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その人は月がウィンクする晩に歩きます。女の子はひみつの窓から、その人が歩くのを見ています。まばたきを、ゆっ く りながいまつ毛に、月の光がのるようにゆっ く り…。ミモザいろ、のまばたきをしたの だ・あ・れ?女の子のまばたきは、スミレいろ。かわいい、かなしい、スミレいろ。その人のまばたきは、紅椿。あゝ、燃ゆるウタ。「ミモザいろなら、きっと屋根のうえのクロネコだよ。」 と金いろ風見鶏。クロネコは絵のモデルをしていて、なまえはミモザ。くろいベルベットの毛並みは、月の光をすいこんで、、、町一番の、ああ、なんて泡やかな、ミモザいろ。‘泡やかな’ っていうのは、胸が泡立つみたいに魅力的、ってこと。この町の人なら、だれでも知っている、けっこう昔からの言葉、とおそわっていて、いわれていて、きっとそのはずで、たぶんそうだったんだ。コトバハアイマイデス。ココロモアイマイデス。「ごきげんよう。」その人は決まってクロネコに、こう声をかけます。そのイミは、「元気かい」、なのか、「また会おう」、なのか、それとも、「お別れ」、なのか‥。屋根のした、女の子はひみつの窓から、おまじない。(「また会おう」、になりますように。。)なんたって女の子のなかでは、恋人どうし、なんですから。月のウィンクで歩きだすその人と、クロネコのミモザは。だってその人は、きまって投げキッスを、1つ、恥ずかしそうに置いてゆくんですから。そうして、その人はあかるい涙いろのウタをうたいながら歩いて去ってゆくんです。――――紅椿が咲きます。 きいろい蕊(しべ)があふれ、あふれ。 わたしの心は、 さらさらさらと裂け落ちる。 夕べ紡いだ、 ス、と、キ、の魂(たま)鈴。 月のしずくに、 ただ泣きぬれて。 ざんざんざんと打ち寄せる。 そんな風でありましょう。 知らず知らずの、 はなひらき、花びらひらいて、 恋がふっくら。なんだかトキトキします。ウタの意味は、女の子にはムズカシくてわからないけれど、ともかくともかくトキトキします。トキトキは、い・ち・ご・色。ずっとずっとドキドキより、ほいっぷ・くりいむ味。なんたってアルコール抜きのフラフラです。その人は、あしたも歩くでしょうか。もしかしたら・・・屋根のうえにはクロネコなんていないのかもしれません。投げキッスの相手は、女の子のお姉さんなのかもしれません。たとえ、女の子にはお姉さんなんていなかったとしたって、そう考えるほうがずっと現実的で、起りやすいサイコロ。でも、女の子はこういって、ふふ、と笑います。「メルヘンは必然(ひつぜん)の目覚まし時計をもってるのよ。」もちろんイミなんてわからない、わからないけれど、こういうと女の子のおとぎ話にもイミがあるような気がして、ふふ。 ふふ、ふふわふわ、 やわらかな羽です。 ふわふわスノウ、 ふわふわ白くて哀しい スノウ、ゆきがつもります。 あの子の瞳にも 会いたい、ゆきがつもります。その人は、雪空を窓によびとめて、こういいます。「スミレ色のまばたきにね、僕のウタをプレゼントするんだ。」女の子も、その人も、春のウタをまっています。
2013.01.17
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シェリーちゃんは、時々ひらがなになります。ひらがなになって、しぇりーちゃん!なぜそうするかは自分でも、よくわからないのだけれど、超かわいいー! と思っているのはたしか。でも、かもちゃんは言います。たまねぎが沁みたみたいな目つきで空を見て、かもちゃんは言います。「いやいや。それはカタルシスだー。」かもちゃんは、誇りたかきコトバの教授なので、ちょょょょとばかし、職業的ポーズ。シェリーちゃんは、そんなかもちゃんを横目に、すかさずメモ。メモには、ちびた鉛筆をつかいます。その、かなしいほどに昭和色したちびた鉛筆は、かもちゃんからのプレゼントです。(ノスタルジー、ってなんだろう…。)ある日、しぇりーちゃんの頭のうえにポワンとふきだした思案をみた、かもちゃんが海辺の公園でスケッチしていた、やさしそうなおじいさん相手に、羽をかわいらしくバタパタしたりグルグル回したりして、かなりな外交努力、最後は、領空侵犯というアラ技にでて、手に入れてきたもの。(おお、ノスタルジー、という名の、ちびた鉛筆よ。)こういう時の、かもちゃんはロマン派なのでじっとシオサイをききます。シオサイロマン。浪漫派シオサイ、あじさいが咲く。わかりません、わかりませんを聞く。しぇりーちゃんはわからないなりに貝の耳のおまじない。おじいさんは、あの日から海鳥をみると、こうつぶやきます。「ああ、想い出の、ちびた鉛筆よ…。」しぇりーちゃんのメモ帳には、こう書かれています。 【のすたるじい】 おじいさんのおもいでの、ちびたえんぴつ。かもちゃんは、しぇりーちゃんのメモ帳は「詩的に正しい。」と言います。しぇりーちゃんは、これをメモ帳にこう書いています。 【してきにただしい】 すてきに、にんげんてき。今日も、シェリーちゃんは、ひらがなになって、しぇりーちゃんになって、言葉をメモっています。つかっているのは、アノ、ちびた鉛筆です。――――ノスタルジー、という名の、ちびた鉛筆…。いつかは消えてしまう。しぇりーちゃんは、ノスタルジーっていうのは、消えても、キエナイ、すてきに人間的なことなんだって、わからないなりに理解しています。かもちゃんが、恥ずかしそうに羽を、パタ、パタ、と三角定規の角度くらいうごかして、横断歩道を、モデル・ウォークしながら渡ってゆきます。どうも、あたらしい鉛筆をおじいさんにプレゼントしにゆくみたいです。明日か、あさってか、らいしゅうか、らいげつか、らいねんか、ともかく、おじいさん自身がノスタルジーにされちゃうまえに、きっとおじいさんは、そのピカピカのあたらしい鉛筆をもって、スケッチにゆくのだなあ。ゆくのであろう。多分・・・・・・。せちがらい社会的に、クールな大人的に、よき隣人的に、フィーバーな男の子的に、かもちゃんは、羽が回るほど忙しいのだそうです。でも、毎晩、かならずといっていいほど、しぇりーちゃんには、いろいろな言葉のお話をするのです。・ ミニミニちっちゃい詩のごあいさつ・ 世にもながーーーーーーーーーーい詩のゆくえ・ 宇宙語のつくりかた・ モロからちょっとだけエロイへのことばの変身・ メルヘンな仲間とほわほわオシャベリするやり方・ がんこ者がカラオケしない詩のウタ・ ダーツゲームになったかわいそうな詩のおはなし・ 心をとざした詩の厚~~~いメークのしたの素顔などなと。しぇりーちゃんのお気に入りは、ことばじゅくのお話。「ことばじゅくは、いつでもソコにあって、僕らの心をみがいてくれるんだよ。」こういう時の、かもちゃんの目はキラキラして、雨あがりのお空みたいにキレイです。「ことばじゅくは、楽しいものだよ。」なんだかム・ズ・カ・シ・イけれどワ・ク・ワ・クする、かもちゃんの言葉。(どこにもないけれどドコニデモアル心の学校、みたいなものかなぁ…。)どこかにあるものは、たぶん、どこかしらにあるのだなあ。しぇりーちゃんのメモ帳には、【ことばじゅく】のイミはまだ書かれていません。でも、1つだけ、デジタル的にはっきりしていることがあって、それは、【してきにただしい】メモ帳は、国語のテストに好かれてないってことです。(すてきに人間的、って、何次元なのかなぁ…。)しぇりーちゃんは、もしかしたら‥、[チキュウ×ウチュウ]人!・・・――うむ、それは、詩的に正しい。
2013.01.11
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