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サラリーマンA氏


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おやじA


就活女子大生A


金策起業家A


不倫旅行A氏


再就職初日B氏


有給休暇B男


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夢のそのさき


1 発端


2 女


3 現実


4 追跡


5  松林美佳


6 同僚


同じ夢


二人


あの女


いったい!


きのうと今日


あの女 またしても


夢うつつ


ある噂


ふたたび上井草へ


わたしの噂


「友達」からの電話



正夢


ユーラシア大陸横断 9000キロ


北京出発


東北地方をいく


長春、ハルピン


国境前夜


国境の駅


シベリア鉄道へ


イルクーツク到着


イルクーツク


バイカル湖


イルクーツク出発


モスクワ到着


二都物語


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たそがれのカツドウヤ 2


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たそがれのカツドウヤ   4


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カテゴリ: 連載小説
週末小説。3回まではカテゴリーで戻ってください。


夢をみることは、ないではない。見るときは、眠りが浅く、頭は冴えきらないものだが、きょうは、すっきりとした目覚めというより、ほどよい二日酔い状態のような不思議な心持ちのようでもあった。

 起きると、すぐにパソコンをたちあげた。

パソコンを立ち上げるのには時間がかかるので、またふとんに潜り込んだ。 いつもの習慣で、たちあげてふとんのなかに、再度もぐりなおしてみて、ふと夢のことを思い出した。安っぽいありふれたSF小説じゃないんだし、あるわけないよな。と思いつつも、リアリテイーあふれる夢に、もしや、という気持ちも少なからず持った。

ポロポローン

パソコンがたちあがると自動的にメーラーも立ち上がり、メールをサーバーからとってくるように設定していて、この音はメールが読み込まれたことを意味していた。

パソコンの画面に目を落とす。未読7件。メルマガ定期購読が5件。あと2件はDM。なあんだ、やはり夢じゃないか、と思っていると、

ポロポロポーン

そのメールを見て身体が硬直するのに、そんなに時間はかからなかった。


メールをあけてみると、自分とその女との夢の中での会話が、まるでチャットをやったかのように書き込んである。ただ、最後に

「がんばってね」

 きつねに摘まれてるのか!なんともいえぬ気持ちにおそわれた。だれかが、仕組んだトリックか?しかし、このメールは何を意味しているのか?

返信でメールをだすが、当然、自分のメールアドレスに対して出すわけだから、誰に届くわけでもない。すぐ、かえってくる。

 ただ、このメールを誰がだしたか、よりも、今はその信憑性の検証のほうが、優先順位は高い。なにより、夢のなかで女が言ったメールがこうして届いているわけだから。あと4つの確認。見てみるに越したことはない。


パソコンのそばに置いてあるケイタイを手にとり、まず会社を休むべく電話をいれる。時間は7時半で早いが、営業部長の岩城はこの時間すでにきているはずだ。遠距離通勤で、ラッシュをさけている。直属の上司ではないが、うまがあうというか、目をかけてもらってる。

しかし、口実はどうしよう。

自分としては、まず宝くじ売場で夢の現実性をまず確かめたいのだ。でも、そんなことを言って信じてもらえるわけがない。地球滅亡?!しかし、冷戦が終わってもうかなりたつし、地球上のどこかで紛争は起きているが、地球規模の戦争になるような戦争は、新聞を見てもないし、アメリカもイラク戦争で疲弊し、とても軍事でさらに世界に打ってでるような状況ではない。

まず、信じてもらえるわけがない。

しかし、こうしてパソコンに夢のお告げ通りにメールがはいっていたというこは、地球滅亡はともかく、宝くじはまず試してみる価値はある。

5回コールしたところで、岩城がでた。



「あのう、柴ですが、きょう体調がいまひとつなので、休みますと、部長に伝えていただけますか?」

「どうしたんだ?柴が体調くずすなんて。」

「風邪気味なんですよ。朝起きたら、ねつぽくて。」

「わかった。境部長に言っとくよ。お大事に。」

日頃、信頼をしてもらっているのを感じているがゆえ、裏切るような気がして少々後ろめたい気持ちがした。



ただ、問題があった。宝くじ売場が、会社のすぐ近くにあるということ。休んだのに自宅から30分もかけて宝くじを買いに新宿にでるのは、かなりのリスクがある。風邪で休んで、おまえなんだ?といわれれば、なんと言おう?それに体躯が、人並み以上にがっちりしているため、へたに変装しようものなら、逆にめだってしまう。

でも、サイは投げられた。

宝くじが当たれば、会社なんてい続けなくてもいいし、この地球がなくなるのだ。まず、スクラッチクジをかい、真偽を見極めることで、次のステップを考える。

もう行くしかない。

宝くじ売場があくまでに新宿にいく。それには、もう時間がない。従業員100人の会社だが、9時というと、まさに出勤時間。会社の人間に会わない可能性よりも、会う可能性のほうが高い。

だめもとで変装していく。

GパンとTシャツ。慣れない野球帽。最近、気まぐれで買った、NYマーク。ニューヨークヤンキースの帽子だ。

それにサングラスというのは、通勤時間には不釣り合いな格好だ。それに、フード付きのウインドブレーカー。宝くじの購入軍資金は、帝都銀行にある預金を使う。

預金は150万。一枚、300円として5000枚か。いや、5000枚あるとは思えないから、なんとかなるか。などと頭のなかで算段しながら、O駅から、通勤ラッシュのただ中の中央線に乗り込んだ。いつもは地下鉄だが、あえて会社の人間が多く乗るため、乗るのをさけた。

駅で、朝日新聞を買うが、一面は失われた20年の決算と称する特集が今日の紙面からはじまっていた。国際面をみてみるが、さして大きな事件はかかれていない。

隣の40代とおぼしきサラリーマンの読む週刊近代に目をおとすと、年金問題再改悪をめぐる問題点などという記事が目にとまる。

そのサラリーマンは、視線に気付くとわざと雑誌の角度をかえ、みえぬようにしてしまった。車内は押し黙ってつり革を持つもの、必死にケイタイメールを打ち込むもの。いつもとかわらぬ風景である。

新宿につくと、あたりの目を気にしつつ、ウインドブレーカーのフードをすっぽりとかぶせ、あの夢にみた宝くじ売場にむかった。ほんとうに、この地球が1週間たつとなくなるのか?それの真偽も、この宝くじで見えてくると思った。

みつほ銀行はすでにATMコーナーは開いているが、まだ、窓口はしまっていた。宝くじのコーナーは、二軒ほどちょうど店開きをしていたが、それは銀行に比較的近い売場で、行こうとしていた売場は、まだ、ガードレール脇にたたみこまれたままであった。ただ、これで朝一番にくじが買う事ができる。念のために各売場をのぞいてみたが、招き猫はなく、まだ、店開きをしていないあのボックスにほかならない。

「柴じゃないか?」

誰かが呼ぶ声が聞こえると同時に、心臓がパコンパコンと激しく脈打ちだしたのがよくわかった。





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最終更新日  2005.05.28 16:58:13
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