8月1日(土)
武士はなぜ歌を詠むか(抜粋:後藤)(7)
~鎌倉将軍から戦国大名まで~
(注)子供の時見た忠臣蔵で、大石内蔵助の片岡千恵蔵がグワーと泣き崩れた姿が忘れられませんでした。主君浅野内匠頭の辞世 「風さそふ 花よりもなほ 我はまた 春の名残を いかにとやせん」 を読んだときでした。そんな記憶からこの本を手にしました。少し、読んでみたく思ったのです。
発行:平成二十年七月十日
著者:小川剛生
序章 源氏将軍と和歌(7)
主従関係と和歌(3)
将軍権力は、異なった性格の支配権を発揮する(佐藤進一『日本中世界史論集』)、つまり法律・行政など制度の裏付けを持った統治的支配権と、人間関係に基づく主従制的支配権です。
この二つの支配権は、和歌でいう「ハレ」と「ケ」に当たっています。歌会で作法にのっとって披講される「ハレ」の和歌は、主催者の治世を祝言するもので、支配に寄与する影響は観念的とはいえ広く深いのです。一方、一種のコミュニケーションである「ケ」の和歌は、主従関係に直接作用しこれを強化する働きを持つが影響は一時的限定的でしょう。そして、中世和歌においてより重要であるのは、恐らく現実の権力の場合と同様に、前者(「ハレ」)の持つ効力です。 (つづく)
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