今日の気持ちを短歌におよび短歌鑑賞

今日の気持ちを短歌におよび短歌鑑賞

2024.02.17
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カテゴリ: 俳句

2月17日(土)

旅と自己表現 岡井隆

鑑賞:角川春樹句集「補陀落の径」(13)

角川雑誌「短歌」(昭和60年3月号)より

3.永遠指向のこと(8)

羽曳野 ( はびきの ) の流され 白鳥 ( スワン ) ( めつむ ) れば

風花の流され王ぞ羽曳野は

風花や 日本武尊 ( やまとたける ) の丘に ( )

羽曳野の ( ねむ ) りの深き鴨の陳

 「流され王」「流され白鳥」の「流され」とは、どこから、どこへ流離なのであろう。むろん、それは「故郷=ふるきくに」から「異郷=どこにもない理想郷」への流離である。それは、(今までの文脈をたどればわかるように)永遠への旅が、この流離の本質である。それと同時に、「瞑れば」と瞑目して作者が思いうかべているのは、父のイメージであろうし、父から追われて流れていく白鳥の伝説的なイメージにほかなるまい。

 だから、春樹氏が、「流され王」というとき、それは、まちがいなく、日本武尊なのであるが、運命としては、父と子のオイディプス型の関係幻想が、ここに揺曳していて、かならず、そこから唄口がしめって来ているのを忘れてはならない。

                                (つづく)





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最終更新日  2024.02.17 07:18:49コメント(0) | コメントを書く


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