、貿易や技術協力での関係強化に積極的に努めています。Q:ロシアによるクリミア併合も、中国は承認していませんね。A:中国はクリミア問題から賢く距離を置いています。新疆やチベットなど多くの地域で分離主義の問題を抱えているため、独立や分離の動きを刺激しかねない問題を恐れているのです。Q:でも中国は歴史認識問題でロシアとの共闘に熱心です。A:中国は、日中戦争が第2次世界大戦の一部だったことを改めて明示したいのです。大戦で中国が果たした役割や大戦の勝者だったことを、世界はほとんど忘れてしまっている。それを世界に思い出させるためには他の大国の支持が必要で、それがロシアなのです。 実際に日本に勝ったのは国民党政権です。共産党の役割は相対的には大きくありませんでした。ただ、国内の経済格差など多くの問題に加え、日本やベトナム、フィリピンとの領土紛争が山積している状況で、習指導部は国民統合を強化する必要があります。日本を引き合いに出して『共産党の指導で戦争に勝った』と改めて国民に示し、政権の正統性を固めようとしているのだと思います。 プーチン氏は中国の政治ゲームのおもちゃになりたくありません。5月のモスクワでの式典も、世界各国に共通する歴史的な勝利を祝いつつ、欠席した国の首脳を批判しない態度を保ちました。 ■ ■Q:政治面でも中ロの利害はぴったり一致しているわけではない、と。こうした状況に、日本はどう対応するべきでしょうか。A:ロシアは極東などに数十の特別発展地域を設け、進出企業の税金を減免しています。優遇は日本企業に対しても同じですよ。たとえば極東で食料を日ロで共同生産して、大需要が見込める中国に売るプランもありうるでしょう。 ロシアの政府や経済界には、日本が非常に可能性のある協力相手で、対中関係での重しになるとの見方があります。プーチン大統領はいま、『ロシアが中国の政策の一部になってしまった』と国内から批判を受けています。日本が独自のプランをもってロシアに進出するなら、プーチン氏にとってはそんな批判をかわすことにつながる。それは重要なことです。Q:日本との関係強化のため、ロシアは北方領土問題で譲歩をする用意があると思われますか。A:ロシアの社会を覆う愛国心の高まりを考慮しなければなりません。領土問題を前向きに解決する意味を、あらゆるロシアの社会層が正しく理解するためには、日本のことを信用のおける長期的な協力相手と見なせるような、信頼関係の醸成が非常に大切です。 経済、文化、科学、教育などの分野で両国の接触をもっと強めるべきです。歯舞、色丹や国後での共同経済協力の提案をしてもよい。極東のハバロフスクでも、こうした協力は可能です。協力が着実に成果をあげれば、『お金のために島を渡した』などと、プーチン氏は言われずにすみます。 信頼醸成という観点から見ると、安倍晋三首相のウクライナ訪問は時宜にかなった動きとは言えません。ロシアは対中関係を強化していますが、アジアに別の協力者も求めているのです。安倍氏のウクライナ訪問は、ロシアの発展の方向をもっぱら中国とのきずなに求め、日本との接近に反対する人々を利してしまいました。 いまや中国の力は、ロシアよりずっと強い。もし極東の日本や韓国から企業進出や政府の協力がこず、ロシアを支援しないなら、中国はロシアの極東、シベリアの資源を簡単に得て、世界最強の大国になる。そんな状況が日本の利益にならないことは明らかでしょう。ロシアの中国傾斜を和らげる視点からの、バランスに配慮した外交が大切だと思います。 *Alexey Maslov:1964年生まれ。モスクワ大学で中国近現代史を学ぶ。専攻は中国文明論・現代史。中ロ学術交流で要職も務めている。<取材を終えて> 「ロシア少林武術連盟会長」でもある。少林拳発祥の地、中国河南省の少林寺で25年前から武術を学び、禅の教えも研究。多様な中国人と交流を重ねるマスロフ氏は、ロシアでは異色の中国学者だ。 ソ連崩壊後の中ロ友好の拡大で、ロシアの中国専門家には、現在の中ロ蜜月が強固な戦略的協力関係に発展するとの見方が官民を問わず大勢だ。そんな中、同氏は、中国的思考も具体的に知る立場から、日本の取るべき道を率直に語ってくれた。(大野正美)グローバリズムが生んだ鬼子のような中ロ蜜月であるが・・・その帝国主義的動向をG7がいくら批判しても、ただ空しく響くようです。本来、中ロ日の関係は三すくみであり、剣を持ちながら握手するような緊張感があるわけで、安部さんはアメリカに気兼ねすることなく、毅然と対応してほしいものだ。中ロ蜜月、その内実ロシア高等経済学院教授2015.6.10 この記事も朝日のインタビュー記事スクラップに収めておきます。
2015.06.11
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<台湾、ひまわりの芽は> 元台湾総統府秘書長・邱義仁さんがインタビューで「突然のマグマ噴出、下地に市民の蓄積、民主主義で連携を」と説いているので、紹介します。香港の「雨傘運動」はポシャッたが、台湾のひまわりの芽は育っているようです♪なお、インタビュアーは、大使一押しの吉岡圭子委員となっています。(邱義仁さんへのインタビューを3/17デジタル朝日から転記しました) 台湾の学生たちが日本の国会にあたる立法院を占拠した「ひまわり学生運動」から、まもなく1年。市民社会や中台関係に何をもたらしたのだろう。いまは野党の民進党・陳水扁政権を支えた総統府秘書長を務めた邱義仁(チウイーレン)さんは、戒厳令下で結党を進めた民主活動家でもあった。ひまわりは…Q:1年前、「ひまわり学生運動」はなぜ、起きたのでしょう。A:まず、台湾人であるという認識(アイデンティティー)の高まりと、国民党・馬英九政権の『親中』路線との衝突があります。政治大学選挙研究センター(台湾)によると昨年、自分は台湾人だと考える人は6割、中国人でもあり台湾人でもあると考える人は3割でした。10年前は後者が5割近く、前者は4割程度だった。ちなみに20年前には4人に1人が中国人だと考えていましたが、いまは4%足らず。台湾に住み、その土地や社会に愛着を感じる人が増えているのです。 一方で、2008年からの馬政権は中国との間で経済を中心に20を超える協定を結び、閣僚会談を実現するなど政治的にも中国に傾斜しました。でも巨大な経済の中国に近づいて暮らしがよくなったかといえば、庶民は実感していない。むしろ不動産価格や物価は上がっているのに給料は上がらない。格差も広がった。中国に工場も移転している。しわ寄せを強く受けるのは若者です。Q:そこへ、30秒の強行採決。A:多数の議席を持つ与党の国民党が、非民主的な手続きを取ろうとした。これに学生たちの怒りが爆発したのです。不透明な政策決定過程を『黒箱(ブラックボックス)』と批判して民主主義の危機を訴え、多くの共感を得た。学生への差し入れや座りこみに参加する市民もいた。Q:いくら非暴力とはいえ、立法院の占拠には「不法行為」という批判もあったと思いますが。A:彼らは自分の利益のためにやっているわけではないし、そもそも中台間の協定は市民の多くが利害関係者になる。中国への傾斜で民主的な社会が損なわれるのではないか、という懸念も多くの人が感じていた。Q:協定の締結を急ぎ、統一への道筋作りをめざす習近平政権も衝撃を受けていたようです。A:旧ソ連の崩壊にせよ、中東で民主化を求めた『アラブの春』にせよ、若者の情熱が盛り上がるときは突然なんです。物事が起きてから後付けで背景を説明できても、予測はできない。社会にたまったマグマがなんらかの動きで噴出する。今回はそれが『30秒採決』だったのです。Q:学生たちの運動は穏健で、外国メディアへの通訳、医療、通信手段の確保、議場の管理など突然の占拠にもかかわらず周到でした。A:ネットやスマホを使った動員や宣伝はいまの時代の特徴ですが、台湾には市民運動の蓄積があります。私も加わった民主化を勝ち取る闘いを経て、さまざまなテーマで運動が起きています。土地収用や原発への反対、ハンセン病や同性愛などの人権問題……。一昨年には中国と関係の深い企業が台湾メディアを買収しようとし、学生たちの反対で頓挫した。成功したものばかりではないが、市民社会の経験として着実に蓄積しています。Q:台湾の地に「ひまわり」は突然咲いたわけではない、と。A:そうです。たとえば『ひまわり』の学生たちを教える教員は、戒厳令解除後の民主化を求めた学生運動『野百合運動』の世代です。彼らの影響もあるはずです。Q:昨年11月の統一地方選の投票率は67%で、国民党が大敗しました。若者が立候補したり、選挙運動に加わったりしていましたね。「ひまわり」の種が芽をだしはじめた?A:若者の投票率はあがりました。でもその数字自体は特に高くない。総統選は8割近いのですから。台湾はまだまだ若い新興民主主義社会です。戒厳令の解除と民主化が1980年代後半、総統の初の直接選挙は96年。20年もたっていません。政治は変わらないと嘆くより、与えられた権利を有効に使いたいし、使わなければならない課題がある。中国との関係に限らず、議論すべき生活にかかわる身近な問題が山積みです。Q:「ひまわり」のその後は。A:問題を提起するより、解決するほうが難しいものです。中国との関係が絡むとさらに難しくなる。学生たちは民主的な社会の危機や、権力・資本による生活の圧迫を前面に出し、特定の政党色は出そうとしなかった。彼らのなかに意見の違いもあるでしょうし、出さないことで幅広く支持を得たともいえる。ただ、批判だけでは世の中は動かない。運動を継続するには組織化が必須です。Q:政党を立ち上げた学生もいるそうですね。A:組織を動かすには、きれいごとではすまない。政治資金や権力の配分を含めて『政治』をしていかねばなりません。その闘争で私も大いに傷つき、政権を離れてからは農業を4年余りしていた。トマトやカボチャを作った。(起訴されたり、無罪になったりして)体がくたびれなければ、眠ることもできなかった。Q:「ひまわり」の学生たちと同じ年齢のころ、政治家になろうと考えていたのですか。A:大学で哲学を学んでいた私は政治に興味はなかったが、国民党独裁への不満と若者特有の好奇心から民主化運動を手伝い始めた。当時は言論に自由がなく、黒塗りの米ニューズウィーク誌が売られていた。公務員や弁護士になるにも、大陸からやってきた人たちと、私のような台湾出身者の間では差別があった。民進党の結党は86年ですが、政党をつくる動きはそれまで何度も押さえ込まれ、投獄を覚悟でやっていました。Q:高成長を続けていた台湾は、なぜ民主化へ動いたのでしょうか。A:成長によって生まれた中産階級が、自分の利益を守ろうと権利意識を高めたのです。民主化への動きは時間の長短だけで、他の道はない。Q:中国は経済発展を遂げたいまも、言論の自由や政治活動を厳しく制限しています。A:中国にも民主を求める人たちはいるでしょう。逮捕されるか、それがいやだから心に秘めているか、国外に出るか。はっきり見えないかもしれませんが、中国社会は経済成長を経て変わっていくし、人々の意識も変わりつつある。日本はアジアの民主化された大国です。中国にせよ、台湾にせよ、民主的な価値を尊重する人々を応援してほしい。Q:2月に北海道大学であったセミナーで、興味深い光景がありました。「ひまわり」のリーダーの一人である陳為廷さんと、香港で行政長官の民主的選出を求めて金融街を占拠した「雨傘運動」の学生幹部が話していました。陳さんは香港に入ろうとして当局に空港で追い返されたそうですが、日本で会えたのです。A:台湾は、香港の運動に高い関心を寄せています。香港の学生たちの要求はかなわなくても、国際社会が香港に関心を持ち続けるようになれば、大きな成果です。中国は世界の目を意識せざるを得ないからです。 グローバル化が進んで接点が多くなると、逆にそれぞれのナショナリズムがぶつかりあう。これは自然なことです。しかし、民主主義によって育まれる多様な言論は、長期的にみれば過激なナショナリズムを抑えることもできるはず。日本は自らのためにも、中国の民主をめぐる問題に強く関心を持ってほしい。民主主義もグローバルな力でこそ街角に届くのです。 *邱義仁:1950年台湾・台南生まれ。台湾大学哲学科卒、米シカゴ大学政治学修士。3月末までの1年間、北海道大学公共政策大学院客員研究員。■「対大陸」若者の模索、香港でも 香港中文大学准教授・沈旭暉さん 香港の「雨傘運動」に参加した若い世代や、彼らに共感した人々にとって、最大で唯一ともいえる成果は何か。それは、中国大陸の人々とは異なる価値観を持っている、という「香港人であること(アイデンティティー)」を確認しあったことでしょう。独立や分離に言及しているわけではないし、表面上は何も得られなかったように見えるかもしれない。それでも、若い世代の心に永遠に残っていくと思います。 北京の中央政府は、運動を鎮圧するにあたって、大規模な流血事件になることを避けていました。英米など国際社会に干渉されるスキを与えてしまうからです。逆にそれさえなければ、中国との外交・経済関係を重視する各国は干渉しない、という自信を持っているともいえるでしょう。もともと中央政府は、香港のメディアや法律家、文化人などの意識を変えたいと考えていましたから、管理がさらに強まるのではないか、と懸念しています。 台湾の「ひまわり運動」についていえば、台湾人は自らの議会を動かすことで事態を変えられる。一国二制度下にある香港とは決定的に違います。一方で共通点もあります。中国経済の影響力から逃れられなくなっていることと、それにもかかわらず中国人というアイデンティティーを持つ若者が減っていることです。 北京が言論統制やNGOなど市民活動に対する抑圧を強めれば、香港や台湾の若者の心は離れていく。ネット上では双方の若者たちが運動を支持しあい、情報を交換していました。台湾の人々は香港の運動に注目していたことでしょう。昨年11月、台湾の統一地方選で中国寄りとみられた与党が大敗したのも、香港の問題も影響したのかもしれません。 雨傘運動は、中国大陸とどう向き合うか、香港社会に対立を残しました。若者は変革を望みますが、どの社会でも安定を最優先に考える人が多いのは当然です。大陸との関係が固まるまで、この先10年ほどは、規模や形は違っても似たような運動が起きると思います。混乱は続くとみています。 *沈旭暉:1978年生まれ。専門は政治学・国際関係学。著書に「摩擦と協力の米中関係」「中国と世界」(ともに共著)など。<取材を終えて> 陳政権時代には権謀術数にたけた「黒幕」とも呼ばれた邱さんが、闘争に挫折し、農業生活を経て札幌にいる――。青年時代は民主化運動に身を投じていた老練な政治家の目に映る「ひまわり」を聞いてみたかった。政治の表舞台から退いたとはいえ、民進党の視点での発言ではあるが、台湾の「若い民主主義」の激流にもまれてきた静かな迫力があった。 邱さんの学生時代と異なり、高度経済成長をともに遂げた東アジア。その先にある社会の閉塞感もまた、共有している。日本を含めて次の世代には、アイデンティティーを踏まえながら、自らと異なる誰かと交わり、理解しあう想像力が根付くことを願う。(編集委員・吉岡桂子)台湾、ひまわりの芽は邱義仁2015.3.17
2015.03.22
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今回の衆院選には白けた大使であるが・・・この劣化が極まる政治状況について、ネット論調を巡ってみました。渾身の三連発といえる記事を紹介します。・何となく肯定、変わらない日本・地味に汗をかく人少ない 民主党の現状、識者に聞く・地方議員の「成り手」はもはや絶滅危惧種に?***************************************************************************斎藤環さんが今回の衆院選から、日本の選挙、政治を語っているので朝日デジタルより転記しました。…するどい論調に目から鱗が落ちるわけです。2015.1.10有権者を考える 何となく肯定、変わらない日本 斎藤環さんよりQ:さて、今回の衆院選。様々な視点、論点があったと思います。A:『熱狂なき勝利』とメディアは報じますが、日本の選挙が慣性運動というか惰性で動いていることがよく見えました。Q:というと?A:自民党を支持している意識すらないような、選挙になれば自動的に投票してしまうような、無意識レベルの反応。政策も人柄も賞罰も関係ない。強力な地盤と後援会の自動運転。小渕優子さんなんて、その上に乗っかってるだけで何があっても落ちようがない。Q:安倍政権の経済政策「アベノミクス」に対する信任が一応の争点とされていましたが。A:果たしてあれが『政策』の名に値するのかどうか。なんとなく『景気のいい話』が支持されただけではないでしょうか。本当の思想や政策が展開されるべき安全保障や原発の問題が争点にならなかった。いや避けていた。ただ、あえて言えば、『政策というノイズ』が入っていなかった分、社会の無意識がよりはっきり見えた、ということもあったかもしれません。■強い反知性主義Q:イメージできるようで、しにくくもあるのですが、無意識に自民党を支持する層とは、どんな人たちですか。A:私がかねて主張してきた、いわゆるヤンキーと呼ばれる層です。最近はマイルドヤンキーとも呼ばれますが、うっすらと不良性をまとい、地元と仲間の『絆』が大好き。学歴や階層とは無関係に、物事を深く考えない反知性主義が強く気合や勢いを大事にするため、なんとなく現状肯定的。といったところが特徴です。 彼らは、よくも悪くも『今』しか考えない。現政権を強く支持する理由もないけど、現状が『そこそこ』なら、このままでいいんじゃね、みたいな感じで乗っかっちゃう。彼らを動員できたのは『この道しかない』と気合だけは入ってるふうで、中は空虚な安倍(晋三)さんの体質ゆえです。その体質とマイルドヤンキーの親和性の高さが、改めて実証されたという印象です。Q:小選挙区制が導入されて約20年。政権交代が可能な選挙制度のはずでしたが、無意識が働いている以上は難しそうですね。A:二大政党制の基本は、政策の弁証法的な対立と折衝です。しかし日本人は、そもそも政策で政党を支持するという発想が希薄です。2009年に民主党が政権を取りましたが、マニフェストが支持されたというより、自民党におきゅうをすえたいという空虚な熱狂があっただけでしょう。日本人の政治意識は、依然として成熟していない。空気で動いているだけです。■バランスはいいQ:しかし与党で3分の2という議席は、暴走の危険性もはらむ、やっかいな数字です。A:マイルドヤンキーのいいところは、バランス感覚です。知性的ではないが、人情に厚い人情型、情実型保守です。極端な排外主義や好戦性はない。次世代の党が惨敗したのはいい例です。保守化、保守思想への共鳴とは違う。惰性の保守とでも言いましょうか。別に安倍さんが尊敬されてるわけでもないし、憲法改正とか安全保障政策に共鳴しているわけでもない。現状維持がなんとなく支持されたにすぎません。Q:マイルドヤンキーが日本社会で一定のクラスター(集合体)を構成している限り、変わりようがないのですか。A:日本社会を近代市民社会に変えることは、とてつもない難事業と言わざるを得ません。この社会の異様なまでの柔構造ゆえです。表面だけ追随しても深層は一切、変えないための柔軟さを日本人は持っているのです。 外来語をカタカナで採り入れるが日本語の構造はびくともしない。4Kテレビが登場しても、番組の中身は変わらない。二大政党制を導入しても選挙はどぶ板のまま。ネット選挙でどぶ板を変え、たすきで街頭演説、紅白だるま、万歳三唱といった様式性を否定すれば、確実に選挙に落ちる。巧妙に新しい物を取り込むと同時に前近代を壊さないという二重構造が日本社会の特徴です。■成熟望めないがQ:うわぁ。絶望的ですね。A:市民社会への成熟など望むべくもないという絶望というか、脱力感は私にもあります。しかし困ったことに脱力感は安心感でもある。そうめちゃくちゃな方向にはいかないだろうという。自民党が本来の保守ではないと言われながら、21世紀の今も勝ち残っている理由は、まさにそんなところにあるのではないでしょうか。熱烈に支持されているわけでもない安倍政権が、これだけの議席を得たのは、そうした構造に対する支持だと考えれば何となく分かる気もします。 (聞き手・秋山惣一郎) *斎藤環:精神科医 61年生まれ。筑波大教授。専門は思春期・青年期の精神病理学。安倍首相について「ヤンキーに憧れたが、ひ弱でなれなかった」と分析。サブカルチャー、おたく文化にも詳しい。著書に「ヤンキー化する日本」「戦闘美少女の精神分析」など。***************************************************************************次は中野晃一教授の民主党に対するご意見です。2015.1.11地味に汗をかく人少ない 民主党の現状、識者に聞くより 民主党代表選(18日投開票)で、長妻昭元厚生労働相、細野豪志元幹事長、岡田克也代表代行が論戦を繰り広げている。民主党の現状には何が欠け、代表選ではどんなことが議論されるべきなのか。民主党を分析してきた上智大の中野晃一教授に聞いた。■代表選、方向示す一歩に 野党だったこの2年間の民主党は、政権時代と比べて党の体質や組織文化にあまり変化がなかった、というのが正直な感想だ。 民主党の特徴として、問題の所在や原因をリーダー一人に負わせる傾向が強い。縁の下の力持ちをやる人が少なく、党の合意形成に汗をかかない。サッカーで言えば、みんながフォワードをやりたいチーム。それではうまくいかない。 自民党には地味に汗をかく人がたくさんいるのに、なぜ民主党には少ないのか。それは、まさに地味な働きを評価して選挙で支えるような組織文化がないからだ。 また、結党から政権交代まで中心的役割だった鳩山・菅・小沢各氏を「第1世代」とすると、第2世代以降の「主体的に党をつくる」覚悟に疑問を抱く。 民主党政権検証のため、下野後に多くの議員に会ったが、二大政党制を根拠に「自民党に行った振り子はいつか戻ってくる」という楽観的な空気を何度も感じた。第1世代の胸を借りてきた次の世代の人たちには、党を背負う意識や経験がまだ足りない気がする。 しかし、民主党がこのままでいいとは思わない。自民党に対抗できる勢力をつくり、選挙を通じて政権交代を可能にする政治の実現は、1993年以降の大きな実験だった。民主党の消滅は、そのオルタナティブ(選択)政治の失敗を意味する。維新の党については、私は自民党の補完勢力としか見ていない。 日本の政党政治は、かなり危機的な状況にあると言える。3けたに満たない現在の民主党の勢力では、自民党のオルタナティブになり得ず、55年体制時代の社会党のような明確なオポジション(反対)野党も共産党くらいだ。新たな「1党優位体制」の状態だが、日本の民主主義にとって良いはずがない。チェックが働かない政権は必ず腐敗するからだ。その意味でも民主党の責任は重い。 代表選で、党の自主再建か、野党再編かの路線をめぐる議論があるが、永田町の内向きの論理で動いてはいけない。 選挙を戦ううえで、自分たちの新たな支持層をつくる作業が大切だ。自民党のような旧来型の組織選挙でなくとも、やり方はあるはずだ。例えば、市民社会の中には安倍政権の女性政策に反発する「怒れる大女子会」のような動きも出てきているが、ごく一部の議員しかそこへ飛び込んで声を聞くことをしない。民主党は他の野党と比べても、新たな支持層を開拓することに鈍感だ。 安倍政権は株価を重視し、リニアモーターカーをつくり、東京五輪へ突き進むが、すでに成熟した日本が高度成長期に戻るかのような政策が本当に唯一の道なのか。女性が働きつつ子供を産み、育てられる社会づくりに必要な制度や負担は何か。原発事故を経験した我々はエネルギー問題にどう向き合うべきか。議論すべき課題が山積している。 その中で民主党はどんな人たちに寄り添い、どんな未来を描くのか。国民との対話を重ね、立ち位置を明確にする努力が欠かせない。代表選をその第一歩にしなくてはならない。(聞き手・冨名腰隆) *中野晃一:70年生まれ。上智大国際教養学部教授。専門は比較政治学、日本政治、政治思想。シンクタンク「日本再建イニシアティブ」による民主党政権の検証で、プロジェクト座長を務めた。***************************************************************************地方自治報道の星とも言える(誰が言った―それは私です)相川さんのレポートを見て見ましょう。2015.1.06地方議員の「成り手」はもはや絶滅危惧種に?より<無投票が続出し選挙が成立せずの地方選挙の深刻な空洞化現象> 昨年末の総選挙は戦後最低の投票率となった。全都道府県で6割を割り込み、全国平均の投票率は52.66%(比例区は52.65%)に終わった。有権者の政治不信や無関心、諦めなどに加え、一票を投じたい候補者が見当たらないことなどが要因と考えられる。(中略) 2011年の統一地方選を見てみると、選挙が実施された41道府県議会の総定数2330のうち、410人が無投票当選となった。無投票当選率は17.6%で、2007年の16.35%を上回った。無投票の広がりは全国的な傾向で、無投票当選者が出なかった道府県はない。最も多かった島根県に至っては、県議定数37のうち7割を上回る26議席が選挙なしで決まっていた。http(文字数制限により省略、全文はここ)ウーム、地方議員は就活の狙い目とも言えるかも♪
2015.01.12
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米政治学者のフランシス・フクヤマ氏がインタビューで「行き詰る米政治、劇的に進む分極化、リーダーが見えぬ」と説いているので、紹介します。(フクヤマ氏へのインタビューを11/8デジタル朝日から転記しました) 米国の中間選挙で、共和党が上下両院を制した。ただ、米議会の機能不全は変わりそうもない。世界で反響を呼んだ論文「歴史の終わり」から25年、米政治学者のフランシス・フクヤマ氏は、新著「政治秩序と政治の衰退」の中で、米国の政治に警鐘を鳴らす。米国や世界はこれからどうなるのか。米国に求められていることは何か。Q:中間選挙の結果によって、米国の政治は変わりますか。A:行き詰まっている状況は変わらないでしょう。共和党が議会の主導権を握っても、法案に大統領が拒否権を発動した場合、それを再び覆すには、上下両院それぞれ3分の2以上の再議決が必要です。 米国の政治システムは、少数政党がよく組織されていれば、過半数を占める政党の行動でさえ、たやすく阻止できるようになっています。共和党がたとえ大統領と両院をおさえても、なお、大きな法案を通すことは難しいのです。『拒否権政治』といっていい状態です。Q:議会はなぜ機能不全に陥っているのですか。A:米国政治の大問題の一つは、政治家に選挙で献金したり、ロビー活動をしたりする利益団体の影響力が増していること。利益団体はすさまじい勢いで増えている。ロビイストのいる会社の数は、1971年に175だったのが、2009年には1万3700にもなっています。 過去20年、政治の分極化も劇的に進みました。20世紀には、共和党と民主党には、中道の部分でかなりの重なりがありました。しかし今はそれがない。08年以降、予算も可決できず、移民制度改革や銃規制といった大きな法改正は、議会を通りません。多くの米国人は中道的な立場を支持していますが、組織化されていない。一方で、政党や活動家は、とても硬直化し、イデオロギー的に結束しています。Q:米国の覇権や文明は、このまま衰退していくのでしょうか。A:米国の文明そのものが衰退しているとは全く思っていません。米国の民間部門は強力で、革新的です。問題は政府部門にあります。財政の持続性や、人口の高齢化などの問題に直面している。適切なタイミングで政治的に解決できなければ、米国の地位や力を大きく弱めてしまう。Q:オバマ大統領を、どう評価しますか。A:とても失望しています。08年に当選したときには、カリスマ性のあるリーダーのように思われました。しかし、国を治めるための協力態勢を築くという点において、極めて無力な大統領です。彼は、人と個人的な関係を結ぶよりも、大きなスタジアムで2万人の前で演説するほうがよほど得意な人物です。 もっと深刻なのは、オバマ氏が内政に集中し、国外の問題についてあまり関心を持たず、大きな問題にかかわろうとしなかったことです。Q:米国は「イスラム国」に対する空爆を始めました。A:アフガニスタンとイラク戦争で多くの米国人は疲れてしまった。オバマ氏は、もう戦争に巻き込まれたくないという国民感情に過剰に反応し、少しの努力さえすれば良い結果を生むことができたのに、それを避けました。中東に関与する方向にシフトしたのは良いと思います。ただ、私は『イスラム国』よりも、クリミアを併合したロシア、南シナ海や東シナ海などで攻勢を強める中国を懸念しています。地政学的に大きな脅威だと思います。 私は今も、民主主義国家同士は戦争をしない傾向にあると考えています。しかし、世界には、ロシアや中国という強力な非民主主義国家が存在します。今年は、それらの専制国家が領土拡大の野心を示した大きな変化の年であり、地政学がものを言った19世紀や20世紀に逆戻りしてしまったかのようです。 ■ ■Q:ロシアや中国にどう対応すべきなのでしょう。A:抑止策と関与策の両方が必要ですが、国によって対処法は異なります。ロシアには、より大きな抑止力が必要でしょう。中国は、もっと複雑です。さまざまな面で関与を深めることは可能です。中国にとって、アジアで軍事紛争をしないことが国益にかなうからです。ただ同時に、抑止力も重要な要素です。Q:前著「政治の起源」で、中国にはシステムの弱さがあると指摘していますね。A:中国は、世界で最も早く『近代国家』を成立させました。官僚制があって中央集権的で、能力本位で、さほど縁故主義ではない。中国はそうした制度をつくるのが得意です。ただ、そこには、『法の支配』や『民衆に対しての説明責任』という仕組みがない。この二つは、国家を縛り、国家権力が公共的な目的で使われるよう担保するものです。 権力行使に制度的な抑制がきかないため、中国に悪い皇帝(トップ)が出たときには、対処する方法がない。これは歴史的に中国が抱えている問題で、未解決なままです。Q:著書「歴史の終わり」では、自由民主主義が最後に生き残るという主張をされました。中国はいつ民主主義に変わるのでしょうか。A:長期的にみれば、現在の形の中国が持続していくのは難しいでしょう。ただ、いつ民主化するか予測は困難で、遠い先かもしれません。Q:日中関係をどうみますか。A:とても心配しています。日本と中国の指導者が、軍事的な紛争を意図的に求めているとは思いません。しかし、戦争は意図的な挑発がなくても始まるケースが多々あります。 靖国神社の参拝やその他の歴史問題の是非には立ち入りませんが、中国からの脅威が高まっている中で、日本はできるだけ多くの友人を持ったほうがいい。日本が歴史認識を修正しようとすればするほど、友人は少なくなってしまいます。 ■ ■Q:冷戦の終結は、自由民主主義の勝利と思われましたが、専制国家はなくなりません。米国は衰退し、世界はリーダーが存在しない「Gゼロ」になっていくのでしょうか。A:私が強調したいのは、民主主義国家には、自ら問題を修正する力があるということです。なぜなら(専制国家と違って)民衆からの圧力に応えなければならないからです。しかし、自動的に修正されるわけではない。問題に真剣に向き合い、努力をしなければなりません。 『Gゼロ』の世界が不可避だとは思いません。米国は、今もかなり強いパワーを持っているし、世界のあらゆる地域で役割を果たしていくと思います。イラク戦争後に受動的になりすぎていたのを乗り越える必要があります。これはベトナム戦争後にも起きたことですが、時がたつにつれ、必要に応じて世界に関与していくことになるでしょう。Q:その意味でも、米国が改革をすることが大事だと。A:米国で起きることは、世界的にみて重要です。なぜなら、多くの人は、それをモデルと見るからです。米国のシステムが機能しないとなると、中国などの専制国家のモデルの魅力が高まります。アフリカや他の途上国がまねをするようになると、とても危険だと思います。 米国は大恐慌や第2次世界大戦、1970年代といった厳しい時代に、大統領がリーダーシップを発揮し、問題に対処する合意もできました。米国の民主主義は自らを修正してきた歴史があるわけですが、今後もそうなる保証はありません。米国の亀裂は深すぎて、立て直しができる人が見あたりません。 ■ ■Q:リーダーが勇気を持って取り組めば、明るい未来が来ますか。A:そう思います。リーダーだけでなく、合意にむけて進んで協力するフォロワーも必要です。Q:いつ、変化が起きうるのでしょうか。A:オバマ氏の残りの2年は期待できないでしょう。2年後、ヒラリー・クリントン大統領が誕生しても、議会の膠着状態は続きそうです。今後6年は、大きな改革はできないように思います。 改革には、次の二つのうちの一つが必要でしょう。一つは何らかの大きな外部的なショック、たとえば戦争や経済危機によって変化が起きるケース。もう一つはもっと緩やかな動きですが、人口動態が変化し、何度も選挙を経る中で民主党が実権を握り、改革が実現するケースです。共和党が改革に携わるには、今よりはるかに穏健で、妥協もいとわない、かつてのような共和党に戻る必要があるでしょう。 *フランシス・フクヤマ:政治学者 1952年米国生まれ。ハーバード大で博士号。スタンフォード大フリーマン・スポグリ国際研究所上級研究員。<取材を終えて> 先月、フクヤマ氏のワシントン出張の折にインタビューをした。 目前の中間選挙には、さほど関心を払っていない印象を受けた。話しているうちに、今後6年は米国の政治はあまり変わらないと予測しているからだとわかった。 日系2世の父と、米国に留学していた日本人の母との間に生まれた。母方の祖父は京都帝国大学経済学部教授を務めた河田嗣郎。河田は河上肇と懇意だったという。フクヤマ氏自身は日本語を話さないが、日本には関心を持ち続けている。(アメリカ総局長・山脇岳志)アメリカは、今後6年は大きな改革はできないのか・・・それにしても、中国に対する冷厳な洞察がすごいですね。米国と世界のこれからフランシス・フクヤマ2014.11.8
2014.11.11
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ブラック企業は日本型雇用が生み出したのか?と、思い悩む大使は『これから20年、三極化する衰退日本人』と言う本を再読しているところです。名ばかり管理職として、サービス残業に勤しんだ大使であるが・・・それは「終身雇用が保証されているお返しだ」との黙契があったことを思いおこすのだ。(このあいまいな契約が、いかにも日本的である)だけど、今の若年社員にとって終身雇用など夢のような話ではないか・・・無くしたものは大きかったが、新自由主義は世の習いと何の見返りもなくそんな構造改革を甘受したのが、我らが団塊世代ではなかったのか?『これから20年、三極化する衰退日本人』から終身雇用制度のあたりを紹介します。<中途半端な改革を繰り返す中で中間層が消滅した日本>よりp88~90 日本を衰退させている三つ目の要因は、中途半端な構造改革を繰り返す中で、日本の長所や強みをどんどんと切り崩していったことだ。終身雇用制度にしても高い勤労意欲にしても、地域社会のつながりにしても、相応に機能していた公務員制度にしても、「改革だ、改革だ」と叫びながら自ら切り崩しているのが今の日本だ。 例えば、終身雇用制度などはその典型かもしれない。日本のサラリーマンは長時間残業を含めて、企業に対して忠実に働く。その忠実ぶりは過労死という現象でよくわかる。休暇をバカンスとして楽しむ欧米人にとって、死ぬまで働くというのはおよそ理解できるものではない。なぜ、ここまで日本のサラリーマンが会社のために働くのかと言えば、それは終身雇用でギリギリまで企業が面倒を見てくれるからだ。だからこそ、企業と運命共同体で働くのだ。 もちろん、中高年のサラリーマンが一生懸命に働いたとしても、会社で無駄な残業を繰り返すだけで役立たないとか、生産性が大して上がっているわけではないといったシビアな見方もあるだろうが、それでも会社のことを最優先に考える効果は計り知れないものがある。目に見えて定量的に測れないというだけの話にすぎない。 しかし、安易にリストラが行われるようになる中で、このような運命共同体的な働き方は今日見られなくなりつつある。リストラが怖くて長時間残業をしているサラリーマンは多いが、彼らはバブルの頃のように生き生きと残業しているようには見えない。多くは嫌々働いているのか、あまり生産性も上がっていない。 終身雇用制度だけではない。日本独特の制度・慣習・システムなどが切り崩された影響は計り知れないものがある。最もわかりやすいネガティブな影響はおそらく、中途半端に過去の制度・慣習などを切り崩した結果、不安定な中間層の出現に何らかの形で結びついたことだ。 例えば、終身雇用制度の崩壊で中高年サラリーマンの中には下層に転落する者が続出、若者は採用抑制で非制社員を余儀なくされ、自営業者も地方の切り捨てや規制緩和で追いつめられ、シャッター商店街が続出した。 世論はとにかく改革を叫び、自らの土台をどんどんと切り崩していった結果、真面目に働いて住宅ローンを払い、自立と自尊心に優れた日本の中間層はあっという間に没落して言ったのだ。 もちろん、終身雇用制度が時代に合わないものを破壊することが間違っているというわけではない。終身雇用制度が時代に合わないのであれば、それは破壊するしかない。ただし、その場合には終身雇用制度に替わる新しい制度を作り出すべきだ。そうしないと、既存の土台を切り崩すだけで人々の生活は不安定化することは避けられない。 そのような観点から日本の1990年代以降を眺めると、どう考えても、失敗であると結論せざるを得ないのだ。斯様に、日本の中間層はあっという間に没落して、過酷な2極社会が出現してしまったようです。次に、1990年代後半以降の迷走を見てみましょう。<パイを分配・シェアできない自分勝手な日本人>よりp94~99 日本人はバブル経済崩壊後、「失われた20年」にさらされ続ける中で、パイを拡大する自信をなくしていき、やがてはパイを拡大して日本人全員が豊かになるという発想を失ってしまったのだ。その一方で、縮小するパイを巡って「お前は不当に取りすぎる」と、誰か相手を見つけて怒鳴りちらしている。(中略) 二つ目は、縮小するパイを分配・シェアできないということだ。簡単に言えば、同質性が高く、互助の精神があると言われるにもかかわらず、日本人は互いに少なくなるパイを分け合うという発想がなく「あいつがもらいすぎている」「こいつが楽をしている」と文句ばかりを言っているということだ。 少し難しい言葉に直すと、所得再配分についてコンセンサスを築けていないのだ。 まず、1990年代後半以降の日本には、政府を中心にした所得再配分を支持するような気配はどこにもない。具体的に言うと、いわゆる「大きな政府」と「小さな政府」のどちらを選択するのかを国民は決めかねたままだ。大きな政府とは、政府が経済や社会に介入して、企業の活動を規制したり、手厚い社会保障を整えたりする。それに対して小さな政府とは、基本的にマーケットに多くの物事を任せる。 現代の日本社会に置き換えれば、政府の大小を巡る具体的な対立軸は何だろうか。それは二つだ。一つ目は「税・社会保障を中心とした受益と負担の関係」であり、もう一つは「経済面での自由競争か政府介入か」というものである。 1990年代後半以降の日本社会は、この二つの対立軸を巡って、大きな政府か小さな政府かを決められない状態が続いている。その象徴が1000兆円にも達しようかという累積財政赤字である。今の日本人が受けている行政サービスと負担している税金の差がこれほど大きいというのは、政府の規模についてコンセンサスが築けていない証拠である。 確かに、事業仕分けで明らかになったように政府にはまだまだ無駄遣いがある、あるいは、政府は信用できないから税金を払いたくないという政府不信感が強いということもあるだろうが、やはり、今の日本人の受益と負担に関する感覚は麻痺しているとしか言いようがない。 もちろん、政府の形を決めることだけが所得再配分のやり方ではない。自分達で話し合って自主的に決めることもできる。自助・公助・共助などがそうだが、社会自身も自らの力でコンセンサスを自主的に築けていないのが現状だ。著者は鋭く分析するので、日本社会のコンセンサス力の無さはよくわかった。では、どうすればいいか?ということなんですけど。【これから20年、三極化する衰退日本人】中野雅至著、扶桑社、2012年刊<「BOOK」データベースより>生活保護、増税、資産フライト。2030年、日本人の生活レベルを大胆予測!“負け組”ばかりを生み出す衰退社会から抜け出すために必要なスキルとは何か。 <大使寸評>2003年にキャリア官僚から転職し、現在は大学の準教授の著者とのこと。三極化とは、依存する人、搾取される人、脱出する人なんだそうです。・・・まったく夢も希望もない2030年を予想している本であるが、ほっとけばアメリカのような社会になるわけで・・・・とりあえず、目先のTPPに反対しようではないか。Amazonこれから20年、三極化する衰退日本人衰退社会2.0というキャッチコピーにbyドングリ
2014.06.06
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今でもじゅうぶんに新自由主義に打ち負かされた日本の労働者であるが・・・それに追い討ちをかけるようなホワイトカラー・イグザンプション論議が再燃しているようです。日本の悲惨な労働事情から見ると、政財界や国家公務員の発想はどこか宙に浮いたような隔世の感があるけど・・・2極化すると、丸金側に庶民感覚が無くなるんでしょうね(アホやで)ということで、次の記事で丸金側の発想を見てみましょう。5/26「ヒラ社員も残業代ゼロ」構想の全内幕より<官製ベア成立で約束された“受難”>記者 「Aタイプの労働者は、労働基準法の労働時間規制の適用除外になるのか」大臣 「民間議員の提案で、検討はこれから。詳細を民間議員から伺ったわけではない」記者 「労働時間と報酬は峻別するとある。でも適用除外でないのか」大臣 「法改正が必要か否かは、厚生労働省で詰めていただきたい」 4月22日の19時前。東京・霞が関の中央合同庁舎8号館の講堂で、予定より30分遅れで始まった記者会見の壇上。経済再生担当相の甘利明の顔には、ちぐはぐな答弁を余儀なくされたことへの困惑の色が、ありありと浮かんでいた。質問が集中したのは、この日の経済財政諮問会議・産業競争力会議合同会議で、産業競争力会議雇用・人材分科会主査である長谷川閑史(経済同友会代表幹事)の名前で提出された、説明資料についてだった。この「長谷川ペーパー」に、6月に改定される成長戦略への反映に向け1年間議論が重ねられてきた、官邸の雇用戦略の全貌が示されるとみられていた。この日のペーパーでは、労働時間と報酬のリンクを外す「新たな労働時間制度」を創設するとして、Aタイプ(労働時間上限要件型)とBタイプ(高収入・ハイパフォーマー型)が提示された。詰めかけた記者たちが一様にその内容をつかみかねて、首をひねっていたのが、Aタイプだ。労働基準法では1日8時間、週40時間の法定労働時間を超える残業や休日・深夜労働をした労働者に、企業は割増賃金を払う必要がある。甘利は言を濁したが、字面を素直に追えば、本人の希望と労使合意があれば、対象者はこの労働時間規制の適用が除外され、「残業代ゼロ」になると読み取れる。問題は、その対象者は誰なのか、そして労働時間規制に代わる最低労働条件はどう法で定められるのかという、肝心要の点について、まるで触れられていないことにある。「子育てや親の介護などを余儀なくされる労働者に向くのでは」長谷川は会議で対象者のイメージをこう語ったが、それが特に要件とされているわけではない。ペーパーの冒頭では、働きすぎや過労死、「ブラック企業」の問題から労働基準監督の重要性まで五月雨式に触れられているが、いかにもバランスを取るための後付け感が強い。 <「岩盤規制」の雇用に目を付けた経産省>成長戦略に盛り込むには、具体的な制度設計が必要となる時期にもかかわらず、この日のペーパーが甘利が答弁に苦しむような曖昧模糊としたものになったのには理由がある。そのおよそ2週間前、4月9日に開催された産業競争力会議雇用・人材分科会。会議では「多様な正社員(限定正社員)」と「解雇の金銭解決制度」について議論されたが、実は分科会の開催前、内閣府副大臣の西村康稔、厚生労働副大臣の佐藤茂樹を中心に関係者が集まり、西村の部屋で非公式な会合を持った。議題となったのは、22日の合同会議で初めて議論されたことになっている「新たな労働時間制度」である。この場で関係者に示された長谷川ペーパーの「原案」には、あいまいさのかけらもなかった。現在の労働時間制度は工場労働者を想定した仕組みであり、ホワイトカラーには適さない、それに代わる新たな労働時間制度として「スマートワーク」なるものを創設するというものだ。このスマートワークでは、対象者の範囲に業務や地位の限定を設けず、本人の同意と労使の合意に委ねることで、幅広い労働者の利用を可能にするとしている。実際そこで図示された対象者のゾーンには、「ヒラ社員」の最末端、つまり新入社員まで含まれている。本人の同意と労使合意さえあれば、どんな業務内容の新入社員でも労働時間規制が及ばず、残業代なし、深夜・休日割り増しなしで働かせることができる。現状でも経営者と一体的な立場にある「管理監督者」、専門職や企画職で適用される「裁量労働制」では、労働時間規制は原則適用されない。また第1次安倍政権の2006~07年当時議論された「ホワイトカラー・エグゼンプション」のように、管理職など一定の層の労働者を労働時間規制の適用除外とする構想が、議論の俎上に載ったことはある。だがこのスマートワークのような、およそすべての労働者をその対象とする提案は初めてだ。昨年12月に出された産業競争力会議雇用・人材分科会の提言でも、労働時間規制の緩和に関しては、まずは年収1000万円以上の専門職を対象に導入を検討するとされており、原案はそこから大きく逸脱するものだ。ただ、非公式会合の出席者からは、原案を問題視する声は上がらなかった。
2014.05.27
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NHKの籾井新会長が就任会見で暴言を吐いて問題になったが、更にNHK経営委員の委員にあるまじき言動が追い討ちをかけています。全てのカラクリは、安部首相およびその取り巻きによって仕組まれているんだろう。ところで…文芸春秋2月号の「丸の内コンフィデンシャル」に、NHK新会長の擁立劇が載っていたので紹介します。この記事は新会長の暴言が出る前に作られているが、まさにコンフィデンシャル(内密、人事親展)という内容が冴えていますね♪ <NHK新会長の評判> p230より 日本放送協会(NHK)の新会長に、三井物産で副社長を務めた籾井勝人氏が就任。アサヒビール出身の福地氏、現会長のJR東海出身の松本氏に続き、NHKは3代連続で外部から会長を登用することになった。 任期は3年。今回は今年1月に期日を迎える。松本現会長の経営には特に失点もなかったが、昨秋から水面下で「松本おろし」がうごめいていた。 昨年10月、官邸サイドで安部首相と近しい作家・百田尚樹氏や哲学者・長谷川三千子氏らを経営委員に抜擢し、包囲網を敷いた。「01年の慰安婦問題をめぐる番組改変問題に始まり、現在も反原発番組を作るNHKの制作サイドを首相周辺は快く思っておらず、松本会長にも不信感を持っていたようです。また首相と近いJR東海会長の葛西氏も松本氏の会長就任は認めたものの、民主党政権下で進んだ会長人事で白羽の矢が立った松本氏の続投は、なんとしても阻止したかったと言われています」(NHK関係者) 空気を察した松本氏は12月上旬の記者会見で続投の意志がないことを表明。後任の人選は官邸周辺で進み、「麻生副総理と知己があるという理由」(財界関係者)で籾井氏の名前が急浮上したという。 籾井氏は三井物産の保守本流である鉄鋼畑を長年歩んだ人物。同社の社長、会長を歴任した鉄鋼畑の上島重二氏と近く、とんとん拍子で出世をした。社長候補と目された時期もあったが、同一部門から続けて社長は出さないという不文律があったため、三井物産社長レースでは現会長の〇田氏に敗れた。 「大物副社長だったがために処遇に困った」と当時を知る三井物産OBは言う。結局、2005年、同社が出資する日本ユニシスの社長に就任したが、「ITをほとんど理解していなかった」(日本ユニシス幹部)。 相当な野心家であることは確か。しかし同氏の名前が知られるのは鉄鋼業界ぐらいで、松本氏や福地氏に比べネームバリューに乏しいうえに財界経験もない。伏魔殿といわれるNHKを御しきれるか。手腕は未知数だ。・・・とまあ、NHK経営委員を誰が選ぶんだろうという疑問に答えてくれるコンフィデンシャルでした。Kawamotoさんの2/6ツイートを紹介します。@xxcalmo:BBCやザ・ガーディアンといった英国のメディアが今回のNHK事件についてリアルタイムに近い報道を行っているのは、歴史の曲解への指弾だけではないような気もする。彼らはそこに、近代国家が僭主のメディア支配によって戦争国家へと変わっていく萌芽を看取して、それに戦慄しているのではないか。
2014.02.10
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<中国の無人機に手出しできない現状>9日、中国の無人機が尖閣沖の防空識別圏に入ったため、自衛隊機がスクランブルしたそうです。やはり、来たかという感じですね。尖閣北東に無人機 中国か、空自機が緊急発進 日本の防空識別圏に入るより中国機とみられる無人機(航空自衛隊撮影) 防衛省統合幕僚監部は9日、尖閣諸島(沖縄県石垣市)北東の公海上空で同日午前、無人機とみられる航空機が数時間にわたり飛行したと発表した。機体は日本が設定している防空識別圏に入ったため、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進して対応、領空侵犯はなかった。同省は「国籍不明」としているが、中国機とみられる。 同省が無人機の飛行を目視で確認し、緊急発進で対応したとして公表するのは初めて。機体は尖閣・魚釣島から北東約200キロ付近で徘徊するような飛行をした後、北西へ引き返した。 小野寺五典防衛相は札幌市内で記者団に対し、「特異な事例だ」と指摘。菅義偉官房長官は記者会見で「わが国の領土、領海、領空を守る観点から厳正な警戒態勢を敷いていきたい」と強調した。中国外務省の洪磊報道官は記者会見で「(そうした)事態を把握していない」と述べた。 一方、8日午前には中国軍のH6爆撃機2機が沖縄本島-宮古島間の公海上空を往復飛行した。中国軍機の南西諸島通過は7月にY8早期警戒機が同空域を通過して以来。中国国防省は「今後も計画に従い、この種類の定例訓練を行う」との談話を発表した。ムム・・・中国の拡大方針はシナリオどおりと表明しているようなもので、明らかな恫喝といえますね。無人機投入は想定内であり、たいして驚きはしないが、問題は日本側の法整備である。次のWEDGE記事によると・・・領土防衛に関する現状の法整備は、このような中国の軍拡までは想定しておらず、挑発に対して手出しできない様になっているようです。領空にも拡大する中国の尖閣侵犯 日本に必要な備えとはより 現行法上、海監などの政府公船に対し海保にできることは、「警告と退去要求」だけ。言い換えれば、領海に入らないように呼びかけ、立ち去るようにお願いすることしかできない。それでも現状のように、日本の領海や接続水域内で日中双方がにらみ合っているうちはまだしも、仮に、海監が海保の警告を無視して、領海内で海洋調査を実施したり、情報収集を始めたりするなど、国際法に定められた無害通航に違反する行為を強行しても、海保には実力でそれを排除する法的な裏付けはなく、極端な言い方をすれば、眺めていることしかできない。 ではその場合、海上自衛隊は何かできるのか、と言えば、自衛隊法に基づき「海上警備行動」が発令される公算が大きいが、その活動は「警察官職務執行法」の範囲内であり、警察権が外国公船に及ばないのは海保と同じで、ほとんど何もできない。04年に中国海軍の漢級原子力潜水艦が沖縄・南西諸島の領海内を潜没したまま通過する国際法違反事件があったが、海上警備行動を命じられた海自にできたのは、潜水艦を追跡し、浮上を呼びかけるだけだった。 その理由は、この国には武力攻撃など急迫不正な侵害を受け、政府が戦争(有事)であると判断しなければ、独立国が主権を守るための根源である「自衛権」が発動できないという、国際常識とかけ離れた極めて抑制的な政府解釈があるからだ。1980年代、スウェーデンは領海内を潜航する国籍不明の潜水艦に対して、自衛権を発動して爆雷攻撃したように、政府は自衛権発動の解釈を見直し、有事と平時を問わず、自衛権に基づいて領土や領海を守ることのできる法整備が急務だ。もちろん、軍艦や政府公船を相手とする以上、判断を誤れば武力衝突に直結する。慎重な対応が必要で、立法化と同時に、相手の敵対行為や侵害の程度に応じて、段階的に対応する行動基準を策定する必要がある。(中略) 12年12月末までに、中国船の尖閣領海への侵入は12年9月以降20回を数え、侵犯した海監など政府公船は延べ約60隻に上る。それでも海保には、警備活動に適した1000トンを超す巡視船が49隻あり、中国海監の28隻(1000トン超級)に比べ、数の上では有利な立場にある。だが、中国国家海洋局は、14年までに新たに中型と大型の巡視船36隻を運用すると公表しており、数的有利はもはや風前の灯といっていい。 しかも中国は、この数年、海上警備(海防)態勢の強化に力を入れ、人民解放軍が枢要なポストを占める「国家辺海防委員会」を組織し、「平時の権益擁護活動と戦時の戦闘行動双方において、人民解放軍と海上法執行機関(海監や漁政など)が合同で任務にあたることが中国において想定されている」(防衛研究所『中国安全保障レポート2012』)といった状況だ。<備えを怠れば日本は尖閣を失う> 領海にとどまらず領空まで侵犯し始めた中国。その後も尖閣領空への接近をやめず、中国は自衛隊が戦闘機で緊急発進することに強く抗議している。だが、それは中国得意の世論戦であり心理戦だ。領空侵犯への対応は、軍事力が担う最も基本的な任務であり、世界の常識だ。政府は淡々と対応すればいい。 今後、尖閣を巡って中国は、(1)海自P3C哨戒機など自衛隊機による尖閣監視行動への妨害、(2)多数の漁船に紛れ込んだ海上民兵の上陸、(3)特殊部隊による隔離地域からのパラシュート降下─など、海と空から様々な行動を仕掛けてくるだろう。これらに即応するため、政府は自衛隊と海上保安庁、警察の機動隊、SATなど特殊部隊を総動員した離島防衛訓練を始めなければならない。 訓練では、海保が単独で対処する場面から始め、機動隊などの警察力を加え、さらに、自衛隊が出動する事態まで継ぎ目のない警備・防衛訓練を想定する必要がある。いかなる状況でも、日本は国際法など「法」を順守する国家であることを内外に示すため、政府は訓練を各国の駐日大使館の幹部らにも公開し、領土を守る日本の姿勢に対し、広く理解を得ることも大切だ。 しかし、日本がこうした備えを怠れば、中国はさらなる冒険主義へと突き進み、日本は確実に尖閣諸島という領土を失うことになる。中国無人機については、中国無人機の脅威でふれたが、こういう攻撃的兵器の開発については、日本は中国の後塵を拝している状況ですね。中国無人機の脅威より翼龍結局のところ、中国の無人機開発を警戒するとしたら、アジア太平洋地域でアメリカと日本の脅威になるからではなさそうだ。それよりももっと深刻な問題がある。価格が安く、武器輸出のハードルが低い中国が生産国になれば、世界中に無人攻撃機が拡散しかねない。
2013.09.10
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米コロンビア大学教授キャロル・グラックさんがインタビューで「右傾化報道は極端、米国が支えた戦後「脱却」は本意か」と説いているので、紹介します。安部政権と戦争の記憶キャロル・グラックさんへのインタビューを8/20朝日デジタルから転記しました・・・無料で見せるのが木鐸というものでは?)日本の「右傾化」について、どう思うか、この国を知り尽くした歴史家にそう聞こうとしたら、たしなめられた。ラベルを貼って簡単に分かった気にならないように。歴史は決して、短距離走者ではないのです、と。地理的にも時間的にも視野をぐっと広げて、2013年夏の日本と、安倍晋三首相率いる安定政権を眺めてみると……。Q:参院選でも大勝した安倍政権について、米メディアでも右傾化を懸念する意見が見受けられますが。A:実は、うんざりしているんです。過去数カ月間の日本に関する報道で、ナショナリズムや軍国主義といった言葉が実に多く使われています。世論調査の結果を考えれば、そんな心配はないことがわかるのに。 日本に関する海外メディアの報道は極端で、しかも浅い。日本がすぐに軍国主義になることはないし、憲法9条への支持はまだ強い。なのにメディアは安易にラベルを貼る。橋下徹大阪市長の慰安婦発言も好例です。まるでウイルスのように、あの種の発言は広まる。 日本人の多くは発言に賛同しているわけではないのに、米国人はそれを知らない。 以前から感じているのですが、日本はいつも極端な言葉で形容されます。経済問題でもそうです。1980年代には『世界を支配する』、90年代には逆に『日本は終わった』と報じられ、その後、日本はほとんど無視された。安倍首相が再登板してアベノミクスを言い立てると、おお、欧州ができなかったことをした、再び日本に注目しよう――。私は歴史家だから確信していますが、世の中は決して、極端から極端へは変化しない。歴史は、短距離走者ではないのです。 ■ ■ Q:海外メディアの日本理解の浅さは分かりましたが、安倍首相は憲法改正を目標に掲げていますね。A:憲法改正を目指すことは、自民党政権として別に新しいことではありません。そもそも憲法9条を変えずとも、自衛隊の役割は劇的に変わった。カンボジアやイラクなど、事実を見れば自衛隊はすでに海外に派兵されている。アジアの地政学的要因や、さらなる防衛費負担を求める米国の圧力があったからです。将来的に、もし9条が改正されたとしても、それまでには、改正が必要ないほど多くのことが実現しているのではないですか。憲法は、シチューを煮るための鍋に似ています。大切なのは中身であり、鍋ではない。 仮に今、憲法改正に着手したら、政治のエネルギーを吸い尽くしてしまうでしょう。中韓や東南アジア諸国との関係をどうするか、世界でどんな役割を果たすべきか、そんな課題が山積みだというのに。 Q:前回政権時、安倍首相は「戦後レジームからの脱却」を掲げていましたが、これはどう思いますか。A:同種のことを言い始めたのも、別に安倍首相が最初ではありません。戦争が終わって70年近く経つというのに、いまだに『戦後』という言葉を使っているのは日本だけ、という点は実に興味深いですが。 日本が戦後という言葉を使い続けた理由は、それだけ、この体制が安定したものだったからでしょう。諸外国では、このように使われる言葉を見つけられません。その理由のひとつは米国です。米国が、日本の記憶とシステムを『冷凍』していたから。そして日本にとっては、それが快適だった。おかげで天皇は象徴となり、民主的で平和な国家が続いている、と。 安倍首相は『普通の国』になるために9条を変えることを欲するけれど、戦後体制の『ある部分』は変えたくない。それは日米関係です。民主党が試みて失敗したようなことはしたくない。安倍首相は、本当に戦後を変えたいのでしょうか。 ■ ■ Q:安倍首相は終戦の日の全国戦没者追悼式で、アジア諸国に対する加害責任に触れませんでした。A:安倍首相を含む自民党の右派政治家たちは長い間、戦後問題やナショナリズムに関わることを国内政治扱いしてきました。加害責任を否定することで、国内の支持を得ようとしてきた。彼らはまるで、自分たちの話す日本語は海外ではまったく理解されないと思っているようです。実際はソウルや北京やワシントンにすぐに流れるというのに。これは一種の『地政学的無神経』です。 Q:なぜ日本ばかりが謝罪しなければならないのか、という疑問を持つ人もいます。A:この20年ほどで、戦争の記憶に関する『グローバル記憶文化』とでも呼ぶべきものが生まれました。それは、国家が過去に行った行為について新しい国際規範ができた、ということを意味します。 戦後すぐは、その規範は存在しませんでした。国家の首脳は50年代、『ごめんなさい』と言って回ったりはしなかった。この『謝罪ポリティクス』につながる新しい記憶文化が生まれた理由のひとつはホロコーストです。欧州連合(EU)が創設される過程でホロコーストはヨーロッパ共通の記憶になりました。多くの国が追悼の日を設け、教育を始めた。EUが90年代以降に北・東欧に広がると、この記憶も広がった。私は『溶媒効果』と呼んでいます。 トルコを例にとると、オスマン帝国末期のアルメニア人虐殺をトルコ政府が認めないことを、EUは重大視しています。EUの一員になるにはグローバル記憶文化の共有が要求されるのです。EUがトルコ加入に難色を示す理由として、これは明らかに政治利用されています。 Q:その新しい規範が、東アジアにも広がったということですか。A:日本は長い間、戦争の記憶に関して何もする必要がなかった。強固な日米関係に支えられていたからです。中国は共産主義国だから、存在しないのと同じだった。しかし、冷戦が崩壊し、日米関係が唯一の重要な国際関係ではなくなった。 アジアと向き合うことを余儀なくされ、90年代になって突然、日本政府は戦争の記憶に対処しなければならなくなったのです。それは世界的な『新しい常識』です。自民党が国内政治として扱おうとしても、それとは別種の国際環境が存在している。米下院が慰安婦問題で非難決議をしたのも、その流れです。 ■ ■ Q:方で安倍首相は、8月15日の靖国神社参拝は見送りました。A:靖国神社は取り扱いの難しい問題です。戦没者の慰霊施設だからこそ、人々はA級戦犯ではなく、戦死した祖父や曽祖父を思い浮かべる。少なからぬ国民が参拝を支持しているのは理由があります。これは国内問題でもあり、国際問題でもあるから、取り扱うには巧妙な手腕が必要ですが、自民党にそれができるとは思えない。この夏、安倍首相が靖国に参拝していたら、取り返しのつかない失敗となったでしょう。 歴史問題は、いまや安全保障にすぐに結びつくのです。取り扱い次第で、すぐに『日本再軍備』反対という声が高まる。竹島や尖閣諸島などの領土問題でも、慰安婦や南京事件が持ち出される。歴史問題が利用されている面は確かにあります。 Q:「地政学的無神経」以外に気にかかることはありますか。A:在日コリアンへの悪意に満ちたデモなど、ヘイト・ナショナリズムには懸念を持っています。これは安倍首相よりもはるかに危険です。中韓の若者たちは日本が嫌いだといい、日本でも……。まるでブーメランです。若年層がお互いに憎み合うとしたら、いったい東アジア全体では、どんなシチューができるというのでしょう。軽率な愛国心は、祖国に対する誇りとは違うのです。 90年代、世界各国で新しいナショナリズムが生まれました。冷戦が終わり、不確実に変化する世界秩序を前に、経済的な繁栄を譲り渡さなければならないと感じた先進諸国が直面した問題です。このポスト冷戦期、日本にもたらされた最も大きな変化は、アジア諸国の成長、特に中国の台頭でした。東アジアで経済関係がこれほど分厚く広がったことはかつてありません。地政学上の大きな変動は緊張をもたらします。ナショナリズムの矛先が中国、韓国に向かうのは、そのためです。 90年代からずっと言い続けているのですが、日本はグローバルプレーヤーになる努力をするべきです。非核国で、兵器も売らず、かつ世界有数の経済大国という稀有な国です。ノルウェーが平和交渉の仲介役をするように、他国がしない隙間の役割を見つけるべきでしょう。クール・ジャパンだけでは無理でも、もっと多面的なソフトパワーを武器にして、何かできるはずです。 それは、台頭する中国にどう対処するか、という問いへの答えでもあります。軍備に軍備で対抗するのは、ばかげていますから。 Carol Gluck:41年生まれ。米コロンビア大学教授。同大東アジア研究所所属。米国における日本近現代史、思想史研究の第一人者。 <取材を終えて>海外メディアに誤解されやすい。かつ、世界的な「常識」の変化に無頓着である。グラック教授の日本への指摘を縮めれば、こうなる。言い換えれば、あまちゃんで自己プロデュースに失敗しているということか。国家の自画像をどう描くか。海外の反応が気になりがちな私たちにとって、この夏の宿題は難問だ。(ニューヨーク支局長・真鍋弘樹)
2013.08.22
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名嘉幸照さんがインタビューで「経営効率を優先し業者任せの東電、現場力下がる一方」と説いているので、紹介します。 沖縄で生まれ、移り住んだ福島を終のすみかとした名嘉幸照さんは原発技術者の草分けだ。東京電力福島第一原発の事故から2年余りたっても廃炉作業、避難民への対応、地域復興は遅々として進まない。にもかかわらず、現政権は原発の再稼働や海外輸出に歩を進める。福島原発に40年関わってきた名嘉さんは訴える。「それでいいのか」 (7/12デジタル朝日から技術者が見る原発事故を転記したけど・・・・・・無料で見せるのが木鐸というものでは?)Q:事務所の窓から、公園で遊ぶ子どもたちの声が聞こえます。 A:いわき市は比較的、放射線量が少ないからね。この子たちを安全に育てなくてはと思うよ。一方で放射能を逃れ、いまも遠くに避難する子たちを思うと、ほんとに心が痛む」 Q:双葉郡の町村では住民の帰還が進んでいるところもありますが。A:戻るのはお年寄りばかり。子どもや孫が来ない町に戻っても、生きがいがないという声も出ている。廃炉作業も先は長い。政府のいまの動きは信じられないよ。かつての原子力ムラは壊れたが、早くも第二の原子力ムラができたのですかね」 Q:ただ、名嘉さんも原子力ムラの側にいたわけですよね。 A:そうです。福島で40年間、原発と共生してきた。だが絶対に守らねばならない安全を守りきれず、大切なふるさとを壊し、国民に迷惑をかけた。その責任は強く感じている。Q:なぜ、原発の技術者に。 A:俺は小さな島の漁師の子。高校まで沖縄にいたが、米国の統治に反発して学生運動をしたせいで東京に行かざるを得なくなった。その後、船の機関士の免許を取り、貨物船で世界を回った。そこで同僚だった原子力潜水艦の経験がある米国人に米ゼネラル・エレクトリック(GE)に誘われた。原子力は入社してから猛勉強したよ。福島で採用されたBWR(沸騰水型炉)のオペレーターの免許もとった。GEの教科書を日本語に訳し、東電のBWR訓練センターの最初の教科書になったんだ。 福島第一の2号機が試運転、6号機が建設準備中だった1973年に福島県に来た。以来、原発建設のアドバイス、システムの保守・管理など、原発技術者として働いた。世界を見て回り、資源が乏しい日本には原子力しかないと信じていた。仕事には誇りを持っていたよ。 Q:原発を危険な存在だとは思わなかったのですか。 A:リスクは常に感じていた。GEの設計ミスも含め、幾つかの異常な事態も経験した。なかでも、88年の暮れに第二原発3号機の再循環ポンプのインペラー(回転翼)が壊れ、炉心に金属片が入った事故は忘れられない。ポンプやモーターの異常な震動を感知し、出力を下げるよう東電に進言したが、『年末で無理』と言われ、夜も寝られなかったよ。1カ月、しつこく言い続け、発電を止めた時はホッとした。高速の破片が、炉心に直結する配管を破断するのを恐れたんだ。格納容器の破壊につながるからだ。 BWRは、事故があると相当熟練していないと対応できない設計だ。五感を研ぎ澄ませ、現場をパトロールする必要がある。配管に触れ、震動や温度に異常がないか、確かめることもあった。Q:3・11の事故では、現場の熟練度が足りなかった印象です。 A:第一原発の吉田昌郎所長ら東電社員は事故直後、一生懸命やったと思うし、現在も頑張っている。ただ現場に精通した社員が少なくなっていたのは確かだ。70年代は現場で仕事をした東電の技術スタッフが多くいた。後に副社長になり、プラントを愛した最後のドンといわれた池亀亮さんは、よく現場にいた。いいけんか相手だったよ。でも80年代以降、経営効率ばかりに目がいくようになったのか、現場は業者やメーカーに任せきり。大事故が起きると警告し続けたが、力足らずで……。Q:大震災のときは、どこに? A:富岡町の会社にいた。第二原発にいた社員に電話をしたら、なんとか電源は確保できると。だが第一原発は海水ポンプが『5円玉(標高5メートル)』にあり、津波でアウトだと思った。重要免震棟にいた社員からの電話で『冷却設備、全滅!』と聞いたときは、絶望的な心境だった。 Q:第一原発はしばらく危機的状況が続きました。A:格納容器が破壊されなかったのは幸運以外ない。原発は安全という自信過剰。事故を隠し、国民からのプレッシャーを受けずにすんだことによる甘え。我々はそのつけを一気に払わされたんだ。東電や政府の事故後の危機管理には失望している。 事故後すぐ、GEの原子力本部にメールを送った。日本は一度に浴びる放射線量が管理されているが、米国は個人が了解すれば高線量の放射線を浴びても構わない。だから高線量下で作業をするプロが多い。放射線への対応が日本よりシビアなんだ。そんなプロを送ってくれと頼み、GEも対応してくれたが、東電や政府とうまくつながらなかった。 Q:事故直後は政府も東電も混乱していましたからね。A:うちの社員も東電社員と一緒に事故に対応した。危険で過酷な作業に送るのはつらかったが、社員たちが『行かせて』と言うんだ。みんな地元の子で、『ふるさとを見捨てられない』と。涙が出たよ。 Q:第一原発の現状は。A:原子炉は仮設システムで冷温の状態を維持している。仮設配管の少々の水漏れは織り込み済みだと思うが、建屋内への地下水流入と汚染水処理にはてこずり、廃炉作業に入れないでいる。うちの会社も廃炉を助ける技術の提供はしているが、先行きの見通しは立たない。 ■ ■ Q:政府は経済成長のため原発を輸出するといいます。A:原因究明も含め、事故の後始末はまだ途中。なのに原発を再稼働、あるいは輸出するなんて、あり得ない。原発は、放射性廃棄物や使用済み燃料をどう処理するかが大切だ。国によってはテロ対策も重要になる。国内でもそれが満足にできないのに、輸出するのは理解できない。 それより廃炉だ。世界中の原発はいずれ廃炉に向かう。そのための技術を確立すれば、商機は十分にある。福島原発は廃炉技術を磨く場。優秀な技術者を集め、過酷な状況にある原子炉で世界一の廃炉技術を身につけるべきだ。日本では原子力を学ぶ学生が減っていると聞くが、今後、原発技術で日本を救おうという若者にぜひ、出てきて欲しい。 Q:福島以外では、原発事故への関心が薄れている気がします。A:一地方に過ぎない福島県に力を注いでも、政治家や行政にとって大した得点にならないのは分かる。国民から同情の気持ちが薄まるのも仕方ない。でも同じ日本人として、関心は持ち続けてほしいと思う。 この5月、双葉郡の首長に双葉郡アイランド構築計画という構想を示した。第一原発沖に汚染土壌やがれきで巨大な人工島を造り、廃炉のための施設、がれき処理・研究の施設を設ける。大量の土をかぶせるので島の上で線量はない。海に影響が出ないよう万全も期す。除染は最小限にとどめ、国家予算を復興策に使う。また県内の汚染土壌やがれきは、すべて双葉地方に仮置きする。 Q:除染は最小限、汚染土壌は受け入れ。反発が出ませんか。A:汚染土壌やがれきが分散して置かれていることが問題だ。国が計画する中間貯蔵施設を人工島を造るまでの仮保管場所にして、そこに集めればいい。福島全体の復興のために、あえてそうする。代わりに人工島などで国に助けてもらう。 Q:人工島は荒唐無稽では。A:地元から議論を起こさないと、関心を持ってもらえない。廃屋だらけの場所に企業が来る? 後継者もなくて農業は再生できる? 国のやり方は現実的でない。地元が声を上げ、双葉郡のイメージを大胆に変え、若い人が来たくなる地域づくりが必要だ。アイランド構想は廃炉や地元の復興に寄与するはず。専門家に実現可能性を検討してほしい。 ■ ■ Q:そもそも日本は原発を持ってよかったのでしょうか。A:原爆を体験した日本人ほど核物質に敏感な国民はいない。だが原発については、核物質を生み、負の遺産になることを考えずにきた。原発は経済成長を支えたが、経済を優先するあまり、負の側面に鈍感過ぎたと思う。原発を自由に討議できない雰囲気をつくったのも問題だ。 原発と共生してきた私に原発の是非を語る資格はない。ただ言いたいのは、命にかかわる原子力について、国民は正しい情報を知る権利があるということだ。再稼働するにしても、それが大前提だよ。 Q:福島にはこれからもずっと? A:ここで結婚し、家を建て、墓もつくった。第二のふるさと、永住の地だ。いまは住めない富岡町の自宅から、第二原発がはっきり見えた。『監視小屋だよ』と言ったら、近所の人が『名嘉さんがいてくれるなら安心だ』って。地震後、避難所で再会したとき、『監視小屋、役に立たなかったね』と。切なくてね。 かつて沖縄で、『俺たちは日本人ですか』と本土の人によく言った。同じ言葉を福島の人に言わせたくない。福島を見捨てられた地にしたくない。この地で原発と共に生きた技術者の、それが最後の願いなんだ。 (聞き手・吉田貴文) なかゆきてる:41年生まれ。GE技術者として福島に。プラントの設計・保守・点検に携わる。80年、東電の協力会社、東北エンタープライズ設立。現会長。
2013.07.16
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図書館で借りたニューズウィーク(未来の戦争)に、中国無人機の脅威が載っていました。むむ 世界の困ったちゃんというか、尖閣諸島波高い昨今、日本にとって由々しき状況のようです。翼龍中華の無人機について、ニューズウィーク(未来の戦争)より引用します。<世界に拡散する中国無人機>p33~34より~尖閣諸島の周辺海域で偵察活動に国産無人機を投入~ 今では、高度な軍備を持つ国はこぞって無人機を採用している。中国の無人機開発は軍拡競争などではないし、中国脅威論の根拠にもならない。中国軍もまた他国の軍隊と同様、最新鋭機を導入しようとしているだけだ。 中国の技術的進歩は目覚しいが、無人機開発ではイスラエルとアメリカが大きくリードしている。中国はもちろんヨーロッパ、インド、ロシアもこの2国にはかなわない。それに今の中国は軍備全般の刷新を進めており、無人機開発だけが特別なわけではない。<ここ数年で飛躍的進歩> 中国が無人機の保有数を増やし、偵察や攻撃に活用しようとしていることは確かだ。中国人13人を殺害したミャンマーの麻薬密売組織の首領を逮捕するため、中国当局が無人機の使用を検討していたことが最近報道された。計画は実行されなかったが、中国がオバマ米政権に倣って他国の領土で無人機攻撃を仕掛けていいと考えているのは明らかだ。 東シナ海と南シナ海の島々の領有権問題も、中国政府に無人機の配備を急がせている。海上の偵察には無人機はもってこいだ。尖閣諸島の偵察では既に日常的に使用されている。中国空軍は旧軍のJ6戦闘機を無人機に改造。交戦時に使い捨ての攻撃機にする考えで、今は尖閣諸島の偵察機に使っているらしい。 無人機配備は軍事分野にとどまらない。報道によると、遼寧省当局は北朝鮮の国境監視に無人機を使用し、黄海と渤海湾の管轄区域を監視するため、沿海部の大連と営口に無人機基地を建設中という。さらに、中国国家海洋局は昨年8月、沿海部の11省に1ヵ所ずつ無人機基地を設置すると発表した。(中略) 無人機開発は「ここ数年で、ゼロから少なくとも兵器ショーで25のモデルを発表できるまでに進歩した」と、ブルッキングズ研究所のピーター・シンガーは話す。 米軍の基準から推定すると、中国軍の作戦行動に使用できるモデルは現在6~10機種あると見られる。 中国の航空産業はより大型で、高性能の無人機も発表している。うち「翼龍」とCH4は、パキスタンなどで使用されたことで知られるアメリカのMQ1プレデターとMQ9リーパーに似たタイプのようだ。 中国メディアの報道によると、翼龍はリーパーのような攻撃機で、CH4は民生用にもなる多目的機だが、偵察機として軍用にも使えるという。 さらに米軍のRQ4グローバルホークと似た「翔龍」も公開された。インターネット上に出回ったその写真は、中国の無人機開発の驚くべき進歩を見せつける。<懸念すべきは「拡散」だ> 中国の航空産業は輸出にも大きな期待をかけている。特にプレデターに似たCH4は大きな需要が見込め、アブダビの兵器ショーでも展示されていた。翼龍も「既に国際市場に参入し、成功を収めている」と、最近中国で開催された航空ショーで関係者が語った。 中国は需要と供給のギャップに目を付けたのだ。無人機を開発・製造できる国は限られているし、中国製の無人機は低コストが強み。アメリカ製のプレデターは1機450万ドル前後、リーパーは1500万ドル以上するが、中国製の同様の機種なら100万ドル足らずだ。その程度のカネならすぐ出せて、アメリカとイスラエルの技術に頼れない、あるいは頼りたくない国は少なくない。 結局のところ、中国の無人機開発を警戒するとしたら、アジア太平洋地域でアメリカと日本の脅威になるからではなさそうだ。それよりももっと深刻な問題がある。価格が安く、武器輸出のハードルが低い中国が生産国になれば、世界中に無人攻撃機が拡散しかねない。中国製無人機「翼龍」アラブ、ウズベキスタンに輸出に見られるとおり、武器輸出のハードルが低い中国は要注意です。(日本には武器輸出3原則というタガがあるもんな~)サイバー攻撃を織り込んだ未来の戦争とは、いかなる様相を見せるのか?<東アジアに訪れる未来の戦争>p28より こうした無人の戦争には新たな安全保障上の脅威が付きまとう。中国や北朝鮮のサイバー兵士がアメリカや韓国の武装無人機を乗っ取ったらどうなるだろう。何千もの無人機と、それを操る指令センターとの間で飛び交う通信量は、ハッカーが通信の暗号を解読し、利用するチャンスを山ほど提供している。 その脅威は単なる想像の産物ではない。米軍部隊は09年、イラクの反政府勢力が保有していたノートパソコンから米軍の無人機が撮影した映像を発見した。スカイグラバーという26ドルのソフトウェアを使って映像を傍受したものとみられている。 領空を侵犯した米軍無人機のGPS航行システムに侵入し、墜落させたとイランが主張したこともある。イラン側の言い分を信用できるかどうかはともかく、軍の戦闘力のかなりの部分が無人機やロボットで構成されるとなると、サイバー攻撃に対する防衛は以前にも増して重要な問題になるだろう。<通用しない従来のルール> 以上のような問題は、紛争が激化し始め、一触即発の可能性が高まっている地域、とりわけ北東アジアのような場所では極めて深刻だ。 好戦的な言葉の応酬が激化している朝鮮半島だけでなく、尖閣諸島をめぐる日本と中国の緊張も高まっている。中国政府は既に南シナ海、東シナ海の紛争のある島々やサンゴ礁の周辺を監視するために無人機を利用している。 一方、日本の防衛省は日本の領海に対する監視能力を強化するため、アメリカの無人偵察機の導入を検討している。 領土問題が存在する地域で無人機を利用することは、新たな紛争を誘発することになるだろうか。どちらかの国の無人機がサイバー攻撃で「ハイジャック」されたらどうなるのか。 敵対する陣営が両方とも兵士の犠牲を伴わない軍用航空機を配備できるとなると、より挑発的になることはないのか。 そして、人工知能を備えた無人機が自ら標的を選ぶようになったら、誤爆などの責任は誰が取るのか(遠からず、そういう時代が来るはずだ) 無人機が初めて使われたのは、アフガニスタンの空だった。だが、今では遠隔操作で動く戦争マシンは世界のどこにでも行くことができる。近代戦の古びたマニュアルはもう捨てさるべきかもしれない。そのルールはもう通用しないのだから。(ウィリアム・ドブソン:スレート誌)【ニューズウィーク(未来の戦争)】雑誌、阪急コミュニケーションズ、2013年刊<内容紹介>よりCover Storyサイバー攻撃と無人機が変える未来の戦争中国と北朝鮮の挑発で一触即発の東アジア──「新たな脅威」の台頭で戦争の可能性が高まる?軍事 東アジアに訪れる見えない戦争日本 危機感なき日本に迫る脅威米中関係 反撃できないアメリカの弱み検証 世界に拡散する中国の無人機アメリカ オバマの無人機が迷い込んだ迷宮<大使寸評>中国が尖閣沖に無人機を投入しているが、我が自衛隊はどう対応しているのだろうか?(調べてみます)とにかく、中華の無人機に言及しているこの特集号は見過ごせないわけです。Amazonニューズウィーク(未来の戦争)
2013.07.04
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自衛隊の新鋭機としては、時節柄、次の2機種が気になるのです。このところ増強著しい中国の潜水艦に対して、新型のP-1 (哨戒機)はかなり有効ではないだろうか。4/2軍拡著しい中国の脅威に、力強い助っ人が登場より 平成25(2013)年3月26日、川崎重工業岐阜工場で海上自衛隊(以下、海自と言う)次期固定翼哨戒機(以下、P-1と言う)量産初号機の納入式が、関係企業および防衛省関係者約300人が参列し執り行われ、約12年間にわたった開発を終え、防衛省に引き渡された。P-1<世界最高レベルの固定翼哨戒機> 構想・確定研究段階も含めると約20年近くの歳月を費やしたことになる。この間、幾多の難関もあったようだが、オールジャパンの官民一体の研究開発体制で乗り切り、世界最高レベルの純国産の固定翼哨戒機を完成させた。 P-1開発は、機体・エンジン・アビオ(搭載電子機器)を同時に開発するという過去にも類を見ない難しい事業に挑み、ついに海自および航空・防衛産業界の長年の夢を実現させた。まさに日本の新しい宝の誕生と言える。現用のP-3Cに比して格段の性能・機能の向上が図られた最新鋭機に大きな期待がかけられている。一方、同じP-3Cを運用してきた米海軍は、専用の機体開発は行わず民間機として実績のあるボーイング737を母機としてP-3Cのアビオの発展型などを搭載する方式を選択した。 こちらの開発も順調で、2013年には、「P-8A」として部隊配備される計画である。P-3Cに代わる新たな洋上哨戒の基本的な運用構想は、これまでのP-3Cの役割をP-8Aと無人機(グローバルホーク級)とに分担し共同して運用する構想である。 無人機は主として初期の広範囲な偵察に活用し、以後の作戦をP-8Aが受け持つというものである。また、機体が高高度を高速巡航するのに適するよう設計された民間機の転用であることから、哨戒機特有の低高度・低速・多旋回飛行には適せず、ある種の運用上の制約があるように思われる。 従って、低高度飛行を強いられた従来の磁気探知装置に代わるセンサーや高高度から投下可能な魚雷が装備されるようである。 これに比較しP-1は、哨戒機としての飛行特性を重視し、長年培ってきた対潜水艦戦術を最も効率的・効果的かつ、安全に実施できる設計が採られているとともに、アビオや兵装に至るまで各種作戦を自己完結できる能力の高い世界初の哨戒専用機として、広く注目を集めることと思う。気になるのは中国潜水艦の実力であるが、性能的にはたいしたことないようです。(大量に投入されると、おっつかないが)二式飛行艇の伝統を引き継いだ新明和工業が開発した救難飛行艇US-2は、飛行艇として世界トップの性能を持つわけで、民生品としての輸出が期待されています。日本とインド政府は首脳会談で、救難飛行艇「US―2」のインドへの輸出に向けて協議したが、実現すれば日本としては防衛装備品の民間転用による輸出第1弾となるようです。US-2 (航空機)より <機体>US-2(US-1A改)は防衛庁によると「改造開発」の扱いで、大幅な改良が加えられている一方、艇体にはほぼ手を加えず以前の設計を踏襲している。外見はUS-1Aと比べて大きな変化はなく、直線翼の中型機であり、水平尾翼を垂直尾翼の上に配したT字尾翼を含め、一般配置はそのまま踏襲している。エンジンは4基搭載、波高3メートルの荒れる海への着水ができ、50~53ノット(時速100km弱)で離水可能な短距離離着陸 (STOL)性能を有している。60度の深い角度を持つフラップ、翼表面の気流が滑らかに流れるようにする境界層制御装置 (BLC) も受け継いでいる。ランディングギアなどの離着陸装置も備え、水中での車輪の出し入れ、スロープからの基地への出入り能力もある。また現時点の公試性能では、離島における救急搬送出動における可能率がUS-1に比較して130~140%となり、離島自治体を中心にその活躍に期待が寄せられている。<消防飛行艇>新明和では、US-2を民間の消防飛行艇として販売する計画を持っており、2005年のパリ航空ショーで模型を展示、またパンフレットで詳細を発表した。20カ国ほどから興味があるとの打診を受けたという。この研究についてはすでにPS-1の5801号機で実験を行っており、データの蓄積は完了している。しかし、海上自衛隊向けの機体のため、日本政府の「武器輸出三原則」によって当時では輸出することは不可能であり、海外展開は三原則の緩和(あるいは解釈変更)を見越しての計画であった。日本航空機開発協会 (JADC) では、本機開発にあわせて民間転用への開発調査を実施し、消防・監視・離島支援へのニーズがあることを確認した。今後は市場調査および機体構造の検討を予定している。
2013.06.10
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北朝鮮から今日にでもミサイル発射との観測もあるが・・・ソウル市民の日常生活に変わりはないそうで、やはりアホの挑発には過剰反応しないことが肝要なんでしょうね。また、このほど・・・日台は尖閣の領有権を棚上げし日台民間漁業取り決めを締結したそうです。中台の間に楔を打ち込んだ今回の合意は、久々の日本外交の成果であり慶賀にたえない。日本側はかなり譲歩したようだが・・・台湾側の発した「資源は分かち合える」という考えが中国に伝わるなら良しとしよう♪日台民間漁業取り決めに対して、早速、中国から不快感が表明されました。4/10台湾の“単独行動”不満 中国、報復に出る恐れも 日台漁業取り決めより取り決め締結後の両会長 【台北=吉村剛史、北京=矢板明夫】沖縄県・尖閣諸島周辺海域の扱いが焦点だった日台民間漁業取り決めの締結を受け、中国国務院台湾事務弁公室の報道官は10日、「両岸(中台)漁民の漁業権益の維持は両岸双方に責任がある」と述べ、台湾の馬英九政権の“単独行動”への不満を口にした。今回の取り決め締結は、尖閣問題で台湾との共闘を目指す中国にとって大きな痛手であり、今後の中台関係にも影響を与えそうだ。 中国当局はこれまで、台湾や香港の反日団体に資金提供し、尖閣諸島へ上陸させるなどの方法で、同諸島への主権を主張してきた。日本と台湾の間に漁業取り決めがないことは中国にとって好都合だった。尖閣周辺海域で密漁する台湾漁民を取り締まる海上保安庁への台湾世論の不満は強く、中国当局はこの“反日感情”をうまく利用してきた経緯があった。 しかし、中国は表向き日台漁業取り決めに反対することができない。100万以上の台湾漁民の生活に関わる問題であり、反対すれば、台湾人の反中感情が高まることが考えられるからだ。 中国共産党の指導者たちはこれまで「中華民族の大義を守らなければならない」などの曖昧な表現で、台湾に対し漁業取り決めを締結しないように働きかけてきた。北朝鮮の子供じみた戦略に対して、わりと大人じみた台湾の決定に接して多様な東アジアを感じるのだが・・・・相も変わらず傲慢な漢族の中華思想は、何とかならないものだろうか?沖縄県からは水産庁に対して「沖縄の権益切り捨て」との知事コメントが出されたそうで、基地問題に加えて漁民の生活に我慢を強いることになります。孫子の兵法に則り、わりと謀略が得意な漢族であるが、力を信奉するリアリストでもあるわけで・・・・日本の軍事力については日本人以上に詳しいのです。そのあたりを、10日の報道に見てみましょう。4/10日本が新型哨戒機を配備 わが国の潜水艦の天敵に=中国より ロシアの軍事情報サイトは8日、「自衛隊の新型哨戒機P-1開発計画が順調に完了し、2機が3月26日に神奈川県厚木空軍基地に配備された」と伝えた。ジェットエンジン搭載の同哨戒機は、すでに老朽化したP-3Cの後継機となる。中国網日本語版(チャイナネット)は10日、日本の専門家の意見を引用し、「新型哨戒機P-1がわが国の潜水艦の天敵になる」と報じた。 日本の新型哨戒機は川崎重工業航空機事業本部が開発を担当した。開発は2001年より始まり、1機目の量産型P-1は12年9月25日に初飛行した。日本は12年3月にP-1の開発完了を予定していたが、機体と翼を生産する際に粗悪品が見つかったため、交付が約1年間ずれ込んだ。 専門家は、P-1の単価が約200億円に達すると予想している。防衛省は計70機の調達を予定しており、現役の80機のP-3Cの後継機とする予定だ。自衛隊の哨戒機の数はやや減少するが、自衛隊は「P-1の偵察能力と飛行速度はP-3Cを大きく上回り、機数の減少による損失を完全に補える」としている。 日中関係が尖閣諸島の領土問題により日増しに緊張する背景のもと、中国は尖閣諸島海域への巡視船派遣を常態化している。日本はP-1により、尖閣諸島海域の支配強化を狙っており、日本の軍事専門家は、P-1は中国の潜水艦にとって最大の天敵だと指摘した。この新型哨戒機の報道も様変わりの人民解放軍6に収めておきます。
2013.04.11
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ケビン・ラッドさんへのインタビュー <米中衝突回避の道> ケビン・ラッド豪州前首相がインタビューで「危険兆すアジア、信頼を徐々に築く外交文化が必要」と説いているので、紹介します。 中国通として知られるケビン・ラッド豪州前首相が「アジア回帰を超えて」と題する論文を米国の外交誌「フォーリン・アフェアーズ」に寄稿した。米国の「アジア回帰」に中国が反発を強めるなか、「アジアの最重要課題は米中の衝突回避」との見方に基き相互信頼づくりの私案を示している。ラッド氏に米中関係の現状と展望を聞いた。(デジタル朝日ではこの記事が見えないので、4/3朝日から転記しました・・・そのうち朝日からお咎めがあるかも) Q:論文の中で「中国の台頭と米国の財政・経済問題の結果、アジア太平洋地域の戦後秩序の耐久性に疑問が投げかけられている」と書いています。A:地平線上に危険を知らせる兆候が現れていると思う。だから我々は手をこまぬいているのではなく、何が起きているかを注意深く分析する必要がある。 この地域ではあらゆる兵器の大規模な拡散が進んでいる。そこに、朝鮮半島問題や、東シナ海、南シナ海での領有権問題があるのだから、冷戦時代と比べてもはるかに危険な状況にあるといえる。Q:確かに、北朝鮮が核弾頭の小型化と大陸間弾道ミサイルの開発を終えているとの見方もあります。A:それは地域の安全保障に対する「根本的な脅威」を超えて、「存在そのもに対する脅威」になり始めたということだ。私はこの表現を軽々には使わない。皮肉だと思うのは、世界各国がイランで進行中の核兵器開発に懸念を抱いている一方、すでにさらに進んだ段階にある北朝鮮に対しては、同じような懸念を持っていないということだ。Q:米国の「アジア回帰」を歓迎する一方で「それだけでは平和を維持するのに十分ではない」と指摘しています。何が足りないのですか。A:冷戦期の米ソ関係を例にとれば、戦略核をめぐる信頼は、長い時間をかけて徐々に構築されていった。二次にわたる戦略兵器削減交渉を思い出してほしい。1975年には全欧安保協力会議(CSCE)で(紛争の平和的解決などを定めた)ヘルシンキ合意も作られた。しかし、アジアにはそうした合意がないし、核兵器の削減交渉も行われていない。CSCEに相当する枠組みもない。そういう「外交文化」がないと言える。 米国の地域における(軍事的)プレゼンスが縮小しないことは、戦略的な土台として必要だ。中国が不快に思っていることは明らかだが、彼らはリアリストなので力の均衡は信頼している。均衡が保たれているという前提で言えば、欠けているのはどうやって戦略的な(相互)信頼を築くかだ。 Q:具体的にどうせよ、と。A:戦略的な信頼を構築するための段階的なアプローチ、「米中戦略的ロードマップ」を提案している。Q:昨年12月、中国国防大学での講演で示したものですね。米中間の定期的な首脳会談の実施や、ニクソン政権当時のキッシンジャーのような交渉担当者の設置、防衛対話の格上げなど7項目でした。A:そうだ。信頼は、いきなり宣言してできるものではない。まず小さな協力から始めて、次第により大きなことに進めていくのだ。Q:中国は受け入れますか。A:中国の利益がこの地域の安定を維持することにあるのは明らかだ。経済成長を達成するためには、長期にわたる安定が必要だからだ。今や中国経済は、単に輸出入だけでなく、投資や資本の流れでも国際社会にさらされている。米国も世界で唯一の超大国として、地域と世界の安全を確保したいと願っている。この利益の重なりを考えれば、相互信頼構築のためのロードマップづくりは、十分に可能だと思う。Q:豪州は1昨年、米海兵隊のローテーション形式の展開を米国と合意しました。中国は包囲網の一環と見ています。提案とは逆に米中の相互不信を深めさせているのでは。A:中国の分析は間違っている。これまでも豪州は長年にわたって米海兵隊のローテーション展開を受け入れてきた。1500人規模を1回3ヶ月だ。今度の合意は約2500人を6ヶ月という内容だ。根本的に力のバランスを変えるものではない。 豪米の軍事的関係は第1次世界大戦にまでさかのぼる。1941年には対日戦に備えて同盟を結んだ。それ以来、米国との軍事協力は進化してきている。そうした流れの中で考えれば、今回の海兵隊の展開強化は、極めて限定的なものに過ぎない。シンガポールが受け入れる沿岸海域戦闘艦(LCS)の配備の方がはるかに大きな意味を持つ。Q:論文の中で中国の将来に対する「核心的質問」を提起しています。中国が今後、既存のルールに基いた世界秩序の中で協力的に活動していくか、あるいは、自分のイメージに沿った形に世界のルールを変えていくかです。どちらに進むと思いますか。A:ルールに基いた秩序は、長期的には中国の利益にもなる。そう説得することが、地域全体にとっての利益だというのが私の立場だ。中国は大国として恐れられるのではなく、尊敬されたいと思っている。そうであれば、既存の国際秩序に対しては、自分に有利な間だけ利用するという姿勢ではなく建設的な貢献をしなければならない。中国国内の議論を見れば、今後ますます既存秩序と協調しようという方向に進んでいくと思う。Q:しかし、尖閣諸島問題や南シナ海での沿岸諸国との領有権問題で、中国は自国の主張を通そうと強引な姿勢を見せています。「攻撃的」との指摘も聞かれます。A:「攻撃的」という説明は受け入れられない。自己主張が強いこととは全く異なる。中国は経済規模、軍事力で大国になったのだから、地域、世界の問題について独自の考えを持つということだ。 我々地域諸国にとって重要なのは、中国と強固な関係を持ち、立場の違いがあれば、外交的、軍事的な危機を招くことなしに提起できるようにすることだ。「衝突」でも「叩頭」(頭を地につける)でもない第3の道。すなわち率直に忠告のできる友人関係だ。Q:尖閣問題での日中間の対立は非常に厳しく、「率直な忠告」などできそうにないのが現状です。A:この問題は、外交の論理と政治的ナショナリズムという相反する要素で動いている。外交の論理によれば、相互の関係を大きく傷つけることは、いずれの国にとっても利益とはならない。すでに経済への影響は深刻だ。しかし、ナショナリズムは両国で根強い。したがって安部政権にとって重要なのは、このナショナリズムで事態を炎上させることのないよううまく制御することだ。当面はまず、事態を安定化させる政治・外交的なメカニズムを作り、長期的には領有権問題そのものを解決する方法を見つけるということだ。Q:日本のナショナリズムに関連して、中国国防大学での講演で「中国に対する姿勢の世代をまたいだ変化」に強い懸念を表明しました。A:私の見るところ、中国との関係正常化に取り組んできた日本の政治指導者たちは引退し、戦略的和解の重要性を理解している人はほとんど残っていない。一方、新しい世代は、中国の要求を満足させることはできないので努力しても無駄だと思っているように見える。Q:では、両国は尖閣問題を収拾できないと。A:できるとは思うが、以前よりずっと難しくなっているということだ。双方ともナショナリズムの新たな力が活気づいているからだ。Q:米国が「アジア回帰」の一環として主導する環太平洋経済連携協定(TPP)に対しても、日本では反発があります。A:TPPは非常に優れた政策だ。自由貿易をアジア全体に広め、経済をより迅速に成長させることができる。日本の友人たちに強く勧める。日本は大きく手を広げて歓迎すべきだ。国内に保護主義の圧力があるのはどの国も同じだ。日本が現在保護している農業分野を含めて経済を完全に国際化すれば、大国としての地位の維持につながる。それができなければ大国としては生き残れない。Q:そもそも中国の経済成長が持続できるのか、疑問を投げかける見方が最近、米国の専門家の間で出始めています。A:私は中国の将来に甘い幻想を持っているわけではない。しかし、中国が過去30年間のように今後10年間成長を続けることはないと結論づけるのは、根拠薄弱だと思う。それに持続可能と見ることで失うものは何もない。むしろその方が用心深く賢明な判断だと言える。<取材を終えて> 米国の「アジア回帰」は歓迎しつつ、米中の不信は解きほぐす―これがラッド氏の提言の中核だ。そんなことができるのかとも思ったが、知「中」派としての自信にあふれる氏の弁舌によどみはない。米中両国政府がどう反応したいのかは「外交問題」として語らないが、豪州と同様、米中のはざまにいる日本にとっては興味の尽きない試みだ。(編集委員:加藤洋一)ラッド氏は中国通というより中国寄りではないかと思えるのだが・・・これが外交当事者の感覚なんでしょうか?豪州の対中感情は良くないが、豪州政権はパンダ・ハガー(パンダを抱っこする人)と目されるだけに、日本人の感覚とは微妙に異なるようです。さて懸案のTPPに対するラッド氏の意見は、完璧にアングロサクソンそのものであり、これは日本人として受け入れることはできませんね。まあ、今のラット氏が市井の市民でありえるわけもなく、米国と利害共有者として見るのが正しいんでしょう。また、ラッド氏は首相就任時の2010年に、日本の調査捕鯨について国際司法裁判所に提訴したことも心しておきましょうね。
2013.04.08
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北朝鮮が核実験カードを切ろうとしている今、韓国には中国寄りのスタンスが垣間見えますね。韓国のパク・クネ大統領は、難しい立場にあるのかもしれないが・・・・Tsuchiya さんが、19日ツイッターでパク・クネ大統領は中国寄りとツイートしています。やはり、そうなのか。@gold_sf: 日本の陸軍士官学校を卒業した父、パク・チョンヒ大統領の娘ということで親日派と期待されるパク・クネ大統領。しかし彼女は、日本語が話せない。一方、彼女は、英語、中国語、フランス語、スペイン語に堪能。中国人脈も豊富。韓国にとって経済から安全保障まで中国が最重要国家。折りしも、18日の日米外相会談で、尖閣問題ではクリントン国務長官から日米安保での米国の防衛義務を認め、「日本の施政権を損なういかなる一方的な行為にも反対する」旨の発言があり、岸田外相は「高く評価する」と語り、また「米国とは原子力協力のパートナーとして連携していきたい」と伝えたそうです。米政府が尖閣をめぐる他国の行為に具体的に言及したのは初めてとのこと。このとおり中国を牽制して日米関係は良好であるが・・・・パク・クネ大統領の立場はますます難しくなったのではないか。ここで・・・韓国ウォッチャーでもあり、02年度ボーン・上田記念国際記者賞を受賞した鈴置高史(日本経済新聞社編集委員)さんの中韓関係を拝聴してみましょう。 1/17韓国は中国の「核のワナ」にはまるのかより 北朝鮮が近く核実験するという噂が流れた。焦る韓国に中国は親切に言った。「私が止めてみようか」。韓国は思わず中国を頼む心境に陥った――。しかし「中国の協力」は毒まんじゅうだ。韓国が安全保障を米国ではなく、中国に頼る第一歩となるからだ。 <「1月20日までに北が核実験」> 2013年1月12日、中央日報は“特ダネ”を載せた。見出しは「北朝鮮、13-20日に核実験強行の情報」。記事によると「在北京の北朝鮮の役人が中国の関係者に『13-20日に核実験を実施予定』と話したという情報を韓国政府が入手した」。そして「(別の)北京の対北朝鮮消息筋も『新たな核実験は核弾頭の小型化・軽量化のためのものと聞いている』と説明した」と付け加えた。 この報道を受け、朴槿恵・次期大統領は12日「挑発には断固として対応する。北朝鮮は無謀な核実験計画を中断しなければならない」と述べた(中央日報、1月13日付)。 もし、北朝鮮が核実験を実施し成功すれば韓国は大変な痛手を受ける。核保有国となった北朝鮮は恐ろしく強腰となり、韓国に無理難題を吹っ掛けるようになるに違いない。 北の核保有を防げなかった米国は韓国には「我が国の核があるから大丈夫」と言ってみせるだろうが、北を大事に扱うようになるかもしれない。北朝鮮が核兵器をテロリストに売らず、また、ミサイルを米国に向けないなら、自身に大きな問題は波及しないからだ。<韓国の国論は分裂へ> 韓国は分裂する。右派は北朝鮮への強硬策を叫び、核開発を進めろと政府に要求するだろう。極左派は北朝鮮との融和策をとれば核の脅威は消える、と主張するに違いない。結構多くの韓国人が「民族の核」に誇りを持つだろうから、その主張に賛同する人も出てくるかもしれない。 市場の地合いにもよるが、韓国から外貨が一気に流れ出る可能性がある。レームダック化した李明博大統領はもう動けない。朴槿恵氏は大統領就任前にも北の核実験に神経を配らざるを得ない。 北の核実験説が流れる前から中国は韓国に対し「北朝鮮への共同対処」を誘っていた。10日、中国の特使として朴槿恵・次期大統領を表敬した張志軍・外務次官は「朝鮮半島を含む地域と国際問題について、両国間の調整を強化していくことを希望する」と述べた。 短い発言だから分かりにくいが、中国の本音を露骨に語った記事がある。中央日報の10日付に掲載された楚樹龍・清華大学国際研究所副所長の主張だ。 見出しは「中国・清華大学副所長『北が挑発しない場合は……』」で、聞き書きの形をとっている。楚樹龍・副所長はしばしば韓国紙に「中国からのアドバイス」を寄稿する学者だ。この記事の北朝鮮に関連する部分の要旨は以下の通りだ。 <対北政策は硬軟とも失敗> 朴槿恵・次期大統領にとって北朝鮮は外交の最大の難題になる。金大中、盧武鉉の両政権は包容政策で(緊張緩和に関し)若干の効果をあげた。しかし、北朝鮮の核兵器(開発)は防げなかった。李明博政権は強硬策をとったがやはり肯定的な効果をあげられなかった。硬軟両策が失敗したのは北朝鮮に変わる気がないからで、その現実を受け入れて政策をたてるしかない。具体的には、北朝鮮が追加の核実験や新たなミサイル発射をしないなら、韓国と中国、米国が北に人道的援助をしようということだ。 この記事が主張するように、韓国が硬軟両策ともに失敗し対北政策で手詰まりになっているのは事実だ。しかし「援助すれば北朝鮮が核開発を止める」というくだりに疑問を持つ人も多いだろう。韓国の左派は勝手にそう思い込んで、何度も北に騙されてきたのだ。 実は、それを解決する方法がないわけでもない。北の核実験中止を中国に担保してもらう手だ。韓国の融和策が失敗したのは北の「悪い行い」を矯正する力を韓国が持たなかったからだ。韓国の後見人たる米国も、北朝鮮の非核化への意志と関心を減らし、せいぜい経済制裁ぐらいしか北に課して来なかった。 <次期大統領も中国に期待> だが、北朝鮮に食糧とエネルギーのほとんどを供給する中国なら、絶対とは言わないまでも北朝鮮の核実験を食い止められる可能性が相当程度にある。楚樹龍・副所長も「中国が担保する」とは言い切っていないものの「韓国・中国・米国が協力して対北和解策を展開すればよい」と、さりげなく「中国の力」を示唆している。 朴槿恵・次期大統領も「中国への期待」を隠さない。北問題の解決に向け、彼女も6カ国協議と「関連国との協力強化」を強調してきた。 Daily NKは1月11日に企画記事「朴槿恵、北の核・ミサイルで『プランB』を本格準備せよ」を掲載。彼女の「中国への期待」を指摘したうえで「6カ国協議は北の核計画を防ぐ狙いだったのに、核を作るための遮蔽幕になった」との専門家の意見を紹介した。プランAたる「6カ国協議」は捨てて、プランBたる「中国の役割」に期待しようとの主張だ。 <中韓協商が成功すれば「米韓」にヒビ> 朝鮮日報の池海範・論説委員は1月1日付のコラム「習近平と朴槿恵が手を携えれば」でこう書いた。「朴槿恵・次期大統領が提示した『朝鮮半島信頼プロセス』は北朝鮮に対する抑止力の基盤のうえで、南北間の民間経済交流から活性化するものだ。この点では中国と一致する部分が多い。(韓中の)2人の指導者が手を携えて北の挑発を抑えながら経済改革に誘導する解決策を見いだした時、両国は真の『戦略的協力同伴者時代』を開くだろう」 中国が持ちかける前から韓国では「中国頼みの北朝鮮政策」が浮上していたのだ。朴槿恵政権は中国と協力し、米国を形式的には入れた「中韓米3国協商による北朝鮮融和網」を作ろうとするかもしれない。 ただ、それは成功するほどに米韓同盟にヒビを入れていくことになろう。なぜなら、米国の軍事的威嚇にも屈せず核ミサイル開発を進めて来た北朝鮮が、中国の言うことは聞くことが明らかになってしまうからだ。 それはとりもなおさず、韓国の安全を担保できるのが米韓同盟ではなく、中韓同盟であることを意味する。ちなみに、韓国の仮想敵は北朝鮮であって、中国ではない。 <韓国は中米間で等距離外交を> 心配性の日本人が「中韓協商がうまくいった時に米韓同盟はどうするのか?」と韓国人に聞くと、こんな答えが返ってくる。「そんな大げさな話ではない。ちょっと中国の力を借りるだけだ」「米国の圧倒的な軍事力で北朝鮮の正面を抑える。後ろからは中国に羽交い締めにしてもらう。米中双方に助けてもらえばいい」。彼らの口裏からは2つの超大国を使いこなす快感も感じとれる。 そうだろうか。そんな簡単な話だろうか――。楚樹龍・副所長の記事の後半は中韓・米韓関係に関しての「アドバイス」だ。そこには中国の本心がはっきりと書いてある。ポイントは以下の通りだ。 ・韓国は中国と米国の間で等距離外交をすべきだ。・韓国は経済、地理、歴史、文化的に米国よりも中国にはるかに近いからだ。・韓国は安保を除きすべての部門で中国から利益を得ながら、外交は米国に偏しているとの認識も中国の一部にはある。 もう、韓国の従中はここまで来たのか、という感じだ。安保で米国だけに助けて貰っている現時点でさえ、中国は「中米の間の等距離」を要求した。今後、北の核実験などを巡り中国にも世話になったら「中国により近い位置」に来いと言いだすだろう。そして、こうした上から目線の中国の要求が、韓国の新聞にちゃんと載るようになったのだ。 <日韓分断に成功した後は……> 2012年、李明博政権は中国の圧力に屈し、米国の求めた日韓軍事協定の締結を放棄した。半面、中国には同じ協定を申し込んだ(「中国に『日本と軍事協定を結ぶな』と脅される韓国」参照)。 2013年1月には、靖国神社への放火容疑者である中国人を日韓間の協定を無視して中国に送り返した。もちろん中国の要求を受け入れてのことだ。 ちなみに、楚樹龍・副所長の記事の中ほどは日韓関係に関する「アドバイス」だ。 ・中国と日本は今後数年間、緊張関係、部分的には対立関係を続けるだろう。韓国は(中日間で)中立政策を維持するのがよい。・中日両国に対する(韓国の)政策は自ら選んで決めた戦略に基づくべきと考える。 以上の要約を読めば、日本に関して李明博政権が中国の要求に実に素直に従い、あるいは要求以上に従ってきたことが分かる。日韓分断に成功した中国は、そろそろ本丸の米韓分断に動くだろう。その手始めが次期政権への「北の核実験を中韓協商で抑える」という提案になる可能性が高い。 2013年2月末から政権を担う朴槿恵氏は、中国からの引力が猛烈に強まる中、どう舵をとるのか。安倍晋三首相が予想外に韓国に低姿勢に出ているのも、韓国が今、中国の手に落ちんとしているからに違いない。 1月15日、米国務省のヌランド報道官は定例会見で、北朝鮮政策を見直す計画はないと明らかにした。聯合ニュースによると、朴槿恵・次期大統領が大統領選挙期間中に北朝鮮政策を変える考えを示したことに対応した。ヌランド報道官は、北東アジアの安全を確保するために、米日韓で2国間、3国間協議を続けることが重要だと強調した。 韓国が「中韓協商」に動かないよう、米国はクギを刺したのだ。 北朝鮮の核といっても狙いは対米交渉であり、日韓関係も米中のくびきを抜きにして語れないわけで・・・・鈴置高史さんの語り口は、まさにこの勘所を押さえていますね♪また、韓国に思い入れのある大使であっても、より中国寄りになる韓国は見たくもない気がするのです。日米外相会談でのクリントンさんの言葉に安堵したけど・・・日米安保とTPP交渉とは、また話は別であり・・・反TPPは堅持すべきでしょう。
2013.01.20
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湯浅誠さんがインタビューで「イメージ先行、マッチョを選択」と説いているので、紹介します。とにかく、生活は今後も続くので、落ち込んでいるわけにもいけないわけで・・・湯浅さんの弁を拝聴する次第です。湯浅誠さんへのインタビュー <終幕、熱狂なき294>(デジタル朝日ではこの記事が見えないので、12/18朝日から転記しました・・・そのうち朝日からお咎めがあるかも)Q:自民党が圧勝しました。有権者が何を求めた結果だと思いますか。A:景気対策への期待感に加えて、民主党への懲らしめでしょう。前回の総選挙は自民党への懲らしめでした。Q:今回の懲らしめの原動力は。A:人々の、日本社会の行く末への不安感です。少子化が進み、高齢化が進み、経済は成長しない。人口は減っていく。これからどうなってしまうんだろうと。そして、本当はうまくやる方法があるはずなのに、政治家がだらしないから、官僚に手玉にとられている。だらしなくない人がやれば、うまくやれるはずだ、という思いが重なった。 こいつじゃ駄目だ。あいつならうまくやってくれるんじゃないか。やらせてみたけれど、駄目だった。誰かほかにいないか…。首相に対しても政党に対しても、幻想と幻滅を繰り返しています。 今回、維新の会が54議席を取ったのも同様です。思ったより伸びなかったと言われますが、少し前までは国会に議席のなかった党です。それがいきなり公明党を上回った。より新しい党に、何かできるのではと期待した結果でしょう。Q:その維新や自民党など、新自由主義的な競争を重んじる政党が躍進しました。湯浅さんが日頃向き合っている、社会的弱者と呼ばれている人たちは今回、どう投票したと思いますか。A:今は目の前の生活で手いっぱい、政治も政策も考える時間も余裕もない、というのが少なからぬ人たちの実感です。介護で忙しい人は介護問題を考える集まりに出られない。仕事探しで忙しい人は雇用問題を議論する会に行けない。その中で、イメージで政党が選択される部分が増えています。先日も支援団体のボランティアの人たちと話をしたのですが、年配の人が「民主党、もうだめでしょう」という。具体的にどこがだめですかとたずねたら、答えに詰まってしまった。考える前に、すでに「ある」のですね。イメージや空気が。Q:彼らが求めている社会と、自民党が描く社会は一致しないのでは。A:私自身は、今回の総選挙は社会構想の選択が争点になるべきだと訴えてきました。経済では新自由主義路線か成熟型の社会を目指すのか、外交では強硬路線か協調路線か、社会保障では自助を強調するのか共助や公助を強調するのか。これはパッケージ化してきていますQ:でも、争点になりませんでした。なぜだと思いますかA:一つは、軸が立っていないことです。リベラルな政治家は自民党を含めて複数の政党に存在するものの、どの党でも執行部を取れていないため、埋没してしまいます。 もう一つは、国民全体がある種の決断主義に陥っていることです。政策の良し悪しよりも、決断や実行ができるのかの方が重要になってしまった。「決断した」イコール「圧力に屈しなかった」「いろいろな意見をはね返した」というわけです。マッチョであること自体が評価されるようになってしまいました。Q:大震災後初の総選挙でした。選挙戦は、このことを感じさせましたか。A:少なくとも原発の問題については、各党が脱原発をうたいました。その意味では、明確に「3.11後」が刻印されていたとは思います。ただ各党の違いが争点として明確だったかといえば、そうではなかった。結果的に「どこも大して違わない」という感覚が、もっとも脱原発色の薄い自民党を利しました。 けれども、歴史的には「自民党が圧勝した。深刻な原発事故があったが、国民は明確に原発から脱却する方向は選択しなかった」と評価されるでしょう。福島以外の地域での風化が早すぎる気がします。Q:そんなつもりで自民党に投票したんじゃない、という人は多いのでは。A:それなら、あきらめるのではなく、結果を黙って受け入れるのでもなく、選挙後も政治に働きかけるなど、実際に行動するべきです。私たちは1年中、主権者です。お任せではなく、関わり続けないといけません。Q:圧勝した自民党は、政策はすべて国民から信認された、と言うでしょう。A:そう、3年前に民主党が言ったように。野党としての自民党は、与党としての民主党との対抗関係の中で右傾化を強めました。今回の公約もその線に沿うものが目立ちます。でも、自民に投票した、例えば無党派層の人たちが全員、これと同じ価値観だとは思えません。 だとしたら、「国防軍」などについても「私は1票を入れたが、この問題については別の選択肢を取ってほしい」と表明する必要があります。そうでないと、結果的に自分が込めた思いとは違う1票の使われ方をしてしまいます。(聞き手:刀称館正明)湯浅さんの新刊です。ヒーローを待っていても世界は変わらないより<面倒な民主主義と向き合う:中島岳志>2008年末の年越し派遣村で村長として活躍した湯浅誠。彼は通算2年、内閣府参与を務め、現在は大阪を拠点に活動する。民間と行政を経験した湯浅が考える民主主義とは何か。橋下徹現象をどう見るか。 民主制は、どこまでも面倒くさい。多様な人々の異なる意見を闘わせつつ、互いに調整しなければならないからだ。しかし、特定のテーマに強い執着を持っている人ほど、「自分はわかっている」と思っているために、冷静に異なる意見を聞くことができない。相手をすぐに否定したがる。しかも粘り強く調整を行っていると、なかなか物事が決まらない上に、様々な妥協を強いられる。 すると、どうなるか。多くの人々がイライラし始め、「決めてくれ。ただし自分の思い通りに」と考えるようになっていく。ここに利害調整の拒否を伴うヒーロー待望論が出現する。 この現象は、政治システムへの不信と直結し、議会政治や政党政治への否定につながる。とにかく議会制民主主義はまどろっこしい。いい加減、決めてくれよ、という心理が働く。ヒーローは期待に応えて、反対者を叩き、即断即決で物事を決めていく。 私たちは民主主義の面倒くささに疲れ、システムを引き受けきれなくなっているのではないか。民主主義には時間と空間が必要だ。しかし、現在の社会には「溜め」がなく、みんな忙しい。熟議や調整に参加する時間的余裕もなく、場所も見当たらない。「溜め」のない社会は、貧困を抱える人たちを苦しめるだけでなく、勝ち組をも追いつめる。いつ転落するかどうか分からないという恐怖とストレスを抱え込むからだ。そして、その不安は更なるヒーロー待望論に結び付いていく。 この負のスパイラルを私たちは断ち切ることができるのか。民主主義のあり方が根源的に問われている。 ◇湯浅誠著、朝日新聞出版、2012年刊<内容紹介より>「反貧困」を旗印に、格差社会に異議を申し立てた「年越し派遣村」元村長・湯浅誠の最新刊。2012年3月までの約2年間、内閣府参与として政権に入った著者が、「橋下現象」や「決められない政治」「強いリーダーシップ待望論」について徹底的に考え抜いた民主主義論。議会政治と政党政治をあえて擁護する立場から、「おまかせ民主主義」に警鐘を鳴らし、真の民主主義のあり方を探る画期的論考! <大使寸評>図書館で借りて読もうと思っています。
2012.12.20
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「駄目なものは駄目」という女の論理選挙公約に、何年後になるとしても脱原発あるいは卒原発と掲げる以上は、「核燃料サイクルの廃止」は織り込み済みであったはずである。それでは、安部新政権はこの公約を今後どのように具体化するのでしょうか。しかし、原子力政策の根幹ともいえる「核燃料サイクルの廃止」は事が大きすぎて決めきれないのではないか?いや最初から「核燃料サイクルの廃止」は考えてもいないのが本音かも知れないのです。ここで、公約について考えてみましょう。「脱原発あるいは卒原発」であるなら、日本未来の党のHPに書いてあるように「もんじゅと六ヶ所再処理工場の廃止」とまで具体的に公約するのが潔いというか、論理的な約束というものです。以前「駄目なものは駄目」という女の論理を公言した党首がいましたね。アレですよ。NHK-ETV特集アーカイブ「核燃料サイクルの道程」に、問題点を見てみましょう。“不滅”のプロジェクト~核燃料サイクルの道程~ より 日本の原発から出た使用済み燃料は1万5千トン。行き場のないまま原発敷地内などに保管されている。ゴミである使用済み燃料の処理方法が無いまま稼働を続ける原発は、トイレの無いマンションと揶揄される。この問題を一挙に解決する方策として模索されてきたのが「核燃料サイクル」だった。その夢のサイクルが、福島原発事故をうけて原子力行政が問い直される中、根本的に見直されようとしている。将来に向け、私たちはいまどのような選択をすべきなのか。それを考える前提として核燃料サイクル60年の足取りを知っておくことは必要だ。 日本では、原発開発が始まった当初から「核燃料サイクル」が目標にされた。使用済み燃料を再処理してプルトニウムを取り出し、再び燃料として利用する「核燃料サイクル」は、資源小国のエネルギー問題と、放射性廃棄物というやっかいなゴミ問題を一石二鳥で解決してくれる夢のプロジェクトとしてスタートした。サイクルの要となる高速増殖炉は、プルトニウムをウランと混ぜて燃やし、使用前よりも多くのプルトニウムを作り出すことができるというもの。これを確立することができれば、理論上、千年はエネルギー問題から解放されると期待されてきた。 この「核燃料サイクル」の計画からその後の経緯までの内幕を、赤裸々に記録した録音テープがある。日本の原子力政策を中枢で担い続けてきた、政・官・財・学の中心人物が、非公式で開いていた「島村原子力政策研究会」の会合を録音したテープだ。国家プロジェクトとして始まった核燃サイクルがさまざまなう余曲折の中で迷走していった過程が語られている。 日本の核燃サイクルは「トリウム」という軍事利用できない燃料を使ったものが研究された。しかし、実現を急ぐ政界の意向から英米から既成技術を輸入することに方針転換された。英米で開発されていたのはトリウムではなく「プルトニウム」を使った核燃サイクルだった。プルトニウムは核兵器の材料になる。1960年代に中国やインドでの核開発に脅威を感じたアメリカは、70年代に日本の核燃サイクルに待ったをかけてきた。この圧力は日本に「焦り」と「意地」を生じさせ、冷静な開発を困難なものとしていった。 計画開始から半世紀以上が経過した今、まだ核燃サイクルは実用化されていない。そして使用済み燃料の問題は依然として解決していない。「一石二鳥」どころか「二兎を追う者、一兎も得ず」の状態になっている今、核燃サイクルという夢を追ったプロジェクトの経緯を検証し、問題の所在を明らかにする。原発敷地内の使用済み燃料プール。国内各地の原発敷地内などに、こうした状態で1万5千トンが保管されている。 選挙では惨敗に近かったけど、未来の党の公約を見てみましょう。日本未来の党:未来への約束より● もんじゅと六ヶ所再処理工場の廃止、世界最高水準の安全規制、大間原発など新増設の禁止、使用済み核燃料の総量規制と乾式暫定保管からなる「卒原発プログラム」を定める。 そういえば、この日のETV特集「不滅のプロジェクト」 を見てブログにも書いていたことを、すっかり忘れていたけど・・・・プルトニウムの軍事利用(核オプション)の話まで出てきて、かなり物騒な内容になっていました。
2012.12.18
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低投票率のもとで、民主、未来(民主党脱党組)、第3極の潰しあいで、自公が勝ち残ったような有様だったなあ(泣)脱原発、反TPPという政策だけでは現状の選挙制度では戦えないのか?ツイッターで選挙応援したけど自己満足に過ぎなかったのではと・・・・なんだか、ドッと落ち込むのです。17日のツイッターで選挙の敗因を見てみましょう。(死んだ子の歳を数えるようだけど)@gold_sf: 最初から「官僚主導の中央集権体制打破」を主張して登場したのは、日本維新の会の石原代表。ところが、石原氏が脱原発でも反増税でもないので「官僚主導打破なのに原発推進とはどう言う事?」と有権者を戸惑わせる結果になった。結局脱官僚主導で何をやるのか不鮮明で、支持率が下がった。@gold_sf: 2/3 は、憲法改正が出来る人数。 勿論参議院は未だ2/3の勢力はない。 これで、自公は逆に、強引に法案を通す事はしない。 強引に法案を通すと、13年の参議院選挙は大敗する。@hirougaya: 未来の党は 前回選挙で 民主党新人で 当選した 小沢チルドレンが多いです 民主党人気が 失速すると 同時に 虐殺状態に つまり 選挙に弱い 「選挙に強い」はずの 小沢一郎の力に かげりありです@hirougaya: 短気で移り気なところや 勝ち馬は大勝するあたり 選挙はますます 消費行動に似てきました。悪いことではありません。もはや政党は「信念」を 代表する組織ではなく「利益」を代表する組織になったのです。@gold_sf:Tsuchiya 心は青年さん@hirougaya:烏賀陽(うがや)弘道さん野田さんのごまかしには、国民は予想以上の反発で答え、官僚たちの高笑いが聞こえてくるが・・・・野田さんをトップとする松下政経塾的なものに、ビジョンを語る資質が無かったというしかないのかも。大阪では維新は健闘しているが、それも地域限定になっているので、政権争いになり得なかった。選挙に対する小沢さんの勘は今回は鈍っていたし、選挙戦術で勝ち残るほど状況は甘くはなかったのかもしれないですね。wikipedia松下政経塾選挙結果について、内田先生のエントリーを見てみましょう。12/17選挙結果についてより総選挙の結果が出て、自民党が歴史的大勝を収めた。選挙結果については大筋では予想通りということだが、ここまでの圧勝は徴候的である。小選挙区制は得票率と議席率が同期しない制度であり、わずかな「風向き」の変化で、ドミノ倒しのように一政党が地滑り的勝利を収めるように制度設計されている。その結果、2005年の小泉郵政選挙で自民党は296の圧勝。2009年の政権交代選挙では民主党が308の圧勝。2012年の小党乱立選挙では自民党が294の圧勝という「振り子の振れ」の大きな選挙結果が示されている。このような振幅の大きさこそがこの選挙制度のめざしたかたちであるというふうに受け止めた方がよい。メディアの選挙総括がどこでもそう書いているように、自民党の勝利には積極的な理由がない。民主党の3年3ヶ月にわたる「オウンゴール」による得点だけで、自民党が野党時代に国民の耳目を集めるようなめざましい政治的実績があったわけではない。一国が「腰を決める」ためには、「清濁併せ呑み」「小異を捨てて大同につく」度量の大きなリーダーが登場して、ひろびろとした国家ヴィジョンを提示し、その実現に向けて「みんなまとめて面倒みよう」という話にもってゆくしか手立てがない。だが、今のわが国にはこの手の懐の大きなリーダーは存在しない。安倍総理(予定)は誰が見ても「懐の大きなリーダー」ではない。だから、彼が対立する勢力を雅量をもって受け容れ、長期的な国家ヴィジョンを示して、国民的統合を果たすということは決して起こらないだろう。今回の自民党の「勝ちすぎ」選挙が示すのは、私たちが(無意識のうちに)選んだのは「未決定状態にふらふらして、いかなるイシューについても国論の統一が果たせない国」という様態だったということである。なんか、ますます落ち込むのです。駄目押しとして以前、図書館で借りた「松下政経塾憂論」という本を紹介します。【松下政経塾憂論】江口克彦×東海由紀子著、宝島社、2011年刊<内容紹介>より松下政経塾出身者は、なぜ口だけ達者でひ弱なのか? 今年9月、初の政経塾出身者が首相になりました。野田政権の中枢には玄葉外相をはじめ、前原政調会長、樽床幹事長代行など政経塾出身者がズラリ。しかし、その実行力には疑問符がつきます。一体、松下政経塾とはどんな場所で、何を教えているのか? 奨学金はいくら? 出身者はどういうところで活躍しているのか? 側近として松下幸之助に23年仕え、政経塾創立に尽力した江口克彦氏と、松下政経塾23期生の東海由紀子氏による共著。政経塾を誰よりも知る2人が、すべてを明かします。 <大使寸評>結果的に東海さんの入塾体験記になっていて、興味深いレポートです。塾の評価は結果(塾出身者)が全てであると思うが・・・・結果がショボイですね。はたして、何がわるかったのか?と考えさせる意味では、出版し世に問うた意味があるとは思うのですが。Amazon松下政経塾憂論松下政経塾の旬も過ぎたのかbyドングリ
2012.12.17
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<TPP参加反対の輪8>TPP参加反対ツイートを12/13~15のツイッタ-に見てみましょう。政権が代わろうと、代わらなかろうと、しつこく反対することが肝要ではないでしょうか。なお、モンサント社告発の輪も含めています。大手メディアは野田首相、財務省、経産省、米国金融、経団連、穀物メジャー、モンサント、対中国抑止力etcの相関を解明する気があるんだろうか?<老婆心かもしれないけど>候補者名を挙げて投票勧誘ツイートすることは、公選法違反になるので要注意です。【12月15日】@Chooemon92: TPPは条約。条約は国内法に優先する為にTPPで話をまとめれば法改正よりも早く変更ができてしまう。個別に国内法を変えると3~5年はかかることが1度の交渉で変更できる。米国は日本国民にわかりにくい形でTPPを日本に呑ませようとしている→ http://t.co/R9HUMh9l@mdonguri:TPPは農業に限らず、食料・金融・医療・法律など全分野をアメリカ基準に? http://tl.gd/kb9bvo @Chooemon92 反TPPの日本未来の党に期待します。【12月14日】@mdonguri:TPPに反対します http://r10.to/h7Ytrm #r_blog 選挙前に読んでもらいたいメッセージです。【12月13日】@ktht4: 榊原英資「(TPPで医療に関して)おそらく米国が最初に要求してくるのは混合診療。今は健康保険か自由診療か別々。それを一緒にしろと要求してくる。そこから始まって、それが段々拡大してくると、健康保険がジワジワと侵されてくる」。晴耕雨読 http://sun.ap.teacup.com/souun/9416.html@masaru_kaneko: ダイアモンドオンラインでインタビューを受けました。記事名は「TPPによる規制緩和で経済復活は幻想 RCEPや日中韓FTAを優先すべき」。TPPは小泉「構造改革」の焼き直しだということです。同じ失敗を何度も繰り返す、無責任大国日本です。 http://diamond.jp/articles/-/29366@tosa_suigei: TPP:日本でも大きな変化が始まっている。国が決定した国際経済協定が交渉に入る前からここまで詳細にチェックされ世論の反対にあうことはこれまでなかった。政府/経産省/外務省はそのことに大きなショックを受けているはずだ。ネットによる情報交換/情報共有が政治を動かす力になっているのだ。米韓FTAの「ラチェット条項」にアメリカの戦略性がよく表れています。@DWMK_fujita: 「米韓FTA」を見ると、日本が進めているTPPがどのような意味を持っているか、よく分かる。米韓FTAには「ラチェット条項」というのがあった。例えば締約国が、あとで何らかの事情により、市場開放し過ぎたなあ、と思っても、規制を強化することが許されないというもの。二度と後戻りできない。「米韓FTA」を見ると、このラチェット条項が入っている分野は、例えば銀行、保険、法務、特許、会計、電力・ガス、宅配、電気通信、建設サービス、流通、高等教育、医療機器、航空輸送など、多岐にわたっている。どれも米国企業に有利な分野ばかり。日本がTPPに参加する問題点はここにある。なお、TPP関連で私がフォローしている方々です。@Chooemon92:Dr.NOMURAさん @ktht4: 輾転(てんてん)さん @OrganicNewsClip: 有機農業ニュース・クリップ @angi4077: angi4077さん @tomoyakitada: 【日本未来の党】kitadatomoyaさん@anti_tpp: TPP反対!さん@HEAT2009: HEATさん@st7q: 高岡滋さん@lovesecatjj: Rachel as NOLYさん @mikio_1962: mikioさん@pfmamimatsu: hachinosumamyさん@2012wat: すけろくちゃん(児玉助六) @MieYasuda: 安田美絵(遺伝子組み換えでない)さん@masaru_kaneko: 金子先生@tsuji_megumu: つじ恵さん@parc_jp: アジア太平洋資料センター(PARC) @ja_tpp:JAグループTPP関連情報@TPP_kantei:STOP TPP!! 官邸前アクション実行委員会@beritapress: 日刊ベリタ@muramachiTPP: TPPに反対する人々の運動@suns_flower: 向日葵さん@levinassien: 内田樹先生@finalcut0011: バロンさん@prspctv: perspectiveさん@tomo_nada:印鑰智哉さん@tosa_suigei: 土佐の酔鯨さん@DWMK_fujita: 藤田和芳さん@magosaki_ukeru: 孫崎享さん@ryujinno2:恵三さん @osamu9912:修さん @shiraiGP:白井和宏さん@urimoro:goodjoneさん@lmn800: 檸檬さん @kaze2014:Hiroshiマスコミ・学者支配を崩せ!さん @maegamieiji: 英司さん@tabtab7: 日本の灯火さん@tanakenta: たけんさん@hajime7120:創さん@uedatakenori: 植田武智さん@mdonguri: 不肖ドングリですTPPの問題点をNHK時論公論『どうするTPP』に見てみましょう。大使としては反TPPの旗幟を鮮明にしている「日本未来の党」に期待するのだが、この党にしても同盟国アメリカとの関係をどうするのか、肝を試されているわけですね。11/29時論公論 『どうするTPP』より●普通の自由貿易協定と違うのは、自由化の水準が極めて高いうえ、幅広い分野が自由化の対象となっている点です。関税は原則として撤廃、すべての品目を交渉のテーブルに乗せるのが交渉参加の大前提です。自由化の対象も、金融や電気通信といったサービス分野のほか、知的財産権のルールつくりなど21分野に及びます。●日本国内で激しい議論が起きたのは、アメリカ主導、そして自由化の程度が高いという特質と、日本経済が新興国の追い上げや少子高齢化で、下り坂を迎えた時期にあたっていたからだと思います。経済界を筆頭に賛成・推進派は、日米関係の重要性やアジア太平洋地域の成長を取り込むためにも、早く交渉に参加してルール作りをリードすべきだと訴えています。一方、反対、あるいは慎重派は、関税の撤廃で日本の農業は壊滅的な打撃を受ける。アメリカ流の規制緩和を押しつけられ、食の安全や公的な医療制度が損なわれる恐れがあると警戒感を露わにしています。●アメリカの戦略は、中国が将来参加することを想定して、アメリカ主導のルールに基づいた、できるだけ自由化の程度の高い協定を早く作り上げることです。交渉がすんなり進むとは思えませんが、参加するにせよ、不参加にせよ、日本がいつまでも結論を先延ばしするわけにはいかない情勢です。●2つ目は、東アジアで新しい広域的な自由貿易協定が動き出そうとしていることです。ASEAN10カ国と日本、中国、韓国、それにインド、オーストラリア、ニュージーランドの16カ国の自由貿易協定と、日本と中国、韓国の3カ国の自由貿易協定で、どちらも来年初めから交渉が始まる見通しになりました。●2つの協定が動き出したのは、実はTPPが影響しています。当初、中国はどちらの協定にも消極的でしたが、TPP交渉が動き出すと同時に積極姿勢に転じました。中国としては、アメリカ中心に対して、自分が加わるASEAN中心の経済協定を対抗軸にする。また、領土問題で厳しい関係にもかかわらず、日中韓の自由貿易協定の交渉開始に同意したのも、TPPを通じた日米間の接近に備えた布石と見るのが一般的です。日本としては、TPPへの参加を見合わせて、2つの協定を優先するという選択も考えられます。関税撤廃が原則ではないので、農業への打撃は抑えられるかもしれません。しかし、工業製品の輸出やルール作りの面で、日本に有利な内容は勝ち取るのは難しいでしょう。いずれにせよ、2つの動きは、アジア太平洋地域を舞台に経済連携や貿易自由化のリーダーシップ争いが演じられている事を示しています。日本として、この動きにどう対処していくのか、きちんとした戦略に基づいて立ち位置を決める必要に迫られていると思います。 ●では各政党はTPP交渉参加をどう考えているのか。それを整理したのがこちらです。 ごらんのように、賛成・反対をはっきりさせている政党もいくつかあります。民主党は、野田総理大臣が積極姿勢を見せていましたが、党内の慎重派に配慮してマニフェストは「政府が判断する」という表現に止めています。自民党は「聖域なき関税撤廃なら反対」としながらも、安倍総裁は交渉の参加に含みを残す発言もしています。日本未来の党は、多くの反TPPの議員が合流しています。日本維新の会は「参加はするが国益に反すれば反対」と条件付き賛成の立場です。●2つ目は、アジア太平洋地域で日本がどう生きていくのかビジョンを示すことです。ASEAN中心の協定と日中韓の協定の2つを同時に進める意味は何なのか。仮にTPP交渉に参加した場合、全体の優先順位をどうつけるのか。反対派も参加を拒むのなら、アメリカとの関係をどうするのか、代案があれば、それを提示する必要があると思います。 反TPPの核心PP参加反対の輪7PP参加反対の輪6PP参加反対の輪5Yahoo!で比例区 近畿ブロック候補者アンケート結果が見られるが回答率が半分たらずで、やや残念これらも TPPで頭悪すぎ包囲網を敷く6に収録し、保存します。
2012.12.15
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がっかりした民主党、こりごりの自民党であり、投票する政党が無いと思っていたが・・・・卒原発、反TTPの「日本未来の党」が登場したので、これで心置きなく投票所に行こうではないか♪ところで、我が小選挙区に「日本未来の党」候補がいないので、比例区だけでも投票しよう。日本未来の党オフィシャルサイトもできたし、その政策を読んでみよう。12/12~15のツイッターから日本未来の党への応援、小沢さんへの応援を見てみます。なお、自民、維新へのネガティブ・キャンペーンも含めています。<老婆心かもしれないけど>候補者名を挙げて投票勧誘ツイートすることは、公選法違反になるので要注意です。【15日】setsumori: なんと日本未来の党が40%獲得で第一党! @mirai_activ Yahoo!みんなの政治 - 衆院選の投票に行きますか?http://seiji.yahoo.co.jp/vote/cast/201212090001/ … #yj_seiji posted at 21:12:16@hyodo_masatoshi: 小沢は諦めてはいない。「手ごたえを感じる。新聞テレビの調査はあてにならないんですよ。(2000年の総選挙でも選挙前)自由党の支持率は2%くらいだったが、比例で600万票を取った。自民党がいいといっても、消極的な諦めでしょ」。その通り。まだどうなるか。1日ある。@yone_maca: ■ メディアが伝えない【TPP】の罠 TPPは日本人総奴隷化である。農業に限らず、食料・金融・医療・法律など� http://tl.gd/kbk7u1 @Chooemon92さんから【14日】@ichikazeroka: 拡散希望!かだ代表と小沢さんのコラボが実現予定】明日15日(土)11時から11時30分、有楽町イトシア前でかだ代表の街宣が予定されていますが、そこに小沢さんも参加予定です。かだ代表はその後、脱原発世界大行進にも参加予定。投票日を前に、脱原発の気運を一気に加速!@mikio_1962: 総選挙 まだまだ政党を選びなおせます 16日の朝まで考えてください 自民党は200議席くらいが十分です 原発反対の人は 日本未来の党に入れてください。@k049118: ぼんやりと「維新」に投票しようと思っている若い有権者の方へ。あなたがたが正社員になるための就職に大変な困難を経験したり、派遣やニートにならざるを得ない社会を作ったのは小泉と竹中である。小泉は引退したが、竹中は維新の会の顧問となっている。自分の首を絞めることはやめるべきである。【13日】@nikkan_gendai: 日刊ゲンダイ 【衆院選】 未来の党・嘉田代表が訴える「鉛筆1本」戦略の底力 「いまの小沢さんは好々爺ですよ」 http://goo.gl/BFtJL@sunsun48: 『日本未来の党』公約のまとめ! → http://blog.goo.ne.jp/jp280/e/a3fbe00279bc9775645887a76b834...原発新増設を禁止やもんじゅ廃止などの「卒原発」/東京電力を破綻処理/消費増税法凍結/最低保障年金と所得比例年金による制度一元化/TPP交渉入り反対・EPA推進/年間31万の教育手当て/天下り全面禁止@kenichiromogi: アメリカでは、連帯やネットワーク、賢い政府を標榜するオバマ大統領が当選した。日本では、オバマ氏が象徴するような新しい文明のあり方を担う政治勢力が、あまりにも弱い。だからこそ、小沢一郎さんと嘉田由紀子さんの連帯に注目する。日本の将来の繁栄の方程式を本当につかんでいる人は誰か。@ichimuann: 小沢氏、特派員協会で会見 (田中龍作) http://bit.ly/W5tCsw 特派員協会バウムガルトナー会長「戦後日本を代表する政治家のひとりであり、メディアによる人物破壊の犠牲者である小沢一郎氏を歓迎します」。記者クラブメディアのバカ記者と違い、よくわかっている。@Hatsuzawa: 本日のロイターオンライン調査。総選挙で誕生する新政権の中心となるべき政党は。未來の党が37%で自民党32%を抜きました。http://jump.cx/Fy9Bd http://t.co/CF0YJftt@kamitori: 【未来の党 小沢一郎激白〈下〉 『脱原発デモで、日本人は変わった』日刊ゲンダイ】(一輪の花)http://bit.ly/VC39Ar 日本では政官業に学者やメディアまでが癒着する『原子力マフィア』が大きな力を持っている。ここが新しいエネルギー転換を阻んでいる。@gold_sf: 野田首相は自分が首相になるために財務省と取引をして、「天下りとわたりの根絶」を「議員定数削減」にすり替え、国民との約束を踏みにじった。国民がこのような「うそつき首相」を許すなら、このまま官僚社会主義国家が続く。民主党が90議席位取ると予想する専門家がいるが、90議席でも多い。【12日】@gold_sf: 自民党が優勢なのは、12党も乱立したため、有権者がどの党を選んで良いのか迷っているから。これは第三極が統一体とならず、日本維新の会、みんなの党、日本未来の党に3分化したことが大きく影響している。 浮遊層の大多数が、未来等に絞って投票しない限り、票は分散される。@gold_sf: 既存の原発の再稼働を容認せず、即時「原発ゼロ」を目指しているグループ 日本未来の党、日本共産党、社民党、新党日本@gold_sf: 日本未来の党 「原発に代わって再生可能エネルギーを普及させる大転換で、地域産業を育成し雇用を拡大させる」。その先例として「昨年に脱原発を決めたドイツでは、すでに5兆円規模の産業と38万人の雇用が生まれ、地域が活性化している」と言う政策です。日本未来の党応援、非自公維の方々です。@hyodo_masatoshi: 兵頭正俊さん@yone_maca: apresl'ondeeさん@ichikazeroka: 一かゼロかさん@mikio_1962: mikioさん @k049118:元官僚R.S.さん@sunsun48: みけさん@kenichiromogi: 茂木健一郎さん@ichimuann: 一夢庵さん@Hatsuzawa: モンパルナスの怪人(初沢克利)さん@anti_tpp: TPP反対!さん@tomoyakitada: 【日本未来の党】kitadatomoyaさん@inudamonn: 四国犬さん@ojyaga1: ojyagaさん@kamitori: kamitoriさん@wild_popochan: popochanさん @tenyuuou: 天祐王@日本未来の党さん@miyake_yukiko35:三宅雪子(日本未来の党 ) さん@kyonnak39:中島京子(kyoko nakajima) さん@kiyomizu5: emi kiyomizuさん @mirai_activ: 日本未来の党 全力応援! @Nipponmirai2012:日本未来の党 @yamakawaeriko: 山川恵利子さん@tanakaryusaku: 田中龍作さん@minorucchu: ジャーナリスト田中稔さん@ashura820: 阿修羅 (日本未来の党支持) さん@ozekihiroshi:小関博さん@masaru_kaneko: 金子先生@sugawarataku: SUGAWARAさん@tennsi21:志水満さん @tosa_suigei: 土佐の酔鯨さん@84guchi: kuromaruさん@tsuji_megumu:つじ恵さん @skyhigh0521: skyhigh(脱原発に1票)さん @hibi_tantan24: 日々坦々さん@gold_sf:Tsuchiya 心は青年さん@magosaki_ukeru: 孫崎享さん@halpeanutsfield:Hal Peanuts-fieldさん@onsenkabumasa: kabumasaさん@masa_mynews: 渡邉正裕さん@setsumori:オルタナ編集長@herobridge:高橋裕行さん@nobuogohara: 郷原信郎さん@leonrosalia: レオンロザリアさん@iidatetsunari: 飯田哲也(代表代行)さん@dksgjmyatomato: tomatoさん@zebra_masa: masaさん@ryusan7z:福田竜一さん @saigou_: 西郷南州(日本未来の党)さん @ryujinno2: 恵三さん@licosa114: Kyoko ~日本未来の党~ さん@nikkan_gendai:日刊ゲンダイ@mdonguri:不肖ドングリです投票前の決め手は景気と雇用だとか・・・背に腹を変えられない切実な問題ですね。日本未来の党HPから雇用と保障あたりを見てみましょう。● ワークシェアリングを促進し、家庭と仕事の両立ができる社会を創造するとともに、完全雇用を実現する。● 子育て、医療、福祉、教育分野での産業・バイオマス資源の活用による環境配慮型産業の振興や戸別所得補償による農林漁業の活性化などにより雇用の創出を進める。● 若い世代の人材育成・キャリア形成を促進する。● 非正規社員の正規社員化を促し、安心して働ける現場を整備する。● 税を財源とする最低保障年金と所得比例年金の構築により年金制度の一元化を図る。● 地域包括ケア、在宅介護支援体制を強化して、介護制度を充実させる。● 国民皆保険を堅持し、医療保険制度の一元化を目指す。● 後期高齢者医療制度は廃止する。投票できる政党が見つかった4投票できる政党が見つかった3投票できる政党が見つかった2投票できる政党が見つかった1
2012.12.15
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がっかりした民主党、こりごりの自民党であり、投票する政党が無いと思っていたが・・・・卒原発、反TTPの「日本未来の党」が登場したので、これで心置きなく投票所に行こうではないか♪ところで、我が小選挙区に「日本未来の党」候補がいないので、比例区だけでも投票しよう。日本未来の党オフィシャルサイトもできたし、その政策を読んでみよう。12/5~6のツイッターから日本未来の党への応援、小沢さんへの応援を見てみます。【6日】@mdonguri:嘉田党首が「ダムを作らず、うかせた金で防災インフラを作ってきた」と今日の演説で自負していたが・・・官僚(とくに国交省)に対する強烈な皮肉になっていたぜ♪@mirai_activ: 正式名称「日本未来の党」、略称「未来の党」です。その他の記述は疑問票になる恐れがあります(選挙立会人の判断)。確認先→総務省自治行政局選挙部管理課(03-5253-5573)@mirai_activ: #日本未来の党 嘉田代表 街頭予定時間 12月6日(木)千葉県内 (午後の部) 12:40=京成大久保駅マルエツ前/ 14:15=JR四街道駅北口/ 16:00=東金サンピア/ 17:20=あすみが丘ブランニューモール/ 18:40=木更津駅東口@tanakaryusaku: 現職の首相が脱出先(比例)を準備しなければならないところまで追いつめた三宅雪子陣営。 きょう、未来の党・嘉田代表が応援に入る。 JR船橋駅 11:25~@gold_sf: '@tanakaryusaku 「嘘つき、ぺてん師は、国会に送ってはいけない。」って今朝三宅さんが言っていました。今日の11:25から45 分に嘉田代表が三宅さんの応援に来るよ。 千葉4区 三宅さんを応援しろとは言って無いよ。 公職選挙法があるからね@gold_sf: 今日11:25分に嘉田代表が船橋駅北口で三宅ゆきこさんを応援するよ。会ったこと無い人行ってみては 別に日本未来の党に投票する必要はないよ。 個人の信念で投票しよう。 @gold_sf: 嘉田由紀子知事 2006年に知事選に出馬したときも泡沫候補扱いだったが、あれよあれよという間に勝ち上がった。政治的には何の力もない市井の人の声を丹念に聞き続けてきた庶民派。脱原発は【5日】@tosa_suigei: 「必要な財源は、特別会計の全面見直しをはじめとする政治改革、行財政改革、地域主権改革によって捻出する」(未来への約束「日本未来の党」)民主党のマニフェストにもあった特別会計の全面見直しを改めて盛り込んだところに期待したい。官僚の財布を放置して財源論議はできない。@tosa_suigei: 日本未来の党は飯田哲也代表代行が懸念材料である。飯田氏が比例区の名簿順位を入れ替えたと森ゆうこ氏が語ったと報じられている。本当なら今後が心配だ。なぜなら飯田氏は選挙の経験が少なく選挙に強いとは到底思えないからである。彼は選挙経験の豊富な人物の意見を謙虚に聞くべきである。@setsumori: 衆院選立候補の山本太郎氏に日本未来の党も支持表明、嘉田党首も駆け付ける ? オルタナ: 「志」のソーシャル・ビジネス・マガジン「オルタナ」 http://www.alterna.co.jp/10216 @alterna_japan@minorucchu: 【政局動向】社民党と日本未来の党の合意により、連合に民主党離れが起きているようだ。自治労の一部が社民党を支持しているほか、JR総連では未來への支援が広がる。旧総評系産別にさらにこうした動きが広がるかどうか、今後の政界に影響も。@ashura820: 今回の選挙では未来の党は解散後にできたので、略称の登録ができないそうだ。そのために比例の投票には「日本未来の党」とフルネームで正しく書かないとはじかれるという。滅茶苦茶な国だ。この事をみんなに周知徹底しよう。「略称はダメ」を合言葉に!!@ozekihiroshi: みなさん、自分の選挙区の候補者が党のホームページに載っているか確認してください。 RT @mirai_activ 日本未来の党 候補者紹介 http://www.nippon-mirai.jp/member/index.html … … …@mirai_activ: 日本未来の党 全力応援! @Nipponmirai2012:日本未来の党 @yamakawaeriko: 山川恵利子さん@tanakaryusaku: 田中龍作さん@minorucchu: ジャーナリスト田中稔さん@ashura820: 阿修羅 (日本未来の党支持) さん@ozekihiroshi:小関博さん@masaru_kaneko: 金子先生@sugawarataku: SUGAWARAさん@tennsi21:志水満さん @tosa_suigei: 土佐の酔鯨さん@84guchi: kuromaruさん@tsuji_megumu:つじ恵さん @skyhigh0521: skyhigh(脱原発に1票)さん @hibi_tantan24: 日々坦々さん@gold_sf:Tsuchiya 心は青年さん@magosaki_ukeru: 孫崎享さん@halpeanutsfield:Hal Peanuts-fieldさん@onsenkabumasa: kabumasaさん@masa_mynews: 渡邉正裕さん@setsumori:オルタナ編集長@herobridge:高橋裕行さん@nobuogohara: 郷原信郎さん@leonrosalia: レオンロザリアさん@iidatetsunari: 飯田哲也(代表代行)さん@dksgjmyatomato: tomatoさん@zebra_masa: masaさん@ryusan7z:福田竜一さん @saigou_: 西郷南州(日本未来の党)さん @ryujinno2: 恵三さん@licosa114: Kyoko ~日本未来の党~ さん@nikkan_gendai:日刊ゲンダイ@mdonguri:不肖ドングリですところで、公選法は選挙期間中の不特定多数への「文書図画の頒布」を禁じる。総務省は「事実認定をするのは司法機関だ」として個別ケースについての回答を避けているが、選挙期間中にネット上で特定候補の当選のために書き込むことや、選挙運動と見られる書き込みは公選法に違反する可能性があるとしている。 公選法は候補者に対する規制なので、勝手に応援する分には規制対象外と解釈できると思うのですが・・・・・どなたか、これで良いか教えてください。投票できる政党が見つかった3投票できる政党が見つかった2投票できる政党が見つかった1
2012.12.06
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がっかりした民主党、こりごりの自民党であり、投票する政党が無いと思っていたが・・・・卒原発、反TTPの「日本未来の党」が登場したので、これで心置きなく投票所に行こうではないか♪ところで、我が選挙区に「日本未来の党」候補者はいるんだろうか?日本未来の党オフィシャルサイトもできたし、その政策を読んでみよう。12/1~4のツイッターから日本未来の党への応援、小沢さんへの応援を見てみます。【4日】@licosa114: どうしても昨日迄に終えたかった、チラシ配布千枚。無事完了。30分後に街宣ボランティアに出発。『日本未来の党』に未来を託したいから。@SYOWACCO: "▼_▼) 記者クラブ、再販と押し紙、電波権益、クロスオーナーシップ、これらの既得権益の一つでも失うとマスメディアは立ちいかなくなる。だから未来の党・小沢を恐れる。@tim1134 #sokotoko【3日】@yamakawaeriko: 今朝の報道ステーションSUNDAYで、嘉田さんの後ろに小沢氏がいると言っていた。ほかの党にも同じようにつけて欲しかった。公明党の後ろには池田大作氏、自民党の背後には育ての親のアメリカ、維新の後ろにもアメリカ、いや、竹中平蔵とか。報道は公平にやって欲しい。@tanakaryusaku: 新記事 『未来の党・嘉田代表 “いのち をつなぐ女性の声を届ける”』 只今アップしました。・・・→ http://tanakaryusaku.jp/@gold_sf: 嘉田さんにしてみれば、もともと橋下氏と組んで関西電力大飯原発の再稼動に反対していたのに、橋下さんが再稼働を認め、さらに石原さんと組んで原発に対する姿勢が曖昧になった。嘉田氏は、「仲間を失った感じ」と言うが、実際には橋下氏に裏切られた。 @masaru_kaneko: 朝日の世論調査では、自民党が減少傾向、民主が下げ止まり、維新も伸び悩み、未来は微増です。 http://goo.gl/HPw4W 読売の調査もほぼ同じ傾向。 http://goo.gl/TMg5S まだ半分近くが決めていない。脱原発派が目立つ「緑の選挙」で頑張ってほしい。 @masaru_kaneko: 飯田哲也氏が大阪府市エネルギー戦略会議を辞し、「未来」で山口1区から立候補です。大飯再稼働でひび割れし、最近は橋下徹氏が飯田批判を展開しているから当然か。他の戦略会議メンバーは、「原発ゼロ」を降ろした「石原維新」にとどまるのだろうか? http://goo.gl/9fAYH【2日】@sugawarataku: 都民衆院選調査 脱原発 未来伸ばす http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012120190070805.html 「支持層別に見ると、自民党は79・1%を固めているのに対し、民主党は63%にとどまる。維新の会は72・9%。一方、未来の党は89・2%と高く、民主党支持層からも5・1%が流れている。」@tennsi21: 決めていない層が第一党だが、未来以外は支持が減少している⇒都民衆院選調査 脱原発 未来伸ばす: http://bit.ly/Vbiisl ⇔結党したばかりの「日本未来の党」が、支持を伸ばしていることが分かった。:http://bit.ly/VbiiZ8@tosa_suigei: 昨日の嘉田&小沢対談はよかった。内容はつまらなかったが政治テーマに切り込まないこうしたゆるい対談はマスコミが捏造してきたこれまでの小沢のイメージを氷解させる一助になるだろう。背後に仕掛け人がいたとしたらなかなかのものだ。【1日】@84guchi: 「未来の党」の誕生に、民主、自民といった「過去の党」は真っ青になっているのではないか。ようやく日本の政治が動き出す。~完全に変わった選挙結果の見通し 大マスコミの小政党蔑視報道の大ウソ http://asumaken.blog41.fc2.com/blog-entry-7544.html@tsuji_megumu: 11月30日、民主党を離党して日本未来の党への参加を決断した。最後まで民主党の変革可能性を追求したが、TPP参加を首相に一任するマニフェストのあり方を見れば最早この党内では幾ら意見を言っても無駄だと断ぜざるを得ない。脱原発、反増税、反TPPで筋を貫いて政治の閉塞状況を打破する。@skyhigh0521: 怖がってるのは記者じゃなくて官僚。小沢一郎は本気で官僚主導の日本の行政を変えて真の改革をしようとした。無能な官僚ほどそれを恐れた。 >未来・嘉田代表、「なぜ小沢一郎さんを怖がるのか」 http://t.asahi.com/8wvo@hibi_tantan24: 日本未来の党は30日、神奈川県の衆院小選挙区で6人を擁立と発表。岡本英子氏が神奈川3区、樋高剛氏18区、阿部知子氏12区、山崎誠氏7区、河野敏久氏5区、露木順一氏17区 / “日本未来の党:衆院神奈川小選挙区で6人擁立- 毎日jp(毎…” http://htn.to/fjzkVP@Nipponmirai2012:日本未来の党 @SYOWACCO:昭和ッ子さん@yamakawaeriko: 山川恵利子さん@tanakaryusaku: 田中龍作さん@gold_sf: Tsuchiyaさん@masaru_kaneko: 金子先生@sugawarataku: SUGAWARAさん@tennsi21:志水満さん @tosa_suigei: 土佐の酔鯨さん@84guchi: kuromaruさん@tsuji_megumu:つじ恵さん @skyhigh0521: skyhigh(脱原発に1票)さん @hibi_tantan24: 日々坦々さん@magosaki_ukeru: 孫崎享さん@halpeanutsfield:Hal Peanuts-fieldさん@onsenkabumasa: kabumasaさん@masa_mynews: 渡邉正裕さん@setsumori:オルタナ編集長@herobridge:高橋裕行さん@nobuogohara: 郷原信郎さん@leonrosalia: レオンロザリアさん@iidatetsunari: 飯田哲也(代表代行)さん@dksgjmyatomato: tomatoさん@zebra_masa: masaさん@ryusan7z:福田竜一さん @saigou_: 西郷南州(日本未来の党)さん @ryujinno2: 恵三さん@licosa114: Kyoko ~日本未来の党~ さん@nikkan_gendai:日刊ゲンダイ@mdonguri:不肖ドングリです政権交代後、民主党が3年ちょっとを費やしても官僚主義という牙城を崩すことができず、逆にもてあそばれたが・・・・選挙後の離合集散は予想されるとしても、とりあえず「日本未来の党」に期待してみましょう。投票できる政党が見つかった2投票できる政党が見つかった1
2012.12.04
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がっかりした民主党、こりごりの自民党であり、投票する政党が無いと思っていたが・・・・卒原発、反TTPの「日本未来の党」が登場したので、これで心置きなく投票所に行こうではないか♪ところで、我が選挙区に「日本未来の党」候補者はいるんだろうか?日本未来の党オフィシャルサイトもできたようだから、読んでみよう。11/29、30のツイッターから日本未来の党への応援、小沢さんへの応援を見てみましょう。【30日】@mdonguri:投票できる政党が見つかった2 http://02219715.at.webry.info/201212/article_1.html がっかりした民主党、こりごりの自民党であり、投票する政党が無いと思っていたが・・・・ 卒原発、反TTPの「日本未来の党」が登場したので、これで心置きなく投票所に行こうではないか♪@magosaki_ukeru: 内政:集会で下桐日刊ゲンダイ社長と30分位立ち話。日本の政治に選択肢を持つ必要を強調されていた。手交された本日のゲンダイ・「民主か自公かの時代は終わった」「未来か維新か選択の重大局面」。そうだろう。「未来」の登場に未来をみたいという人相当いるはず。@halpeanutsfield:まだ何もわかっていないメディアが多すぎるようだが、そのうちジワジワわかって来ると思うよ。彼女の凄さは、あの冷静さとしぶとさ。その根幹が未来へのパッション。今まで、無駄に目立つパフォーマンスをしなかった事は、今後むしろ吉と出るだろう。@onsenkabumasa: 報ステを見ても判るが、党首討論で「日本未来の党」の嘉田党首が小沢一郎に関して(TLで知ったが)「小沢さんを尊敬している。小沢さんは地域を大切にする。今までの政治家は小沢さんを自分のために利用した。私は国民のために利用する」は全く流さず。まあ他のマスゴミも報道しないね。だからゴミね@masa_mynews: 橋下さん、小沢が作った未来の党に脱原発票ぜんぶ持ってかれそうになって、相当焦ってるね。さすがに小沢の動きは予想外で、脱原発はほぼ消滅の民主党と、みどりの風とか泡沫だから大丈夫と見てたんだろう。もう遅いよ。小沢さん政治家としての中身は空っぽなのに、選挙の時の政局センスだけスゴすぎ。@setsumori: まさに @herobridge ところで未来の党の政策要項にはもんじゅと再処理工場の廃止とはっきり書いてある。実は、これで原発は終わる。これができるかどうかが脱原発にとっては最も重要なのだ。ただ2022年という数字だけを見て騒いでも仕方ない。@setsumori: 総選挙を前に、各政党の中でも、少子化対策をメインに据えているのは #日本未来の党 だけ。日本の人口減少は、国の存続を脅かすという意味で、原発と並ぶ超巨大リスク。他の政党もここに気が付いてほしい。子ども手当てを減額・廃止した民主党など論外だ。@nobuogohara: 「日本未来の党 政策要綱」の中に、「司法官僚による国民の権利侵害を止めさせる措置を早急に講ずる」というのが含まれていることに注目しています。「検察崩壊」が日本社会にもたらす重大な弊害を防ぐ対策につながることを期待しています。@leonrosalia: 未来の党「役職」 http://my-dream.air-nifty.com/moriyuuko/2012/11/post-390e.h... 代 表:嘉田由紀子。副代表:森ゆうこ(総務・政治等)・飯田哲也(卒原発政策・有識者等)。財務:佐藤公治。選対:川島智太郎。遊説:谷亮子 突破力のある森ゆうこさんが、副代表として力発揮、詳細な脱原発方針は飯田氏だな。@iidatetsunari: 田中秀征氏による第3極論。 「自民と民主の対戦は、二軍戦のようになる」という形容に注目! ■ダイヤモンドオンライン11/29 嘉田知事の「日本未来の党」が総選挙の鍵を握った 選挙構図も政権の枠組みも激変する!? http://diamond.jp/articles/-/28615@dksgjmyatomato: 未来の党のオフィシャルサイトが出来ていた。http://nippon-mirai.jp/ 「制 官僚」の部分。「国民の視点を失った中央の官僚が全てを決めて国民に押し付ける仕組みは人々に多大な損害を与えている」とある。ダム官僚と戦ったきた嘉田さんだから、はっきりと言いきれる言葉だ。@zebra_masa: お笑い小沢一郎狂想曲:記者「嘉田さん、小沢氏に取り込まれないように。」嘉田「あなた、若いのに小沢さんと話したことあるの。どんな人なの?」記者「いえ、話したことありませんけど。うちの局の番組でそう言ってました。」嘉田「何、それ………」@ryusan7z: 小沢と亀井の政治力はずば抜けている。日本人には珍しく戦略的に行動出来る人達だ。それに霞ヶ関、アメリカに屈服しない反骨精神もある。黙って自民や民主にいれば、どんなポストでも手に入ったのにそれを蹴飛ばした所も共通している。加えて、強面でマスコミに嫌われている所も似ている。【29日】@saigou_: 「日本未来の党」の重点地域である千葉県の各候補者事務所はかなり人手が不足しています。少しでも時間がある方は是非支援してください。千葉9区、河上満栄事務所、佐倉市王子台2丁目26-10、電話未開通 ツイッター要チェック: https://twitter.com/kawakamimitsue@ryujinno2: ★米国に逆らうとどうなるか!を如実に示したのが小澤裁判。米国からの自立を意図する小澤を抹殺するため「立ちション」程度の罪を、さも重大犯罪のごとく煽動した日本の検察と官僚とマスコミの事大主義に鉄槌を! 脱原発で一番困るのは米国です http://www.kankyo-sizen.net/blog/2012/11/001220.html@licosa114: 嘉田代表に森ゆう子副代表。納得。政策は「生活」そのもの。選挙に勝利すれば人事はその後の話と嘉田代表。首班指名で小沢総理だって…。オリーブの木に集結し易くする為に最も相応しい党の顔として嘉田代表は最高だと思う。さぁ、チラシ配布頑張ろう!@nikkan_gendai: 日刊ゲンダイ【1面特集】完全に変わった選挙結果の見通し 大マスコミの小政党蔑視報道の大ウソ 動き出した小沢一郎の戦術と戦略で既成政党民自公や雨後の竹の子政党に混乱と困惑 小沢党解党と嘉田新党結成で無党派の女性票を中心に大地殻変動が起ころうとしている これで無党派層の受け皿ができた@magosaki_ukeru: 孫崎享さん@halpeanutsfield:Hal Peanuts-fieldさん@onsenkabumasa: kabumasaさん@masa_mynews: 渡邉正裕さん@setsumori:オルタナ編集長@herobridge:高橋裕行さん@nobuogohara: 郷原信郎さん@leonrosalia: レオンロザリアさん@iidatetsunari: 飯田哲也(代表代行)さん@dksgjmyatomato: tomatoさん@zebra_masa: masaさん@ryusan7z:福田 竜一さん @saigou_: 西郷 南州 (日本未来の党)さん @ryujinno2: 恵三さん@licosa114: Kyoko ~日本未来の党~ さん@nikkan_gendai:日刊ゲンダイ@mdonguri:不肖ドングリです政権交代後、民主党が3年ちょっとを費やしても官僚主義という牙城を崩すことができず、逆にもてあそばれたが・・・・選挙後の離合集散は予想されるとしても、とりあえず「日本未来の党」に期待してみましょう。投票できる政党が見つかった1
2012.12.01
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キングメーカー小沢さんがバックにつき、100人擁立との観測もあるようで、政策は政策要綱にあるように申し分がなく、嘉田氏自らは知事を続投し衆院選には出馬しないそうだが・・・・これで、やっと投票できる政党が見つかったぜ♪飯田哲也さんが「日本維新の会」の代表代行から「日本未来の党」の代表代行に鞍替えしたのがダイナミックであるが(笑)・・・橋下さんの原発政策に沿わないならこれも賢明だったのかも。11/28滋賀知事、日本未来の党結成表明=生活・脱原発合流、みどり一部参加より 滋賀県の嘉田由紀子知事は27日午後、大津市内で記者会見し、12月16日投開票の衆院選に向け、新党「日本未来の党」結成を表明した。嘉田氏は「卒原発」「脱増税」など六つの結集軸を掲げ、賛同する勢力と連携する方針を明らかにした。これに対し、国民の生活が第一は解党して合流する方針を決定。「減税日本・反TPP・脱原発を実現する党」(略称・脱原発)と、「みどりの風」に所属する前衆院議員3人も合流を決めた。 既成政党とは一線を画す「第三極」陣営では、共闘を目指す日本維新の会とみんなの党にきしみが生じる一方、嘉田氏を中心に脱原発を旗印とした勢力の結集が急速に進展。衆院選の構図に大きな影響を与える可能性もある。 会見で嘉田氏は「国民の信頼を取り戻し、希望を持てる未来への選択肢となる新しい政治軸を立てる」と訴えた。新党の代表には嘉田氏が、代表代行には橋下徹大阪市長(日本維新の会代表代行)のエネルギー政策でのブレーン的な存在だった飯田哲也環境エネルギー政策研究所長が就く。嘉田氏は知事を続投し、自らは衆院選には出馬しない。 一方、生活は27日、小沢一郎代表も出席して党本部で常任幹事会を開き、嘉田氏の示した「卒原発」などの結集軸について協議。「政策面では全く一緒だ」(幹部)として未来への合流を決めた。 また、「脱原発」の山田正彦共同代表は生活本部で小沢氏と会談、脱原発も未来に合流することを伝えた。小沢氏はこの後、記者団に「『脱原発』も未来の呼び掛けに応じる」と語り、山田氏は「合流して一緒に頑張ろうということになった」と述べた。 みどりの風は都内で対応を協議。福田衣里子氏ら前衆院議員3人が未来に合流し、未来の公認候補として衆院選に出馬する一方、谷岡郁子共同代表ら参院議員4人はみどりの風に残り同党を存続させながら、選挙で未来を支援することを確認した。 社民党に離党届を出した阿部知子前衆院議員も神奈川県藤沢市で記者会見し、未来への参加を表明した。 卒原発を掲げるように、基本は環境政党かもしれないが、六つの主要政策も良くできているのは・・・・嘉田党首の行政実績が反映されているようです。ネットでの選挙応援は、4日公示以降は違法となるようだが・・・・それまでは、勝手に応援しようぜ♪(12/4の告示日以降は候補者の名前を載せたHPなどの更新は禁止されているそうです)ついては、26~28日の応援ツイートを紹介します。【28日】@mdonguri:滋賀知事、日本未来の党結成表明=生活・脱原発合流、みどり一部参加http://www.jiji.com/jc/zc?k=201211/2012112700997&g=pol キングメーカー小沢さんがバックにつき、100人擁立との観測もあるようで、 政策は政策要綱にあるように、申し分がなく・・・・ これで、やっと投票できる政党が見つかったぜ♪@hatatomoko: 国民の生活が第一、常幹で解党決定。日本未来の党へ合流。「卒原発」の内容が不明で心配したが、党本部から届いた「日本未来の党政策要綱」を読んで一安心。再生エネ重視で原発代替即戦力「天然ガス・コンバインドサイクル」等の記述はないが、今後努力する。http://p.tl/BZEP@gold_sf: 橋下大阪市長は、嘉田滋賀県知事が新党結成を表明したことについて、「僕は政治グループを束ねてきた自信があるが、嘉田知事はその経験がない。脱原発グループができても、何もできないのではないか」と批判。侮ってはいけない。裏方に小沢氏と亀井氏がいる。ずぅ~っと前から話しが進んでいた。@gold_sf: ここだけの話し、橋下右翼党より、日本未来の党の方が、組織力はあるかもしれない。小沢氏は、選挙に関しては、ベテラン。人脈もある。嫌われ度では、橋下氏も小沢氏以上に高いかもしれない。@masaru_kaneko: 嘉田滋賀県知事が「びわこ宣言」を出し「未来の党」を立ち上げ。飯田哲也氏が代表代行の本格的な環境政党で、支援者は坂本龍一、菅原文太、稲森和夫、鳥越俊太郎、茂木健一郎と多彩。暴走老人とテレビ瞬間芸人中心から総選挙の構図は一変。面白いです。 http://goo.gl/H9AQh【27日】@reishiva: なんと!生活が第一が解党、滋賀県の嘉田由紀子知事が立ち上げた新党「日本未来の党」に合流だと。俺的には環境エネルギー政策研究所の飯田哲也さんが代表代行についたことが驚き。大阪市のブレーンを経験したとは言え、政党の代表代行とは気合入ってるな。こりゃ脱原発の真打ち登場か?! #原発@hibi_tantan24: 大合流の噂は先週から聞いていた。フジTVが報じているように小沢さんが主導して嘉田知事に新党を立ち上げさせた、というのが真相のようだ。 生活は早速「日本未来の党」への合流を決めた。何かやるとは思っていたが、まさに捨て身の「無私」の戦法だ! http://bit.ly/Sa8f8z@setsumori: 嘉田+小沢+河村連合の出現で、一気に政治の潮目が変わった。国民の7割を占める反原発票の行き先が出来た。自民党に次ぐ第二極に一気に浮かび上がるだろう。橋下さんは、やはり慎太郎と組んでしまったのが痛恨のエラー。対中強硬派の捌け口になるくらいだろう。@setsumori: これから原発推進派と脱原発派の鬩ぎ合いが先鋭化する。おそらくこの両派は未来永劫、分かり合うことはない。であれば、多少の放射能は浴びながらも工業立国を目指す東日本と、放射能と縁を切る代わりに高度成長は諦め、第一次と第三次産業に特化する西日本に国を分けるしかないだろう(半分本気)@setsumori: 日本未来の党 政策要綱--TPP交渉入りに反対です。その一方で自由貿易のためのFTA(自由貿易協定)、EPA(経済連携協定)は積極的に推進する⇒なるほど、これは一理ある。http://www.hatatomoko.org/mirainoseisaku.pdf@hyodo_masatoshi: 嘉田知事が、日本未来の党を作る。これで、ますますはっきりしてきた。今度の選挙は対米隷属、既得権益のための政党と、対米自立、国民のための政党との闘いだ。第3極をA・Bに色分けなどするな。もともと第3極なんてないのだ。これで明確に2つに分かれた。原発、消費税増税、TPPで激突だ。@mdonguri:生活 “嘉田新党”に合流へ NHKニュース http://nhk.jp/N44l5mlH 国民の生活が第一は、来月の衆議院選挙に向けて、脱原発を目指す勢力の結集をはかる必要があるとして、滋賀県の嘉田知事が結成を表明した新党に合流することを決めました。【26日】@dksgjmyatomato: ああ、やっと投票出来る党が出来るかもしれない。脱原発、脱ダムは当然の滋賀県知事嘉田さんが党首なら、落ち着く。初の女性総理としての期待も大きい。http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/2012/news1/201211...@mdonguri:嘉田知事と小沢さんの組み合わせには、ヒョータンから駒というか・・・驚いたのです。嘉田知事が加わると、とたんにクリーンな実行力がイメージされるわけで、小沢さんも馬鹿にできないのです。@hatatomoko:はたともこ議員 @gold_sf:Tsuchiyaさん@masaru_kaneko:金子先生@reishiva:志葉玲さん @hibi_tantan24: 日々坦々さん@setsumori:オルタナ編集長@hyodo_masatoshi:兵頭正俊さん@dksgjmyatomato:tomatoさん @mdonguri:不肖ドングリです政策要綱を見てみましょう。日本未来の党:政策要綱より 原発のない再生可能エネルギー社会へ卒原発原発稼働ゼロから全原発廃炉の道筋を創ります。安全や雇用・経済対策など「原発稼働ゼロ」の現実で直面する課題に責任ある対応をし、全ての原発が確実に廃炉となる「卒原発」への道のりを定めます。原発に代わって再生可能エネルギーを普及させるエネルギーの大転換で、地域産業を育成し雇用を拡大させます。昨年に脱原発を決めたドイツでは、すでに5 兆円規模の産業と38万人の雇用が生まれ、地域が活性化しています。● 東京電力は破綻処理し、国が直轄して福島第一原発からの放射能汚染の拡大を防ぎ、任をもって損害賠償や被ばく安全に対応する。● もんじゅと六ヶ所再処理工場の廃止、世界最高水準の安全規制、大間原発など新増設の禁止、使用済み核燃料の総量規制からなる「卒原発プログラム」を定める。● 原発稼働ゼロに伴う雇用・経済対策などを実施し、国民生活や経済の混乱を避けつつ、全原発の廃炉への道のりを定める。● 発送電分離など電力システム改革を貫徹して公正な競争を促し、地域分散ネットワーク型のエネルギー地域主権を実現する。● 大胆な省エネルギーと再生可能エネルギーの飛躍的な普及を実現して、石油・石炭への依存度を減らし、地域の雇用拡大と経済の活性化を図る。全員参加型社会へ活子ども・女性子どもや女性の声なき声をきちんと政治に反映させます。(1日文字数制限の関係で省略、全文は要綱参照)安心・安全を実感できる社会へ守暮らしみなさんの生活に対する不安を取り除きます。(1日文字数制限の関係で省略、全文は要綱参照)家計の復活へ脱増税消費増税法は凍結します。(1日文字数制限の関係で省略、全文は要綱参照)行政・司法の抜本改革の断行へ制官僚国民・地域の立場に立った行政・司法に改めます。震災復興の遅れ、復興予算のあきれた流用に象徴されるように、国民の視点を失った中央の官僚が全てを決めて人々に押しつける仕組みは、人々に多大な損害を与えています。官僚の暴走を止め、地域のことは地域で決める「地域が主役の社会」を実現します。(1日文字数制限の関係で省略、全文は要綱参照)主権国家としての権利を堅持へ誇外交食品の安全・医療制度を守り、品格ある外交を展開します。日本は、自立と共生の理念の下で、自ら主張し信頼を築く外交を展開しなければならず、独立国家としての責任に基づいた日米関係を構築しなければなりません。TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)は、単なる自由貿易協定ではありません。牛肉など食品の安全基準、医療保険などすべてをアメリカのルールに合わせようというものです。だから交渉入りに反対です。● 自由貿易のためのFTA(自由貿易協定)、EPA(経済連携協定)は積極的に推進する● 食料安全保障の観点からも食料自給率50%を目指す● 東アジア外交を重視し、アジアの平和の調整機能を果たす● 安全保障基本法の制定と国連平和維持活動への参加を進める● テロ、大災害にも対応できる日本版NSC を創設する● 多様な資源外交により安定的なエネルギーの確保を図る● 「拉致国家」の汚名を返上するためハーグ条約を早期に批准するとともに国内の子どもの連れ去り行為を禁止する
2012.11.28
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<どいつもこいつも状態の政局であり>民主党にはまだ期待している往生際のよくない大使であるが、野田首相にはほとほと愛想が尽きたのです。金子先生がツイッターで、いみじくも「政経塾クーデター」と表現したようにビジョンを捨てて、政局に生きる政経塾的なものに政治が愚弄されているのだ!(大使 抑えて) 金子先生のツイートです。【政経塾クーデター:メディアは野田首相の「大勝負」とか「英断」とか報道し、党内反対派との「バトル」に焦点を当てる。原発事故直後と同じ本質をそらす報道。これは民主主義破壊するクーデターであり、大連立を阻止するために政経塾大臣の落選が不可欠】 また、なだいなださんが11/17ブログで野田首相の資質について引導をわたしています。11/17なだいなだ:打てば響くより「窮鼠猫を噛む解散」と見えて、実は「あとは野となれ山となれ解散」 とうとう年内解散ということになった。 今回は、どこに投票するか、選挙民は迷うだろう。ぼくだって迷う。単独の党が過半数を占めることはないだろう。 記録的な低投票率になる可能性もある。その正反対もありうる。自公政権の復活の可能性は高いが、もう、それにはうんざり、という有権者も多いから、前回の民主党のように、自民が大勝ちすることはないと思う。 さて、野田という政治家だが、おそらく「政治家になる以上は総理大臣をやってみたい」と思って生きてきた人なのであろう。松下政経塾に入ったのも、民主党に入ったのも、自民党に入るより、近道という計算があったのだろう。そして首相になった。だが、この人には、首相になって、何をしたいのか、そのイメージがなかった。政治家になってからは、ひたすら政治技術を学んだ。今回のような敵も味方も虚を突かれるような解散をしたのは、そのような技術を学んできた結果だろう。かつては、こういう技術は、政界の寝業師と呼ばれた人たちに属していた。その技術を、かれはプロ並みに磨いた。 だが、解散のあとを、かれは考えていないだろう。民主党はこんな解散をすれば、消滅するだろう。選挙後にいくつかに分解し、小沢のもとに走るもの、自民に走るもの、維新に走るもの、いろいろと出てくるだろう。しかし、かれにとっては、総理になるまでは必要な存在であったが、民主党はもう必要はない。かれは政治生命を賭けるといっていたが、実は、総理大臣になってしまったのだから、これからの政治生命など、問題にならなかったのだ。だから民主党の生命も賭けたのだろう。 だろうと、推定しているように書いているが、ぼくの頭の中では、ほとんど確信に近い。 政治家を職業としてやる人間が増えてくれば、かれのような首相が選ばれても、当然だ。 だが、日本人にとっては、不幸なことだ。一方、第3極の「日本維新の会」の懐具合も不可解である。11/21橋下政治資金の不可解(1) 8割強がパーティ券あっせんより「日本維新の会」の代表代行にして大阪市長の橋下徹氏。企業献金や団体献金の拒否を主張し続けるなど、政治資金にきれいなイメージがもたれているが、「橋下徹後援会」の政治資金収支報告書には、他の政治家にはほとんど見られない記載がある。「パーティー券のあっせん」だ。その総額が、2008年から2010年までの3年間で4926万円余りに上ることをNGO「政治資金オンブズマン」が指摘した。このあっせんという行為は法律で認められたものだ。橋下氏の政治資金収支報告書の場合、あっせんが収入のほとんどを占めているため、パーティー券を誰が購入したか記載がない。つまり、実際にパーティー券を購入して橋下氏を資金的に支えたのが誰なのか、何もわからないのだ。 普通、高額なあっせんは簡単にできるものではない。本当にこのような高額なあっせんが行われたのか疑念が生じる。また、20万円を超えるパーティー券購入者の氏名等は収支報告に記載されなければならないが、それがあっせんによるものなのか橋下徹後援会が直接販売したものなのかも不明だ。責任者は誰にパーティ券をあっせんしたのか、その実態について詳しく説明すべきだ」橋下政治資金の不可解(2) 秘書一族がパーティー券大量あっせん まったく、どいつもこいつも状態の政局であり、どの政党に投票していいやら?と悩ましいのだ。大使としては、反TPP、対中抑止という政策に投票するしかないのかも。
2012.11.23
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野田さんの第3極潰しの不意打ち!解散であるが(ドジョウもしたたかである)・・・・官僚のサボタージュを上手く制御できずに国会解散するパターンが定着したのだろうか? 2大政党も影をひそめ、多党乱立で迎える選挙は初めてではないか?・・・民主党を離党する議員が出ているし、選ぶのが難しい総選挙になったぜ。選挙前の情勢を15日ツイッターに見てみましょう。山本太郎さん TVは民自公みんな維新石原新党しか存在していないかの様な報道ばかり。選挙通れば一つになる従米集団の宣伝洗脳に勤しむ。原発続けてTPP通して軍備拡大、基地守って憲法変えて徴兵し喜ぶのは誰?最大の貿易相手であるアジアを敵視し遠く離れた戦勝国のケツを舐めまわす連中が愛国者とな?片腹痛い金子先生【政経塾クーデター】メディアは野田首相の「大勝負」とか「英断」とか報道し、党内反対派との「バトル」に焦点を当てる。原発事故直後と同じ本質をそらす報道。これは民主主義破壊するクーデターであり、大連立を阻止するために政経塾大臣の落選が不可欠。 @hyodo_masatoshi民・自・公・国+みん・維新・太陽が、対米隷属で既得権益支配層に仕える第1極だ。選挙後は、消費税増税、原発推進、TPP参加で野合する。底流に「松下政経塾+上げ潮派」がいる。これは弱肉強食の新自由主義であり、背後には小泉と竹下がいる。これが改憲に進めば、米国のための改憲に必ずなる。長期にわたる既得権益集団と言えば、先ず中国共産党であり、その次が日本の官僚組織である。 とにかく首相や政権が代わっても、官僚たちが首にならないようにがっちりとガードを固めているから。民主党が第2自民党みたいになっちゃって・・・・政党を選ぶのが難しいなら反TPP、原発ゼロなど政策で選ぶのも、いいかも。11/19TPP対談<大河原雅子(民主)&山田俊男(自民)> より★【対談】いま、交渉はどうなっているのか──日本の戦略を問う 東アジアサミットを前に、「前のめり」で参加をほのめかす野田首相の態度に危機感が高まっています。与野党のTPP反対派の議員も、首相や官僚に対して、秘密裏に行われている事前協議や"「国民的議論」の不在"について糾弾しています。しかし、国民の声を無視したままの参加検討がなされています。 連続学習会の最終回は、現職の国会議員お二人をお招きし、国会や各党内でTPPがどのように扱われ、どのような攻防が起こっているのか、じっくりとお話をうかがいます。<講師>大河原雅子(民主党 参議院議員)TPP関連ブログ:「TPPを考える国民会議・アメリカ調査団報告会」http://www.ookawaramasako.com/?p=3165山田俊男(自由民主党 参議院議員)「聖域なき関税撤廃」を原則とするTPP は形と内容が悪い。アジアモンスーン下にある日本やアジアの農業を守るためには、「各国の多様な農業の共存」の原則が必要である。 著書に『日本農業再生 3・11以後のビジョン形成に向けて』『ひたむきに農政』など。TPPを考える国民会議・アメリカ調査団報告会より山田正彦前農水大臣を団長に総勢8名。正味4日間で30か所を訪ねる強行軍でしたが、いろいろな発見がありました。その第一は、TPP問題がアメリカでは全く知られておらず、それ以前の問題として自由貿易自体に懐疑的な人が多かった事です。アメリカ一人勝ちのように考えていた北米FTA(NAFTA)でも、100万人の雇用が失われ、世論調査でも7割の米国人はFTAやTPPには反対・懐疑的だというのです。では、だれのためのTPPなのか?ホワイトハウスを窓辺にみる全米労働総同盟の担当者は、多国籍企業の為でしかないと言い切りました。日本では、輸出倍増・雇用拡大を掲げるオバマ大統領の再選戦略とも伝えられましたが、利害関係が複雑で実は不人気なテーマであり争点にはならないとは、第二の発見・驚きでした。
2012.11.18
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<団塊、勝ち逃げは許されるか>文芸春秋は年寄り向け雑誌ということで、日頃は敬遠している大使であるが・・・本屋で今月号の三大特集を見て、思わず衝動買いしたのです。特に「世代間格差」大論争と大特集「日本人と中国人」が気になるし、「世代間格差 団塊勝ち逃げは許されるか」というキャッチコピーが決め手になったわけです(笑)「世代間格差」大論争より一部抜粋して紹介します。・久田恵:ノンフィクション作家・水野和夫:埼玉大学客員教授・湯浅誠:反貧困ネットワーク事務局長・城繁幸:人事コンサルタント 「格差社会」という言葉が世間に定着して久しいですが、昨今では「世代間格差」という言葉もまた、よく耳にするようになりました。要は、社会保障や年金などにおいて、若い世代は高齢者の世代よりも損をしているということで、「世代間闘争」と言われることさえあります。 本日は、城さんが最年少で30代、湯浅さんが40代、水野さんが50代、久田さんが60代ということで、世代も分かれております。この難しい状況をどう乗り越えていけばいいのか。世代を越えた知恵を出し合っていただければと思っております。湯浅:これまで生活に困窮した人は、企業や家族が支えることになっていたのに、現実には支えられなくなっている。かくあるべしという世間のイメージと現実とのギャップをどう埋めていくか。これは実は若い世代に限らず、日本社会全体の課題でもあります。湯浅:実際に「離家年齢」つまり、独立して家を出てゆく年齢が、どんどん上がっているというデータがあります。ただ、出て行かないのか、それとも出たくても出て行けないのか、その理由までは、はっきりわかりません。久田:私の感覚だと、同居のトラブルもあって本当は出たいが、出たら経済生活が成り立たないという感じです。昔なら子どもが独立して、退職した親に仕送りするのが普通でしたが、今の親たちは、逆に子どもを支え続けている。私たちの世代は自分の親の介護もやっているけれど、自分たちがいざ介護される立場になっても、子どもには頼れないと悟っていますよ。城:私は、97年入社でいわゆる「就職氷河期」組だったんですが、会社に入って一番不思議だなと思ったのは、全然昇給しないんですね(笑)。 つまりデフレが進み、市場が縮小するなかで、人件費も削らなきゃいけないんだけど、既に上がっている人を下げるのは大変なので、その皺寄せはすべて新卒をはじめとする若手にいったわけです。これはおかしいぞ、と。湯浅:今、非正規労働者の賃金は30代で290万円で頭打ちになるんですが、夫婦二人で500万円あれば、何とかなるという社会をつくらないといけない。具体的には性差に対して中立的な雇用と賃金体系、児童保育の環境、奨学金制度の充実、あるいは税制の扶養控除の問題などあらゆることが求められています。日本人のライフスタイルそのものに関わることなので、すぐにできることではないですが、1世代かけてでもやらないと、この社会は持続できないと思います。城:今、非正規雇用となっている就職氷河期の30代が、将来かなりの生活保護を受けることになると予想されていて、年間約30兆円という試算もあります。つまり年金は破綻しなくても、トータルの財政はやっぱり破綻するんです。湯浅:興味深いデータがあって、海外の調査で「自分で生活できない人の面倒を行政が見るべきか」という質問に対して、「そう思わない」という人の割合が、日本は38%、アメリカが28%未満、フランス17%、韓国12%、中国9%、イギリス8%、ドイツ7%ですから、日本がダントツに高い。この自己防衛意識の強さはやっぱり税金に対する不信感とつながっているんでしょうね。城:でも一番恵まれていたはずの高齢者の世代が、将来に不安を抱えているというのは面白いですよね。 ただ、私はその判断は正しいと思います。確かに彼らは恵まれた世代だったんだけれど、この状態がいつまでも続かないとわかっているのでしょう。私自身は常々、世代間格差を何とかすべきだと煽っている立場ですが、一方で実は高齢者が勝ち逃げできるステージは終わっていて、抜本的な改革を望まないといけないのは、高齢者なんですよ、とも言っているんです。水野:日本の家族制度がおかしくなってきたのは、60年代から70年代にかけて、公団住宅が乱立しはじめてからだというんですね。欧米にならって、住居から核家族化していったわけですが、日本においては、その前提となるはずの市民革命による「個人の自立」がないままに、形だけ真似した。その結果、家族は孤立し、個人も自立していないという今の状況が生まれた。久田:福祉国家の道を捨てた日本が、これからどこへ向かっていくのか。そこが問題ですよね。国に頼れないのであれば、民間でもNPOでも使えばいい。一緒にNPOをやっている同世代の方を見ていると、社会のために何とかしたいという気持ちはすごく強いんです。今は、それぞれがゲリラ戦というか、手弁当でやってますが、これをもう少し組織化して、社会を支える力にする仕組みがつくれないでしょうか。湯浅:やるべきだと思いますね。NPOへの寄付の税額控除とか、民主党政権が「新しい公共」を打ち出しましたが、あれは好むと好まざるとに関わらず、事ここにいたっては、NPOなど民間の組織を活用して、格差や社会の矛盾を官民にかかわらず埋めていかないと、社会がまわらない段階に来ているということだと思います。日本は社会保障にたいして「一億総不信」に陥っているようですが、グローバリズムが悪かったのか、日本人が悪かったのか?・・・・身につまされますね。嘆いていても、しかたないで!
2012.11.17
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<有人宇宙開発無用論>中華の有人宇宙開発の目的は、国威発揚と軍事技術であることは衆目の一致するところであるが・・・・日本が有人宇宙開発を目指さない理由について、政府見解があるかどうかまでは知らない。立花隆さんが、その理由について文芸春秋今月号の巻頭エッセイで「有人宇宙開発無用論」と題して明快に論じているので紹介します。中華の有人宇宙開発 シンポジウムの主たる話題は、日本はこれから、宇宙で何をやっていくべきなのか。もうちょっと、具体的にいうと、日本は独自の有人宇宙開発をやるべきか否かだった。 中国は独自の有人宇宙開発をとっくにはじめている。2003年に神舟5号で衛星を地球軌道に打ち上げたのを皮切りに、すでに多数の有人飛行(4フライト、宇宙飛行士9人)を成功させている。2020年までに、有人月探査を行う計画もある。独自の宇宙ステーションも建造する予定だ。2040ないし2050年頃には有人火星探査を行うともしている。(中略) 独自の有人にどんな意味があるのかといえば、国威発揚ぐらいだろう。そんなことは国威発揚が何より大切な中国にまかせておけばいい。日本は有人はあくまで国際チームの一員としてやるという立場をつらぬき、あとは日本の独自性を発揮できる得意技術分野で勝負すべきだ。それは何かといえば、有人技術ではなく無人技術だ。 近年、日本が最も成功した宇宙プロジェクトは「はやぶさ」だ。あれは人間の操縦・操作を極限まで排除した完全自立ロボットに近いプロジェクトだった。そして、サンプルリターンに徹して、重いものは何も持たず、取ってきたサンプルをスプリング8のような超ド級の分析機器にかけることで、世界中が驚くような成果をあげることができた。 あれこそ、日本のロボット、日本の分析技術の高さを世界に示したノーベル賞級の成果だ。これからあの方向でどんどんやればいい。月にも火星にも、「はやぶさ」3号、4号を送り込んで、中国の宇宙飛行士がくる前にサンプルリターンをどんどんやらせて調べつくしてしまうのだ。 中国が火星探査をやるころには、土星も、木星もサンプルリターンで征服してしまえばいい。独自の有人をするとなったら、数千億円の費用がかかる。しかし、「はやぶさ」方式なら1機、開発費用含めて二百数十億。独自有人をやる費用で、「はやぶさ」を十機も二十機も飛ばせるのだ。 有人の国威発揚にこだわる中国など「遅れてるー」と笑ってやればよい。中華の国威発揚などは、たいがいの日本人が嫌悪感と嘲笑を示すだけであるが・・・衛星破壊実験に手を染めるなど、中華の宇宙開発には、笑ってばかりもいられないのです。ところで、スーパーコンピュター「京」の演算速度が一時、世界一だったが、今では世界第2位のようですね。京は21年11月の事業仕分けで、蓮舫行政刷新担当相から「世界一じゃないといけないのか。なぜ2位じゃだめなのか」と凍結判定を受けたこともあったように・・・・日本の有人宇宙開発は財政上の理由で日の目を見ることはないでしょう。宇宙開発に関して、憲法上の制約でどうしても手を出せない分野はある。そして、有人宇宙開発には憲法上の制約はないはずであるが、でも手をださない。単なる国威発揚だけで税金投入はしない日本は・・・・成熟した財政感覚を誇るべきでしょうね。中華との比較で特にそう思うのです。とにかく立花さんに言われるまでもなく、「はやぶさ」フリークの大使でおま♪それにしても、若し「はやぶさ」の帰還が間に合わなかったら、蓮舫さんの追求でJAXA(宇宙航空研究開発機構)消滅の憂き目があったかもしれないな~。(女性の追及は怖いで)
2012.11.16
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米国大統領選挙も気になるが、8日から始まる第18回中国共産党大会も気になるのです。すでに、胡錦濤の院政による習近平国家主席という大筋が決まっているようですが・・・・日本にきついタカ派政権が、少なくとも今後5年間は続くものと予想されます。ということで、中国共産党とチャイナ・ナインのお勉強です。11/02間もなく党大会。チャイナ・ナインの空席は最大7つより 党員8260万人の頂点に立っているのは「チャイナ・ナイン」。この中に胡錦濤国家主席も温家宝国務院総理も入っている。 C9を中心として見たときの実際のヒエラルキー 「全人代」(立法府)の議題は(形の上で中央委員会を通すが)事実上「チャイナ・ナイン」が決める。全人代で議決された事項を国務院(中国人民政府)が執行する。 全人代は年1回開催されるが、そのときに全国政協(中国人民政治協商会議全国委員会)も同時開催する。全国政協には8大民主党派や無党派代表などがおり非共産党員が大半を占める。しかしその役割は、あくまでも中国共産党の指導の下に中国共産党に協調する形で参考意見を述べるに留まる。 「チャイナ・ナイン」には定年制があり70歳。 しかし党大会のときにピッタリ70という人は滅多にいないので「七上八下」原則がある。党大会のときに67才ならば次の候補に「上がって」いいが、68才ならば「下がって」頂くという原則だ。これに従えば、表にある通り、習近平と李克強以外は、すべて定年で引退となる。 くりかえすが、薄熙来事件により胡錦濤と習近平は仲がいい。胡錦濤の権威は10年間の執政期間で今がピーク、軍をも掌握している。 10月25日に発表された中国人民解放軍の総参謀長や総政治部主任等の重要ポストはすべて胡錦濤の腹心により占められており、習近平腹心も胡錦濤に忠誠を誓っている。江沢民派は惨敗だ。 第18回の党大会を待たずとも、趨勢はおおかた決まっている。でもやはり、発表が待たれる。 難問山積の共産党体制は崩壊の危機にあるわけで、大使としては今後5年以内に自壊してくれることを望むばかりである(笑)チャイナウォッチャー富坂氏の展望を紹介します。10/31いよいよはじまる“十八大” 10年に一度の権力交代期を迎える中国はどのように変わっていくのかより──胡錦濤から習近平へ政権が変わりますが、どういった変化が考えられるでしょうか?富坂氏:僕は、あまり変わらないと思います。変わらないというのは、共産党の中で差が生まれるということではなくて、共産党が自分たちの権力を奪われないために何ができるか、やれることもやるべきこともわかっている、ということです。 習の大きな課題は、反日デモでも少し見えましたけれど、将来に対して展望のない人たちを、いかに抑えつけるか、に尽きます。本格的な再分配ということにメスを入れない形で、いかにその人たちを騙すか。でも、騙せないところまできているのかもしれない。政権の後半は、騙しきれないんじゃないかと思います。 中国共産党は、薄給で知られていますが、裏でしっかりお金をもらっています。どこからもらっているか。それは、国有企業です。そのおかげで、国有企業に対して強く出ることができない。国有企業は、どんどん暴走していく。もはや国有企業に首輪は付けられないんです。そのうえ、自分たちの子どもをすべて国有企業に入れている。党が企業に対して、絶対に何もできないと言いきれるのは、そこに理由があります。
2012.11.02
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