全36件 (36件中 1-36件目)
1

この前コンビニで森永の濃厚チーズスティックのチーズ味を買って美味しかったので、今回はショコラ味を食べてみました。結構濃厚な味で、コーヒーを飲みながら食べるのがお勧めかな。
2014年11月30日
コメント(2)

「一体どうして、こんなに飲んだんですか、歳三さん?」「歳三坊ちゃまは、下戸なのに付き合いでお酒をお飲みになることがありますからねえ・・」「それでこんなに酔って・・」千尋は宮田さんと泥酔した歳三をソファに寝かせると、彼の吐瀉物で汚れた階段を雑巾で拭いた。「どうした、一体何の騒ぎだ?」「旦那様・・」「千尋さん、歳三は何処に?」「歳三さんなら、リビングのソファに寝ています。酷く泥酔していて、二階のお部屋に行く前に吐いてしまって・・」「全く、人騒がせな奴だ。」歳信はそう言って舌打ちすると、千尋を見た。「歳信さん、どうして歳三さんは泥酔するまでお酒を飲んでいたのですか?」「それはあとで本人から聞けばいいだけのことだ。わしはもう寝る。」歳三の様子を確かめもせず、歳信はそのまま自分の寝室へと向かった。 翌朝、千尋がダイニングルームで朝食を取っていると、二階から歳三の唸り声が聞こえた。「うるさい奴だ・・」「僕、様子を見てきます。」千尋が歳三の部屋に入ると、ベッドの上で彼は苦しそうに呻いていた。「歳三さん、どうしたんですか?」「水・・水。」「どうぞ。」サイドテーブルに置かれていたミネラルウォーターの蓋を開けた千尋は、その中身を歳三に飲ませた。「済まねぇな。」「二日酔いですか?」「ああ。今日は仕事を休んだ方がよさそうだ。」「ゆっくり休んでください。」 千尋が歳三の部屋から出ると、千尋の制服を切り裂こうとしていた女中・静が彼の部屋に入って来た。「歳三様、入りますよ。」「何の用だ、出て行け。」「わたしはあんな小娘、歳三様の婚約者だとは認めませんから。」そう言うと静は、帯紐を緩めた。「お願いです、わたくしを抱いてください。」「さっさとここから出て行け!」歳三はベッドの傍に置いてあった目覚まし時計を掴むと、壁に向かって投げつけた。「あなた、そんなところで何をしているの!?」「何でもありません。」「歳三坊ちゃま、静が何かいたしましたか?」「いや、何でもない。」「そうですか・・」 歳三から拒絶され、プライドを傷つけられた静は、土方家の裏庭で煙草を吸っていた。「静、その顔だとまぁた歳三坊ちゃまから振られたんだなぁ?」「放っておいて頂戴。それよりもあんた、こんな所で何しているわけ?」「別に。」土方家の厨房で働いている静の幼馴染・月村修は、そう言うと不貞腐れている静を見た。「歳三坊ちゃまの婚約者って、可愛いんだろう?」「あたしは絶対、あんな子歳三様の婚約者だって認めないから!」静はそう言うと、煙草の吸殻を草履で踏みつけた。にほんブログ村
2014年11月29日
コメント(2)

レジ前にひとつしか置いていなかったので、食べてみました。結構からあげとチーズの相性がよく、美味しかったです。
2014年11月27日
コメント(2)

ローソンの黄金キチン旨塩を買ってみました。味はチキンの肉の柔らかさと、塩味がきいて美味しかったです。
2014年11月27日
コメント(2)

「沖田先生、失礼します。」千がそう言って総司の部屋に入ると、一ヶ月前より少し痩せた総司が彼を迎えた。「先生、これ・・」「どうしたんですか、このお団子?」「茶店で賊を追い払ったお礼に、女将さんから頂きました。」「わぁ、嬉しい。わたし、団子大好きなんですよ。」総司はそう言うと、団子を美味そうに頬張った。「わたしね、甘党なんです。江戸に居た頃から色々と甘い物ばかり食べて、土方さんから甘い物ばかり食べるなって叱られちゃったことがあるんですよ。」「へぇ、そうなんですか・・」“新選組最強”と謳われた沖田総司の意外な一面を知った千は、そう言うと笑った。「千君、最近薙刀の道場に通っているそうですね?」「ええ。木屋町から少し離れたところにある道場に通っています。」「あそこの道場のお嬢さんと仲が良いそうじゃないですか?」「いいえ。お千代さんとはそんな関係じゃありません。」「君って、嘘を吐くとき耳を掻く癖があるんですねぇ。」「そうですか?」自分でも気づかない癖を総司に指摘され、千は苦笑した。「最近疑問に思うことがあるんですが、副長は何故いつもピリピリしているんでしょう?」「土方さんは、わざと悪役を演じているんですよ。隊士が増えて、色々と忙しくなってきましたからね。近藤さんの代わりに、土方さんが鬼になるしかないんですよ。」「色々と大変なんですね、中間管理職って。」「え?」「何でもありません。ただの独り言ですから気にしないでください。」千がそう言って総司の方を見ると、彼は激しく咳込んで苦しそうにしていた。「沖田先生、大丈夫ですか?」「少しお茶で噎(む)せてしまっただけです、気にしないでください。」「ですが・・」「千、何処にいる?」「ほら、土方さんが呼んでいますよ、早く行っておあげなさい。」「はい・・」総司の部屋から出た千が副長室に向かうと、歳三が仏頂面で彼を待っていた。「遅いぞ、何をしていた?」「沖田先生がお茶で噎せてしまって・・あの、何か僕にご用ですか?」「薙刀の稽古はどうだ?」「はじめは辛かったのですが、今は慣れてきました。お千代さんの丁寧な指導のお蔭です。」「そのお千代の事なんだが、最近お前とのことで妙な噂が立っていることを知っているか?」「噂、ですか?」「何でも、お前はお千代に許婚があるのを知っていながら、彼女に懸想しているとか・・」「それはありません。」「そうか、ならいい。仕事に戻れ。」「わかりました。」歳三から自分と千代との仲を疑われ、少し歳三に対して怒りを覚えていた千だったが、それは夜になるとすっかり忘れてしまった。 風呂に入った後、千が中庭で濡れた髪を拭いていると、そこへ栗田がやって来た。「お前さぁ、強盗倒して最近調子に乗ってねぇ?」「別に調子なんて乗っていませんよ。」「何だよその言い方、ムカつくな。上から目線で・・」突然自分に絡んできた栗田の態度を不審に思いながらも、千は彼をどう上手くあしらおうかと考えていた。にほんブログ村
2014年11月26日
コメント(0)

毎日道場に通ううちに、はじめは苦痛だった薙刀の稽古に身体が慣れてきて、千は普通に素振りを千回できるほどになった。「毎日素振り千回をすると、身体が慣れてきます。何事も基礎が大事どすえ。」「はい、わかりました。」「千代がこれから稽古をつけますさかい、お気張りやす。」 素振りを終えた後、千は千代に稽古をつけて貰い、足の運びや打ち方などを身に着けた。「千さんは、頑張り屋さんどすなぁ。」「そうですか?はじめはもう止めたいと何度思ったことか・・」「うちもそうどす。お母様は厳しい人やさかい、娘のうちにも門下生の方と同じように厳しく接しました。」稽古が終わり、千が千代と道場の近くの茶店でそんな話をしていると、店に少し風体の悪い男が数人入って来た。「ようこそおこしやす。」「女将、少しばかり金を貸してくれんか?」「急にそないな事を言われてましても、困ります。」「我らは尽忠報国の志士であるぞ!」女将と彼らの会話を聞いていると、彼らはどうやら軍資金をこの店に集(たか)りに来たようである。「尽忠報国の志士とは呆れますね。恫喝して金を集ろうなど、賊のようではないですか。」「何だと、貴様!」千の言葉を聞いて憤怒の表情を浮かべた男が、刀の鯉口を切ろうとした。その時自然と千の身体が動き、彼は薙刀用の木刀で男の脛を打ち据えていた。「これ以上痛い目に遭いたくなければ、さっさとここから出て行ってください。他の客の迷惑になるでしょう?」「覚えておれ!」男達が去った後、女将が千の前にみたらし団子を山ほど盛った皿を置いた。「あの、これは頼んでいませんが・・」「さっき助けてくれはったお礼どす。」「すいません、一人では食べきれないので、包んでいただけないでしょうか?」「へぇ。」「千代さん、では僕はこれで失礼します。」「ほな、明日また道場でお待ちしてます。」 茶店の前で千代と別れ、千が団子を土産に屯所へ戻ると、永倉と原田がニヤニヤしながら彼に近づいてきた。「千、お前昼間道場のお嬢さんと茶店でいちゃついていたんだって?」「しかも、店に金を集りに来た賊を追い払ったっていうじゃねぇか。お前もやるときはやるんだな。」「お二人とも、どうしてそれをご存じなのですか?」「そんなの、お前が知らなくてもいいこった。」「それよりも美味そうな団子だな。」「茶店の女将さんからお礼として頂きました。一人では食べきれないので、皆さんでどうぞ。」「おお、有難う!」「じゃぁ遠慮せずにいただくぜ!」「てめぇら、こんな所で油を売っていやがったな?」みたらし団子を前にしてはしゃぐ原田と永倉の背後で、地の底から轟くかのような声が響いた。「ひ、土方さん・・」「団子を食っている暇があったら、仕事をしろ!」にほんブログ村
2014年11月26日
コメント(0)

久しぶりにイオンのフードコート内にあるマクドで、三角チョコパイを購入しました。ケースが三角になってて、なんだか新鮮です。中はこんな感じです。パイのサクッとした生地と、熱いチョコソースの相性が抜群で、ちょっとやけどしそうになりました。マクドナルドのパイって、アップルパイがまずかったからマイナスイメージしかなかったのですが、この三角チョコパイはこの味で100円はお得かも。
2014年11月26日
コメント(2)

※参考動画です。 道場で稽古の見学をした後、千が師範から言い渡されたのは、素振り千回だった。薙刀用の木刀は長く、素振りをするたびにその重みが全身に伝わってくるので、百を越えたあたりで千は激しく体力を消耗していた。「どうぞ。」「有難うございます。」「余り無理せんと、ゆっくりした方が身体に身につきますえ。」師範の娘・千代は、そう言うと千に茶が入った湯呑を手渡した。「ここは、女性の門下生の方が多いですね。」「へぇ。薙刀は女子の護身術やさかい、ここの道場にはお武家の奥方様やお嬢様方が通われています。」「町人の方はいらっしゃらないのですか?」「へぇ。それよりも、荻野はんはお幾つどすか?」「今年で15になります。お千代さんは?」「うちは、今年で17になります。」「え、余りにも落ち着いているから、年上かと思いました。」「よう言われます。」「千代さんは、ゆくゆくはこの道場を継がれるのですか?」「さぁ、それはわかりまへん。」千と千代は初対面でありながらも意気投合した。「千代、そろそろ琴のお稽古の時間え。」「へぇ。」師範の君江に呼ばれ、千代は名残惜しそうに道場から出て行った。「荻野はん、千代には許婚が居ります。余り娘にちょっかいを出さんといてくださいね。」「はい・・」「荻野はん、お昼はうちで食べて行っておくれやす。」「有難うございます、頂きます。」 昼過ぎになると、門下生達は道場から出て行き、千は道場に隣接している君江の自宅で彼女と昼食を取ることになった。「さぁ、どうぞ。」「いただきます。」京野菜を使った昼食を食べた千は、不意に母親の事を思い出してしまった。「どないしはりました?」「すいません、故郷に居る母の事を思い出してしまって・・」「荻野はんは、国はどちらで?」「江戸です。母とは数年位、話をしていなくて・・」「そうどすか。」「君江さんは、いつからこの道場を経営していらっしゃるのですか?」「千代がまだ赤子の時から道場を営んでいました。」君江はそう言うと、茶を一口飲んだ。「荻野はんは、結婚のご予定は?」「ありませんが・・それが何か?」「ただ聞いてみただけどす。」 昼食後、千が道場を出て屯所に戻ろうとしていると、彼は一人の侍と道場の前ですれ違った。にほんブログ村
2014年11月24日
コメント(2)

「土方君、栗田君の素性がわからないからといって、蔵に監禁していては、彼の方も精神的におかしくなるとは思わないかい?」「だったらどうしたらいいんだ?」「他の隊士と同じように、栗田君に仕事を与えてみたらどうかね?素性がわからないのは、君の小姓となったあの少年も同じじゃないか。」「千はよく働いてくれているから、使い道はある。だが、栗田の野郎は何かと俺達に歯向かうから気に入らねぇ。そんなにあいつの面倒を見たけりゃぁ、伊東さんが見ればいい。」「そうさせて貰うよ。」「ただし、俺達に迷惑がかからない程度にやってくれ。あいつが勝手な真似をして俺達が迷惑を被るようなことになれば、俺は容赦なくあいつを斬る。」「承知した。」 伊東が歳三との話を終え、副長室から出て行くと、廊下には栗田の姿があった。「伊東先生・・」「わたしとともに来なさい、栗田君。」「はい!」「なぁ、蔵の中に閉じ込められていた奴、伊東先生が引き取ったんだってさ。」「伊東先生も物好きだよな。」 夕餉を食べていた千は、栗田が蔵から出され、伊東の元に預けられたことを知った。「副長、お茶をお持ちいたしました。」千が副長室に入ると、歳三は文机の前に座っていた。「あの・・」「栗田の事だったら、お前は何も気にするな。」「それは、どういう意味でしょうか?」「あいつは伊東が預かった。身分上は新選組の隊士だが、あいつが何か事をしでかしたら、その責任を取るのは伊東だ、俺達じゃねぇ。」「そうですか・・」「千、ここでの生活にはもう慣れたか?」「はい。ただ、僕は荻野さんと比べて何もできませんけれど・・」「出来なかったら、出来るようになればいいだけの話だ。」「そうですね。」「まぁ、お前は気が利くし、器用だから何とでもなるさ。問題は、お前にやる気があるかどうかだな。」歳三はそう言うと、一枚の紙を千に手渡した。「これは?」「荻野が薙刀の稽古をつけに貰っている道場だ。見学だけでもしてみればいい。」「わかりました。」「お前がやりたいと思うことをやれ。ただし、一度やったことは必ずやり通せ。」 翌朝、千は千尋が薙刀の稽古をつけに貰っている道場へと向かった。「ごめんください。」「へぇ、どうぞ。」「失礼いたします。」 千尋が道場の中に入ると、そこには道着姿の女性達が薙刀の稽古をしていた。(何だか、迫力あるなぁ・・)「あの、先生はどちらに?」「先生やったら、あちらどす。」門下生が指した方に、中年の女性が薙刀を構えていた。「先生、お客様どす。」「そうか。」道着姿の門下生たちとは違い、師範の女性は藤色の小袖姿だった。「初めまして、荻野千と申します。稽古を見学しに来たのですが・・」「そうどすか。」にほんブログ村
2014年11月24日
コメント(0)

「それじゃぁ、まずは俺が撃ってみるから、後で撃ってみるべ。」「はい・・」射撃場で山本覚馬がミニエー銃を撃つのを見た千尋は、彼に銃の撃ち方を教えて貰った後、初めて西洋式の銃を手にした。「見事だけんど、撃った時に目をつぶっちゃなんねぇ。」「はい、わかりました。」「ぬしは呑み込みがはやい。毎日練習したら、目をつぶらずに撃てるようになる。」 こうして千尋は、山本覚馬の塾に毎日通うようになった。「荻野、お前最近山本覚馬の塾に毎日行っているそうだな?」「はい。山本先生から西洋式の銃の撃ち方を習っております。」「西洋式の銃か・・そういえば、禁門の変で薩摩藩が西洋式の銃を持っていたな。」「山本先生によると、メリケンでの内戦が終わり、日本にその内戦で使われた銃が大量に出回るとか・・」「その銃を、倒幕派の連中が手に入れる可能性は高いな。」「西洋式の銃を使いこなすのには、時間がかかります。今の内に、隊士達に西洋式の銃の訓練を・・」「お前がそう言う前から、近々山本覚馬をここに呼んで、隊士達に銃の訓練を受けさせるつもりだ。」「そうですか。」「荻野、怪我の具合はどうだ?」「少しよくなりました。」千尋はそう言うと、銃撃を受けた右肩の傷を歳三に見せた。そこは少し皮膚が引き攣っていたが、傷口は塞がっていた。「余り無理をするなよ。」「はい。」 その日の夜、千尋が寝ていると、突然外から物音が聞こえた。眠い目を擦りながら彼が部屋から出て外を見ると、中庭に置かれている灯篭の近くに、人影があった。「何者だ!」「ひぃ!」千尋に刀を突きつけられ、蔵に監禁されていた筈の栗田が灯篭の陰から出てきた。「あなた、何故ここに居るのですか?」「ちょっと腹が減って、厨房の余り物を食いに・・」「食事は蔵で与えた筈です。それに、何故あなたが蔵から出てそんなところに居るのです?」「わたしが彼を蔵の中から出したのだよ、荻野君。」「伊東先生・・」千尋が伊東を見ると、彼は怯えている栗田の肩を優しく叩いた。「何も怯えることはないよ、栗田君。」「伊東先生・・」「伊東先生、局長や副長の許可なく勝手にその者を蔵から出すなど、おやめ下さい。このことは副長にご報告申し上げますが、宜しいですね?」「ああ、構わないよ。」「では、失礼いたします。」千尋が伊東と栗田に背を向けて部屋に戻ると、中庭に残った伊東は、栗田の方へと向き直り、彼にこう言った。「君は何も心配することはない。全てわたしに任せていればいいんだ。」「はい、先生・・」 翌朝、歳三は伊東と副長室で対峙していた。「蔵で監禁している栗田を外から出すなんて、一体どういうつもりだ?」「栗田君は君たちが思っているような危険な人物ではないよ。」「何の根拠があってそんなことが言える?」にほんブログ村
2014年11月22日
コメント(2)

「気が付いたかい?」「桂・・」千尋が目を覚めると、自分の前には桂が立っていた。「わたくしを、どうするつもりですか?」「君に危害を加えたりはしない。ただ、君を介抱してやっただけだ。」「介抱したと見せかけて、わたくしを人質に取ろうとしたのはありませんか?」「疑り深いな、君は。」桂は溜息を吐きながら、千尋を見た。「君が肌身離さず身に着けていたカメオの首飾り、あれは君のお母上のものだそうだね?」「ええ。」「君のお母上のご実家は、軍人の家系だそうだね?」「それがどうかなさいましたか?」「君は、何故新選組に居るんだ?君は何故江戸には戻らない?」「江戸の実家には、わたくしの居場所はないからです。それは、エゲレスでも同じです。」「そうか・・」桂はそう言うと、溜息を吐いて部屋から出て行った。「先生、あいつは?」「荻野君は、新選組に戻す。」「それでいいんですか?」「ああ。あの子は、わたし達の仲間にはなれない。」 千尋が失踪して数週間が経った頃、桂小五郎から歳三の元に文が届いた。「桂の文には何が書いてあったのですか?」「荻野を俺達の元に戻すとさ。」「それだけですか?」「ああ。」歳三は桂の文を読み終わった後、それを丸めて屑籠の中に放り込んだ。「副長、このたびはご迷惑をおかけしてしまって申し訳ありませんでした。」「お前が無事に帰ってきてよかったぜ。お前は今まで通り、隊務に戻れ。」「わかりました。」千尋が副長室から出ると、廊下で彼を待っていた総司が彼の方に駆け寄って来た。「荻野君、お帰りなさい。」「ただいま戻りました、沖田先生。沖田先生にもご迷惑をおかけしてしまって申し訳ありませんでした。」「君が無事に戻って来てくれてよかった。」総司はそう言うと、そっと千尋の肩を優しく叩いた。 その日の夜、千が厨房で夕餉の支度をしていると、そこへ一人の少年が入って来た。「荻野千尋様はご在宅でいらっしゃいますか?」「荻野千尋はわたくしですが、どちら様ですか?」「わたくしは萩田と申します。山本覚馬先生から荻野様に、文を預かって参りました。」「有難うございます。」 山本覚馬からの文を受け取った千尋は、翌日彼が経営している塾へと向かった。「ごめんくださいませ。」「おお、来たか。」千尋が来たことに気づいた山本覚馬は、彼をある場所へと連れて行った。「これは、西洋式の鉄砲ですか?」「ああ。これはミニエーといって、アメリカやエゲレスで使われている銃だ。」「そうですか。」「撃ってみるか?」「遠慮いたします。」にほんブログ村
2014年11月22日
コメント(0)

今日はボジョレーヌーボー解禁ということで、豪華なディナーです。
2014年11月20日
コメント(6)

久しぶりにイオンのミスドに行きました。カップケーキはラズベリーの酸味とスポンジ生地の相性がよかったです。それに、クロワッツのアップル&カスタードホイップは、アップルとカスタードクリームの相性がよく、美味しかったです。
2014年11月20日
コメント(0)

英国人の母は、自分を産んだ後すぐに亡くなり、江戸に居る父の元へ千尋は引き取られた。そこには父の本妻と、二人の息子が居た。上の兄は何かと千尋の事を気に掛けてくれていたが、本妻と二番目の兄、使用人達は千尋の事を邪険にした。―何と薄気味の悪い目をしていること・・―まるで化け猫のようだわ。―いつかこの家に災いを呼ぶかも・・千尋はいつも孤独だった。唯一の味方であった上の兄は結婚し、子が産まれ、千尋よりも自分の家庭を守る義務があった。父は仕事で忙しく、千尋や正妻達と顔を合わせることは数えるほどしかなかった。そんな中、ある事件が起きた。千尋が寝ている時、父の正妻が彼を絞め殺そうとしたのだ。“お前さえいなければ!”自分に向けられた激しい呪詛の言葉に、千尋は涙を流すしかなかった。何故自分は生まれたのだろうか。自分さえ生まれなければ、彼女があんなに狂うことはなかったかもしれないのに。「気が付いたようだな。」千尋が目を開けると、そこには桂の小姓が自分の顔を覗き込んでいた。「ここは何処だ?」「伏見のすず屋という旅籠だ。」千尋が布団から起き上がろうとしたとき、右肩に激痛が走った。「まだ傷口が塞がっていないから、動くな。」「何故わたしをここに連れてきた?」「それは桂先生に聞け。」桂の小姓・瑠璃はそう言うと、部屋から出て行った。「瑠璃、荻野君の様子はどうだった?」「先ほど目を覚ましました。」「そうか。」「先生、あいつをどうするつもりなのですか?」「それはお前が知らなくてもいいことだ。」「先生・・」「瑠璃、頼みたいことがある。」桂は座布団からそっと立ち上がると、千尋が身に着けていたカメオのペンダントを瑠璃に手渡した。「この首飾りの持ち主を、調べて欲しい。」「わかりました。西洋のもののようですね。」「これは、貝殻で作った首飾りで、かめおというらしい。」瑠璃はカメオのペンダントを桂から受け取ると、さっそくそのペンダントの持ち主の調査を開始した。「桂先生、ただいま戻りました。」「どうだった、何かわかったかい?」「はい・・」 桂が千尋の部屋に入ると、熱に魘されている彼は布団の中で苦しそうに呻いていた。彼はそっと千尋の額を撫でると、彼の手にカメオのペンダントを握らせ、そのまま部屋から出て行った。にほんブログ村
2014年11月19日
コメント(2)

「副長、お呼びですか?」「千、この文を黒谷まで届けて欲しい。」「わかりました。」「大事な文だから、なくすなよ。」「はい・・」 翌日、千は歳三からお使いを頼まれ、千尋とともに黒谷へと向かった。「黒谷まであと少しです。文はちゃんと持っておりますか?」「うん・・」千がそう言って懐にしまっている文を取り出そうとしたとき、千尋は微かな殺気を感じて刀の鯉口を切った。「どうしたの?」「どうやら敵に尾行されていたようです。あなたは文を持って黒谷に向かいなさい。わたしはここで、敵を食い止めます。」「そんな・・」「早く行きなさい!」千は千尋に背を向け、走り出した。「頭巾を被った奴を追え!」「逃がすな!」敵の声が背後から聞こえ、千は雨でぬかるんだ道を走り、会津藩本陣がある黒谷金戒光明寺の本堂へと続く石段を駆けあがった。 千が息を切らして石段を駆けあがった後、背後から銃声が聞こえた。「ぎゃぁぁ!」敵の一人が断末魔の悲鳴を上げて倒れたのを見た千尋は、間髪入れずに背後から自分に斬りかかろうとしていた男の頸動脈を切り裂いた。鮮血が飛び散り、白い頬が赤く染まっても、千尋はまるで舞うように軽やかな動きで敵を斬った。「くそ、相手は一人だぞ、囲め!」敵は全部で七人だったが、千尋が倒した時点でまだ四人残っていた。(これでは埒が明きませんね・・)千尋がそう思いながら刀を握り締めていると、後ろの草むらで何かが光ったことに気づいた。それが銃であることに気づいた時、彼はすぐさま来た道を戻ろうとした。しかし、彼は銃弾を右肩に受け倒れた。「どうする?」「生け捕りにしろとの命令だ。」誰かが自分の身体を担ぐ感覚がした。その後、千尋は意識を失った。「助けてください!」「どうした、何があった?」「敵に襲われました。」 山本覚馬とともに千が千尋と別れた場所へと向かうと、そこには血溜まりが残されていた。「さっき、銃声がして・・もしかしたら、荻野さんは敵に・・」「ぬし、名はなんという?」「荻野千と申します。」「千、ついて来い。」「はい。」千尋が敵に拉致されたことを知った歳三は、苛立ちを文机にぶつけた。「トシ、大丈夫だ。荻野君は必ず無事に俺達の元に帰って来る。」「俺も、そう信じたいぜ・・」 一方、敵に拉致された千尋は、悪夢に魘(うな)されていた。にほんブログ村
2014年11月19日
コメント(0)

「沖田先生!」「荻野君、君までそんな顔をして来るなんて・・」千尋が総司の部屋に向かうと、その部屋の主は懐紙で口元を押さえながら千尋に向かって優しく微笑んだ。「血を吐かれたと聞きましたが、もう大丈夫なのですか?」「ええ。少し落ち着きました。それよりも荻野君、あなたにひとつお願いがあるんです。」「お願い、ですか?」「ええ。もしわたしがこのまま死んだら、その時は土方さんの事をお願いしますね。」「沖田先生、そんな縁起でもないことをおっしゃらないでください!」千尋がそう言って総司を見ると、彼はそっと千尋の手を握った。「わたしはもう長くないのです。土方さんは冷酷に見えますけど、本当は優しい人なんですよ。」「副長は、どちらに?」「さっき、わたしの部屋に来て、今にも泣きそうな顔をしてわたしを見ていましたよ。」「そうですか・・」「荻野君、あなたにしか頼めないことなのです。」「わかりました。」「有難う、荻野君。」総司は、再び千尋に優しく微笑んだ。「副長、失礼いたします。」「入るんじゃねぇ。」 千尋が副長室に入ると、歳三は文机に顔を伏せて座っていた。「どうかなさいましたか?」「何でもねぇよ。」千尋が歳三の顔を覗き込むと、彼は涙を流していた。「怖いんだ・・総司が、いつか俺の前からいなくなっちまうんじゃないのかと思うと、怖くて仕方がねぇんだ。」「副長・・」「総司とは、江戸の試衛館で一緒に飯を食っていた頃からの仲だった。俺は、総司の事を本当の弟のように可愛がってきたんだ。」千尋は何も言わずに、歳三の話を黙って聞いていた。「あいつが血を吐いた時、俺はあいつが死ぬんじゃないかと思って怖くて仕方がなかった。」「副長・・さっき、沖田先生にお会いしました。」「あいつはお前に何と言っていた?」「もし自分が先に死んだときは、副長の事をわたくしに頼みたいと・・そうおっしゃって・・」「あいつ、余計な事を言いやがって・・」歳三はそう呟くと、手の甲で乱暴に涙を拭った。「先生、あのままあいつを放っておくのですか?」「瑠璃、荻野君はきっとわたし達の仲間になるよ。」 桂はそう言うと、顰めっ面をしている自分の小姓を見た。「何故です?」「荻野君は、何処かわたしに似ているからね。」にほんブログ村
2014年11月17日
コメント(2)

桂小五郎―長州派維新志士のリーダー格で、幕府に仇なす国賊。その名は何度も新選組内で聞いていたが、どんな顔なのか千尋は知らなかった。 桂小五郎は、日本人離れした黄金色の瞳と鳶色の髪をしていた。「あなたが、桂小五郎・・」「そうだ。君は確か、荻野千尋といったね?」「何故、わたくしの名を?」「新選組に送り込んだ間者が、わたしに君の事を教えてくれたんだ。」「あなたなのですか、橘太夫に毒入りの金平糖を渡して殺したのは?」「あの女は知り過ぎてしまった。嘉乃が晋作の子を産んだことも、その子をわたしが引き取ろうとしていることも・・全てを知ってしまったあの女の口を、わたしは嘉乃を使って封じたんだ。」「何ということを・・」「わたしは、目的の為ならば手段は選ばない。この国を新しく生まれ変わらせるためには、多少の犠牲は必要だ。」「それがあなた方の思想ですか・・理解できませんね。」「理解できなくて結構。今夜君をここへ呼んだのは、君を誘いに来たんだよ。」千尋が桂を見ると、彼は嬉しそうな顔をした。「君も、こちら側の人間にならないか?」「お断りいたします。人殺しの仲間になど、なりたくはありません。」「つれないね。でも壬生狼もわたし達と余り変わらないじゃないか。公方様を守るといいながら、自分達の掟を破ったものは容赦なく罰する。彼らのやり方と、わたし達のやり方と何が違うというんだい?」「それは・・」桂の言葉に、千尋は何も言い返せなかった。「さぁ、わたしの手を取って我々の仲間になってくれ。」千尋に笑顔を浮かべた桂は、優しく彼の前に手を差し出した。「ひとつだけ、お聞きしたいことがあります。」「何だい?」「もしわたくしがあなたの仲間になったのなら、不都合な事が起きたときにわたくしを殺しますか?」「それは、答えられないな。」「そうですか。」千尋はそう言うと、桂の手を邪険に振り払った。「何処へ行くつもりだい?」「お話は済みましたので、わたくしはこれで失礼させていただきます。」千尋が桂に背を向けて部屋から出ようとしたとき、彼の前に一人の少年が現れた。「そこをお退きなさい。」「瑠璃、彼に道を譲ってやりなさい。」「ですが、先生・・」「また会うことがあるだろう、荻野君。その時はきっと、わたしの手を取っておくれよ。」桂の言葉を無視した千尋は、そのまま音羽屋へと戻った。「ただいま戻りました。」「千尋、土方はんからあんたに文が届いているえ。」「有難うございます。」歳三の文を読んだ千尋は、島原での調査を終了し、屯所へと戻った。「短い間でしたが、お世話になりました。」 千尋が二週間ぶりに屯所へ戻ると、何やら屯所の中が慌ただしかった。「何かあったのですか?」「沖田先生が、血を吐かれたんだ。」にほんブログ村
2014年11月17日
コメント(0)

千里への土産を買った千尋は簪屋を出て、日没前に島原の大門をくぐり、音羽屋に戻った。「ただいま戻りました。」「早かったなぁ。」「千里ちゃんは今どちらに?」「千里なら、橘の部屋や。」「そうですか。」 千尋が橘太夫の部屋に入ろうとした時、部屋の前で彼は嘉乃と擦れ違った。(嘉乃さんが、何故ここに?)「橘さん、入りますよ?」部屋の中から返事がないことに気づいた千尋が橘太夫の部屋に入ると、そこには窓際に凭(もた)れかかるようにして亡くなっている橘太夫の姿があった。彼女の傍には、金平糖が入った壜が転がっていた。(まさか、嘉乃さんが橘太夫に毒入りの金平糖を?)千尋が先ほど部屋の前で擦れ違った嘉乃が橘太夫を殺したのではないかと疑い始めていた時、押し入れの中から苦しそうな呻き声が聞こえた。「そこに誰が居るのですか?」「千尋姐さん・・」 千尋が押し入れを開けると、そこには口に猿轡を噛まされ、荒縄で身体を縛られている千里の姿があった。「一体何があったのですか?」「橘姐さんが・・嘉乃姐さんの連れのお侍はんに殺されはった。」「嘉乃さんの、連れのお侍さん?それはわたくしに金平糖を渡すようあなたに頼んだ方ですか?」千尋の問いに、千里は静かに頷いた。「一体何があったのか、落ち着いてわたくしに話して。」「わかった・・」千里は時折しゃくりあげながら、橘太夫の部屋に嘉乃と連れの男が突然入って来て、橘太夫に毒入りの金平糖を食べさせ、自分を押し入れに閉じ込めたことを千尋に話した。「あなたはここに居なさい。わたくしは女将さんを呼んできますから。」 橘太夫が殺害された事件は、あっという間に京中に広まった。「厄介なことになったな・・」「ああ。島原で殺人が起きるとは・・しかも、毒入りの金平糖で太夫が殺されたとあっては、下手人の本当の狙いは荻野君だったんじゃないか?」「早く下手人を探さねぇと、大変なことになるな。」歳三はそう言うと、ぬるくなった茶を飲んだ。 その夜、千尋は殺害された橘太夫の代わりに五十鈴屋の座敷に上がることになった。「千尋と申します。」「ほう、君が島原に潜入している壬生狼か。女に化けてもわからないほど、綺麗な顔をしているな。」頭上で凛とした声が聞こえ、千尋が俯いていた顔を上げると、屏風の前には総髪の黄金色の瞳をした男が座っていた。「あなた様は?」「自己紹介が遅れたね。わたしは桂小五郎。」にほんブログ村
2014年11月17日
コメント(2)

「千尋姐さん、今少し宜しおすか?」「ええ、いいですよ。」部屋に入って来たのは、廊下で自分をこの前転ばせようとしていた禿・千里だった。「この前は、意地悪してごめんなさい。」「いいのですよ、あなたが心から反省しているのなら、わたくしはあなたを許します。」「有難う。あんな、さっき店の前でお侍さんからこの文を千尋姐さんに渡してくれって言われて来たんえ。」千里はそう言うと、一通の文を千尋に手渡した。「千里ちゃん、あなたはあの金平糖を食べなかったの?」「うん。千尋姐さんの所に金平糖を届けに行くとき、お侍さんからこれは絶対に食べたらあかんて言われたから食べへんかった。」「そのお侍さんは、どんな顔をしていましたか?」「そうやなぁ、総髪で、初めて見たとき女の人が男装してはるのかと思うたわ。目の色は、黄金色をしてはった。」「そう・・」金平糖を自分に渡した侍が、自分に毒を盛った犯人だ―そう思った千尋は、その日の夜に音羽屋の女将の元へと向かった。「女将さん、一日だけ外出の許可を頂けませんか?」「その訳は何や?」「それは、少々込み入ったことなので言えません。」「そうか。一日だけやで。明日、日が暮れるまで島原の大門をくぐらへんかったら、その時は覚悟してな。」「有難うございます。」 翌朝、女将から外出許可を貰った千尋は、女装して島原から西本願寺の屯所へと向かった。「副長はいらっしゃいますか?」「貴様、何者だ?」女装をした千尋に、門番を務める隊士がそう言って彼を睨んだ。「荻野が土方歳三にお目通り願っていると、副長にお伝えくださればおわかりになると思います。」「わかった。」千尋が暫く屯所の前で歳三を待っていると、道場の中から稽古着姿の歳三が出てきた。「荻野、そのなりはなんだ?」「今日日没までの間、音羽屋の女将さんから外出許可を貰いました。副長、少しお話がございます。」「わかった、来い。」 歳三とともに千尋が副長室に入ると、彼は文机の前に座った。「話とは何だ?」「昨夜、わたしに金平糖を渡すよう下手人から頼まれた禿から、重要な証言が取れました。何でもその下手人は、彼女に毒入りの金平糖を食べるなと言ったそうです。」「そうか・・そいつがどんな顔をしているのかは、聞いたのか?」「はい。総髪で、目が黄金色をしていたそうです。それ以外のことは、詳しく聞き出せませんでした。」「ご苦労だったな、荻野。お前はこれからどうするつもりだ?」「少し買い物をして、島原に戻ります。」「敵側はお前が島原に潜入していることに気づいている。用心しろよ。」「はい、わかりました。」 歳三への報告を終え、屯所を出た千尋は、千里への土産を買いに簪屋に入った。「お越しやす。」「子供用の簪を買いたいのですけれど・・」「そうどすか。」「可愛らしいものを選んでくださいな。」にほんブログ村
2014年11月17日
コメント(0)

ネットで美味しいと話題のアイスです。蓋を開けると、こんな感じです。中には、小豆とストロベリーアイスが入っており、苺の酸味と、小豆の程良い甘さが口の中で蕩けました。最近間食し過ぎたせいで太ってしまい、今日穿いていたジーンズの左の腿の部分が裂けていました。
2014年11月17日
コメント(2)

「千尋ちゃん、さっきのお客様からあんたに贈り物え。」「有難うございます、橘さん。」 千尋が橘太夫に呼ばれ、彼女から小さな包みを受け取った千尋は、さっそくその中を確かめると、そこには可愛らしい色とりどりの金平糖が入っていた。「まぁ、可愛らしいこと・・」千尋がそう言って一個の金平糖を抓んで口の中に入れると、甘い味が口の中に広がった。「わたくしに金平糖を贈ってくださった方はどなたですか?」「うちも知らんわ。」「そうですか。」禿達にも食べさせてやろうと思い、千尋が座布団から立ち上がろうとしたとき、彼は急に呼吸が苦しくなるのを感じた。「千尋ちゃん、どないしたん!?」「医者を呼んでください・・」千尋はそう言うと、意識を失った。「荻野が何者かに毒を盛られただと?」「はい。島原の使いの者によると、客が荻野に贈った金平糖の中に毒が入っていたとか・・」「荻野の容態は?」「少量しか毒を口にしていなかったようで、大事には至りませんでした。」「そうか・・」(一体どこのどいつが、荻野に毒を盛りやがった!?)「副長、荻野さんが毒を盛られたって本当ですか?」「ああ。新選組(おれたち)が島原で何かを探っていることに、敵側が気づいて荻野を始末しようとしたらしい。」「そんな・・」「調査は継続しろと荻野に伝えておけ。」「はい。」「そんなことをしたら、また荻野さんが危ない目に遭うんじゃ・・」「お前は余計な口を挟むな、仕事しろ。」「はい・・」 伏見にある旅籠『いぶき』の二階では、禁門の変から逃げ出し、再起を図ろうと画策している長州の浪士達が集まっていた。「島原に潜んでいた壬生狼に毒を盛りました。」「それはちょっと不味かったね。味方に毒を盛られたとなれば、向こうも黙ってはいまい。」「ですが、このままだとあいつらに我々の計画を勘付かれてしまいます。」「君はいつもはやまった行動をするのが玉に瑕だね、恩田君。」「申し訳ありません・・桂先生。」「“先生”と呼ぶのはやめてくれ。」「これから、わたしはどうすればよいでしょうか?」「何も心配は要らないよ。」桂小五郎はそう言うと、自らが犯した失敗を自分に詫びる部下の肩を優しく叩いた。「一度犯した過ちを、繰り返さなければいいだけのことだ。君には、嵐山の尼寺にこの文を届けに行って貰いたい。」「わかりました。」「頼んだよ。」闇の中へと消えてゆく部下の背中を見送った桂は、溜息を吐いて懐からある物を取り出した。 一方、何者かに毒を盛られた千尋は一命を取り留めた。「副長から文を預かって参りました。」「有難うございます。」歳三からの文を受け取った千尋がそれに目を通そうとすると、誰かが部屋に入ってくる気配がしたので、彼はそれを懐に隠した。にほんブログ村
2014年11月15日
コメント(2)

「お待たせしました。」「女将さん、嘉乃(よしの)さんはここにいつ来られたのですか?」「嘉乃は、三年前にここに来ましたえ。前は島原で太夫として働いてたて聞いたけれど、事情があってこっちに来たって言うてました。」「その事情というのは・・」「金絡みですわ。あの子の家は昔裕福やったけれど、悪いやつに騙されて一文無しになって、借金を親の代わりに返していると聞いていました。」すず屋の女将・千冬はそう言うと、茶を一口飲んだ。「そうですか・・」「おかあさん、只今戻りました。」 玄関先で少女の声が聞こえたかと思うと、部屋に一人の舞妓が入って来た。「嘉乃、お帰りやす。この人は橘太夫の使いやそうや。」「橘姐さんの?」千冬の言葉を聞いた嘉乃の顔が強張った。「嘉乃さんと二人きりでお話ししたいのですが、宜しいでしょうか?」「へぇ、構いまへん。」 千冬が部屋から出て行った後、千尋は嘉乃の方へと向き直った。「うちがここに居る事、何でわかったんどすか?」「島原であなたを贔屓にしてくださっていた生駒屋さんからあなたの事をお聞き致しました。嘉乃さん、あなたが何故島原から姿を消したのかを、先ほど女将さんから聞きました。」「そうどすか。」嘉乃は千尋の言葉を聞くと、そう言って笑った。「うちの実家は、大坂でも名の知れた大店どした。けど、悪い奴に父は金を騙し取られて、借金を残して首を吊って死にました。残された母と幼い兄妹達を養う為に、島原に行きました。そこでうちは、ある人に出会いました。」「ある人、とは?」「長州の、久坂玄瑞(くさかげんずい)様どす。」「久坂玄瑞・・」その名は、幾度も聞いたことがある。禁門の変で追い詰められ、寺島忠三郎とともに自刃した男だ。「久坂様は、うちに優しくしてくれはりました。うちは久坂様がお越しになるのを指折り数えて待つようになりました。久坂様も、うちによく会いに来てくれはりました。」嘉乃は、そう言うと久坂と過ごした日の事を思い出すかのように、ゆっくりと目を閉じた。「うちは久坂様と一緒に居る時が幸せどした。うちと久坂様は深い仲になり、うちは久坂様の御子を産みました。」「その子は、今どちらに?」「嵐山にある尼寺に預けてます。うち、これから鼓の稽古があるんどすけど・・」「お時間を取らせてしまって、申し訳ありませんでした。わたくしはこれで、失礼いたします。」千尋がそう言って部屋から出ようとしたとき、嘉乃が突然激しく咳込んだ。「嘉乃さん、どうかなさいましたか?」「ただの風邪どす。」「そうですか・・」 嘉乃から久坂玄瑞と付き合っていたこと、彼の子を産んだことを知った千尋は、その話をすぐさま監察方に話した。「その嘉乃って舞妓、怪しいな。荻野にはその舞妓が長州の浪士と連絡を取り合っていないかどうか探りを入れさせろ。」「御意。」 その日の夜、千尋が座敷で客を接待していると、一人の男が自分を見つめていることに気づいた。にほんブログ村
2014年11月15日
コメント(0)

昼間は人気がなかった島原は、夜になると喧騒に満ち、音羽屋の中は座敷で遊ぶ客や太夫の声で賑やかになった。「千尋ちゃん、うちと一緒に生駒屋はんのところへ行こうか。」「はい。」橘太夫とともに大坂商人・生駒屋の座敷へと向かうと、そこには金屏風の前に恰幅の良い男が座っていた。「橘か、よう来たな。その子は誰や?」「この子は振袖新造の千尋どす。」「初めまして、千尋と申します。」「堅苦しい挨拶はええ。」生駒屋はそう言って千尋に手招きすると、彼に酌をするよう命じた。「生駒屋さん、最近大坂では長州の浪士達が潜伏している噂があるとか・・」「ああ、禁門の変で京から追い出された奴らの残党をよう見かけるわ。」「それは物騒ですね。」「まぁ、今は大人しくしているけど、うちの隣の家に金を強引に借りようとしていて追い出されたのは見たことあるわ。」「そんなことがあったのですね。」大坂に長州の浪士達が潜伏していることは間違いない。「生駒屋さん、前にここに居た嘉乃(よしの)って子のことはご存知ですか?」「ああ、あの子の事なら知ってるわ。芸の立つ子やったけど、家の事情で島原を出たって聞いたわ。」「まぁ、それは初耳です。」生駒屋に再び酌をしながら、千尋は彼に話の続きを促した。「嘉乃の実家の店は、賊に襲われて財産を奪われて、天涯孤独になった嘉乃は遠縁の親戚の家に預けられたけれど、家計を助ける為に島原に来たことを聞いたわ。」「そうですか。」「もう湿っぽい話は止めて、何か見せてくれんか?」「わかりました。」千尋は生駒屋の前で舞を披露した。「橘、千尋は将来お前のような太夫に育つやろうなぁ。」「そうどすなぁ。」そう言った橘太夫は、何かを懐かしむかのような目をしていた。「千尋ちゃん、後で生駒屋はんがあんたに話があるらしいわ。」「そうですか。では後で生駒屋さんのお座敷に伺います。」 橘太夫と座敷の前で別れ、千尋はそのまま生駒屋が居る座敷へと向かった。「生駒屋様、千尋でございます。」「おお、来たか。」「わたくしにお話とは何でしょうか?」「さっき話した嘉乃の事やけどなぁ、あの子今祇園に居るで。」「まぁ、それは本当ですか?」「ああ。祇園にあるすず屋で舞妓してるで。」「有難うございます。早速明日行ってみます。」「千尋ちゃん、あんたも色々と事情を抱えているから、嘉乃のことを可哀想やと思うてるようやけど、あの子に騙されたらあかんで。」「はぁ・・」 翌日、千尋は生駒屋から渡された祇園の置屋「すず屋」を訪ねた。「あの、こちらに嘉乃さんという方はいらっしゃいますか?」「嘉乃やったら、今三味線の稽古で出かけてますけど・・どちらはんどすか?」女将はそう言うと、訝しげな顔を千尋に向けた。「わたくし、島原の橘太夫の使いで参りました、千尋と申します。」「そうどすか・・ほな、中で待っておくれやす。」にほんブログ村
2014年11月12日
コメント(2)

「千尋ちゃん、どないしたん?」「いえ、何でもありません。」「またあの子にちょっかい出されたんか?」橘太夫の禿に突っかかられたところを見ていた他の太夫がそう言って千尋を見た後、溜息を吐いた。「姐さんは、あの子の事をご存じなのですか?」「まぁなぁ。あの子は千里いうて、音羽屋の前に赤子の時に捨てられていた子なんや。橘姐さんは千里の事をよう可愛がってはるから、あんたに姐さんを取られるんやないかと思うてちょっかい出したんやない?」「そうですか・・」「あんまり気にせん方がええわ。」「わかりました。」その太夫に頭を下げると、千尋は他の振袖新造達とともに鳴り物の稽古がある部屋に入った。「お師匠さん、有難うございました。」「あんたはええ筋をしてはるなぁ。立ち居振る舞いも洗練されとるし・・あんた、どこぞの武家のお嬢様やったん?」「ええ。家はわたくしが幼い頃に没落してしまいまして、祖母からは名家の誇りを忘れるなと、色々と鳴り物やお茶などの習い事を受けました。」「そうか。まぁあんたのような訳ありの子はようさん見てきたわ。この前もなぁ、ここにわけありの子が来ていたなあ。」「そうですか・・」「何でも、大坂の大店の娘やったけれど、家が賊に襲われて売り飛ばされたて聞いたえ。」「その子の名前は、わかりますか?」「さぁ、忘れてしもうたなぁ。その子はもう、島原から急に消えたしなぁ・・」三味線の師匠から興味深い話を聞いた千尋は、すぐさまその話を文にしたため、監察方に手渡した。「大坂の大店の娘ねぇ・・その娘が、長州の浪士どもと連絡を取り合っているかもしれねぇなぁ。」「大坂にはまだ、禁門の変で京から追い出された長州の浪士どもが再起を図って潜伏しているという噂がある。引き続き、荻野君には警戒を怠らないようにしてくれと伝えてくれ。」「わかった。」副長室の中で歳三と近藤がそう話をしているのを襖越しに千が聞いていると、誰かが彼の肩を叩いた。「君が、千君だね?」「はい・・」千が振り向くと、そこには参謀として新選組に入隊した伊東甲子太郎が立っていた。「君にひとつ、頼みたいことがあるんだ。」「何でしょうか?」「ここでは人目がつくから、離れに来てくれないか?」「はい・・」千は伊東とともに離れへと向かうと、伊東は自分の隣に座るよう勧めた。「あの、僕に頼みたいことって何でしょうか?」「君は土方君と親しいようだね?」「親しいというよりは、ただ仕事を与えて貰っただけです。」「そうか。」千の言葉を聞いた伊東は、急に千に興味を失くしたようだった。「君はもうさがっていい。」「はい・・」(伊東先生は、僕に何を頼みたかったんだろう?)にほんブログ村
2014年11月12日
コメント(0)

「え、島原に潜入するって・・」「副長直々の命です。この事は幹部の先生方と副長、局長しか知りませんので、決して口外してはなりませんよ、わかりましたね?」「は、はい・・」「ではわたくしが留守の間、小姓の仕事を頼みましたよ。」「行ってらっしゃい・・」 翌朝、千は歳三の命で島原へと向かう千尋を西本願寺の門前で見送ると、そのまま小姓の仕事に取り掛かった。「千君、副長が呼んでいますよ。」「はい、直ぐに参ります。」 総司に呼ばれ、千が副長室に呼ばれて部屋の中に入ると、そこには文机の前で何処か気難しそうな顔をして文を読んでいる歳三の姿があった。「副長、お呼びでしょうか?」「千、荻野が島原に潜入捜査をしたことはもう知っているだろうな?」「はい。」「お前か荻野か、どちらかが島原に潜入捜査をして貰うことで近藤さんと少し揉めたんだが、まぁ荻野の方がお前よりも落ち着きがあるし、和歌や書画を嗜んでいるから、島原に潜入させるのは荻野の方が相応しいと俺が決めた。」「まぁ、僕は何にも出来ない役立たずですけれど・・」「そう拗ねるな。お前に出来る仕事はあるさ。」「別に拗ねてなどいません。」「荻野が居ない間、小姓の仕事は全てお前に任せるから、余りへまをするなよ。」「わかりました。」 一方、島原に潜入した千尋は、金髪碧眼という珍しい容姿と、和歌や書画を嗜む教養の高さに惹かれた客から高い人気を得ていた。「千尋はんは何処でそんな教養を身につけたん?」「江戸の父から色々と教わりました。将来嫁ぐときに、何処へ嫁いでも恥ずかしくないようにと。」「男子(おのこ)やのに、何で千尋はんのお父上様はそないな事を言わはったん?」「わたくしと初めて会ったとき、父ははじめ女子だと勘違いしたそうです。」「へえ、そうやったの。」そう言って千尋と話をしていた橘太夫は袖口で口元を隠してクスクスと笑った。彼女は島原でも一、二を争うほどの売れっ子太夫である。「あんたが島原(ここ)に来てから、うちの周りが急に賑やかになったわ。」「そうですか?」「まぁ、今まであんたみたいな子は居れへんかったからなぁ。」「有難うございます。」楽しげに話す千尋と橘太夫の姿を、襖の陰から誰かがじっと見つめていた。(潜入捜査とはいえ、島原に長州の浪士達がいつ来るのかどうかはわかりませんね。それまでの間、色々と情報収集をしなければ・・)橘太夫の部屋から出た千尋がそう思いながら廊下を歩いていると、誰かが自分の前に足を突き出した。「おやおや、足を突き出すとは何と行儀の悪い禿(かむろ)ですね。」「やかましいわ、このあいの子が!」千尋を睨みつけながら、橘太夫の禿はそう言って真っ赤な舌を彼に向けて突き出すと、そのまま廊下の向こうへ駆け出して行ってしまった。にほんブログ村
2014年11月10日
コメント(2)

(クソ、何で俺がこんな目に遭わなきゃならねぇんだ!) 蔵に再び閉じ込められた少年―栗田は、苛立ち紛れに蔵の扉を蹴った。外からは何の音もしない。恐らく、自分を閉じ込めた男は屯所の方へ戻っていってしまったのだろう。ほんの数日前までは、友人達と京都市内を観光していたというのに、自分だけが何故こんな目に遭うのだろうか。(あいつら、無事かなぁ・・)栗田はふと、一緒に居た友人達に想いを馳せた。彼らも、自分のようにこんな所に閉じ込められてはいないだろうか。(それにしても、荻野の奴、冷てぇよな・・俺の事を覚えてもいねぇなんて・・)副長室で自分と対峙していた同級生は、自分の事を知らないとあの怖い男に言い張った。名前すら知らなくても、彼とはこの半年間同じクラスで学んだ仲間だというのに、冷たいではないか。(まぁ、あいつに自分の事を知っているかって聞かれたとき、何も答えられなかったもんな・・)思い起こせば、栗田は余り千の事を知らなかった。いや、知ろうとしなかったのだ。彼は余り自分達のような派手なグループと関わろうとはしなかった。自分達を含んだ、クラスメイトと千はいつも距離を置きたがっていた。はじめは彼の事をよく気に掛けて、栗田は彼に色々と話しかけていたが、彼は余り栗田の話に乗ってこなかった。次第に彼は自分達のような人間と付き合いたくないのだろうと気付き、一学期の終わりごろには彼に余り話しかけなくなっていた。(荻野の奴、何を考えているのかわからねぇからなぁ・・)何故彼は―千は、自分達を避けようとしていたのだろうか。(嫌われているのかなぁ、俺・・)栗田がそんな事を思いながら膝を抱えて座っていると、蔵の扉が開いた。「食事です。」「荻野、俺お前に何か嫌われるような事をしたか?」「一体何の話ですか?」そう言って栗田を冷たく睨む少年は、千と瓜二つの顔をしてはいるが、彼と違うのは、背中までの長さがある髪を一括りにしている事と、凛とした雰囲気を漂わせている事だ。「わたくしはあなたの事なぞ存じません。」「俺はいつになったらここから出られるんだ?」「それは、わたくしが決めることではありません。」千と同じ顔をしている少年は、そう言うと栗田の前に夕餉を置き、再び蔵の扉を閉めた。「荻野、奴の様子はどうだ?」「変わりありません。それよりも副長、わたくしにお話ししたいこととは何でしょうか?」「実は、ここ最近島原や祇園に長州の浪士どもが夜な夜な会合を開いていると、監察方から報告を受けた。そこで、お前が島原へ潜入して奴らの動きを見張って欲しいと思っているんだが・・」「何故、わたくしが?女装するのならば、沖田先生や斎藤先生が適任の筈ではありませんか?」「二人とも忙しいし、敵の方に顔を知られている。それに、お前は島原に潜入しても、奴らに正体を見破られるような事はしないだろう?」「ええ。」「荻野、俺の期待に応えてくれるか?」「わかりました。」そう言って歳三を見つめる千尋の瞳は、恋する乙女のそれに似ていた。にほんブログ村
2014年11月10日
コメント(0)

セブンイレブンでチーズポップコーンを買いました。ネットで美味しいと評判だったので、試しに一口食べたらチーズの旨味が出ていて美味しかったです。キャラメル味とチーズ味がありましたが、チーズ味が2袋しか置いていませんでした。セブンイレブンの、カリカリトリプルチーズです。渦巻型のペンネのようなものが入っていて、チェダー、カマンベール、ゴーダの三種のチーズの味がして、とても美味しいです。
2014年11月08日
コメント(4)

またイオンのフードコートにある四六時中でランチを食べました。サーモンといくらです。海鮮丼としても、お茶漬けとして食べても美味しいです。1日から今日まで、イオンのフードコートでランチを食べていますが、お値段が安いので助かります。
2014年11月06日
コメント(4)

千が斎藤達と朝餉を食べていると、蔵の方から歳三と総司、そして千尋が大広間に戻って来た。「副長、あの・・」「千、後で俺の部屋に来い。荻野、お前もだ。」「わかりました。」歳三はそう言うと、座布団の上に腰を下ろした。(何があったんだろう?) 朝餉の後、千と千尋が副長室に入ると、そこには蔵の中に監禁されていた少年の姿があった。「副長、この者が何故ここに居るのですか?」千尋はそう言うと、冷ややかな視線を少年に向けた。「こいつが俺に自分の話を聞いてくれと煩くてな・・お前達を証人として、ここに呼んだんだ。」「証人、ですか?」「ああ。俺と二人きりだと、後で嘘を吐いたとわかっても上手く誤魔化すだろうからな。」「わかりました。」千尋はそう言うと、少年を見た。暗い蔵で数日間監禁された所為か、捕えられた時よりも少し痩せているように見えた。「話したい事があるのなら、黙っていないでさっさと話したらどうですか?わたくし達はあなたとは違って、暇ではないのですから。」「そんなきつい事言うなよ~、俺ここに来る前の事を必死に思い出しているんだからさぁ。」少年はしきりに髪を掻くと、ぼそぼそと自分が幕末にタイムスリップした前のことを話し始めた。「俺、友達と三人で伏見稲荷大社に行ったんだ。まぁ他に何もすることないからさぁ、稲荷像に乗っかって写真撮ったりしてふざけていたらさぁ・・突然急に雨が降って来て・・雷が俺の傍に落ちてきて、死ぬかと思ったよ。」「罰当たりな事をしたものですね。神の前でそのような振舞いをなさったから、神が怒ったのですよ。命だけ取られなかっただけ、有難いと思いなさい。」そう言った千尋は、再び氷のような冷たい目で少年を睨んだ。「気絶して暫く経って目が覚めて、俺は伏見稲荷大社から出て・・」「見知らぬ世界に迷い込んだ、というわけですね?」「うん、まぁそんな感じ。」「副長、今の話を聞いている限り、この者が法螺話をでっち上げているようには思えませんでした。」「そうだな・・千、お前はどう思う?」「僕はわかりません。話を信じる、信じない以前に、この者を僕は余りよく知らないので。」「おい、同じクラスだったってのに、随分と冷てぇじゃねぇか!」「同じクラスだからといって、一人一人生徒の名前と顔なんて、覚えていません。じゃぁ逆に聞きますけれど、あなたは僕の事をどれ位知っているというのですか?」「そ、それは・・」少年は千の問いに口ごもると、俯いた。「副長、この者はどうなさるおつもりですか?」「蔵に閉じ込めておくしかないな。俺の小姓は二人で充分だし、こいつの姿を隊士達に見られたら厄介事が起きるかもしれん。」「また俺をあんなところに閉じ込めるのかよ、勘弁してくれよ!」「外に放り出されないことだけでも有難いと思いなさい。」「斎藤、こいつを蔵に戻せ。」「承知しました。」 副長室の外に控えていた斎藤は、少年の腕を捻じりあげ、彼を蔵に連れて行った。にほんブログ村
2014年11月05日
コメント(4)

罵声と怒号が飛び交う体育館の隅に、千は立っていた。「このたびは誠に、本当に申し訳ありませんでした!」 壇上に立っていた校長をはじめとする教師達は、保護者達に向かって頭を上げた。「謝れば済むとでも思っているのか!?」「そうよ、土下座しなさいよ!」保護者達の間から土下座コールが湧き起り、教師達は一列になって土下座した。すると保護者の一人が壇上に上ると、無抵抗な教師の一人を殴った。その後に続けとばかりに、他の保護者達も次々に壇上に上がっては、教師達に罵声を浴びせた。(やめて・・先生達は悪くない。)そう声を大にして叫びたいのに、千はその場から動くことも、声を出すこともできなかった。その時、彼はまた夢の中に居るのだと解った。やがて体育館の混沌とした風景が白く霞かかったように徐々に薄れてゆき、銭の目の前に闇が広がった。「千君、大丈夫ですか?酷く魘(うな)されていましたよ?」「沖田先生・・すいません、寝坊してしまいました。今日は初稽古の日なのに・・」「土方さんからはわたしが事情を話しておきましたから、君は何も心配することはありませんよ。」「有難うございます。」 千は厨房で朝餉の準備をしながら、あの夢は本当に自分が居た世界で起きたことなのかという疑問を抱き始めていた。夢は、時として己の欲望を見せることがあると、昔読んだ本の中に書かれてあった。だが、あの光景は千が望んだものではない。それに、もし仮にあんな悪夢のような光景が、実際に自分が居た世界で起きているとしても、千はどうすることも出来ない。 現代に戻る術が見つからないのだから。「千君、どうしました?」「少し悪夢に魘されてしまって・・その所為で眠気が残っているようです。」「そうですか。そういう時は、熱い茶を一口飲むと眠気が覚めますよ。」「有難うございます。」「この生活に慣れるのは時間がかかりますから、余り焦らないでくださいね。」「はい。」総司に優しく背中を叩かれ、千がそう言って彼に頭を下げえると、総司は千に優しく微笑み、厨房から出て行った。(忘れよう。)自分が居た世界の事は、暫く忘れてしまう方がいい。夢であんな光景を見ても、自分にはどうすることができない。それよりも、幕末でどう生き抜いていったらいいのかを考えなければ。「千君、おはよう。」「おはようございます、斎藤先生。」「後で副長から連絡があるだろうが、君はもう蔵に食事を運ばなくていいことになった。」「何故ですか?」「それは、後で副長に聞けばいい。」にほんブログ村
2014年11月05日
コメント(0)

もう8ヶ月が過ぎました。イオンができるまで、泉南・大阪方面まで遠出して家族で買物をしていたのですが、今はイオンが自転車で片道30分で行ける場所にあるので気軽に出掛けられます。行く時は何かしら無駄遣いしてしまいますが(苦笑)
2014年11月04日
コメント(2)

前から気になっていたおおがまやのたこ焼き、デミチーズ味を頼んでみました。結構蛸とチーズの相性が良く、焼き立ての蛸とチーズの味が口の中で広がっていいハーモニーを奏でていました。これまでイオンのフードコートで食べたものは、ピザ、パスタ、ステーキ、オムライス、天丼、牛たん、ラーメン、おひつごはん、たこ焼きのお店です。あとは、うどんとつけ麺、中華のお店だけです。余り食べ過ぎると太って着られる服がなくなるかも…
2014年11月04日
コメント(2)

イオンのカルディで買った、ラ・メール・プラールのサブレです。同じシリーズのクッキーが何個かあったのですが、このサブレだけが2個しかありませんでした。
2014年11月03日
コメント(2)
ブックオフに行って、「ソロモンの偽証」全6巻を売りました。高価買取対象商品だったようで、900円で買い取ってくれました。
2014年11月02日
コメント(4)
![]()
学校内裁判の判決は、思わぬ結末を迎えましたね。なんというか、柏木卓也の死から裁判の評決までの日々が、まるで映画を観ているようで手に汗握る展開が続きました。番外編である「負の方程式」では、同じ学校を舞台に、弁護士となった藤野涼子が探偵とある事件を調査します。この話も、ちょっと後味が悪いです。学校内裁判で弁護人を務めた神原和彦と涼子が結婚したことには驚きましたね。来年春に映画化されるそうです。宮部みゆき作品は映像化される作品が多いですが、どれも原作に忠実なものばかりですので、今から楽しみです。大家族に嫁いで来た主人公・法子が、夫の実家の「秘密」を知り、彼らに洗脳されてゆくさまが、まるで自己啓発セミナーや新興宗教団体のマインドコントロールの方法と同じで、不気味でした。ラストの数行を読んだ後、背中がゾワッとしました。銀行でパートとして働き、一億もの金を横領した梨花。将来の為に節約生活を送る木綿子。離婚し、買い物に依存する亜紀。何のつながりもない三人の女達の共通点が、「金」。そして、同じ中高一貫校出身の同窓生であるという事。本には、梨花や木綿子たちの心情が丁寧に描かれており、何故梨花が顧客の金を横領するようになってしまったのか、それと並行して木綿子や亜紀の生活が描かれていました。スーパーの特売品を自転車でめぐり、同窓会で残った料理をタッパーウェアに詰め込む木綿子。出産後、箍が外れたように買い物をしては借金を作り、離婚してしまった亜紀。彼女達の結末は悲惨なものですが、お金って何だろうとこの本を読んで思いました。あの「彩雲国物語」の作者が紡ぐ大河小説とあって、期待して読んだのですが、世界観が中々わかりづらいものがあったような気が…謎に包まれている部分も多いので、仕方ないのかもしれませんね。有川浩さんの小説は初めて読みましたが、結構面白くて一気に読み終わってしまいました。まぁ、クリスマスの夜に起きる様々な奇跡を、それぞれの視点から見た物語ですね。両親の離婚を何とか止めようとする少年の健気さに、思わず応援したくなりました。人の死を予見することができる能力を抱え、苦悩する主人公の姿を読んでいると、人の死を予見してもそれを変えられないとなると、余り意味のない能力だなぁと思いました。少し携帯ショップ店員・葵とのロマンスが描かれていて、二人が幸せになるのかなぁと思ったら、最後にあんなネタバラシがあったなんて・・密室ミステリーとしては結構トリックが難しく、連続殺人事件の犯人がわかってびっくりしました。何だか、色々と難解な小説でした。老人ホームから逃げ、マフィアの金を盗んだ100歳のアランの半生とその逃避行が描かれていて、とても面白かったです。
2014年11月01日
コメント(0)

イオンの入り口にクリスマスツリーが飾ってありました。ハロウィンが終わったら街はクリスマスムード一色ですね。
2014年11月01日
コメント(2)
全36件 (36件中 1-36件目)
1

![]()
![]()