6月17日(月)
短歌集(322)
中公文庫:日本の詩歌29より
昭和五十一年十一月十日初版
吉田正俊(10)
短く 鷭 啼 けばわが立止るこの瞬間のこの現実は言ひ 難 し
国興るいたましさなど思へどもこころ弱きは滅びてゆかむ
いくつかの思想うづまく中にゐて身じろぎならぬ 齢 至りぬ
事 しあらば捧げむ命いひ切りて君ゆきしかば吾は 乞 ひ 禱 む
戦 は終あらめやとこころ 決 む出でゆく君と留まる我と
あたらしき国を護りの 戦 を予想してゆけり老兵君は
(以上『天沼』より)
(つづく)
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