8月14日(水)
現代俳句(抜粋:後藤)(134)
発行:昭和39年5月30日
富安風生(5)
籠 にさせるものゝ 意 に秋深し
「田中家小集」と題して作られたなかの一句です。
紅葉か、菊か、何かの秋草かが籠にさしてあったのです。あわただしい戦時下の都会に住んでいて、気づくこともなかったが、ふとこの家の籠にさした草木にふかまる秋草を感じとったのです。ふとこの家の籠にさした草木に深まる秋意を感じ取ったのです。おそらく、色の濃い鮮やかな植物でしょう。何という名か示していませんが、それは部屋の中に、露や霜に染まった深秋の野山の色を現わしていたのです。「ものゝ意に」とは洒落た言いようです。
(つづく)
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