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のだめカンタービレ展に行ってきました。もともと、1年ほど前に東京・大阪で開催されていた企画展のようです。名古屋会場として、2023/11/25~12/24の1カ月間、愛知県の文化フォーラム春日井へ巡回して来ています。妹と二人で行ってきました。ほぼ写真の訪問ログです。*以下、現在開催中の企画展の写真(たくさん)です。これから訪れる予定の方はご注意ください。*企画展会場前には、ストリートピアノの設置が…(気が利いてる)。帰りがけに、小学生の女の子がトトロのサントラを弾いていましたが、めっちゃくちゃ歌ごころ・抑揚のある素晴らしい演奏で、妹と二人で顔を見合わせました。のだめちゃんの汚部屋再現コーナー。まだまだ全然可愛らしい汚部屋ですね。うん。そこかしこにあるプリごろ太ネタにこだわりを感じました。本企画展示は、基本的にはストーリーに沿った白黒の本編原画と、その元となるネーム兼下描きの展示がメインでした。QRコードでサイトに飛び、音声マークのある展示物の前で、そのシーンで演奏されているクラシック音楽や、アニメ声優さんの撮りおろしボイスを聞くことが出来ました。驚いたのが、出だし1話の段階で、(おそらく)仕上げにPCを導入されていた点。ペン入れまでアナログ→PCでぺったり基礎トーン部分の処理→出力して、髪のベタ部分や、PCでは扱えないトーン処理と言う感じだったのかな?と受け取りました。※当時、原稿の納品自体は紙だったのだろうと思います。この辺↑のほわほわトーンは、まだPC上で処理できなかったようで、印刷後の原稿にアナログトーンで処理されていました。のだめの連載開始が2001年ですので、当然漫画用のソフトウェア等もなく、この段階から漫画原稿の作画にPCを導入されていた作家はかなりレアなんじゃないかな、凄いな、と思いました。Sオケ用にのだめちゃんが自作したマングースの着ぐるみの展示。のだめちゃん…デザインセンスから裁縫スキルからプロ過ぎる。千秋先輩等身大立像。指揮棒がちゃんとカズオ仕様。原画展示は、とにかく作中で印象的なシーン・観たいシーンが、(個人的に)完全網羅されているのが印象的でした。この↑シーン、(たぶん読者はみんな)好き!(みんなが観たい)ラブストーリーの要所は、必ず抑えてありました。ネーム兼下描きが、もうほとんど完成形過ぎました。このモノローグ大好き!ストーリーをなぞっていくだけで、面白い!ワクワクする。一般人には終ぞ想像することが出来ない、トップ音楽家たちの人生の一部を、ラブストーリー仕立てで追いかけられる、素敵な作品だな~~、と改めて思いました。間もなく、23年年末~24年年始にかけて暁のヨナ大原画展も開催されますが、企画展の考え方・作り方の違いを楽しめたら良いな、と思います。by姉
2023.12.17
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このキャラクターについて、まだ語れていませんでした。ほとんど妹の受け売りです。ちはやふる 感想-その12若宮詩暢ちゃんについて*以下、最終50巻までのネタバレあり感想です。未読の方はお気をつけください*◆作品における『キャラクターの思考の多様性』についてちはやふるを読んで、何よりも度肝を抜かれたのは、キャラクター一人一人の『思考回路の多様性』です。老若男女、様々な立場のキャラクターたちが登場しますが、いちいち「なるほどこの人はこういう思考回路を持ってる人なのか」ってよく分かるんですよ。これは、末次先生の人間を捉える洞察力のなせる業というか、実際のかるた業界の方たちへのインタビューもたくさんなさったでしょうし、もちろん、日々の生活・お仕事の中で関わる方たちも参考になさっていると感じます。ただやはり、本作を読んでいて、その「思考回路」の描写がずば抜けて深く、興味深かったのが真島太一くんと、若宮詩暢ちゃんの2人です。感想その2記事でもこの2人のプレイスタイルについて語りましたが、基本的にこの2人は、末次先生の化身なんだろうな、と受け取って読んでいます。化身というか、末次先生の価値観・思考回路が非常に色濃く投影されたキャラクター。簡単に「この2人」って書いたんですけど、何が凄いかって、「この2人」の思考回路が、あまりにも相反しているところです。「太一くんが描けて、詩暢ちゃんが描けるって、どういうことだ!?」とこの目を疑いたくなるような、もの凄いことだと思っています。私の思考回路は、どっちかというと完全に太一くん寄りです。もちろん、あんなにストイックじゃないです。ですが、太一くんの思考回路は、リスペクト心を持ちながら、非常について行ける。おそらく、きちんとちはやふるを読んでいる男性ファンは、その大半が『太一くんファン』なんじゃないかな、と思っています。基本的に太一くんは、あらゆる物事をタスクとして捉えている「超仕事脳人間」だと思ってます。学生の本分である勉強も、部活も、趣味も、「千早ちゃんに笑って欲しい」という恋心すら、この子の中では、自身の目の前にあるタスクだと思っています。この子にとって、目の前の物事を取り組むにあたって、「自分がやりたいか、やりたくないか」「自分が得意か不得意か」は判断基準にはならないんですよ。基本的に全部タスク…「やるべきこと」なんで。目指すべき目標点に向けて、「どうやってやるか」「どうやれば出来るか」しか考えない。更に、太一くんには、基本的には家庭環境…というか、幼少期からの教育に帝王学を感じさせるものが織り込まれていると思います。場の中で、「人の上に立つ」を自然と演り出す…というか。身振り手振りや発言のほとんどに、「他の人を動かす」意図を感じますので。そのため、瑞沢かるた部立ち上げからの太一くんの動きは、公立進学高校の、いち部活動では通常考えられない水準での意識の高さであり、彼の考えられない次元の組織力を持ってして、瑞沢かるた部は超短期間で全国大会の舞台に躍り出て来たんだな、と受け取っています。↑太一くんがこういう思考回路の持ち主なので、特にお勤めの成人男性読者は感情移入&リスペクト出来て、メロメロになるんだろうな、と思っています。◆誌暢ちゃんのアート気質について反して、詩暢ちゃんは というと… 正直、私一人の感性では、この子にはついて行けません。思考回路がよく分からない。描写の1個1個も、しっかり噛み砕けない。ただ、妹がさも当然のように、すごく熱く「詩暢ちゃん像」を語ってくれるので、「はぁ…そういう思考回路か…はぁ…」って教えてもらいながら読む感じです。私自身も数十年来、妹を見て来て、その特性を知ってるから、言われれば「こういう子なんだな」ってなんとなく分かる…というか。詩暢ちゃん…この子は、「アート」な子。芸術的な思考回路の持ち主だな、と思っています。アート気質 …と検索をかけるとこんな↓特徴がヒットしましたが、まさにコレですね。①直観力に優れ感受性が豊か②独自の世界観に生きる③創作意欲が豊富で常に刺激を求める④ロマンを求める空想家・周囲からはミステリアスと思われがち⑤こだわりが強く協調性に欠ける⑥やりたくない事を強要されることを特に嫌がる以下、妹の熱く語る詩暢ちゃん像も踏まえて、この子の興味深いなと感じた部分の列記です。◆鳥人間コンテストちはやふるという作品の、一番の魅せ場と言いますか、世間一般的な入り口として、団体戦描写があると思います。「かるた」という語感からは想像も及ばないような、熱い体育会系の闘いが臨場感たっぷりに描かれ、その「青春」感が、本作の一番の売りになっている部分だと思います。この団体戦描写について、妹は読み始めた当初若干の嫌悪感を示していました。体育会系のノリがダメなんです。「熱さ」とか、押し付けられるのが嫌なんです。妹が「気持ち悪い…」と言い始めて、でも、そこに詩暢ちゃんが登場してくれて、同じように「気持ち悪い…」と言ってくれて、「まさか私のための入り口(視線)が用意されているなんて!」と、すごく喜んでいました。私は、なるほど引っかかってたのはそこか、と驚いて「『団体戦が嫌い』な視点だね」と言ったら、こう↓力説されました。妹:何を言ってるんだ、詩暢ちゃんは、本当は団体戦を観るのは大好きなんだ。鳥人間コンテストとか大好きなんだ。若い人たちの一致団結した青春団体戦とか、めっちゃ燃えるんだ。でも自分は出来ないし混ざれないし、特に「かるた」は団体戦である意味は全くないし(そもそも詩暢ちゃんにとっては、札と自分との対話の世界なので、対戦相手すら本当は必要ない)昔友達を無くした思い出もあって、「みんなで一緒に楽しむかるた」にはものすごく苦手意識とトラウマがあるんだ。でも団体戦の決勝戦は、最後は食い入るように観てたじゃん。ちなみに新くんに対しては、昔から自分と同じ「かるたが友達」なお一人様仲間だと思ってたのに、普通に友達居るし部活立ち上げ始めるし…「なんだこの裏切り者!」という気持ちがあったと思う。姉:鳥人間のくだりとか、なるほどそういうキャラ立てだったのか…。妹:ただし、団体戦が好きと言っても別に何でもかんでも好きなわけではなく、鳥人間はやはり「未知の乗り物で空を飛ぶ」というロマンがある点。これが大事。姉:知らねーよ。なんで鳥人間だけでそこまで読み取れるんだよ。妹:20巻ではサイドカーにつられて、東西戦予選見に来てたじゃん。珍しい乗り物!ワクワク!ってなる子。芸術肌の人間にとってはロマン大事。姉:ホンマや…。私には、詩暢ちゃんのこのあたりの情報が、ただの「不思議ちゃん」認識で、全然一本筋で掴めていませんでした…。確かに、昔から妹もやたらと鳥人間コンテストが大好きだったりして、詩暢ちゃんの思考回路に似てるんだな、だからついていけるんだなと思い、改めて「なんて立体的で具体的なキャラクター造形なんだ」と感心しました。◆パン屋のバイトと挫折28~29巻で、詩暢ちゃんがパン屋のバイトをはじめ、数日でクビになるエピソード。ここも、妹が「稼ぐ為に頑張る誌暢ちゃん、ここ最高!」と力説してくれました。姉:そこ、詩暢ちゃんの心が折れるのが早すぎてよく分からない。妹:何が分からないんだ!描いてある通りだろうが!詩暢ちゃんがどれだけ頑張って心を折ってバイトを始めたか。そもそも出場したいかるたの大会を蹴ってバイトを優先する、この時点で超頑張ってる。そして自信が全くない接客業を頑張ろうと、苦手なパンを全種食べてみて、その良さをなんとか自分なりに掴んで、一生懸命伝えられるようになろうと推しパンのラミカードまで創って挑んでたのに、否定されたんだぞ!「もうダメだ、やっぱり自分はかるたしか出来ないんだ、わーー!」ってなるだろうが。姉:もちろんクビになったらショックだとは思うけど、でもやりたいことは「お金を稼ぐこと」でしょ?「パン屋さんになること」じゃないでしょ?パン屋さんだって、別に詩暢ちゃん自身を否定したわけでは全くないし、パンを好きなろうと頑張って食べて、ラミカードまで用意して、ってアプローチは全然間違ってないし、有難い探求心だと思ってるよ。でもお店が今求めていたのは、忙しい時にレジ業務を機械的・スピーディーに回せる労働力だったわけで、そこが満たせていないところに対価を支払う余裕がないよ、って話なだけでしょ?世の中、バイトと一口に言ってもいろんなものがあるんだから、「『組織体の求める労働力』を提供して、それに対する対価を受け取る」が目的であることを念頭に、労働力として自分を当て込められそうなものをもう一度探すとか、「そうか、お店が求めているのはこういう労働力なのか」って分かったんだから、今度はそれを満たせるように、もう一度レジ業務に挑戦してみるとか、いくらでも…妹:詩暢ちゃんがそんな風に考えられるわけないだろ!そもそもやりたくないのに!↑この嚙み合わなさ…!まぁ…でも確かに、昔から妹もやりたくないことはとにかくやりたくないというか。勉強とか、隣で見てて、なんかこっちが悪いことしてる気になってくるくらい嫌そうに、やりたくないオーラをものすごい発しながらやってたんですよ。やらないわけではないので、そこは偉いなと思って見ていたんですが、でもそもそもなんでそんなに「やりたくない」のか、私にはよく分からなくって。だって、就職という選択肢もある中で、一応は進学を念頭に置いた高校に通ってて大学受験をする以上は、やりたい・やりたくない云々は関係なく、受験に向けた勉強なんて「やる」以外に向き合い方なんてないじゃん…と。また、昔からどうも妹の言う「頑張る」がしっくり来ない…妹の中の「頑張る」の定義って、「やりたくないことをやること」なんですよ。逆にお絵かきとか、自分のやりたいことをやることは「頑張る」とは言わないんです。(お絵かき、あんなに「頑張ってる」じゃん、と思うんですけどね…。)多分このあたりの思考回路が詩暢ちゃん寄りか太一くん寄りかで、ちはやふる内の情報の捉え方も全然変わって来るんだろうな、と思っています。◆おばあちゃん妹:詩暢ちゃんのおばあちゃんは、孫馬鹿で最高だね!「かるたのプロになりなさい」は痺れたよ!姉:全く異論なし。おばあちゃんは最高だと思う。流石の傑物。しかし面白いのは、この「やりたいことを極めて金にして生きていく」という選択…駒野先生の名台詞「やりたいことを思いっきりやるためには やりたくないことも思いっきりやんなきゃいけないんだ」の真逆を行く道になるんですよね。最初に触れましたが、この「キャラクターごとに異なる答えに辿り着く」多様性は本当に凄いと思ってます。◆30~32巻の、TV番組の収録高校選手権団体戦が行われている同日、大阪のTV局で、周防名人&若宮クイーンの凄さを解き明かすをテーマにした番組収録がありました。ここに太一くんが参加して、作中では唯一の、詩暢ちゃんとの絡みのシーンがあります。このシーンは、妹がすごくすごくすごく、作中で一番くらいときめいたシーンだ!と言っています。妹:本作品の華とも言うべき高校選手権大会団体戦が行われている最中、明後日の場所で、全く相反する思考回路を持った2人が、新しい視点を求めて「(まだよく分からないけど)意味のあるものになる気がする」と必死にもがいている…なんっっってオモシロいんだ!!!と思った!妹:あとは、このシーンで、かるた札に愛情を持って数える詩暢ちゃんを見て、太一くんが言う「ああはなれない」というモノローグ。壮大にツッコミたい。どの口が言うか!!と。詩暢ちゃんからしてみたら、お医者さん目指して勉強出来る人なんて異次元のエリート過ぎて本当にスゲーっって話だし、世のため人の為になる、求められることを頑張れるなんて、本当に羨ましい。でも詩暢ちゃんは、太一くんみたいになんでも頑張れなくて、どうしても、世の中に対価性を認められていない「かるた」しか出来ない。かるたしか出来ないから、かるたで稼げるようになるしかない。追い詰められてやってるのは詩暢ちゃんの方だぞ。さも詩暢ちゃんが凄くて自分ダメな奴だみたいな、意味不明なモノローグ被せて来て…本当にたちが悪いなコイツ…!私はこのシーンは、妹ほどときめきを感じたわけではなかったし、完全に太一くんになって読んでいたので、素直に、うわぁ詩暢ちゃん凄いなぁ!天才が過ぎてとても真似できないわなぁ…!と思って読んでいました。まぁ、超高等級ハイスペッカーたちの、ないものねだりの競演ですね。ちはやふる、視点が多角的で面白過ぎるな、とひしひしと感じたシーンです。◆小さな神様たち上記で書いてきたように、詩暢ちゃんのキャラクター造形については、妹と私であまりに解像度が違って、そこが感想を言い合ってて一番面白いところだったのですが、私の感性でも、詩暢ちゃんに唯一ついていけたのは、かるた札…百人一首の歌自体への向き合い方。札(歌)を「小さな神様」のように擬人化して、友達になるというアプローチ方法。ここはすごくついて行けました。私自身も小学生低学年の頃から漫画作品が大好きで、また「どういう考え方でこのエピソードやキャラクターは出来てるのか」、「この面白さは、一体どうやって作ったものなんだろうか」をぐるぐる考えるのが大好きな人間なので。考えたことが合ってる合ってないはそうも気にしない…(確認しようもないことが多いし、作家様のインタビューを追いかけたりもしない)自分の中で、筋が通って、面白さが噛み砕けたと思えればそれでよし!みたいな楽しみ方ですね。で、作品を形作る思考回路の筋を通そうとすると、だんだん漫画作品自体が「一人の人間」みたいに見えて来ます。作品の向こう側に、作者様の価値観や人間性が立体的に見えてきて、「こんな人が居るんだ!」と作家様の内々面との出逢いを楽しむ、というか。これは、一人の方の頭の中で表出形を形成する漫画作品ならではの観点なんじゃないかな、と思います。逆に映画作品やアニメ作品とかだと、大勢の作り手の思想が入り乱れるので、一つの思考回路に集約できないような作品は、私には楽しみ切れなかったりします。(圧倒的な力のある監督様の統制が効いている作品や、カリスマの脳内を具現化することが目的のような作品は別です。)おそらく詩暢ちゃんの和歌への向き合い方も、基本的には歌人の思考回路を読み解く、一人格として筋を通す、というアプローチ方法なんだろうなと受け取っています。また、面白い描写だな~と思って読んだのが、詩暢ちゃんの中の理解度によって、神様たちの大小・デフォルメが異なる描写です。基本的に詩暢ちゃんの世界における試合中のキャラクター達は、指のサイズの「小さな神様」たちで、皆わちゃわちゃ可愛い存在なのですが、見ているとやっぱり理解度に差があって。同性の女性歌人たちは、近しい存在として非常に愛着を持って友達になっているようなのですが、おそらく性別・年齢の大きく離れたお坊さん歌人たちは、基本的にかなり和歌自体の印象に寄ってる…というか、歌人本人の思考回路・人物像というレベルまで掴み切れていないんじゃないかな、という印象です。あまつかぜ~の僧正遍照とか、「きれいな女性好きのエロ僧侶」という凄く表面的な認識なのかな、と。44巻、百人一首に出逢った詩暢ちゃんが、自身のかるたへの向き合い方を確立する…というか、和歌の奥に居る歌人に触れることが出来て、その奥深さにのめり込み始めるシーンが描かれます。たまのをよ~の式子内親王が、当時の詩暢ちゃんと同い年の頃に斎院(巫女さんみたいなもの?)になったという話から、その感情を想像することが出来るシーンですね。このシーンの式子内親王は、当時の詩暢ちゃんと同じ頭身(大きさ)で描かれていました。◆Youtube配信仲間とこれから(小さな神様から等身大の存在へ)かるたに「仲間は必要ない」と思っていた詩暢ちゃんですが、物語後半、「かるたで食べていくため、かるたの付加価値付けをしたい」と考えたときに、明星会の桃ちゃん・ポカ作くんといった、深いかるた愛を持つ年上の非常に優秀な方たちが「それは凄いことだ」と詩暢ちゃんのやろうとしていることを認め、一生懸命協力してくれるようになります。詩暢ちゃんは、お母さんが外に働きに出ていなかった姿を見て来たことや、これまで独自のかるたの世界を作り上げて、閉じこもっていたこともあり、自身のことをコミュニケーション下手だと思っているようです。でも実際は、全然そんなことはなくて。やり手の政治家の祖母や、コミュ力お化けの父親の血を継いでいますし、お母さんだってマスコミとのやり取りを見る限り、全然普通にコミュニケーション出来る人だと思います。詩暢ちゃん自身、もともとかるたでも、お友達の気持ちを推し量って手加減するような気遣いな子ですし、また、自身のワールドが確立しており、大好きなものの推しポイントを説明・プレゼンするのは大得意な子だと思います。明星会のこころちゃんに向けた優しい眼差しからも、教育的な素養も多分に持っていますし、良い教育者・指導者にもなっていけると思います。今後、詩暢ちゃんが人生経験を詰んでいく中で、様々な世代の、様々な価値観の方たちとの触れ合いを通じて、「小さな神様」たち一人一人の解像度もより具体的に、重みを持った存在として捉えることが出来るようになっていくと思います。最終回、詩暢ちゃんの背後に現れた崇徳院は、現実の人の大きさをしていました。これは誌暢ちゃんが成長したからこそ、感じる事が出来たものだと思います。ーでも、まだ顔が見えない…本心がまだまだ分からない存在です。渡会元クイーンは「いつの間にか友達だと思ってた"かるた"が遠くなる。誌暢ちゃんもきっと同じ苦しみを味わうことになる」と危惧していましたが…イヤ、誌暢ちゃんはそもそも「競技かるたに生きる娘」ではなく、和歌を通じて古の歌人たちと対話する創造主ですので。千年残った和歌から、よりリアリティを持った存在として歌人たちに触れに行き、その奥深さ・面白さを現代に発信していくことこそ、詩暢ちゃんの人生の命題になっていくんだと思いました。◆千早ちゃんと誌暢ちゃんについて最後に、千早ちゃんとの関係性について。誌暢ちゃんの「孤高のクィーン」というキャラクター造型は、やっぱり主人公の綾瀬千早ちゃんと対照的な存在として組み立てられているな、と感じます。誌暢ちゃんが本格的に作中に登場するのは、4巻の中盤。本当に想像の域ですが、3巻までの展開で①千早ちゃんのホームが、明確に「瑞沢かるた部&団体戦」になった②千早ちゃんの目指すべき場所が、当初恋愛面で仕掛けていたはずの「新くんの隣」ではなかったんだな とはっきり分かったこれら千早ちゃん像の確立をふまえて、またおそらくリアルの学生クイーンへの取材なども参考にして同学年の現クイーン・若宮誌暢ちゃんのキャラクターは練り込まれていったんだろうな、と感じます。5巻で誌暢ちゃんに大差で負けた千早ちゃん。彼女が涙を流しながら素振りする姿を見て、太一くんは(千早の夢が本物になった)と認識しました。この時から、千早ちゃんが「世界の頂点 高い山の頂」で一緒に並びたい存在・目標は、明確に「誌暢ちゃんの隣」になりました。誌暢ちゃんにとっての千早ちゃんはどんな存在なのかな、と考えると…自分が「意味が無い」と定めていた「部活動・団体戦」畑から出てきて、自分の居る山頂に近づいてくる存在。自分と札との対話で成り立つ世界に、初めて乱入して来た邪魔者であり…新しい風。最終話、ふたりで世界の頂に到達した…その時に初めてもっと高い山があったことに気付くシーン。京都明星会の伊勢先生の想いにも繋がる、素晴らしい到達点で震えました…!詩暢ちゃん…このキャラクターは、かるた競技を単なる競技に留めない視点…文化的・芸術的側面から捉える「かるた」を、これでもかと言うほど照らしてくれる、本当に凄いキャラクターでした。末次先生の、仕事人としての価値観:大きな組織体の中で責任を負い、バリバリに仕事をこなす方たちをリスペクトする感性が太一くんに色濃く投影されている反面、末次先生の、芸術家としての価値観:学び&イマジネーションを大きく膨らませていくこと、表出力を磨き他の方により分かりやすく伝えていくことを並行して行うことで、付加価値を創造していく感性は、詩暢ちゃんに色濃く投影されているのだと受け取っています。両極端とも言える、この2人の感性をしっかり捉えてこその「ちはやふる」だと思います。本当に本当に、凄い作品です!by姉『ちはやふる』感想リンク『ちはやふる』読み始めました!感想-その1 話の骨格について感想-その2 かるた競技への芸術的・創造的アプローチについて感想-その3 千早ちゃん・新くん・太一くんの三角関係について感想-その4 瑞沢かるた部&綾瀬千早ちゃんについて感想-その5 綿谷新くんについて感想-その6 真島太一くんのかるたと、2人の師匠について感想-その7 千早&太一 恋愛とかるたについて-1感想-その8 千早&太一 恋愛とかるたについて-2感想-その9 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2023.12.10
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