山行・水行・書筺 (小野寺秀也)

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2018.04.06
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カテゴリ: 街歩き

 飼い犬が元気なころ、朝の散歩はどんなコースでもよかった。わが家は青葉山丘陵の東麓、広瀬川畔に位置しているので、山も川も街も散歩コースのヴァリエーションに事欠かないが、とくにこだわりもなくどこでも歩いていた。犬と一緒で歩けるのならどこでもよかったのである。
 犬が歩けなくなってからの一人の散歩は、どこを歩こうか、悩むばっかりだった。一人の散歩はまったく楽しくないので、せめていい散歩コースを選びたいと思ったのだが、どこもつまらないのだた。
 今年の正月に犬が死んだあと、なぜか散歩コースに悩むということがなくなった。なぜかよくわからない。ほぼ毎日1時間20分ほど、同じコースばかりを歩いている。散歩が楽しいとか面白いなどという気分はもうほとんどない。カメラをぶら下げて出かけるが、ほとんど写したことがない。ただのアクセサリーである。
 その散歩コースの途中に錦町公園がある。いま、ちょうど桜が咲き切っている。いつごろ植えられたのか分からないが、錦町公園の桜はまだ若い木が多い。ソメイヨシノより端正なたたずまいの樹種で、やや桜色が強い美しい種類である。私の植物図鑑では見当たらない新しい品種のようだ。






錦丁公園から一番町へ。(2018/4/6 18:22~18:41)


 しばらくぶりの錦町公園での集会である。先週のデモで「錦町公園は桜満開のころです」という告知があったが、あいにくの雨である。ほぼ毎日観察していたのだが、北西の公園入口の桜の開花がいちばん早くて、今日はもうかなり散ってしまっている。同じ樹種なのだが、公園の中は桜は文字通りの満開である。

 小雨の中で、さすがに花見客は見られなかったし、花見気分が削がれて集会は集会らしく進んだようだった(今日も遅刻したので想像である)。
 花冷えと言いたいところだが、冷たい春の雨の街に30人のデモが出発する。いちおう傘をさして歩くが、ほんとうに小雨である。遠くの街灯りが煙るというほども降っていない。







一番町(1)。(2018/4/6 18:43~18:51)

​​
 先週のブログでふれた玄海原発3号機の蒸気漏れ事故の続報が出ている。事故は、2次系配管の「脱気器空気抜き管」と呼ばれる部分が腐食して穴が開いてしまったことによる​ (4月5日付け佐賀新聞) ​。
 この配管系は、1994年の運転開始から使っていたもので、2007年の検査では耐用年数を47年と評価していたのだが、11年でボロボロになっていたということだ。しかも、再稼働に始める前には点検しておらず、規制委員会による書類審査や再稼働直前の検査でもスルーされていたのだ。
 4月2日には、九州電力の入社式があって、九州電力の社長は 「再稼動については6~7年止めているので、何があるか分からないと言っていたのが現実になってしまって、非常に残念です」と話したという​ (4月2日付けTBS NEWS) ​。

 事態は深刻である。いや、原発は深刻な事態を生み出すべく作られ、運転されてきたというべきである。
 第1に、原発に使われる材料の耐用強度の評価がじつにいい加減になされているといるということである。しかも、原子炉用鋼材の組成が規格通りでないことが見つかった時に、同じ鋼材を使ったフランスでは原子炉を止めて点検したが、日本では規制委員会が電力会社の申告だけで安全を認めたという事実は、日本のシステムはもともとのいい加減な材料評価を正すことすら放棄しているということを意味している。
 第2に、長期間運転が止められていて再稼働すると「何があるか分からない」ことを自覚しているにもかかわらず、玄海原発3号機の再稼働を申請し、じっさいに再稼働してしまったのである。明らかに確信犯である。「想定外」などということは絶対にないのである。
 第3に、こうした事故を防ぐことに対して原子力規制委員会はまったく無力であることだ。いい加減な評価をいい加減だと見抜く専門的力量がないのか、いい加減でも審査を通すという政治的判断だけで動いているのかわからないが、信頼するに値しないということだけは確かだ。
 他の再稼働原発の実態は、長期間休止後の再稼働という点では事情はまったく同じはずだ。これも九州電力だが、4月5日に川内原発1号機で、核燃料棒の被覆管に穴が開いて放射性ヨウ素が1次冷却水に漏れ出したという事故があった​ (4月5日付け毎日新聞電子版) ​。これもまた、原子炉に使われている材料強度に問題があったために発生した事故だ。これからも、原子炉材料の強度評価がいい加減だったことが推定できる。
 そして、原子炉材料の経年劣化でもっとも恐れるべきは、中性子照射による圧力容器の脆性破壊である。高エネルギーの中性子は結晶格子上の原子をはじき出し、はじき出された原子は拡散して、結晶粒界などに偏析する。これによって鋼材は脆化する(脆くなる)のだが、原発の運転や休止での温度の急激な上下が破壊を加速することが危惧されている。
 圧力容器の損傷は最悪の事態につながる。材料評価のいい加減さが原因の事故が相次いでいることを最悪事故の重大な予兆と捉えて真剣に対処するのが、ほんとうの意味での科学的態度のはずである。残念ながら、そうした事実を隠蔽、改竄するのがここ5、6年の(つまり、安倍政権下の)日本の政治文化状況なので、私たちが声を上げ続けるしかないのだ。 ​​





一番町(2)。(2018/4/6 18:52~18:54)


 他よりずっと明るい一番町は写真の取りどころなので、傘を畳んでカメラに専念した。出来るだけ道の両脇のアーケードの下を歩くようにしたいのだが、なかなかそうもいかない。服が濡れるのは気にならないほどの雨量だが、カメラが気になるのである。
 一番町も広瀬通りを越えると青葉通りに出るまでは、デモ人もようやく傘を畳んで歩けるようになる。傘に隠れていた顔をようやく写せた人もいた。




青葉通り。(2018/4/6 18:57~19:01)


 デモは青葉通りを東進して、仙都会館前で流れ解散になる。デモが「仙都会館」前で流れ解散になるというのは、私は初めてデモに参加した50数年前とまったく同じなのである。
 記憶はそれほど確かではないが、仙都会館は、昔、映画館などの娯楽施設が入っていた建物だったと思う。もちろん今は映画館などなくて、新しくなった建物には銀行などが入っている。


 なんとなく気になって、朝の散歩のとき仙都会館の前を通ってみた。「仙都会館ビルデング」という看板が朝日を受けて光っていた。「ビルデング」なのである。東京などを歩いていると、ときどき「ビルヂング」などという表記も見かける。「ビルデング」も「ビルヂング」も、創業が古いことの証明のようなものだろう。とはいえ、どれぐらい古いのか私にはよくわからない。それでも、そういう名前が残っていることにはいくぶん気持ちがほっこりする。



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かわたれどきの頁繰り(小野寺秀也)

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Last updated  2018.04.15 20:40:09
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