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日テレ「こっち向いてよ向井くん」見終わりました。センスがよくて、やたらとお洒落なドラマだった。近年の日テレドラマにはなかったほど、制作陣に突出して非凡なものを感じました。赤楚くんも、過去イチのハマり役!◇ただ、話の中身は、なんだか不毛で虚しい気がしないでもなく…(^^;ダメ出しされる赤楚くんや天音くんが気の毒で、見終わったあとは疲労感と虚無感だけが残ることも。恋愛の間違い探しといっても、一時的な正否や勝ち負けを問うてるだけで、実際は、どこにも正解なんて存在しないのよね。ある時期までは正解と思えたことでも、時間が経ってみたら間違いだったりもするし、終りなき「間違い探し」の果てに、何の着地点にも辿り着けず終わるかもしれない。◇いまどき、80年代バブルの頃のように、他人の恋愛にダメ出しをして、マウント取って優越感を得るのが目的じゃなかろうし、そういう意味では、コメディタッチのわりに、シニカルかつペシミスティックな物語だった気もする。実際、この感じって、ちょっと30年前の「東京ラブストーリー」に似てて、とくに"アイシングクッキー女"が出てきたところは、いわゆる"おでん女"を彷彿とさせました。藤原さくらがクッキー女に敗北するのは、鈴木保奈美がおでん女に敗北したのと同じですね。違いがあったとすれば、鈴木保奈美が負けを認めなかったのに対して、藤原さくらが最後に自分の非を認めたところかな。▶ https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/202112240000/◇最終的に、波瑠も、生田絵梨花も、藤原さくらも、女子全員が「結婚否定派」だったというオチ。この少子化の時代にあって、なかなかに極限的な結末ですwまあ、藤原さくらの場合は、結婚は否定しても、出産は否定しないらしかったけど。たしかに事実婚という選択をする人はいますしね。…赤楚くんと波瑠のカップルは、とても現代的な感じがしましたが、どっちみち結婚する気のない相手なら、生田絵梨花と付き合ったままでも、さほど変わらなかったのでは?って気もする…(^^;◇ちなみに、赤楚くんと波瑠は、実年齢では波瑠のほうが3つ年上なのだけど、(赤楚くんが29才、波瑠が32才)役柄では赤楚くんが1つ年上の設定だったらしい。(赤楚くんが33才、波瑠が32才)わたし的には、むしろ実年齢の設定がよかったのに…と思う。そのほうが今っぽいのでは?…原作漫画はまだ連載中らしいので、2人の今後があるなら見てみたい。妹夫婦の事実婚がどうなるかも興味はあります。◇そして、音楽もめちゃくちゃオシャレでしたね。サントラはYouTubeに全曲あがってますが、これは一聴の価値あり!FUKUSHIGE MARIって、ゲス極・ちゃんMARIのソロ名義なのね。すばらしい才能です。最終回にチラッと出演してましたね。最後にチラッと出演してました。
2023.09.20
#ナンウマ。第5話。部活のシゴキとか、更衣室の盗撮とか、話がちょっとドロついてきた感じ。◇生まれ曜日のネタ元は、どうやらマザーグースの歌にあるらしい。第5話は、サブタイトルが《優しい人が傷つく世界線》でしたが、生まれ曜日の歌では、水曜日が「優しさと引き換えに悲しみがいっぱい」となってる。登場人物それぞれの生まれ曜日が、物語の内容にも関係してくるってこと?◇なお、本来のマザーグースの歌は、月曜にはじまって日曜で終わるけど、公文竜炎は、木曜からはじめて水曜で終えていました。Monday's ChildMonday’s child is fair of face,Tuesday’s child is full of grace;Wednesday’s child is full of woe,Thursday’s child has far to go;Friday’s child is loving and giving,Saturday’s child works hard for its living;But the child that is born on the Sabbath dayIs bonny and blithe, and good and gay.https://en.wikipedia.org/wiki/Monday's Child旅に出るのは木曜日生まれ惚れっぽいのは金曜日土曜日生まれは生きるために一生懸命働くの日曜日生まれは陽気で楽しい美しいのは月曜日生まれ火曜日生まれはどこか優雅ね水曜日は…ねえ…優しさと引き換えに悲しみがいっぱいなの#何曜日に生まれたの 第5話配信中https://t.co/8LUyr1EsgF— ドラマ『何曜日に生まれたの』【公式】 (@nan_uma_abc) September 11, 2023 余談ですが、ジョディ・ミラーの曲「Wednesday's Child」や、ノエル・ストレトフィールドの小説「Thursday's Child」などは、ここから派生してるようです。ほかにも、アマンダ・マーシャルの「Tuesday's Child」ウィル・ヤングの「Friday's Child」モンキーズの「Saturday's Child」ジョン・マーティンの「Sunday's Child」…などなどがあります。アダムスファミリーの長女ウェンズデーの名前も、マザーグースから取られているらしい。また、村上春樹の小説「街とその不確かな壁」には、生まれ曜日を言い当てる少年が出てくるとのこと。
2023.09.17
日テレ「最高の教師~1年後、私は生徒に■された」。それほど出来のいいドラマだとは思ってませんが、第8話はなかなか見応えがありました。…もちろん加藤清史郎くんの演技ありきですけど。このドラマの最大の収穫は、鋭い刃物のような彼の悪役ぶりですね。こういう役がハマるとは想像もしてませんでした。◇ちなみに、第8話でもっとも説得力を感じたのは、自殺した女生徒の母親(吉田羊)の言葉。※追記:自殺じゃなかったらしい。> たった一つボタンが掛け違うだけで> 人の関係なんて大きく変わっちゃうものだけど> もしかしたらあったのかな?…2人が友達になることも自殺で娘を亡くした母親が、加害者の生徒を前にして、あんなに寛容で冷静でいられるかしら?ってツッコミどころはあるけれど…たしかに、学校の人間関係なんて、ボタンのかけ方ひとつで、《友人関係》にも《いじめ関係》にもなりうるものだな、…とは思う。◇◇◇こういうドラマを見るたびに思うのは、いかに「学校の制度が無駄なのか」ってこと。このドラマの生徒たちも、余計なことにエネルギーを使うばかりで、ぜんぜん勉強が出来ていませんよねえ。もはや勉強をする精神的余裕なんてないでしょう。まして、学校に行ったせいで、いじめられたり、引きこもったり、自殺したりする結果になるのでは、何のための学校なのかさっぱり分からない。◇ボタンの掛け違いなんて、一定の確率で起こりうるのだから、それを教育の力で防ぐことなど出来ないし、数十人の生徒がいれば、いじめる人間も、いじめられる人間も、一定の確率で存在するのだから、個々の教師や生徒が必死に考えたところで、そうした問題は永久に解決しません。◇昔の学校は、「集団生活」や「上下関係」を学ぶ場だと言われていた。最近の学校は、せいぜい「贖罪」や「和解」を学ぶ場になっているのでしょう。学校制度の存在意義を主張する人々は、「それこそが人生勉強だ!」と言うかもしれないけど、そんなものは後付けの説明にすぎない。子供にそんなことを経験させて何になるの?たがいに傷つけあう人間関係だの、「上下関係」だの「贖罪」だの「和解」だのが、生きる上で役に立つというエビデンスはどこにもない。かえって人生に後ろ向きになるばかりでしょう。そんなことにエネルギーを費やす暇があったら、もっと勉強に集中できる環境のほうがいいに決まってる。国にとっても、社会にとっても、そのほうがはるかに有用な人材を育成できるはずです。◇それが分かっていながら、国家も、社会も、いまだ「学校」という制度を手放せずにいる。これは子供の問題ではなく、大人の責任です。現行の学校制度は、なるべく早く解体したほうがいい。ヴァーチャルな学習システムと、リアルな校外活動を組み合わせれば、もっと効率的な制度を構築できるはずです。
2023.09.16
よく出来たサスペンスホラー。ホラーは苦手なのだけど、見はじめたら止まらなくなってますwささの葉さらさら♪の歌と、短冊の紙がパリパリたてる音響が不気味。でも、映像は綺麗だし、華奢で色白な高橋ひかるは、夏のホラーに似合う。◇欧米のホラーはハロウィンやクリスマスが多いけど、日本のホラーはやっぱり夏ですね。七夕設定なので、前クールに放送すべきだった気もするけど、ちょっと時期的に難しいところではある。つぎの第7話からは第2章に入るらしい。◇いちばん怪しかった昴(一ノ瀬颯)は正体を明かしたものの、真犯人ではなさそう。わたし的には警官が怪しい気もするのよね。15年前の火災が、子供の過失なのか、大人の犯罪なのか、たんなる事故なのかはよく分からない。ハレーションの意味も、主人公の記憶喪失の理由も、「どこかトオクにいけまスようニ」のメッセージも、謎のままです。脚本の若杉栞南は23才の新人、とのこと。なかなかの才能かも。すずしげな麦茶。 色白で華奢な高橋ひかる。 怪しげな一ノ瀬颯。 チベットスナギツネが!(笑)
2023.09.16
月9「真夏のシンデレラ」。先週から紘菜目当てで参戦しましたが、もう第9話ですwほぼ終わってる?それまでの経緯を何も知らないのだけど、どうやら間宮祥太朗&森七菜の格差カップルに、神尾楓珠と山崎紘菜が割り込む4角関係になってて、なんか紘菜は悪役っぽい…w◇今週の最後では、神尾楓珠が森七菜に告白しちゃったし、来週の予告によると、紘菜も、森七菜に、「あなたの存在が彼の足を引っ張ってる!」みたいなことを言うようです。何話までやるの?来週で最終回かしら?山崎紘菜&間宮祥太朗。この2人お似合いでしょ! 森七菜&神尾楓珠。ここもお似合い。 まったく似合わないのが主演の2人ww (※2人とも嫌いなわけじゃないのよ) 「あんたなんか親に反対されるに決まってるでしょ!」的な。 吉川愛&萩原利久。ここもお似合い。 ◇↓でも、それ以上にお似合い! カッコよ。参!上みなさんもぜひ、東京ミッドタウンへ🌼#ADEAM #GINZA pic.twitter.com/EcycviC8H5— 上白石 萌歌 (@moka_____k) September 3, 2023 りくもか。#萩原利久 #上白石萌歌 https://t.co/972DLhKyV5 pic.twitter.com/sFKJEAyyGI— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) September 4, 2023
2023.09.05
TBS「VIVANT」第7話。もうワケワカランw乃木は別班を裏切ったの?一部には「別班メンバー生存説」もあるようですが、もしそうだとしたら、とどめを刺さずに死体を放置したテント側の不手際としか思えない。いまにして思えば、ザイールが口にした「ヴィヴァン」という単語を、乃木がみすみす野崎に教えたのって、あえて別班の存在を勘づかせたに等しいわけで、なんか変だと思ってたのよね~。乃木のほんとうの敵は別班なの?乃木は、意図的に公安を引き寄せたのかしら?あるいは野崎だけを信用して、別班との戦いに引きずり込もうとしてる?野崎への謎のメッセージ。 鶏群の一鶴/凡人の中に一人だけ交じった優秀な人物眼光紙背に徹す/鋭い洞察力で物事の裏側まで見通すかたやCIAは、別班とも公安とも繋がってる感じだし、色々ぐちゃぐちゃしてワケがわかりません。◇それにしても、親子そろって国家に反逆してるよね。父は公安を裏切り、息子は別班を裏切った。いったいなんのために?国家よりも家族のほうが大事なのかしら?同僚の山本のことは「国家への反逆者」として処刑したのに?それとも、島根の乃木家の人たちは、古代における出雲から大和への国譲りを、21世紀のテロリズムでひっくり返そうとしてる?…ってのは、さすがに考えすぎかなあ。そして不思議なことに、乃木も、野崎も、薫も、ノゴーンベキも、なぜか「ジャミーンを守る」という点では一致するのよね。◇どうでもいいことだけど、「ノゴーンベキ」の名は、「ノギゴンベー」(乃木権兵衛)のアナグラムと思ってましたが、ぜんぜん違いましたwwwモンゴル語で、「緑(ノゴーン)の魔術師(ベキ)」の意味らしい。砂漠地帯を楽園に変えた英雄の尊称のようです。それから、乃木の二重人格も、別班の「心理戦防護課程」の賜物かと思ってましたが、これも違ったみたいです…。どうやら幼少期の過酷な経験が原因だったようで、ちょっと「イマジナリーフレンド」にも似てますね。◇…それはそうと!ノゴーンベキは、自分の息子が丸菱商事の社員なのを知らないのかしら?乃木は、島根で出自を確認したうえで、きちんと本名で生活してるわけだから、ノゴーンベキがそれを把握してても不思議じゃないよねえ。かりに日本を標的にテロ活動をしてるなら、そのぐらいの情報は把握できているのでは?//TBSドラマ #VIVANT と世界 #ふしぎ発見 がコラボします💥📣\\ナント!ドラマ出演者がミステリーハンターに挑戦👩🚒✨舞台はもちろんバルカ…もとい、モンゴルです🔥🇲🇳オンエアは9月16日よる9時!╭━━━━━━━╮🔴ぜひ見てネ♪⚫️╰━━━━━v━╯(^O^)📱ˊ˗@TBS_VIVANT pic.twitter.com/2N2xkQRGHC— 世界ふしぎ発見! (@fushigi_hakkenP) August 27, 2023
2023.08.28
#ナンウマ。第3話。やっぱり不思議な話です。いろいろ分からないことが多い。でも、それが人間の複雑さ、人間関係の複雑さってことかもしれない。◇とりあえず主人公は、いろんなことがトラウマになってるのですね。電車の飛び降りを目撃したのもトラウマ。バイク事故に遭ったのもトラウマ。江田に「お前が死ねばよかった」と言われたのも、親友のはずの瑞貴に淑女協定を裏切られ、さらに「消えて」とまで言われたのもトラウマ。今後も、いろんな人と再会するたび、過去のトラウマが蘇るのだろうな。◇トラウマを思い出すたびに過呼吸になって、心も体も疲れ果て、社会生活が送れなくなって、引きこもってしまったのかしら?こういう人は、みんなと仲良く平和的にしたい、と願うあまり、かえっていろんなことに傷つきますよね。主人公は、とかく他人に合わせてしまう性格みたいだし、もっと自分本位になれれば、多少のことで傷つかずに済むのかもしれない。まあ、難しいことだけれど。◇母親の不倫、両親の離婚、引越し、それから瑞貴の父親の暴力についても、まだ描かれてないことはありそうです。一方、雨宮については、なぜ主人公をバイクで連れ出したのか?なぜ自分のストーカーを秘書として雇ってるのか?…などの謎もあるし、彼が江田に語った、「女性が嫌いなのは彼氏を紹介したときに媚びる女 友達の彼だろうが旦那だろうが欲しがる女」との考えも、ちょっと意味深です。◇肝心の「生まれ曜日」についての話が、いったいどこに着地するのかも分からないけれど、主人公が電車にトラウマがあり、バスしか利用できなくなったことが、The Holliesの「Bus Stop」を主題歌にしていることと、何がしか関係するのだろうとは思う。今回も最寄りのバスストップが出てきましたね。 川草9丁目。
2023.08.24
#ナンウマ。たてつづけに第2話。シリアスな雰囲気はなくて、ほぼコメディ。◇やっぱり千葉から東京に引っ越したのだね。でも、結局、引っ越しとひきこもりの理由はよく分からない。事故のせいなのか、失恋のせいなのか。両親の離婚(母の不倫)のせいなのか。あるいは親友とのあいだに何かあった?それから、サッカー部のもうひとり、城崎健人(濱正悟)はまだ登場していない。◇まあ、人間の行動原理なんて、ひとつの因果関係じゃ説明がつかないしね。とくに思春期のころは。それどころか、現在の主人公も、最優先事項がアガサのフィギュアだったりして、いまいちよく分からん(笑)。逆にいえば、人間って、意外なことで生きていけるのかも。◇ドビュッシーへのこだわりも謎だし、産まれた曜日の話が、ドラマ全体を貫く鍵になるのかどうかも謎。いろいろと不思議な話になってきてます。この会議も、なんだかんだで楽しそう…?多少の不幸があっても、自分が物語の主人公だと思えば、それ自体が生きる力になるのかもしれませんね。これが江東新橋なのかしら? ベンチもあって素敵。 こちらは最寄バス停。
2023.08.20
#ナンウマ。とりあえず第1話。野島伸司かぁ…と思って身構えてて、おそるおそる見はじめたのだけど(笑)、意外に好感触!◇いい意味で民放らしくない?ちょっとNHKドラマっぽい。題材的にも、地味な配役も、視聴率を気にしてない感じもw描写に無駄がなく、必要最小限で、叙述が簡潔なのもいい。セリフはもちろん、ホリーズとかドビュッシーとか、選曲もふくめて隅々まで制御されてるのも、作家性があって満足感が高いです。◇陣内孝則は、ドラマではひさしぶりに見たなー。シシドカフカは、以前と印象が変わって、エキゾチックな雰囲気が薄まりましたね。一瞬、誰だか分らなかった。◇すごく余談ですが、第1話の冒頭を見て、主人公が住んでるのは、川沿いのマンションだったので、なんとなく「二子玉あたり?」と思ったけど、サッカー部のあった高校は、「千葉の谷津東」だと言ってたので、たぶん習志野市なのよね~。飯豊まりえも千葉市出身だし、それで「千葉のお話か」と思いましたが…もういちど第1話冒頭を見直したら、主人公のマンションは、東京スカイツリーの近くで、旧中川に架かる「江東新橋」のそばでした。
2023.08.20
第5話。新興宗教の描写がリアル。たしかに、イエスマンだらけのワンマン会社とか、住民の排斥運動とかのほうが、よっぽどカルトっぽいのかも。まあ、どっちもどっちよね…。◇それにしても、・連続火災・ルミナスソーラー・山原浩喜の滝つぼ水死体・山原展子の自殺・アビゲイル騎士団これがぜんぶ繋がるなら面白いけど、いまのところバラバラとしか思えない(笑)。つーか、何の関連性もなく、ふつうに事故が続いてるだけでは?…って気がしてきたよw警察も捜査してる様子ないし。ただの疑心暗鬼でした!…ってオチも、それはそれで面白いかも。でも、賢作(生瀬勝久)もふくめて、山原姓が多いのは気になるな。◇どうでもいいけど、川口春奈は、同じ時間にモニタリングやってましたね。中村倫也に「裏で足引っぱんないで」とか言われてそうwいつも以上にバキバキの目。
2023.08.19
TBS「VIVANT」。福澤克雄×八津弘幸×堺雅人の半沢トリオ。今回は、自衛隊の諜報組織「別班」と、謎の国際テロ組織「テント」との戦い。もう第5話まで来てますが。◇ずっと乃木(堺雅人)は怪しいと思ってたのよね~。だって、CIAに友達がいるなんて!そうそうありえないし(笑)。※かたや公安はFBIと繋がってる模様。…それはそうと、自衛隊の「別班」は実在するらしい。陸軍中野学校の流れを汲んでるともいわれてて、シビリアンコントロールを逸脱してるとの疑いもある。ドラマの乃木は、なにやら二重人格みたいになってますが、これは諜報員としての訓練を受けた結果なのですね。いわゆる対心理情報課程(心理戦防護課程)。つまり、「表の顔」と「裏の顔」を使い分ける訓練をされている。これは陸軍中野学校でも行われていた訓練です。▶ 中野学校というのは恐ろしい学校国を守る活動といえば聞こえはいいけれど、こうした軍人の訓練は人格破壊を伴うのですよね。平気で嘘をつけるようになる必要があるし、平気で人を殺せるようになる必要もある。乃木は、そのような人間として訓練されている。別班の中枢? 堺雅人とか、小日向文世って、柔和な笑顔と裏腹の悪人を演じることがあるけど、今回も完全にそのパターンです。◇そして…国際テロ組織「テント」のトップが、乃木の父親であることまで判明してしまいました!なんともスターウォーズ的な展開?さながら、米国がウサマ・ビン・ラディンを育ててしまったように、旧日本軍や自衛隊も、大陸の工作活動のなかで、はからずもテロリストを育ててしまったのでしょうか?ちなみに「乃木」という名前は、おそらく乃木希典から取られていると思いますが、(事実、乃木家は島根の出雲源氏から派生しています)彼は日露戦争の英雄なので、この物語もそのあたりまで遡っていく可能性はある。しかし、いちばん可能性が高いのは、戦前に満州国が建設された時代との関わりです。馬賊となった日本人が、大陸での工作活動や独立運動をおこなっていた。馬賊のことは前にもいろいろ書きましたが、▶ 1909年の伊達順之助とイルベガンを考察!このドラマも、戦前の負の歴史をあぶり出すのかもしれません。住良木平吉=お勢さんも登場?! 八津弘幸=おちょやん的にはお家さん。 …余談ですが!ドラムって、まるで4次元ポケットみたいに、何でも必要なものを出してくれますが、名前からして「ドラえもん」がモデルよね(笑)。(手前から)のび太くん、ドラえもん、しずかちゃん。
2023.08.14
池井戸潤の原作は、TBS「VIVANT」のほうかと錯覚しそうですが…今回は、テレ朝「ハヤブサ消防団」のほうなのですね(笑)。◇地方の小さな集落で起きる怪事件に、都会の気弱なミステリー作家が巻き込まれる物語。なんとなく、「舞台設定は横溝正史」で、「主人公は赤川次郎」といったテイスト。両方のいいとこ取りって感じです!中村倫也のビビりキャラは、赤川次郎とか村上春樹的な世界にハマるのかも。◇それにしても、川口春奈の美女力が炸裂してて、とくに序盤では、セリフもないのに、彼女が姿を現すだけで物語がざわつき始めるのね。謎の美女が登場して、主人公がそこに惹かれていくのも、これまたミステリー作品の王道だなと思います。水卜アナもそわそわしてる?(笑)◇第3話の、「自殺した女とその娘」という展開は、ちょっと陳腐な気もしたけど…結局、どういうことなんだろう?「じつは死んでなかった!」ってことなのかしら。川口春奈がその娘なのかな。
2023.08.04
こちらもジャニドラです。たまたま見はじめたら、意外なほど面白かった。脚本もうまいし、映像もきれいで、深夜ドラマとしてはかなり上出来。これなら9時~10時台の放送でもよかったのでは?…と思える内容です。◇いわゆる「偽装結婚」ものなので、題材はさすがに使い古された感があるものの、主演2人のキャラをうまく活かしてる。原作コミックがあるらしいのですが、原作でも、こういうキャラ設定なのかしら?…主人公は、カッコつけてるけど、じつはクズ野郎で、でも、なんとなく憎めない人物。これが菊池風磨の素のキャラクターに近い。菊池風磨って、ジャニーズといっても美形じゃないし、ドラマの主役としては使いにくいと思ってたけど、この役はドンピシャにはまってて、ほとんど彼そのもののようなキャラです。うまいことキャスティングしたなー。…ヒロインは、ちょっとお間抜けなふんわりキャラで、これも長濱ねるのパブリックイメージに近い。個人的には「舞いあがれ」のときの、空気読めない系の姉御キャラのほうが好きでしたが。
2023.08.03
TBS「18/40 エイフォー~ふたりなら夢も恋も~」第2話。妊娠の話はやや先延ばし…って感じだったけど、脚本が巧いので、十分に面白い。◇TBSのいつものラブコメみたいに、取ってつけたような雑なエピソードで埋めてる感はなく、お弁当のエピソードも、誕生日のエピソードも、運送会社の青年のエピソードも、落ち着いたトーンで丁寧に描かれてました。家族不在のまま、若者だけで展開するドラマとも違い、本作では、主人公2人の親が初回から登場しており、(安田顕と片平なぎさ)バックグラウンドがしっかり描かれてるので、そのことも物語のリアリティを高めています。妊娠してしまった若い女性が、すべてを自分ひとりで何とかしようとして、安易な仕事に手を出してしまう展開もリアルだったし、闇バイトの実態もよく取材されていた。第2話は、脚本の巧さが前回より際立ってました。◇父に妊娠したことを打ち明けられなかった主人公は、堕胎できなくなる段階まで話さないと決めたようです。実際、親が子供より正しい判断ができるともかぎらないし、親に話すことが正解につながるとはかぎらないのよね。このドラマの中では、婦人科医がもっとも専門的な知見をもってるはずですが、主人公の父親、40才の上司、そして、その上司の母親をも巻き込みながら、どのような答えが導き出されるかが今後の見どころです。◇ところで、ここ数日のニュースで、「40年間介護した妻を車椅子ごと海に突き落とした」という殺人事件の裁判のことが報じられてます。あの事件は、「孤立出産した若い母親が赤ちゃんを遺棄する」という事件と、構造がとてもよく似ている。つまり、社会的サポートが十分にあれば防げるはずなのに、それが社会の側に足りておらず、個人が自分ひとりで何もかもを抱えようとした結果、取り返しのつかないことになる…という悲劇なのです。◇世間の人々は、「若者には十分な判断力がない」と考えがちだけれど、じつは若者であっても、成人であっても、判断力そのものには大きな差がありません。たとえば詐欺に騙されやすいのも、若者であれ、老人であれ、たいした差があるわけじゃない。悲劇を防ぐために重要なことは、社会的なサポートがきめ細かく整備されていること。そして、それを周知するための、アナウンスや教育が十分になされていることです。それによって個人の未熟な判断を補わなければ、いつまでたっても悲劇は防げない。◇社会が、そのような取り組みに後ろ向きなままでは、同様の悲劇は何度でも繰り返されることになります。こうした事件を、個々人の判断力の問題に還元するのは間違っています。
2023.07.20
TBS「18/40 エイフォー~ふたりなら夢も恋も~」を見ました。なんの予備知識もなく見はじめましたが、こういう内容なんですね…。◇シリアスな話。でも、これは新しい視点だなと思う。TBSのラブコメは、契約結婚の「逃げ恥」のあと、男女の疑似恋愛をいろいろ実験してきましたが、…こんどはシスターフッドの実験なのね。しかも、妊娠・出産をめぐる女性どうしの繋がり。タイトルの「18/40~ふたりなら…」は、18才の福原遥と40才の深田恭子…という二人。深キョン復帰作は、意外に社会的な作品でした。◇志田未来の「14才の母」(日テレ2006年)のときは、ややセンセーショナリズムに堕した感もあったけど、現在は、こういうテーマについて、もっと建設的に考えるべき時代なのかもしれません。なんせ少子化問題にも絡むことだから。…とくに中高生~大学生の出産となると、学校や核家族などの枠組みではサポートしきれないし、何かしら社会的支援が必要なのだけど、現在の日本には、その仕組みがまったく足りていない。…というか、これって学生だけの話じゃなく、たとえ社会人の女性であっても(とくにシングルマザーなどの場合は)何らかの支援ネットワークがなければ、安心な出産はできません。◇そもそも、日本の社会は、(これだけ少子化が問題視されていても)はなから学生の出産を否定してしまう傾向が強い。しかも、中高における性教育の不備のせいで、はからずも妊娠・出産してしまった女性が、赤ちゃんを遺棄してしまう事件が後を絶たない。妊娠を誰にも言えないまま孤立出産をして、赤ちゃんを遺棄し、女性だけが罪に問われる事件が後を絶たない。女性がいつでも相談できる仕組みが社会にあれば、新生児遺棄事件は確実に防ぐことができる。https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_61556b49e4b075408bd2fa55中学校の保健分野では「妊娠の経過は取り扱わないものとする」と記述されています。避妊や中絶の知識も含めた性教育に、義務教育ではなかなか踏み込めない、という状況が生まれているのです。妊娠すると「なぜ避妊しなかったの?」「これからどうするの?」といった言葉を投げかけられます。でも、教わっていない数式は解けないように、性についても、教わらないと分かりません。https://www.joicfp.or.jp/jpn/column/sex-education-2022/文部科学省が2018年に、妊娠を理由に退学させないように通告を出したため、公立の高校では退学にならずに済むことが増えているようですが、私立の学校では今でも妊娠を理由に退学させることもあります。高校を卒業できないと、学歴社会である日本では、お金を稼いで子どもを育てていくことがかなり厳しくなってしまいます。学校側も、妊娠した生徒を卒業までサポートするために配慮する余裕がなかったり、校内での事故で流産するリスクを恐れたりして、学校に通わせる余裕がないという話もあります。環境が整っていないために中絶を選択せざるを得なくなってしまう高校生がたくさんいます。自分の体のことなのに、環境に左右されずにポジティブな選択をすることが難しいのです。妊娠しても、育児中でも、高校で学び続けられるようにすることで、やむを得ず中絶を選ぶ生徒を減らせるのではないでしょうか。https://www.joicfp.or.jp/jpn/column/sex-education-2022/◇このドラマでは、18才の女性が、出産の困難な状況を強いられ、40才で産もうとした女性は、すでに産めない身体になっている、…という設定。これは、かなりリアルな日本の現状です。いかに現行の社会システムが、出産の選択肢を狭めているかが分かる。いわば人為的に「出産適齢期」を狭めているのです。身体的な要因ではなく、社会的な要因によって、出産しにくい年齢層を広げている。こういう社会システムは間違っています。◇どんな年齢の女性でも安心して出産できる環境を作らなければ、現在の少子化問題はけっして解決しません。「望まない妊娠」の救済ももちろん必要だけれど、「望まない中絶」の救済も同じように必要です。…年齢を問わず、望まない中絶をせずに済む社会支援が必須ですが、そのためには、どんなネットワークを構築すべきなのか?資格制とか、認可制とか、有料制とか、そんな面倒な手続きを要するものではなく、もっと気軽な、互助的なネットワークでいいと思うのよね。公共機関でもいいし、町内会でもいいし、お寺や教会でもいいし、婦人科病院でもいいけれど、子供と一緒に母親も受け入れられるような、そして母親どうしを媒介するような居場所があるだけで、出産や子育てはだいぶ楽になるだろうと思う。現役の母親だけではなく、すでにリタイアした人や、若い人たちも交えて、気軽に支え合えるスペースさえあれば、あとは数人の専門家を配置するだけで運営できるのでは?「チート~詐欺師」の上杉柊平と再共演。「舞いあがれ」の葵揚も再共演。浜辺美波の御用達?金沢21世紀美術館。21世紀美術館のヤン・ファーブルとオラファー・エリアソン。#上白石萌音 #上白石萌歌 #浜辺美波 #雲を測る男 pic.twitter.com/ymOSoK80b4— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) January 23, 2022 美術専攻って上白石萌歌?でも、マティスじゃなくてパウル・クレーね。Paul KleeSenecio or Head of a Man Going Senile | 1922Kunstmuseum Basel pic.twitter.com/MtN2X4kai1— Alice Marianne (@_Emmet_Emmet) August 26, 2021#福原遥 #上白石萌歌 #はるんもか https://t.co/TZjBs3Cela pic.twitter.com/XyPyAWHXa7— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) July 13, 2023
2023.07.13
ここのところ、由貴&七瀬の共演とか、萌歌&裕貴の共演が続いてたから、なんとなく2人にも親近感をもってたけど、「やっぱり裕貴くんは川口春奈とお似合いなのでは?」…なーんて勝手に思ってたのよね~(^^;斉藤由貴&西野七瀬山田裕貴&上白石萌歌川口春奈&山田裕貴でも、そういえば「ハコヅメ」で共演してたよね~。本人もいうように、たしかに西野七瀬のほうが、ちょっと年上に見えていた。ちなみに…このシーンはまったく覚えてなかった!— moca (@izoneee112) July 5, 2023西野はスピード結婚タイプらしいけど失敗するそして 2023年が1番大変な年 大丈夫か #西野七瀬 #山田裕貴 #交際報道 pic.twitter.com/Z2YdoXfolM— あ。 (@abcdefghi_1017) July 5, 2023
2023.07.05
テレ朝「日曜の夜ぐらいは…」が終了。思ったほどの波乱万丈もなく、あっという間に最終回を迎えてしまった感じ。しかし、最後は、単純にハッピーエンドのめでたしめでたし…でもなく、そこから先の展開をあえて描かずに、主人公の希望を思い巡らせるだけで終わりました。カフェ経営で生活ができるようになったわけでもなく、この先ずっと経営が上手くいくかどうかもわからない。6人の関係がずっと良好でいられるかもわからない。またバカ父やバカ母が金をせびりに来ないとも限らない。◇この終わり方は、はじめは自分の幸福を信じられなかった主人公がようやく前向きな希望を思い描けるまでに変化した…という意味でもあるけれど、逆に、うがった見方をすれば、じつは脚本家自身も絵に描いたようなファンタジーは信じきれていない…ってことの表れでもあると思う。おそらく岡田惠和は、祈りのような気持ちで書いていたのでしょう。そのせいか、どこか痛切な印象もあった最終回でした。◇もし続編があるのなら、カフェ経営のなかで起こるいろんな難題や、6人の擬似家族的コミュニティのその後の展開を、悲喜こもごもに描いてもいいんじゃないでしょうか。なんなら「渡鬼」みたいにシリーズ化するとか(笑)。…ちなみに、最終回の矢田亜希子はなかなか良かったなあ、と思います。彼女のキャラに合っていて印象に残りました。このシーン、矢田亜希子がどこにいるのか最後まで謎だった… 野原に椅子おいて座ってる人って …います?(笑)
2023.07.05
テレ朝「月読くんの禁断お夜食」最終回。余白がありすぎて、ちょっとボヤッとした話だったけど、主演の2人は可愛かったし、お夜食も美味しそうでした。なぜお兄ちゃんとキスしたかよく分かりませんがw何やら前作のオマージュ的な意味合いもあったらしい。浅香航大×トリンドル玲奈「私たち結婚しました」一方、月読くんとのキスは寸止めでしたがw「禁断のお夜食」が「禁断の朝食」に変わっていて、絵に描いたようなハッピーエンドでしたね。…男性の手料理を、女性に食べさせることの"エロさ"に焦点を当てたのは、なかなか新しい発想だったと思う。井筒昭雄の音楽も可愛くて、とくに最終回のピアノの曲が美しかったのですが、サントラには収録されていないようです。この曲サントラに入っていないみたい。#月読くんの禁断お夜食 #井筒昭雄 pic.twitter.com/avzyx2uBAB— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) June 28, 2023 ◇おなじトリンドル玲奈で、TBS「私がヒモを飼うなんて」も見てました。こちらは、わりと脚本が緻密に構成されていましたが、あまりにもハイセンスな作りを意識しすぎて、やや引きが弱かったかなー…って感じ?主演は井桁弘恵だったのだけど、彼女はあくまで狂言回し的な立ち位置で、メインの物語は、トリンドルとピアニストの昼ドラ的な愛憎劇。わたし自身は、ドロドロの愛憎劇も嫌いじゃないんだけど、物語の核心に至るまでの過程がちょっと冗長すぎた。…こちらもPenthouseの音楽がオシャレで、とくに最終回で流れた「雨宿り」は、ジャジーなピアノが尋常じゃないほど上手かったのですが、調べてみたら、弾いてたのはショパコンのかてぃん!※Cateen(角野隼斗)です。どうりで。ジャズでもさらっと弾けるんだね。Penthouseは、東大出身のシティソウル系バンドとのことで、そのメンバーもすこしドラマに出演していました。※かてぃんは出演しておらず、ピアニストの吹替演奏もしてなかったようです。深夜ドラマは、音楽が意外にオシャレなことが多い。ヴォーカルがやや前ノリ気味だけど。もうちょっとモタってもいいよね。
2023.06.28
NHK「藤子F不二雄SF短編ドラマ」。BSで4月に放送された前半7編が、地上波の夜ドラ枠で放送されていました。星新一に続く、SFシリーズ第2弾?◇藤子F不二雄の世界観をうまく映像化してた、…ともいえるけど、それ以上に感じたのは、実写になっても変わらない原作の個性の強さ。どのエピソードにも、漫画家の強烈な作家性が滲み出ていました。星新一より個性が強いかも。◇星新一のSFは、わりとバッドエンドが多かったけど、藤子F不二雄はハッピーエンドが多い印象。しかも、ものすごく他力本願的なハッピーエンドです。主人公は全員のび太っぽくて、まったくの怠け者。なんの努力もしないのだけど、なぜか棚ぼた的にハッピーエンドに終わる。まさしく「ドラえもん」がそうであるように、ものすごくご都合主義的な世界観(笑)。それが藤子F不二雄の個性なのだなと思う。ちなみに、鈴木福くんはのび太っぽかったし、堀田真由もしずかちゃんっぽかったです。関係ないけど、岡崎体育の「スネえもん」は完全にジャイアンでしたね。スネ夫+ドラえもん=ジャイアン◇最後のエピソードは「流血鬼」でした。人類が死なない吸血鬼になってしまう話。手塚治虫から宮崎駿を経て、吾峠呼世晴の「鬼滅の刃」に至るまで、日本の漫画は人間の《不死願望》を戒めてきたけれど、藤子F不二雄の場合は、未来の技術に対して楽観的なのか、「人間が死ななくなるなら、それでいいんじゃないの?」みたいなところがある(笑)。正直、わたし自身も、鬼滅の刃を見ていると、「死ななくて済むなら、みんな鬼になっちゃえば?」と思ったりします。炭治郎は、鬼の誘惑を拒絶して、「人間は死ぬからこそ一生懸命生きられるんだあ!!」みたいに言うけれど、なんかアナクロ的な精神論に聞こえてしまって、いまいち説得力を感じないのよね。藤子F不二雄の場合は、「みんなで吸血鬼になれば怖くない」って感じ。なし崩し的に、みんなが死なない吸血鬼になってしまう。そういう未来への楽観論は、わたしたちの世代的な価値観にも重なってる気がします。
2023.06.16
テレ朝「波よ聞いてくれ」が終了。個人的には、最後までフザケた展開でもよかったのだけど、最終回は、わりと真面目な内容で、地震発生時の災害ラジオ的なお話でしたね。ちなみに、放送前には、千葉でほんとうの地震が重なってしまった。ドラマで描いた事件や事故や災害が、同じタイミングで現実に重なるのって、わりとよくあることだけれど、ドラマの地震はM6.3、現実の地震はM6.4でした。◇全8話と短かったこともあり、終盤はすこし食い足りなさが残ったかな。とくに第7話は、いかにも「埋め合わせ回」って感じで、いまいちピントの定まらない話でした。血の繋がらない兄妹のエピソードだから、てっきり禁断の近親愛的な話かと思いきや、変な兄と妹のどうでもいいお悩み相談で、しかも刑務官の職業に失礼なオチだったり…。◇ドラマの序盤は、なんちゃってホラーとか、なんちゃってサスペンスが面白かったのよね。ほんとうなら、カップ酒姉さんや監禁女との、殴り合い寸前みたいなラジオバトルを、極限までエスカレートさせてほしかったのだけど(笑)。それと、せっかくコミュニティラジオの話なんだから、地域住民を巻き込んだ人間関係の広がりとか、物語の舞台の広がりがもっと欲しかった。結局のところ、スープカレー屋とラジオ局を往復するだけで、あまり舞台が広がっていかなかったのが残念。◇タイトルの「波」ってのは、ラジオの電波のことだったのでしょうか?海のシーンが全然なかったのは不満です。太平洋の波に叫ぶシーンも見たかったし、砂浜でのセンチメンタルな場面も欲しかった!!ついでにいえば、千葉が舞台なのだから、走り屋とか、ヤンキーとか、サーファーとか、千葉っぽい人たちが出てくると予想してたんだけど(笑)…そういうのって、もう古い??車もバイクもぜんぜん出てこなくて、主人公がチャリンコに乗ってるだけでしたね…(^^;◇最後は「シセル光明」の正体が明らかになり、麻籐の人間性に気づく展開かと期待したけれど、そこらへんは次の機会に持ち越しでしょうか。ジューンブライドラジオってのも、いったいどういうイベントなのか、いまひとつ分からず仕舞いに終わりました。小芝風花をはじめ、キャスト陣はみんな役にハマってたし、原作コミックの連載も続いてるようなので、もし続編があるのなら、もっと軸のストーリーにケレン味が欲しいです。
2023.06.15
テレ朝の「unknown」。なにげに、ずっと見てました。事前の期待度はいちばん高かったのだけど、実際はかなり困惑させる内容だったので、最後まで評価も感想も保留にしていました。わたしは、2年前の「恋はDeepに(恋ぷに)」に熱狂したので、徳尾浩司の脚本には期待していたわけですが、今回は、だいぶテーマが分かりにくかったのよね。◇日テレの「恋ぷに」の場合は、人魚姫の物語で、テーマは《環境問題》でした。物語の中盤までは、人魚姫の設定が伏せられていましたが、人魚が海洋保護をはたらきかける必然性はあったし、人間と人魚との悲恋にも必然性がありました。ただし、物語の終盤が尻すぼみで、大きく失望しましたが…。◇今回の「unknown」は、序盤から吸血鬼設定が明らかにされたものの、ぜんぜん恋愛の障壁になってなかったし、サスペンスに結びつく必然性もよく分からず、ただ下らない「吸血鬼ネタ」に終始している印象で、何のための吸血鬼設定なのかが不明瞭でした。ようやく最終回になって、「unknown」というタイトルの意味も明らかになり、ドラマのテーマが《他者理解》であると分かりましたが…そこまでの過程が無駄に長すぎたかも。奇しくもNHKでは藤子F不二雄の「流血鬼」。◇ドラマの作風は、荒唐無稽なファンタジーとお馬鹿なコメディに、お耽美なラブ要素とキスシーンと、美しい映像と音楽で彩られる猟奇的サスペンスが、無節操に交錯するという珍妙なスタイル。一言でいえば「変なドラマ」だったのだけど、こういう変なドラマって、脚本よりも演出力に負う部分が大きいので、ドラマの良し悪しも演出にかなり左右されていた。個人的には、金井紘の担当した第4話と第8話が、コメディの面でも美しさの面でも優れていたと思います。とくに第8話の養護施設のシーンは美しかった。河野伸とRADWIMPSの音楽も美しかったです。それに対して、瑠東東一郎が担当した回は、まったくわたしの性に合わず!とくに、無意味に挿入される思わせぶりなスローモーションは、見るたびにイラっとして不愉快なだけでした。総じていうと、この作品に「おっさんずラブ」のテイストは不要だった気がする。◇最終回では、吸血鬼の怪力設定が無意味になったり、結婚式での謎の余興台本が出てきたり、首を傾げるような部分もかなりありました。20年前の一家惨殺事件が、はたして一条彪牙の犯行だったのかどうか、なぜ彼がとつぜん結婚式に姿を現したのか、それも最後まで謎のままでしたが…崖から海へ転落しても死ななかったのは、きっと彪牙と虎松の父子が「ハエ男(fly man)」だからですね。ポーの一族というよりも、サリーちゃんのパパとママ。— 徳尾浩司(Koji TOKUO) (@tokuo) June 13, 2023
2023.06.14
月読くんの禁断お夜食。風邪ひいたときのカムジャタンが、過去一おいしそうだった!
2023.06.04
テレ朝の深夜ドラマ「月読くんの禁断お夜食」。話の設定はバカっぽいけど、毎回の "禁断お夜食シーン" は、見てて楽しいし、癒されてますいろんな男子がチヤホヤしてくれた上に、最後は美味しいものまで作ってくれるという、究極の甘やかしドラマ(笑)。ここでいう禁断とは、「禁断の食」と「禁断の恋」のダブルミーニング。食べちゃいけないのに食べてしまう…。恋しちゃいけないのにトキメいてしまう…。いわゆるムズキュンの寸止め感ですね。◇月読くんの兄には、「主人公をジムにスカウトする」という魂胆がありますが、かたや弟の月読くんのほうには、何らの邪心もない。…ってことらしい。ふつうに考えたら、魂胆のある兄のほうがよっぽど正常だし、むしろ、何の邪心もないのに、お夜食を作るためだけに、家にあがりこんで料理してる弟のほうが変だけど…(笑)とはいいつつ、なぜか萩原利久のキャラだと、不思議と違和感なく見れてしまう。これは、たぶん彼独特の個性。いわゆる「王子キャラ」ともちょっとちがう。さしずめ、天使キャラというか、妖精キャラというか、CMでいうと「ビューネくん」みたいな感じ?◇じつのところ、プライベートの利久も、ぜんぜん男っぽさを感じさせないキャラらしく、萌歌と環奈と3人でディズニーランドに行ったりしてるし、ちょっと不思議系っぽいのよね(笑)。萌歌のラジオにゲスト出演したときには、趣味が「缶蹴り」だと言ってましたが。…少年かよwちなみに彼は子役出身だから、もう10年以上も俳優のキャリアがあるのだけど、今回は、あえて素人っぽい演技をしてるように思う。そこがまた、絶妙な癒しポイントです。利久、萌歌、環奈。なにげに萌歌も少年ぽいです(笑)。
2023.05.23
テレ朝、小芝風花の「波よ聞いてくれ」。今夜は第5話が放送されますが、見れば見るほど、理想的な海岸系ドラマ。季節外れの猛暑もあいまって、ちょっと夏を先取りした気分になれる。原作コミックは連載が続いてるらしいので、ドラマのほうもシリーズ化が期待できる?ちょっとイナたい感じが好き。海辺のローカルラジオ局という設定がいいし、願わくば、砂浜のシーンも見たいのよね。◇登場人物が、全員テキトーなのが笑える。根性わるそうなカップ酒姐さんとか、あぶない感じのアンニュイお姉さんとか、いかにも港町の女って感じ(笑)。そこに、なんちゃってホラーとか、なんちゃってサスペンスが組み合わさるのも楽しい!…ちなみに、このふたりが似すぎてて双子に見えるんだけど、なにか意図的なキャスティングなのかしら?◇小芝風花は役にハマりすぎてますが、もう元のキャラに戻れないのでは?加野屋の箱入娘の面影はどこにもありません(笑)。初回のときから、なんか格闘家っぽい体型だと思ってたけど、ほんとに格闘しはじめたらアクションもキレキレ。…と思ったら一人二役?つーか、白岡千代さん?◇この実写化に小芝風花を起用したのはスゴい。常識的には思いつかないキャスティングですよね。いったい誰が考えたのかしら?まちがいなく、今季の主演女優賞候補です。個人的には、物語の舞台を、北海道から千葉に移したのも正解だと思ってます。悲しみよこんにちは/平野綾
2023.05.19
テレ朝「日曜の夜ぐらいは…」の第3話を見ました。かなり面白かったです。◇岡田惠和のドラマって、「良い人ばかりが出てくるユルい話」ってイメージが強いんだけど…(笑)今回ばかりはすこし違うかも。ほとんど、宝くじサイコホラーでしたね。1000万円の宝くじが当たったことで、ひたひたと忍び寄ってくる不幸の予感。あんなにも警戒してたのに、気持ちがちょっと浮かれただけで、いろんな誘惑が近づいてきて、金のニオイを嗅ぎつけた親族とかも、つぎつぎに寄ってくるのよね。なんか、すごくリアルでした。1000万円の通帳残高が、1万円ずつ減っていくだけでも、じわじわとした恐怖を感じました。宝くじのエピソードだけで、これだけの物語を仕立てたのは秀逸です。◇実際、1000万円ぐらいじゃ、たいした贅沢なんてできないよねえ。1日に1000円ずつ使うのなら、まあ、30年ぐらいはもつけど、1日に1万円ずつ使ったら3年で終わり。その間に、元の自分を取り戻せなくなることが怖い。◇それにしても、宝くじの引き渡しって、あんな感じなんだなー。その場でポンッとくれるのかと思ってたけど(笑)、2回は銀行に出向かなきゃいけないわけね。
2023.05.15
テレ朝日ナイトドラマ「波よ聞いてくれ」。◇面白かったです。けっして一般受けしそうな内容ではないし、小芝風花のキャラ変に馴染めない人もいるだろうけど、わたしはさほど気にならない。このドラマの世界観が好きです。海辺の町のローカルな雰囲気に惹かれるのよね。昔でいうと、長瀬智也の「彼女が死んじゃった」とか、もっと遡れば、斉藤由貴の「湘南物語」みたいな感じ。そういえば、片岡鶴太郎の「海岸物語」とか、中井貴一と小泉今日子の「最後から二番目の恋」とかも、海辺の町が舞台でしたね。◇このタイトルを見て、てっきり横浜が舞台かと思ってましたが、そうではありませんでした。第1話に「舞波町」という地名が出てくる。別れた男は九州男児。主人公は釧路出身。アルバイト先はスープカレー屋さん。Wikipediaによると、原作漫画は札幌が舞台とのこと。でも、札幌に海はないし、一体どこなの?…で、よくよくTVerを見直してみたら、「千葉県沙村市高崎区舞波町」が舞台と分かりました。これは実在しない地名なのですね。原作者の名前が「沙村広明」なので、そこから作った架空の地名だろうと思います。あんまり千葉っぽさは感じないけれど、まあ、架空の港町だと思えばいいのかもしれません。◇原作は読んでいませんが、海辺の町の人間模様を描く物語になるのかな。それほど暗い話にはならなそうだし、気軽に雰囲気を楽しみたいと思います。それにしても、小芝風花は、意外にグラマーなのでびっくり!つーか、けっこうガタイよくね? 肩のあたりとか。彼女がフィギュア選手だったのは知ってますが、なんか格闘家みたいな体型だと思いました…(笑)。
2023.04.25
テレ東「今夜すきやきだよ」が終了。もともと2人が一緒に住んでた部屋は、家賃の8割をアイコが負担してたから、彼女が結婚して出ていったら、家賃はどうするんだろう?と思ってたけど…まず、アイコは、結婚してまもなく出戻ってきて、いわゆる「別居婚」をはじめましたよね。その後、出産と子育てをきっかけに、ようやく夫婦生活を再開した。その頃になると、トモコのほうも、自分ひとりで家賃を払えるようになったらしく、アイコ名義だった部屋を自分名義に変更しました。◇アイコは、ドラマの序盤で、≫ 恋愛とか結婚に、家事能力ってマストなの?≫ 楽しい会話と幸せなセックスがあればOKじゃないの?と言ってたので、きっと彼女には「通い婚」が合ってるよね~。と思ってたんだけど、…アイコが最初に選択した別居婚は、まさに「通い婚」みたいなものでした(笑)。いまどきの別居婚ってのは、もともと一人暮らしをしていた男女が、その住居を変えないまま婚姻関係を結ぶことなので、平安貴族みたいに、あっちこっちの女のもとへ通うわけじゃないけど、まあ、これも一種の「通い婚」と言えなくはない。双方に経済力があって、生活スタイルも確立してるなら、あらたに部屋を借りて同居をはじめるよりも、従来の生活をたがいに維持するほうが楽なのでしょうね。上沼恵美子みたいに、もともと連れ添った夫婦が、婚姻関係を解消せずに別居することも、(たんに離婚の手続きが面倒だから?)最近では「別居婚」と呼ぶらしいのだけど、その場合にも、やはり経済的な余裕は必要です。◇もちろん同居するほうが経済的には安上がり。しかし、別居婚は、緊急時非難などのセーフティネットにもなるし、人間関係やサービスの多用な選択肢も確保できるし、経済的に余裕があるのなら、生活スタイルもそのほうが安定的な気はする。DVも発生しにくいかもしれません。ちなみにアイコの場合は、結婚を機にトモコと同居していた部屋を出て、いったんは夫の家に引っ越したけれど、すぐに出戻ってきた後は、逆に夫のほうが同じマンションに部屋を借り、同一マンション内での「別居婚」となりました。それでも、それぞれが支払う家賃の総額は、さほど変わらなかったわけですね。トモコはもともとルームシェアだったし、夫も、もともと独り暮らしだったから。一般に、「別居婚」は生活費が倍になるはずだど、それは双方が一人暮らしをすればの話であって、それぞれがルームシェアや実家住まいなどをすれば、意外に安上がりな「別居婚」もありうるってこと。◇若い夫婦が「別居婚」をする場合、子供をどこで育てるかという問題が出てくる。アイコは、夫婦で子育てをする一般的な生活を選びましたが、たとえば、トモコとのルームシェアを維持したまま、そこで子育てする選択だってあり得なくはなかった。トモコも、アイコの子供が可愛くて仕方ない感じだったし、夫が育休を取るよりも、トモコに謝礼を支払って手伝ってもらうほうが、かえって合理的だった可能性もあります。実際、妻が実家に住むような「別居婚」なら、そこで両親と一緒に子育てをすることになる。◇ルームシェアをしていたときに、アイコが生活費を稼いで、トモコが家事を担当したように、それぞれが得意な役割を分担するという発想に立てば、昔の上流家庭における乳母や家政婦みたいに、夫婦の外部で子供を育てていく選択があってもいいと思う。外部に委ねることを「夫婦の責任放棄」と非難すべきじゃない。子供にとっても、核家族のなかで育つことが幸福だとは限らないし、むしろ開かれた人間関係のなかで育つほうが健全かもしれない。実際、子育てにおける「夫婦の責任」といっても、現実に子育てをするのはたいてい妻一人なのだから、それは共依存の不健全な母子関係に繋がりかねないし、かえって非合理な環境での子育てというべきです。すべてを夫婦の内部で完結させるのではなく、「別居婚」によって多用なネットワークが活かせるなら、そのほうがはるかに合理的。それは子育てのみならず、生活全般について言えると思う。◇ところで、アイコが出産するかどうか迷ってた時期がありましたが、あのときの夫との会話を聞いてたら、現在の夫婦が「子供をもつ動機」の弱さを、あらためて感じてしまいました。国家レベルでいえば、「少子化対策ために子供が必要」という理由ははっきりしてるけど、個人レベルでは、子供を必要とする理由って、ものすごく弱い。せいぜい、「子供が好きだから」とか、「家族を作りたいから」とか、そういう感情的で漠然とした動機しかない。あとは「出来ちゃった」という結果論でしょう。昔のように、「跡継ぎが必要」とか、「働き手が必要」といった明確な動機ではありません。アイコの夫は、「子供がいたほうが楽しそう」と話してましたが、それってペットを飼うときの動機と大差ないし、生まれてくる子供にとって幸福なのかも疑問に感じる。むしろ、出産のリスクや、キャリアへの影響や、生活上の負担、経済的な負担などを考えれば、子供を産まない選択のほうが合理的に思えてしまう。◇国家レベルでは「子供を増やす選択」が合理的なのに、個人レベルでは「子供を産まない選択」のほうが合理的。つまり、マクロとミクロの利益は相反する。若い世代からの財政収入を当てにしつつ、子供への財政支出はしないという発想が変わらない限り、この矛盾はけっして解消されません。結局のところ、子供は社会が産み育てていかなければならない。その負担を個人に負わせている限り、この矛盾はけっして解消されない。◇出産の必然性どころか、結婚の必然性さえ、どんどん目減りしています。今回のドラマで明らかになったのは、同居する人との生活上の相性が、セクシャリティやジェンダーとは無関係だってこと。たとえセックスをする相手が異性でも、生活上の役割分担は同性が相手のほうがいいこともある。逆に、アロマアセクの人であっても、疑似結婚のような生活があったほうがいい場合もある。ジェンダーの点からいえば、女性のほうが外で働いて、男性のほうが家事や育児をするのが合理的なこともある。だとすれば、女性の苗字は変えないほうが好都合だったりもする。同性婚や夫婦別姓に反対してるのは、おもに「統一教会」系の保守政治家ですが、これがいかに結婚や出産の妨げになっているかが分かります。◇国は、少子化だけでなく、そもそも未婚率が深刻だと思ってるでしょうが、個人の視点で考えれば、結婚という選択は、セクシャリティの相性だけでなく、ジェンダーの壁を乗り越えて相性を測るのも困難でめんどくさいし、生活スタイルを変えることや、キャリアを失うことのリスクも大きいし、むしろ結婚しない人生のほうが安定的に思えてしまう。こういうことは、学者や、政治家や、官僚が、たんに机上で数字の計算だけをしても解決しません。それが現代の「現実」だと思います。◇◇◇…さて、話はぜんぜん変わりますが!トリンドル玲奈は、NHKの「わたさば」で丸山礼と仲良くなったらしく、民放の旅番組では秩父でふたり旅をしてました。年齢はトリンドルのほうが6つ上らしいけど、二人の関係性がNHKのドラマとほぼ同じだったので、それが可笑しかったです。◇…こういうことを書くと、最近は「差別だ」と言われるかもしれないけど、トリンドル玲奈みたいなフランス人形みたいな人が、家でエプロンしてご飯作って待っててくれるって、それだけで、今回のテレ東のドラマの設定は、おとぎ話みたいなファンタジーだったのよね(笑)。こんどは、萩原利久とのドラマがはじまるようなので、それもちょっと気になってます。甲田まひるの曲もすこし漁りました。アジアンポップとヒップホップがうまく融合してる。
2023.04.04
Eテレの「すイエんサー」が終了。女の子のための理科番組って感じで、コンセプトが面白かったし、子供だったら真似したくなる実験をやってました。14年間も続いたってことで、番組の視聴者のなかには、ほんとにリケジョになった人もいるでしょうねえ。◇最後の「知力の格闘技」は、すいチームがエリート大学チームに勝ってましたが、まぐれ当たりじゃなく、安定的な実力で圧勝してる感じが凄かったです。前にも書いた奥森皐月とか、由貴ちゃんのミスマガの後輩にあたる豊田ルナとかが、(↑この人はなんとなく若いころの薬師丸ひろ子に似てます)このチームにいたけど、やっぱり頭よさそうなのよね。◇過去のすイガールには、清野菜名とか、福原遥もいたとのこと。ちなみに「すイエんサー」って、「サイエンス」のアナグラムだったことを、いまになって、はじめて知りました(笑)。奥森皐月と豊田ルナ。向かい風に負けず飛行機を飛ばそうとする福原遥。隣はガッテンの山根千佳。すでに舞いあがろうとしてる。
2023.04.02
TBS「夕暮れに、手をつなぐ」が終了。最終話は、神回だったかも。美しい映像と良いシーンの連続だったから、夢中になってのめり込んでしまいました。第1話と最終話だけを見れば、ファンタジックで美しいラブストーリーだったともいえる。◇北川アンチの視聴者は、彼女のドラマを、「古臭いバブル期の恋愛ドラマ」だと侮蔑するけれど、それは言いがかりの面もあって、「半分青い」や「ウチカレ」は、すくなくとも恋愛を成就させるためのドラマではなかったし、作品のテーマも恋愛とは別のところにあった。だから、わたしは今回も、「世界で一番美しいラブストーリー」なんてのは、おおかたミスリードのキャッチコピーだろうと踏んで、これは実際は恋愛ドラマではなく、ヒロインの恋愛も成就しないと予想してました。しかし、終わってみれば、わりと王道のラブストーリーでしたね…。◇わたしは、最後の最後まで、これは恋愛ドラマではないと信じてたので、むしろ重要なのは、自傷メンヘラ同性愛少女のセイラの存在や、娘を捨てた母親の存在なのだろう、と考えてました。つまり、空豆や音が、セイラや母親の苦悩にどう向き合うかが、この物語の最大の肝だと思っていた。しかし、空豆に対するセイラの愛が明らかになったのも、母親と空豆の再会が果たされたのも、すでにラスト近くだったから、そこから後は、さしたる波乱もなく、セイラの「妹」や「自傷」や「同性愛」の問題も、母親の「苦悩」や「後悔」の問題も、娘との「葛藤」や「和解」の過程も、とりたてて深く突きつめられることはなく、あっさり落とし前がついちゃった感じ。たとえば、序盤の爽介だのアリエルだのの話を割愛して、あと2~3話ぶんくらい物語を前倒しすれば、もっと深い内容にも出来ただろうけど、結局のところ、セイラの存在も、母親の存在も、空豆と音の恋のダシでしかなかったっぽい。誰か、優しくしてくれる人に会いたい。セイラみたいだ。セイラの家の事情や、嘘の理由、弱く震える心、オンエアではカットされたものが、たくさん入ってます。セイラはおかしな人ではないです。 https://t.co/TDhCpVsShs— 北川悦吏子 (@halu1224) April 1, 2023 ◇シュガーベイブの音楽だとか、ナミビアのYoutube動画だとか、なにやら気まぐれに挿入されたような要素も多く、まるで一筆書きみたいな脚本だと思えたし、北川悦吏子も、さかんに「体調が悪い」と言ってたので、もしかしたら、体力や精神力がもたなくて、全体の構成を考えたり、細部の吟味や推敲をする余裕がなく、ほんとに一筆書きで書いてるんじゃないの?…とも疑ったのだけど、まあ、王道的なラブストーリーとして考えれば、全体の構成もこれで間違ってなかったのだろうし、ジャニヲタを喜ばせるためのドラマとして見れば、むしろこれこそが正解だったのかもしれません。やっと仕事部屋の整理。空豆の言葉も音の言葉も全部捨てる。思いつくとこうして、打っておく。実際、使えるのは10分の1。バイバイ、夕暮れー。 pic.twitter.com/VFVhriPB0j— 北川悦吏子 (@halu1224) April 1, 2023◇しかし、肝心のラブストーリーも、いまひとつ説得力に欠けたのは否めない。そもそも、空豆と音が、いつお互いのことを好きになったのか、正直、あまりよく分からないし、二人が一緒の下宿で過ごした期間は、設定上どのぐらいの長さだったのか分からないけど、体感的には、さほど長くなかった気がしたし、たしかに二人でじゃれあったりはしてたものの、それで恋愛感情が育まれたようには見えなかった。爽介やアリエルの存在は、いわゆる「三角関係要員」だったのでしょうが、その三角関係をのりこえて、空豆と音の恋愛感情が高まった…とも、あまり思えない。◇広瀬すずは、たしかに空豆のキャラになりきってたけれど、その「恋」にのめり込んでるようには見えなかった。…というより、こんなことを言ったら身も蓋もありませんが、ぶっちゃけ、広瀬すずって、そこらのイケメンよりもずっと男前で、恋愛への興味や、異性への興味が乏しいように見えるのよね。もしかしたら、北川悦吏子もそれを見越したうえで、空豆のキャラクターを作ってたかもしれないけれど、それにしても、空豆の恋愛には、いまひとつ説得力が乏しかったと思う。◇そもそも、「北川悦吏子の脚本で広瀬すずのラブストーリーを作ろう」と考えたのは誰だったんでしょうね。脚本家自身だったのか。広瀬すず側の事務所だったのか。あるいはTBSのプロデューサーだったのか。いまさらだけど、そのコンセプト自体に無理があった気がしないではない。現在の広瀬すずは、あまり恋をしそうな女性には見えないからです。北川悦吏子は、ほんとうにラブストーリーが書きたかったのかしら?そして、広瀬すずは、ほんとうにラブストーリーに出たかったのかしら?◇とはいえ、今回の作品にも、北川ドラマの魅力は随所に感じられました。たとえば、ファッションデザイナーの遠藤憲一なんて、ほかではなかなか見られないし、もともとエンケンは上手い俳優だと思うけど、このドラマでも彼の上手さは際立っていた。最終回での、空豆と久遠のダイアローグも素晴らしかった。東京に戻ってこねえか?もったいないじゃねえか、せっかくパリで成功したのによ。おいは、ファッションもデザインも、よう分からんくなってしまったとよ。何のために誰のために作っとるのか、よう分からんくなってしまった。作ることにときめかなくなってしまった。心あるデザイナーなら、いちどは通る道だ。ここがまだ途中やと言うとですか?お前のデザインには力がある。世界中の人に着てもらいたいと思わないのかよ。おいは目の前の人が幸せになるのが見たか。まったく、おまえ正真正銘のバカだな。そんだけ才能あんのによ。それ神様のギフトだぞ。神様に何をどう貰っても、どう生きるかはその人の自由よ。人間も生まれて死ぬなら、ファッションは一瞬の夢だよ。だからこそ美しいんじゃねえか。そうじゃ。でも、もうええと。俺には負け犬の遠吠えにしか聞こえないけどな。人生を戦うために生まれてきた人と、楽しむために生まれてきた人がおると。おいは楽しむために生まれてきた。先生とは違う。こん服、おいが作ったとよ。よかデザインやろ?このリボン、みんな真似して作りよらす。このリボンのデザイン、片方が短いんだな。それを人が真似して作るとどうなる?両方同じ長さにしてくんじゃないのか?それ、おまえ気になんないのか?片方だけもう少し短くしてくんないかなとかって思わないのか?思う。それが神様のギフトだ。お前に与えられた才能だよ。生きていくのが楽しいだけのやつなんているかよ。俺そんなの信じないね。どう生きたって楽しいだけなんてあるわけがない。楽しみながら戦うんだよ。なあ、もういちど東京でやり直さないか。いや、おいはもう自分の道ここで見つけましたんで。そっか。これぞダイアローグって感じ。どちらが正しいわけでも、どちらが間違ってるわけでもない。どちらの言い分にも理があるのよね。◇はじめて見た俳優ですが、黒羽麻璃央も美しかったです。やっぱり北川悦吏子は、優しい男のエレガントな魅力を引き出すのが巧い。トヨエツや佐藤健はもちろん、中村倫也を見出したのも北川悦吏子ですよね。◇わたしは、てっきり中村倫也のことを、仮面ライダー俳優か何かだと思っていた(笑)。でも、今回の報道などを見ると、やっぱり最初の大きなブレイクは、朝ドラの「半分、青い」だったようです。わたしは、とくに彼を意識して追ってはなかったけど、「崖っぷちホテル」とか、「凪のお仕事」とか、「美食探偵」とか、「岸辺露伴」とか、「石子と羽男」とか、中村倫也の主要な作品を意外に押さえていた。さらに調べてみたら、「風のハルカ」とか、「神はサイコロを振らない」とかにも出てたのね。ぜんぜん覚えてませんが(笑)。朝ドラの「風のハルカ」に出てたってことは、大森美香も、彼の魅力を見抜いていた可能性が高い。脚本家の能力って、そういうところに出ます。
2023.03.31
読売テレビ「しょうもない僕らの恋愛論」 が終了。ほとんどの視聴者は、拓郎と絵里が結ばれるとか、くるみと悠が結ばれるとか、そういう結末を予想したと思うけど、…ぜんぜん違いました。かといって、絵里は古舘の息子と結ばれるわけでもなく…。わたしは見ていませんが、Huluでは「10.5話」が配信されていて、そこでは、どうやら、くるみと悠が結ばれ、絵里と古舘の息子が結ばれる、…みたいな方向に展開してるらしい。実際、くるみと悠にかんしては、高校生の男女があんなにいつも一緒にいるのに、ぜんぜん異性として意識してないってのが、さすがにちょっと不自然ではありました。そのHuluの「10.5話」を見るかどうかは、視聴者がそういう結末を望むかどうかでもあり、有料コンテンツへの誘導という面もあると思うけど、わたしとしては、地上波をあえて未完に終わらせたことの意義を感じました。◇前回までの絵理は、20年もの片思いをしてきたわりに、ずいぶんと拓郎に無理難題を要求していて、くるみ(あるいは安奈?)への嫉妬も相俟ったのか、拓郎の想いが自分へ向いてないことに苛立ち、結局は、自分で身を引いてしまったように見える。かたや、くるみのほうは、高校卒業から数年経っても、ずっと拓郎への一途な想いが変わらず、もう成人してもいるので、そのままいけば結ばれそうな雰囲気だったし、わたしもそういう結末で納得しかけたけど、…結局は、こちらも結ばれずに終わりました。拓朗は、最後まで安奈が好きだったわけですね。しかし、いったんは絵理の想いを受け入れました。ただし、くるみの想いは最後まで受け入れなかった。そこには、やはり年齢の問題があったと思う。◇悠がくるみに言ったセリフに、「まともな恋愛をしろ」という一言があったけど、拓郎もまさに、その分別にしたがって、絵理との恋愛は受け入れる一方、くるみとの年の差恋愛は避けたように見えます。つまり、絵理との恋愛は「まともな恋愛」だけれど、くるみとの恋愛は「まともじゃない恋愛」ってこと。そういう年齢的な自制をかけていたのですね。しかし、「まともな恋愛」っていったい何でしょう??◇ドラマを見ている視聴者は、「お似合いの男女」が結ばれることを無意識に望むし、それにしたがって、拓郎と絵理が結ばれるとか、くるみと悠が結ばれるとか、そういうことを望みます。その視聴者の願望に沿うのがドラマの予定調和でもある。現実においても、「誰と誰はお似合い」だとか、「誰と誰はくっつくべきじゃない」とか、外野の人間が、当人の気持ちとは無関係に、「あるべき恋愛」や「まともな恋愛」について、好き勝手なことを言いがちです。つまり、何が「まともな恋愛」なのかを、当事者ではなく、世間が決めてしまうのよね。親や友人でさえ、当人の気持ちを無視して、勝手な助言で恋愛の邪魔をするものだし、しまいには当人も周囲の考えに左右されてしまいます。恋愛ドラマも、その観念に沿って作られることが多い。でも、何が「まともな恋愛」かなんて、本来なら他人が決めることじゃないし、誰と誰が「お似合い」とか「お似合いじゃない」とか、はっきりいって余計なお世話なのよね。◇…まともな恋愛とは、いったい何なのか。それこそ、矢田亜希子が押尾学と結婚したときには、わたしも正直「どうなんだろう?」と思ったし、その結婚が破綻したときには、「ほら言わんこっちゃない」と思ったけど…今だったら、そういうことは考えない。だって、そんなことは当人の気持ちの問題だし。結果的にそれが破綻するとしても、外野がとやかく言うべき話ではない。たとえお似合いの男女でも、破綻するときは破綻するし、たとえ不釣り合いな男女でも、上手くいくときは上手くいく。恋愛において、何が「まともな恋愛」だとか、誰と誰が「お似合い」とか「お似合いじゃない」とか、そんなことは他人や世間が決める話じゃないし、それは年の差恋愛についても言える。◇ドラマの設定だと、くるみが17才のときに拓郎が41才で、くるみが20才になると拓郎は44才で、くるみが25才になると拓郎は49才です。もちろん、年齢の差は埋まらないけれど、徐々に恋愛の許容量は増す気もする。あとは当事者の気持ちが持続するのかどうかの問題。地上波の物語をあえて未完にしたのは、そういう含みをもたせる意味もあったように感じます。ちなみに、このドラマは、原作者が男性で、脚本家はほぼ女性。演出家は、2人が男性で1人が女性。とくに松本花奈は、弱冠25才の若い演出家ですね。おそらく制作陣のあいだでも、年齢や性別によって、物語の見方や考え方が違うだろうし、そこもちょっと興味深いところではあった。◇◇◇余談ですが、三角テーブルって、何の伏線でもなかったのね(笑)。てっきり3人が疑似家族になるのだろうと読み違えました。さらに、漫画家のワカタマコは、「ワカタ・マコ」なのか、「ワカ・タマコ」なのか分からなかったけど、そもそも女性じゃなくてキム兄だったというオチ!◇なお、このドラマは神保町を舞台にしていて、神保町シアターがたびたび出てきました。絵里と悠は、マキノ正博の「鴛鴦歌合戦」を観てました。オープニングのテーマ曲も、なにやら小津安二郎っぽい雰囲気があって、もしかしたら制作陣のなかに映画オタクがいたのかも。矢田亜希子って、実際はお金持ちヤンキーみたいな人だから、プライベートな実像と、演じるキャラに乖離があるけれど、昔から、小津映画の原節子みたいに、良家のお嬢様的な役を演じてきた面があって、今回も、強気なキャリアウーマンなのに、片思いをつづける映画オタク…という、いまひとつ分かりにくいキャラを演じてました。古館の息子くんも、本業はミュージシャンなのだと思うけど、ショボめの役でもぜんぜん選り好みしないのですね。古舘佑太郎が作ったadieu「愛って」。矢作歌子。#ちむどんどん #上白石萌歌 #井之脇海 #adieu3 pic.twitter.com/lmIR3J7Img— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) August 31, 2022「ナラタージュ」にも出てたので、萌歌とは何かと縁がある。
2023.03.24
日テレ「リバーサルオーケストラ」が終了。当初は、「のだめの二番煎じ」という先入観がありましたが、全体の構成はけっこう良く出来てて、じつは「のだめ」ともコンセプトがかなり違っていた。◇基本的に、「のだめ」や「蜜蜂と遠雷」などは、天才的な演奏家をメインにした物語でしたが、今回は、しがない地方オケの団員たちの物語。そこが従来の作品とは大きくコンセプトが違う。地方の公共オーケストラは、自治体の厳しい財政で支えられており、地方政治の権力争いとも無縁ではいられない。名の知れた私設オーケストラが、潤沢な企業資金で運営されるのとは対照的なのですね。そんなクラシック界の構造的な問題も垣間見える。団員たちは、それぞれに家庭の事情などを抱え、安い給料で肩身の狭い思いをしながら、細々と音楽を続けている。かつては「神童」と呼ばれた人や、有名オケで活動した経験のある人も、いまは地方の公共オケ団員の身分に甘んじてる。けっして華やかな世界じゃなく、わりと地味な世界です。◇今回のドラマで推されていたのは、チャイコフスキーの交響曲第5番でした。なぜチャイコなのか?のだめが「ベト7」を推したのは有意義だった。ドラマから20年ちかく経っても、いまだ「ベト7」は人気のレパートリーであり続けてるし、あの曲がベートーヴェンの印象を変えた面も大きい。▶ それについては以前こちらにも書きました。それに対して、チャイコといえば、一般にはバレエ曲のほうが人気なわけだけど、あえて今回、管弦楽曲を推した理由は何か?たぶん、それもやはり、地方オーケストラの問題と関係があるのでしょう。◇一流オーケストラの場合、チャイコフスキーって、やや軽く見られがちだけれど、地方で公共オケを運営していく場合には、ブラームスやマーラーってのもちょっと難しいし、やっぱりチャイコあたりが重要なレパートリーになるのだと思う。なんといっても、親しみやすくてキャッチーですからね。とくにチャイコの5番は、ただキャッチーであるのみならず、楽曲としての深みも、格調の高さもあるし、地方オケのレパートリーとしては最適な選択のように思います。今後は「チャイ5」が人気楽曲になるのかもしれませんね。なお、ドラマのなかでは、屋外や老人ホームなどで演奏するシーンもありましたが、そうしたボランティア活動も大事だし、「クラシックはコンサートホールで聴くもの」という固定観念を取り払うのも、けっこう大事なことです。◇ドラマでサントラを担当したのは清塚信也と啼鵬。清塚信也は「のだめ」にも参加していたのよね。今回の挿入曲のアレンジも素敵でした。 とくに印象的に使われていたのは、やはりチャイコの5番とラフマニノフのピアコン2番でしょうか。一方には戦争の問題もあるけれど、なんだかんだでロシアものって、感情を掻き立てるからドラマ向きです。玉響カンタービレ チャイコフスキー/交響曲第5番 わたし自身は、「のだめの二番煎じ」という先入観もあいまって、このドラマにちょっと乗り遅れてしまい、第4話あたりから見はじめて、最終回まで見たあとに、また最初にもどって1話から3話を見た形…(笑)。ドラマとしての引きがやや弱かったのは否めないし、脚本も、中盤のエピソードなどがちょっとゆるくて、詰めの甘いところも見受けられたし、わたしはそのへんから見始めたので、なおさらハマり損ねた。キャストが地味めなのも、引きが弱い理由になってはいたけど、けっしてミスキャストだったわけではなく、個人的には相武紗季をひさしぶりに見れたのも嬉しかった。わたしのように、乗り遅れた人や乗り損ねた人もいると思うので、もし第2シーズンを作るなら、今回の第1シーズンを2~3時間にまとめて、ぜひ総集編を作ったらいいんじゃないかと思います。◇なお、個人的な意見だけど、こういうドラマって、ほんとうは春ドラマよりも冬ドラマのほうがいい。やはりクラシックがいちばん盛り上がるのは、秋から冬にかけてのシーズンだし、かりに12月に最終回を迎えれば、その足でクラシックのコンサートにも行きたくなると思う。いずれにせよ、もう「のだめ」からは17年も経ってるし、若い世代は「のだめ」を見てないわけだから、こういうドラマは定期的に作られてもいいですね。ちなみに今年の秋には、上野樹里の主演で「のだめ」がミュージカルになるそうです。シアタークリエ「のだめカンタービレ」上野樹里×三浦宏規×上田一豪×茂木大輔
2023.03.23
テレ東の深夜ドラマ。蓮佛美沙子&トリンドル玲奈。原作は谷口菜津子の同名コミック「今夜すきやきだよ」。◇去年のNHK「恋せぬふたり」は、アロマ・アセクな男女の共同生活だったけど、こちらは、女子どうしの共同生活です。片方は恋愛体質で、片方はアロマンティック。失恋したばかりのアイコ。アロマを自覚しはじめたトモコ。一部では、女性版「きのう何食べた?」とも言われていますが、けしてレズビアンの物語ではありません。双方ともに、まったく同性愛の傾向はないようです。◇アイコは仕事はできるけど、家事ができません。トモコは家事はできるけど、仕事ができません。なので、ふたりの共同生活は、お互いの欠点を補い合えるし、生活上の役割分担ができるし、そのうえ、一緒にいれば寂しくなくて楽しい。それが共同生活を続ける理由です。◇ところで…料理が苦手なせいで、男性との恋愛につまづきがちなアイコは、こんなふうに言います。≫ なんなの?!≫ 楽しい会話と幸せなセックスがあればOKじゃないの?≫ 恋愛とか結婚に、家事能力ってマストなの?つまり、恋愛や結婚はセクシャリティの相性こそが大事であって、ジェンダーの押しつけは必要ないでしょ!…ってことですよね。◇たしかに、恋愛は、楽しい会話と幸せなセックスがあれば成立するかもしれないけど、結婚は、それだけじゃうまくいかないはずです。一般に、恋愛結婚が破綻しがちな理由はそこにある。実際、アイコとトモコの共同生活がうまくいってるのは、楽しい会話と幸せなセックスがあるからじゃなく、生活上の役割分担がうまくできているからですよね。もちろん、ふたりはレズビアンじゃないから、結婚はしないだろうけれど。◇◇現代の日本では、同性婚がほぼ認められつつありますが、同性婚には2通りの意味がありえます。ひとつは、セクシャリティの相性がよければ同性でも構わないってこと。もうひとつは、セクシャリティの相性とは無関係に、生活上の分担ができれば異性か同性かを問わないってこと。これは、法的な定義というより、当事者の認識の問題ですが、じつは、結婚って、後者の考え方でするほうが、ずっと合理的ですよね。いくらセクシャリティの相性がよくても、生活上の役割分担がうまくいくとは限らないし、性的な相性でさえ、ずっと持続するとは限らない。おそらく昔の結婚は、セクシャリティの相性(すなわち恋愛)よりも、ジェンダーの分担のほうを重視したのです。そのほうが合理的だから。◇たしかに恋愛は、セクシャリティの相性を優先すべきものだけど、結婚はむしろ、生活上の役割分担を優先させるほうが合理的です。なぜなら、結婚したら、仕事と、家事と、セックスと、出産と、子育てを、ふたりで分担/協働でこなさなければならないから。いくらセクシャリティがの相性がよくても、男に仕事ができるとはかぎらない。女に家事ができるとはかぎらない。その分担ができなければ生活は破綻するし、そのうえ出産と子育てもやるなんて困難の極みです。現行の結婚制度は、事実上、《恋愛結婚》を前提に設計されているけれど、セクシャリティの相性だけを基準に結婚するのは、じつは、きわめて非合理なのよね。◇先日、バカリズムの「ノンレムの窓」を見ていたら、松島瑠璃子が書いた《親友契約》という話がありました。婚姻率の低下した社会で、あらかじめ老人の孤独を回避するために、独身の人たちが互いに《親友契約》を結び、生涯をともに生きていく…という話。これって、けっこう現実味のある話だと思いましたが、その場合も、重要なのはセクシャリティの相性ではなく、やはり生活上の役割分担だと思います。そして、その分担は、かならずしも2人でおこなう必要さえなく、たとえば3人や4人でも構わない…って気がする。◇ひとつの思考実験ですが、今回のドラマにおける同性どうしの生活も、ある意味では合理的な「結婚の形」のように見える。もし恋愛をするのなら、その生活の外側で自由にやればよいのだし。
2023.01.20
おそまきながら、ドラマ「silent」最終回の感想。…と、その前に「ボクらの時代」も見た。脚本家&演出家&プロデューサーの鼎談。三人とも第5話がベストの回だと言ってました。わたしは第6話の終盤まで脱落寸前でしたが!(笑)そして、プロデューサーは「最終回が不安」とも口にした。実際、近年にしてはめずらしく11話まであったわけですが、正直いって、終盤の第10~11話は、蛇足の感が拭えませんでした。◇最終回では、なぜか物語の結論を「言葉」に収斂させたのですね。付箋に書いた「言葉」をテーブルの上に並べたり、わざわざ高校まで行って、教室の黒板に「言葉」を書きつけて会話したり、体育館で「言葉」についての昔の作文を読んだり、最後は、かすみ草に「花言葉」を託して次々と受け渡してました。「カスミソウ」が「サクラソウ」の洒落なのかどうか知らないけど、「感謝」という音のない花言葉を、手話と同じように「おすそわけ」していたらしい。たしかに、奈々は、手話が「目に見える言葉」であることを讃えていたし、スピッツも「魔法のコトバ」を歌っていたし、ヒゲダンのテーマ曲も「言葉」について歌っていた。言葉はまるで雪の結晶 君にプレゼントしたとして時間が経ってしまえば 大抵記憶から溢れ落ちて溶けていって消えてしまうでも絶えず僕らのストーリーに添えられた字幕のように思い返した時 不意に目をやる時に君の胸を震わすもの探し続けたいきっと、音がなくても「言葉」があればいい、ってことなのだろうし、手話が伝える「言葉」の価値を肯定的に描きたかったのだろうし、そして新進の脚本家としても、最後の最後に「言葉の力」を訴えて終わりたかったのでしょう。しかし、それまでの物語の流れから考えると、この物語の結論は、やや唐突な印象を拭えなかった。そんなことがテーマでしたっけ?とってつけたような感じ。いまいちピンとこなかった。◇なぜなら、かならずしも言葉は人と人とを正確につなぐわけではないし、むしろ言葉のすれ違いが人と人を切り離すこともあるのだし、実際、この物語のなかでは、いくら言葉を尽くしても分かり合えないことのほうが多かった。それに、もし2人が言葉でしか繋がり合えないのなら、想と紬はずっと手を繋ぐこともできず、可愛いバッグを持ち歩くこともできず、ひたすら手話をし続けなきゃいけなくなる。むしろ、「言葉を超えた繋がりこそ重要」という結論のほうが、視聴者としては、よほど納得感があったはずです。…というより、わたしに言わせれば、≫ 他人の気持ちを思いやるよりも≫ 自分の気持ちに正直になることのほうが大事という第8話の内容こそが結論にふさわしかったのです。◇じつをいえば、第9話も素晴らしかったのですよね。ドラマの最終盤になって、想が聴力を失った過去へ遡る、という内容。この構成の仕方はすごいと思いました。序盤でそれを見せるのと、奈々の物語の後でそれを見せるのとでは、視聴者の受け止め方が大きく違ってくるからです。時系列で物語を語っていくのでもなく、かといって順繰りに遡っていくのでもなく、表層から深層へ分け入ってくような、あるいは細部へ分け入っていくような、通常の脚本ではありえない叙述を確信犯的にやっていた。◇しかし、残念なことに、第10話ではまた振り出しに戻った感じで…(笑)。つまり、「紬の声を聞けないのが悲しいから別れる」みたいな話に戻ってしまった。高校卒業後に紬と別れた理由を、最終盤にきて、あらためてぶり返した形です。それって、基本的には、湊斗が紬と別れたときの、「紬のすべての気持ちを手に入れられないのが悲しいから別れる」ってのと似たような理由。要するに、どちらの男子も、完全に100%じゃなきゃ気が済まないのです。20%の欠落が悲しいから、残りの80%も捨ててしまおう、みたいな話。まあねえ、若いから、気持ちは分からないでもない。◇でも、100%を共有し合える恋愛なんてありえないのです。たとえ健常者どうしであってさえ、同じものを見て、同じものを聞いてるとは限らないのだし。むしろ、2割ぐらいが共有できれば御の字(笑)。想であれ、湊斗であれ、そのことに折り合いをつけられるかどうかが問題だった。すくなくとも、想にかんしていえば、たとえ紬の声を聞くことができないとしても、「声以外の部分を愛せばいい」という結論になるのは自明だった。しかも、それを「言葉」だけに収斂させる必要はなかったのです。声以外のすべてを愛せばいいのだから。サブスクではなくCDを手に取ることの意味もそこにあったはず。音以外のすべてを感じ取ればいい、ってこと。◇余談ですが、最後まで「お姉ちゃん大好き」だった弟くんは、結局ずっとフィクサー的な役回りのままでしたね。弟くんと妹ちゃんが、なぜ繋がってるのかも分からなかったし、なぜその関係を姉や兄に隠してるのかも分からなかった。それから、これも余計なことだけど、篠原涼子は、これまでずっと主役を張ってき女優なだけに、脇役の演技があまり上手くはありませんでした。脇役になっても、まだ主役の演技をしてる感じ。よくもわるくも「スターの輝き」が抜けないのです。年末の紅白でも、堂々たるパフォーマンスを見せていましたが、やはり主役向きの人だなと思いました。
2023.01.13
おそまきながら、ドラマ「クロサギ」の感想です。とても面白かったし、よく出来たドラマだった。原作を基礎にしてるとはいえ、セリフもよく練られてあったし、かなり構築性のある脚本だったと思います。◇わたしはいままで、篠﨑絵里子という脚本家をあまり意識してなかったけど、「クロサギ」「あしたのジョー」「竜の道」など、かなり硬派でハードボイルドな作品を手掛けているのですね。いずれも、下町を舞台に、悲しい境遇に生まれた男の物語で、どの作品にも、共通の世界観があります。フジ「竜の道」の遠藤憲一も、TBS「クロサギ」の三浦友和や船越英一郎も、どこかしら丹下段平みたいなキャラクターだし。◇今回のドラマの最大の魅力は、三浦友和を桂木役に起用したこと。原作ではスナック経営者だし、2006年のドラマ版のときも、山崎努が悪人顔のクラブ経営者を演じていましたが、今回は、三浦友和が、品のよい善人顔の和菓子職人を演じてて、どう見ても堅気の人間にしか見えなかった。そこが、とてもスリリングで、いちばんワクワクしたところだし、なおかつ詐欺のリアリティを強めてもいたと思います。…一方、ヒロインの父親は船越英一郎でした。詐欺の被害者なのに、三浦友和よりもよっぽど悪人顔に見えましたが(笑)、それもまた意外性があって面白かった。そして、加害者である三浦友和と、被害者である船越英一郎が、主人公に対して、ともに"親心"を持っている…。その対照的な図式も面白かったです。◇ほかの登場人物も、全体的にシンメトリックな相関性をなしていました。たとえば、詐欺師になった被害者の息子(平野紫耀)と、検事を目指した被害者の娘(黒島結菜)。一方は、法を疑う詐欺師。他方は、法を信じる検事。ふたりは逆の立場でありながら、たがいに共感しあっていた。それから、刑事になった詐欺師の甥(井之脇海)と、法学助教になった詐欺師の甥(時任勇気)。一方は、叔父を憎んでいましたが、他方は、叔父を強く慕っていました。ふたりは同じ立場に生まれながら、まるで正反対の人物だった。…こうした構造が、物語に強い葛藤とダイナミズムをもたらしていました。きっと中村ゆりとか山本耕史のキャラにも、(2人とも武闘派?殺しまでやってました?)何かしら背景があるんだろうけど、最後まで謎のままでしたね。◇2006年版のドラマは、ミキモトとの対決までで終わっていましたが、今作では、それはあくまで通過点でしかなく、ミキモトの先に、ラスボスがあと2人いました。不可視のラスボス、宝条。身近にいるラスボス、桂木。見えない敵と、見えすぎる敵。そのこともまた詐欺師のリアリティを強めていた。◇…ただ、ミキモトと対決した上海編や、宝条と対決した最終回は、やや盛り上がりに欠けた気もする。ドラマの基本的なテイストが、東京の下町に置かれていたせいもあって、上海に舞台を移しても、永田町や霞が関に舞台を移しても、こじんまりした印象のまま、ちょっとスケール感が乏しかったのです。とくに上海編は、(実際に上海ロケをしたのかどうか知らないけど)街並みにも、登場人物にも、さほどの "上海らしさ" を感じられませんでした。そこが惜しい!◇◇なお、今回のドラマには、「鎌倉殿」のキャストが6人出ていたらしい。※坂東彌十郎、山本耕史、新納慎也、八木莉可子、栗原英雄、たかお鷹それから、黒島結菜と井之脇海は、「ちむどんつながり」「萌歌氷魚つながり」だけでなく、日芸の先輩と後輩なのですね!思えば、クドカンと井之脇海と黒島結菜って日芸つながりなんだなー。◇ちなみに、ネットの反応を見てたら、「桂木さんはいい人!」みたいな反応であふれてたけど、基本、桂木は悪人ですから!野放しにしちゃいけない人間です!!そこを勘違いしてはいけません。これは現実社会でもそうだけど、ヤクザとか悪徳政治家って、実際に会うと、いい人だったりします。しかし、それで騙されてはいけない。◇桂木も、宝条も、法に触れないところで悪事に手を貸していました。宝条の手口もひどかったですね。業績を上げるためだけに、客に多額のローンを組ませて、返せなくなったら担保の家を売らせて、自殺したら、生命保険で支払わせる。そういう詐欺まがいの銀行屋です。実際に、そういう奴らがいるのかも…。
2023.01.12
おそまきながら、NHKの正月時代劇「いちげき」を見ました。原作も良いのでしょうが、やはり脚本がお見事というしかない。非常に完成された脚本。最近のクドカンの脚本は、もう職人芸みたいな次元に達してて、どこにも非の打ちどころがないです。あまりに出来過ぎていて、これといってコメントすることもないのよね…(笑)コメディの体裁ではあるものの、大きな歴史には何の影響も与えず、捨て石として消えざるをえない市井の人々の姿を、ペーソスを込めて描くというあたりが、現在のクドカンの真骨頂になっている感じ。◇キャスティングもよかった!松田龍平は安定の役どころですが、とくに、「勝海舟」に尾美としのり「相楽総三」にシソンヌじろう「伊牟田尚平」に杉本哲太…を当ててくるあたりに、いかにもクドカンらしい皮肉が効いてて面白かった。そして染谷将太には、ちょっと鬼滅の "炭治郎" っぽい雰囲気を感じました。さしずめ、岡山天音が "善逸" で、ティモンディが "伊之助" で、西野七瀬が "禰豆子" で、伊藤沙莉は "神崎アオイ" みたいな感じ(笑)。
2023.01.11
今夜は「クロサギ」最終回。とっても面白い。最後はどうなっちゃうんだろう?第9話を見ると、黒崎(平野紫耀)が敗北しそうな予感も…。原作を読んでる人は、この結末を知ってるのかしら?ちなみに2006年版ドラマはミキモトとの対決で終わってる。桂木(三浦友和)は、黒崎と宝条(佐々木蔵之介)のどちらを潰すつもりなのか。かりに黒崎が宝条を倒せるとしても、桂木との対決にまで至るのかどうか。山本耕史と船越英一郎の再登場にも期待してます。
2022.12.23
おそまきながら、BSテレ東「最果てから、徒歩5分」の最終回。ずっとTverで見ていました。◇ドラマとしての力強さにはやや欠けたけど、なかなか面白い話ではあったのよね。見始めて、すぐに思い出したのは、2005年の映画「メゾン・ド・ヒミコ」でした。あれは、心に傷を負ったヒロインが、老人ホームのゲイとの交流で癒されていく物語。そのほかにも、高嶋政伸の「ホテル」とか、竹内結子の「ランチの女王」とか、「マイリトルシェフ」とか「崖っぷちホテル」とか、ホテルやレストランが心のオアシスになって、悩める人々の傷を癒していく…みたいなドラマはたくさんあるから、その意味では、かなり既視感があって、日本のドラマとしては類型的な物語なのだけど、今回のお話で面白かったのは、オーベルジュを運営している4人それぞれが、ひそかに知られざる罪を抱えていたこと。◇母との確執。絵を描くことへの夢。推しのアイドルに対して抱く幻想。妹への嫉妬と嘘。他人の幻想を演じることの矛盾。自分を育てた男を愛した少女。少女の母を愛してしまった男。後輩の苦しみに気づけず死なせてしまった青年。最後は、自分たちが救ったお客さんによって自分たちが救われ、4人で一緒に「最果て」から戻ってくる。そして、たとえ憎まれながらであっても、許されない人生を生きていくことを決める。そういう物語です。◇それぞれのエピソードをもっと深めれば、かなり手応えのあるドラマになったと思うけど、表層をなぞっただけで、ちょっと掘り下げが弱く、十分に説得力のある話になってなかったのが残念。全体的にゆるい印象のまま、ドラマの力強さには結びついていませんでした。原作の問題もあるだろうけど、やっぱり脚本の掘り下げが足りないと思う。全8話の長編ドラマなのだから、せめて後半部分は4人のエピソードだけに絞って、それぞれの話をもっと掘り下げることができたはず。◇夕雨子がギルダに雇われたのはいいとして、なぜ妹の名前を名乗る必要があったのか分からないし、出所した妹のその後の人生がどうなったかも分からなかった。一人二役だから無理だったのだろうけど、本来なら、姉妹の再会シーンも見せるべきだったと思う。…でも、まあ、プロット自体は面白いと思うので、別の演出があれば、リメイクで見てみたいと感じました。岡田結実は、カムカムの女中さんにしても、今回の赤毛の役にしても、意外に影のある役がハマってます。沙良役の加藤小夏という人は、鎌倉殿の実朝の正室だったのね。
2022.12.20
日テレ「ファーストペンギン」が終了。す・ご・か・っ・た・・・。素晴らしい脚本。いったい、どこまでが実話だったんでしょうか??◇スッくんの最後のモノローグ。≫これは母と漁師たちの終わらない物語だ…つまり、これは実話としても、まだ終わっていないんでしょうね。きっと森下佳子は、実話以上の物語を書いたのだと思う。先々週ぐらいまでは、ずっとヒロインのほうが正しくて、漁師たちや漁協のほうが間違っていた。しかし、最後は、その立場が逆転してしまう。漁師たちの直感のほうが正しくて、ヒロインのほうが選択を間違えていた…ってこと。波佐間という男が企んでいたのは、海外資本による経済侵略であり、それは詐欺まがいの脱法行為だった。…でも、波佐間には波佐間なりの信念があったように見えます。◇わたし自身、基本的には国の方針が正しいのかなと思いつつ、一方で「漁協の言い分もわかる」という気持ちがありました。漁業の自由化を進めていけば、最終的には国防の問題にまで発展しかねない。お魚ボックスを売るだけの話が、そこまで大きな政治問題に繋がってしまうのですよね。それと同じことは、漁業だけでなく、農業や林業にも言えるのでしょう。自由主義を取るのか。保護主義を取るのか。上から変えるべきなのか。下から変えるべきなのか。外から変えるべきなのか。何が正しいのか、どうすべきなのか分からなくなってくる。そんな脚本のダイナミズムを感じさせました。◇国と、海外資本と、地元マフィアの、いわば三つどもえの闘争があり、ある意味では「マフィアが国を守ってる」みたいな実態もある。地元マフィアは、ヤクザの組員まで送り込んで、殺人まがいのことを仕掛けてきたけれど、それを刑事事件として処理すれば話が終わるわけじゃない。結局、これって、社会の構造そのものを変えなければ終わらないのです。渡辺あやの「エルピス」もかなり政治的だけど、それに劣らぬほど政治的なドラマでした。野木亜紀子の以下のツイートを見ても、本作が現在進行形の闘争の物語だったことが分かる。ファーストペンギンは食われる存在。理不尽な権力者に土下座して身を差し出さないと誰も前に進めない。現実は未だここ。ドラマっぽい明るさを保持しつつもシビアな話だった。#ファーストペンギン— 野木亜紀子@WOWOWフェンス (@nog_ak) December 7, 2022森下佳子はすごいドラマを書いたなー…。TBSの一連の作品とはまったく違う題材でありながら、脚本の完成度はむしろTBSの作品よりも高かったと思う。なお、Tverでは、18年前に森下佳子が書いた「セカチュー」が配信されてます。もともと硬派な脚本家ではあるけれど、今回は、恋愛の要素がほぼないに等しく、ひたすら政治的な作品だったといっていい。ふつうに二股かける女が出てきたりして、恋愛の描写はかなりドライだったとも言えます。つまり、ベタな恋愛要素を絡めなくても、これだけ面白いドラマができるってこと。ほかの脚本家は見習ってほしいし、こうした内容についてきちんと語れる評論家も増えてほしい。◇日テレのドラマとしては、去年の「ハコヅメ」に次ぐヒットです。演出は、あくまでオーソドックスなスタイルで、日テレらしいスタイリッシュな作風ではなかったけど、この作品にかんしては、むしろそれでよかった。キャスティングの面でも、従来とはまったく違ったキャラで俳優を起用してるのがすごかった!— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) November 17, 2022 — まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) November 17, 2022 — まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) November 17, 2022このカップルも素敵でしたね(*^^*)
2022.12.08
ドラマ「silent」第8話。なるほどねー。今回も重要な内容だった。◇男子が女子に気を遣ったり、母が息子に気を遣ったり、健常者が身障者に気を遣ったり…そういうことが、やたらにまどろっこしいドラマだと感じてはいたけれど、今回は、その「気を遣う」ということがテーマになっていた。実際、健常者どうしならば気を遣わなくても済むし、身障者どうしならば気を遣わなくても済むのに、ひとたび健常者と身障者が向き合うと、どうしても、たがいに気を遣わずにはいられない。そういう問題を、どう乗り越えたらいいのか。とりわけ身障者の恋愛を描くうえで、このことは大きなテーマになってくるのですね。まあ、日本人の場合は、健常者どうしでさえ、たがいに気を遣ったり忖度したりする民族なので、身障者に対してはなおさらなんだけど(笑)。そうそう簡単に答えが出せる問題じゃありませんが、今回のドラマが示したひとつの答えは、結局「自分のために行動するのがもっとも誠実だ」ってこと。…たとえば、紬(川口春奈)が手話を覚えたのは、ただ想(目黒蓮)と話したかったからだし、一緒にいるのも、ただそうしたいからだよね、って話。…たとえば、入院した夫を見舞うのは、相手のためじゃなくて自分のためだよね、って話。…たとえば、春尾(風間俊介)が健常者の立場で身障者に示した気遣いよりも、奈々(夏帆)にとっては、ひとりの男性として向き合ってくれてた姿のほうが、よっぽど誠実だったのよね、って話。 誰しも、他人のことは心配するけれど、他人から心配されるのは重荷になって鬱陶しい。相手への気遣いや忖度は、ときとして不誠実であり、むしろ自分のために行動するほうがよほど誠実だってこと。「相手のためじゃなく自分のため」というほうが、ほんとうは相手のためにもなってるんだ、ってこと。日本人は、ややもするとタテマエを重視しがちな民族だけど、タテマエや忖度だけで向き合うのはむしろ失礼であって、やはりホンネを示すことのほうが大事なのだし、それこそが相手に対する本当の礼儀なのかもしれません。◇一方、中途失聴者の想が、「なぜ声で話さないのか」についても、本人からの答えが示されました。>声が出せないわけじゃない。>でも、自分に聞こえないから、誰にも届かない感じがする。>自分で感じ取れないことが、すごく怖い。>いちど声で話すと、>その先ずっと声で話さないと悪い気がする。>聞こえる人は声で聞くほうが楽だって分かってるから、それが辛い。 相手は自分の声を聞いているのに、自分にはそれが聞こえていないという不安。同じ言語を相手と共有できていないことの不安。やはり手話のほうが、同じ言語を共有できている実感があるのですね。◇今回の内容を見ると、この脚本家が、ありえないほどに繊細な機微まですくいあげて、物語のなかに落とし込んでいるのが分かります。あらためて、これだけ難しいテーマを、これだけの集中力を要するドラマ表現のなかで描き、これだけの数字で成功しているのは、なかなかスゴいことだなあと思う。ただ、次回のしんどそうな内容にも、視聴者が耐えられるかどうかは注目すべきところです。シビアな内容になると、かならず難癖をつけて脱落する人たちが現れますから。なお、今回は森口瑤子が出演してましたが、同じヤングシナリオ大賞の坂元裕二の妻が、この作品に参加していることの意味を感じます。さらに、Tverでは、このドラマの先行作品ともいえる、27年前の「愛していると言ってくれ」が配信されてるようです。そして、今日は、ヒゲダンがFNS歌謡祭でテーマ曲を歌うらしい。
2022.12.07
フジ木曜劇場「silent」。やはり今週も奈々(夏帆)のパートがメインでした。紬(川口春奈)をめぐる三角関係の恋愛のネタは、もはやどうでもいい感じ(笑)。つーか、個人的にもなんら興味がない…。むしろ、今後の重要なポイントは、紬と奈々とのシスターフッド的な関係ですね。そして、もうひとつ重要なのは、なぜ手話教室の春尾(風間俊介)が、聴者であるにもかかわらず、手話を学ぶことになったのか、という話でしょう。この2点が物語の焦点になっていくはずです。…先週は、ろう者は、好きな人の声を聴くことも出来ないし、両手を使って手話をするから、恋人同士になっても、手を繋いだり、おしゃれなバッグを持ったりすることさえ出来ない。みたいな話でしたが、…今週は、手話だからこそ、伝えようとする人の気持ちが、まっすぐに自分にだけ飛んでくる尊さがある。わたしは手話で話すことが出来て満足。という奈々の気づきが描かれていました。手話をネガティブに語った心境を乗り越えて、今週は、手話をポジティブにとらえなおす内容。実際、このドラマの手話を見ていると、けっこう単語を覚えられたりもするし、手話の魅力を視聴者にまで伝えてくる力があります。最後は、手話で会話してたのに、おもわず図書館で笑い声をあげてしまって、子供に注意されてしまう、という微笑ましいオチ。◇一方、中途失聴者の想(目黒蓮)が、「なぜ声で話さないのか」ってことが、このドラマのひとつの前提であり、それが考察のネタにもなってるわけですが、今回も、その謎の「答え」は先送りされたまま。なにやら、湊斗(鈴鹿央士)といい、紬といい、想に聴くこと自体をためらったりして、(過保護な母親もそうですが)妙に気を遣いすぎてるところがまどろっこしい!はたして、この謎に、そこまで引っ張るほどの「答え」が用意されているのか、正直、疑わしい気もします。◇SNSなどを見ると、「本人が答えたくないことを聞くのは無神経」みたいな意見もあるけれど、べつに聞くだけなら罪じゃないでしょ(笑)答えたくないなら、本人がそう言えばいいだけの話であって、障害者だからと言って、わざわざ聞く前から先回りして気を遣う必要はない。例の「ちむどん反省会」のときもそうでしたが、相手を慮って忖度することが正義であるかのような風潮が、しばしばSNSで支配的になるのは、とても気持ちが悪いです。まあ、日本人って、世代が代わっても、永久にそういう民族なのでしょうねえ。…なお、「てんとう虫が壮大な伏線」との記事もありましたが、いまのところ、とくに壮大って感じはしません(笑)。この詩集も関係あります?
2022.11.24
ファーストペンギン!今夜は第8話。かなり凄い内容になってます…。当初は、ただ「お魚ボックスを売る」というだけの話で、はたして10話分のドラマになるの?と、ちょっと懸念してたけど、…とんでもなかった。これだけいろんなことが起こるのですねえ。商売の問題だけじゃなく、家族の問題があって、後継者の問題があって、地元社会の問題があって、さらには、ものすごく政治的な問題も絡んでくる。じつによく取材された骨太な脚本です。◇梅沢富美男が、漁協の組合長を演じています。いまもなお、漁協関係者がこのドラマを見たら、きっと梅沢富美男のセリフに頷くんじゃないかなあ。かなりリアルです。彼が守ろうとしているのは、もちつもたれつで成り立ってきた既存の仕組み。さらに第7話では、地元のドンみたいな元政治家が出てきて、殺人みたいなことまで仕掛けてきました。既得権益を守るためには手段を選ばないのですね。◇既存の仕組みを変えようと思ったら、これだけ色々なことが起こるんだろうな。漁協だけでなく、農協とか、医師会とか、スポーツ協会とか、あらゆる団体について同じような事がいえるのでしょう。つまり、足を引っ張っているのは、古い体質に縛られたローカルな社会や組織であり、そこに根差してきたポピュリズム政治ってこと。いわばマフィア的な仕組みになっているのですね。そのような構造が、じつによく見えてくる脚本です。◇これまでにも、NHKの朝ドラとか、TBSの日曜劇場で、経済人のサクセスストーリーが作られることはあったし、最近だと、TBSの「ユニコーンに乗って」みたいに、(たんなるOLのお仕事ドラマじゃなく)女性経営者のドラマも作られるようになってますが、この「ファーストペンギン!」の場合は、ただの経済人のサクセスストーリーじゃない。日本の社会構造まであぶりだす政治的な内容です。フジテレビの長澤まさみの「エルピス」も、かなり政治的なテーマに突っ込んでますけど、このドラマも、じつは非常に政治的な作品なのですよね。◇こういう骨太な脚本は、やっぱり森下佳子の手腕によるところが大きい。彼女がTBSで、綾瀬はるかのために書いた一連の作品も、ほとんどが硬派な内容ばかりだった。意外に恋愛ドラマは少なかったのです。もしかしたら、今後、森下佳子は、日テレの奈緒でドラマを書いていくつもりなのかも。
2022.11.23
フジ木曜劇場「silent」。今夜は第7話が放送されますが、第6話の《音のない世界は悲しい世界じゃない》を見ました。正直なところ、あまり乗り切れずにいたドラマでしたが、第6話の終盤部分はすごかった。ここまでテレビドラマで号泣したのは何年かぶり。今回の終盤15分ほどの内容だけで、のちのちまで「名作」と言われ続けるドラマになったなあ…と思います。◇先々週の第5話で、湊斗(鈴鹿央士)が自分から身を引き、主演の2人がヨリを戻したのを見たとき、え??この話って、もう終わりじゃない?このあとやることあります??と思ったんだけど、そうじゃなかったですね…。この第6話が、いちばん重要だった。ある意味、それまでの話は、第6話のための前フリだったとさえ思う(笑)。最後に奈々が泣くシーンを見て、ヒゲダンのテーマ曲がようやく耳に残るようになりました。◇夏帆が演じる奈々。彼女は、たんなる脇役じゃなくて、もしかしたら、物語でいちばん重要な存在なのかも。そして、夏帆のキャスティングがじつに絶妙なのだなと分かった。このドラマは、ほんとうは奈々が主役じゃないかな、とさえ思う。たしかに紬(川口春奈)は、太陽のように明るくて前向きな主人公だけど、ドラマの主役としては、あまりにも屈託がなさすぎて、それほど面白いキャラではないのよね。むしろ、奈々の悲しみを際立たせるためのポジションなのでは?◇奈々が紬にあてつけた、「プレゼントを使い回されたような気持ち」ってのは、けっこう強烈なセリフです。健常者は、あまりこういうことを言わない。これを「ひがみ・ねたみ」と言えばそうなのだけど、考えてみれば、人間にとって、ひがみやねたみって自然な感情なのよね。だって、人間はけっして平等には生まれていないのだから。そのことを悔しいと感じるのは、ごく自然な気持ちなんだなあと思う。ただでさえ健常者に嫉妬や憧れを抱いてきたのに、自分のわずかな幸せまで健常者に奪われたことの悔しさ、悲しさ。手話で話す人たちは、つねに両手を使う必要があるから、たとえ恋人が出来たとしても、手をつないで歩くこともできないし、おしゃれな可愛いバッグを持つこともできない。ささやかな望みですが、奈々の痛切な想いが分かって泣けてくる。ろう者の人たちは、言葉で意志疎通ができないハンデを補うために、健常者よりも感情を強めに表現する傾向がありますよね。だから、なおさら健常者から見ると、ろう者の人のあまりにもストレートな感情表現に面食らって、ちょっと驚いてしまう。そのへんの描写もリアルでした。このドラマは、とくに若い世代に支持されているとのことだけど、現実のろう者の人たちは、どう捉えているのでしょうか。やたらに「障害者は可哀想」という印象を植えつけるのも、賛否が分かれるところかもしれませんが、すくなくとも、健常者にはなかなか理解しにくい世界を、たくみに想像させる内容になっている点では評価できると思う。そして、今季の助演女優賞は、まちがいなく夏帆でしょう。◇◇◇わたしは、第5話までの内容を、30年前の「東京ラブストーリー」と比較しながら見ていた。4人の男女の恋愛模様という設定が同じだったから。30年前の「東京ラブストーリー」の場合は、やたらと互いにぶつかり合ったり、マウントを取り合ったりするので、あれはあれで、見ていて非常に疲れたのですが、逆に、今回の「silent」のほうは、やたらと譲り合いすぎるし、自分のことを必要以上に卑下したりするので、こちらはこちらで見ていてまどろっこしい、ってのがある。セリフのやりとりも、丁寧といえば丁寧だけど、かえって展開がモタモタしてて疲れる。おおむね、そういう感想を抱いてました。先々週の、湊斗「紬には片思いなんて分からないでしょ」紬 「いま片思いだよ」…みたいなやり取りなどは、なかなか洒落ていると思ったものの、それでも1.25倍速で見るぐらいがちょうどいいかなあ、って感じだった(笑)。◇しかし、若年世代にはとても評判がいいらしいし、わたしごときがそれにケチをつける必要もないし、さらに、ろう者の人たちがどう見てるかも重要な点なので、それについても、わたしがとやかく言う話ではない。くわえて、今後の展開が奈々を中心に動いていくのなら、わたしの興味のほうも、まだしばらくは続きそうです。◇ちなみに、Tverでは、湊斗(鈴鹿央士)と紬の弟(板垣李光人)の過去を描いた、「EP#0~8年前のある出来事~」が配信されている。これって、ちゃんと本編に組み込むべき内容なのよね…。そうしないと、湊斗と弟くんの親密ぶりは謎過ぎるのよ。— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) November 16, 2022
2022.11.17
TBSの「クロサギ」。TVerでは2006年版も配信中。山下智久と堀北真希は、日テレ「野ブタ」の直後に共演していたんですね。▼今回の配役は以下のように変わっています。山下智久 → 平野紫耀堀北真希 → 黒島結菜尾美としのり → 船越英一郎哀川翔 → 井之脇海加藤浩次 → 山本耕史奥貫薫 → 中村ゆり山崎努 → 三浦友和朝ドラ「ちむどんどん」からは、黒島結菜&井之脇海&津嘉山正種が、大河「鎌倉殿の13人」からは、山本耕史&坂東彌十郎&栗原英雄がスライド出演。山本耕史は前作ヒロインの旦那様ですね!◇2006年版では、山下智久もヤンキーっぽいキャラだったし、刑事役の哀川翔も、黒幕の山崎努も、いかにも裏社会にいそうなキャラだったけど、今回はメインのキャラは、みんな堅気の人間に見えます。そこが逆にリアリティを感じるところ。今回のキャストのなかでは、船越英一郎がいちばん悪人顔なのだけど(笑)、なぜか彼は詐欺に騙されるヒロインの善良なお父さん役。そこもちょっと変化球になっている。2006年版では、尾美としのりがヒロインの「叔父」の設定で演じていました。(ヒロインの「父」を演じていたのは泉谷しげる)◇この物語でいちばん面白いのは、最大の宿敵である詐欺の首魁がいちばん近くにいるところ。2006年版の山崎努は、いかにも「裏社会のドン」って感じだったけど、今回の三浦友和は、どう見ても「堅気の板前さん」にしか見えません。そこがかえってスリリングで興味が湧きます。
2022.11.02
第3話。あいかわらず映像は綺麗ですが、内容的には、ついていくのが結構大変。純愛系ドラマにはあるあるだけど、あまりに繊細すぎて、若干、キモチ悪さがなくもない(笑)。◇いちばん驚かされるのは、弟の光(板垣李光人)くん。ほぼ彼氏…?かと思うほど、お姉ちゃん想いの弟くんですよね。あるいは女子の親友みたいに、彼氏のことまで親身に心配してくれます。欧米になら、こういう男子がいるかもしれないけど、ついに現代日本にもこんな男子が現れた??◇そして湊斗(鈴鹿央士)のキャラ。今回は、彼女を奪われるのを畏れて嫉妬したのではなく、無二の親友に呼びかけても返事がなかったことが悲しかった…というオチでした。そういう心理はべつに不自然じゃないだろうけど、鈴鹿くんが演じると、ちょっとBLっぽく見えてしまう(笑)。もともと、付き合いはじめる前に、ブラック労働に追われている紬を心配した際のエピソードも、なんだか女子目線で心配してくれているような感じだった。いまひとつ、この二人が男女の関係にあるようには見えないのよね…。弟くんも、彼氏くんも、なんとなく女子っぽい。◇要するに、このドラマは、異様なくらいに優しすぎる3人の男子が、ひたすらヒロインをちやほや心配してくれる世界線になっていて、そのリアリティの斬新さに戸惑ってしまう。はたして、新進の女性脚本家が、自分の世界に浸って自分の願望を書いてるだけなのか、それとも確信犯的に「新しい男子像」を提示しているのか。この異次元の世界線を受け入れられるかどうかが、ドラマを見るうえでの踏み絵になってる気がします。今回も喫茶店の映像が美しいですね。
2022.10.25
フジ木曜劇場「silent」。今夜は第3話が放送されますが、おそまきながら第2話まで見ました。莉子と共演した目黒蓮、萌歌と共演した川口春奈に釣られた感じ(笑)。脚本の生方美久ははじめて目にする名前です。ヤングシナリオ大賞を獲った新人だそうです。セカチュウ、1リットルの涙、キミスイなど、いわゆる"純愛路線"に連なる作品といえますが、今年の莉子の「セカコイ」と同じように、綺麗な映像で撮るスタイルが定着していますね。ややセンチメンタルになり過ぎてる部分も目につきますが、まあ、この手の純愛系ドラマにはあるあるでしょう。◇Wikipediaには「手話ドラマ」なる項目があります。1995年に放送された、常盤貴子×トヨエツ「愛していると言ってくれ」酒井法子×大沢たかお「星の金貨」この2つの作品が起点になってるっぽい。それ以前といえば、ヘレンケラーの物語が何度か作品化されていて、わたしも大昔に映画を観た記憶があります。ヘレンケラーの場合は聴力だけではありませんが。去年は「コーダ あいのうた」が注目を集めました。— まいか (@JQVVpD7nO55fWIT) February 13, 2022 考えてみたら、「愛していると言ってくれ」を書いた北川悦吏子は、その後、ほんとうに片耳を失聴してしまって、それが「半分、青い」の執筆に繋がったわけなので、何か因縁めいたものも感じます。◇今回のドラマは、中途失聴をした主人公の青年が、恋人と別れる選択をし、喋ることをやめてしまったところからドラマが生まれている。視聴者は、最終的に、彼のこの選択を許すことができるのかどうか。ただ2人が結ばれただけではハッピーエンドになりません。現在の交際相手である鈴鹿央士や夏帆にも救いがなければ、視聴者のなかにモヤモヤが残ってしまいますよね。そして、主人公2人の弟と妹の関係も気になるところ。ハッピーエンドにならない可能性も含めて、どんな結末になるのか。せっかく見始めたので、最後まで見届けます。映像は美しいですね。川口春奈がフランス映画の女優さんみたいに見えてくる。
2022.10.20
水曜ドラマ「ファーストペンギン!」。なかなか面白かったので、期待がもてそうです。日テレ×森下佳子のタッグなのね。題材としては、池井戸潤の経済ドラマみたいな感じ?オリジナル脚本とのことで、坪内知佳さんの実話はあくまで「原案」ってことでしょうか?キャスティングは、堤真一のコワモテ軍団に女子が乗り込むパターン。長澤まさみの「セーラー服と機関銃」を思い出します(笑)。国は応援してるのに地元が邪魔をする…って構図が、なかなかリアルだなあと感じました。実際、そんなもんだよねえ。
2022.10.07
遅ればせながら「石子と羽男」の最終回。ちょっと物足りなかったかな。マチベンの物語であるがゆえか、一話完結スタイルであるがゆえか、物語のスケールがこじんまりしてた感は否めない。最後にラスボスの詐欺を暴ききれず、被害者が完全に救われないところにも、ちょっとフラストレーションが残りました。◇石子の父の綿郎が長期間の調査をして、敵の懐にまで入り込んでいたのだから、きっと最後にはラスボスを退治して、「さすがはお父さんっ!」って結末になるものと期待しましたが、そうはならないんですね。結果的には、ちまちましたポイ捨ての軽犯罪を告発して、なんとか食い下がって社会的信用を失墜させる…というオチ。それがマチベンの限界ってことかもしれないし、あえてスッキリ解決しきらないところに、制作者の意図するリアリティがあったのでしょうか。…でも、タバコのポイ捨てで逮捕したところで、社会的信用を失わせることができるのかどうかは疑問。世論がどっちに転ぶかわかりませんが、かえって同情論が広がってしまう惧れもあるのでは?◇綿郎が、絵本の「スイミー」の話をしていたのも、なにか意味があるんでしょうね。いずれ被害者たちの声が集まれば、徐々にラスボスの悪事が浮き彫りになる、という今後の展開を暗示してるのか。続編を予定してるのか知りませんけど、あのラスボスの悪事を暴き切るには、やはり羽男の姉や父との連携も必要になるのかなと思う。
2022.10.06
遅まきながら、日テレ「初恋の悪魔」最終回を見ました。とくに後半の展開には、坂元裕二の不穏で暗い面を感じていましたが、やっぱり、ちょっと怖い内容でしたね。◇第2章がはじまったとき、「馬淵と鹿浜は最後に救われるのかしら?」と注目していたのですが、両者が迎えた結末は、かなり対照的でした。馬淵のほうは、ほぼ救われたように見えるけど、鹿浜のほうには、はっきりとした救済が与えられない。むしろ孤独の底へ突き落とされたようにも見える。こういう底のない孤独の描き方が、いかにも坂元裕二らしい怖さなのよねえ。思えば「最高の離婚」にも、そういう描写がありました。◇医学的なことはよく分かりませんが、わたしは、てっきり、2人のセスナの人格(というか記憶)が、最終的には統合されるものと予想していました。けれど、実際は、片方のセスナが消えてしまう、…という寂しいラスト。彼女は結局、リサにも会えないままに消えてしまった。そして鹿浜は、彼女にリンゴの剥き方を教えることが出来なかった。…もともと、「馬」と「鹿」と「小鳥」という名前自体が謎でしたが、なぜ「鹿」にだけ救いが与えられずに終わるのでしょう?そこにも坂元裕二という作家の謎が隠れている気がする。◇さて、怖いといえば、殺人鬼の描き方もかなり怖かったですね。坂元裕二のドラマで、これほど人が死んだり殺されたりするのは初めてでは?…そして、結局、「初恋の悪魔」というタイトルの意味は何だったの??馬淵の兄・朝陽(毎熊克哉)のセリフには、「雪松さんは初恋の人のようなものです」というのがあって、その雪松がじつは殺人鬼の父であり、朝陽は、初恋のように尊敬していた上司に殺されたわけなので、そこにタイトルの意味があったのかもしれません。しかし、そこに作品の中心的なテーマがあったとも思えない。◇ちなみに、このドラマのタイトルは、英語では「Love with a Case(外箱への恋)」となっています。この「Case」というのは、中身の人格ではなく、人間の肩書や容姿のことでしょうか?つまり、「Case(外箱・器)」とは、一方では、殺人鬼の父としての「中身」とは異なる、尊敬すべき上司としての「器」のことであり、他方では、人格的な「中身」は2つあるのに、見た目の「器」は1つというセスナのことでもある。…そんな感じ?※なお、「case」には、「事例」「症例」などの意味もあるし、「病人」「変人」「哀れな人」などの意味もあるようです。◇さらに怖いといえば、わたしがいちばん怖かったのは、いとも簡単に冤罪を生み出してしまう警察署内の描写!あの妙に明るいノリが、かえって怖かった。うすうす「冤罪じゃないか」と疑念をもっていても、上層部の意向に逆らってまで捜査しようとしないし、「上が決めたんだし、もうコイツが犯人でいいじゃんw」と、じつに朗らかな雰囲気で冤罪を作り出していく。その様子が、やけに能天気で明るい。一人の人生を狂わせかねないことだというのに、上層部の権威に対する忖度が優先され、さらには職場内の同調性のほうが優先されてしまう。まさに、日本社会の縮図。余計なことは考えず、難しいことも考えず、周囲の空気にも逆らわず、ただ明るく笑ってやり過ごそう、…という同調圧力。余計な疑問を差し挟む人間のほうが、かえって忌避される。前例や権威に逆らう人間のほうが、厄介者だと見なされる。恐るべき日本人の「権威主義」と「忖度主義」と「同調主義」…。…おりしも、朝ドラ「ちむどんどん」では、他人に忖度できない沖縄人に対して、「忖度できる心を養うことが人間的な成長だ!!」という主張が SNS のなかに湧き上がりました。まさに、これが、今も昔も日本の大衆のなかにある集団的無意識。SNSの論調じたいが集団的な同調主義で成り立っています。…これに対して、坂元裕二が描き出したのは、そういう日本人の「同調主義」や「忖度主義」こそが、警察署内でいとも簡単に冤罪を生み出しかねない…という恐るべき悪夢なのでした。◇さらに、もうひとつ驚いたのは、(実際のところはどうなのか知らないけれど)冤罪で収監されていた人が、何のサポートもなく社会に放り出されることですね。リサ(満島ひかり)が刑務所から釈放されたとき、彼女を迎えに来ていたのは、唯一、セスナだけでした。警察や司法関係者が謝罪に来るでもない。弁護士が保護しに来るでもない。公的な機関がサポートしてくれるでもない。数年間の人生を理由もなく奪われた末に、いきなり社会へ放り出されてしまう。これもまた怖すぎます。※調べてみたところ、「刑事補償(冤罪補償)」という金銭的な制度はあるようです。…って、それだけかよ。
2022.10.03
TBS「ユニコーンに乗って」最終回を見ました。教育系アプリと、スタートアップ企業にかんするトピックを、物語のなかでひととおり提示した…って形かもしれないけど、わたしとしては、まだ不足があったように感じます。それは、大きく以下の3点。◇第1点は、「スタディーポニーキャンパス」の完成形が、結局、どのようなものか見れなかったこと。そこが不満ですね。まだまだ発展途上のアプリだったとはいえ、とりあえず世間にはリリースされたのだから、そのメタバース空間を最後に体感させてほしかった。予算的に、そこまで映像化できなかったのでしょうか?◇第2点は、そもそも、肝心の教育コンテンツを、だれが作ってるのかが分からなかったことです。あらゆる分野の教育コンテンツを提供するには、それぞれの専門知識が必要なわけで、それを社内のスタッフだけで作れるわけがありません。はたして外部の監修者を招いているのか、それとも外部に丸投げして委託しているのか、あるいは既存のコンテンツを買い取りor借り受けしているのか。…本来、双方向ネットワークのなかに学習システムを構築するのなら、もっとも合理的な方法は、企業側が教育コンテンツを一方的に提供し、それをユーザーが受け身で消費するのではなく、いわば「学びたい人」と「教えたい人」をマッチングしながら、出会いのプラットフォームにしてしまうことだと思います。たとえばYoutubeなどには、すでにそういう側面があります。これは海外展開をする場合にも同じで、自動翻訳システムを取り入れながら、自然発生的に学習環境が育っていく「場」を構築すればいいのです。…わたしは、そもそも「教育」という概念が嫌いなのですが、それは、教育というものが容易に固定化・権威化しやすいからです。教育内容は、けっして確定的であってはならないし、たえずアップデートされつづけなければなりません。そして、教える立場の人間は、むやみに権威化されてはならないし、たえず学ぶ側によって吟味され、取捨選択されねばなりません。たとえ教える側であっても、本質的に「学ぶ人間」であることに変わりないのだから、ほんとうに必要なのは「教育系アプリ」ではなく「学習系アプリ」なのです。だれもが学ぶ場でなければならない。◇第3点は、ハードウェアにかんする問題です。ドラマのなかでは、データ量の小さいスマホでも利用できるようにする、…みたいなエピソードがありましたが、それ以上に大きなトピックは、むしろ「視力低下」などの健康面での問題だろうと思う。子供がスマホで長時間勉強し続ければ、何らかの健康被害が出てくるのは目に見えているのだから。せっかくM&Aによって大企業と組むのならば、新しいハードウェア開発の展望までを示してほしかったです。◇◇◇さて、ドラマの終盤では、いちおうラブコメとしての体裁にも落とし前をつけていました。しかし、ラブコメとしては全体的に淡白でしたね(笑)。脚本にはそれなりの必然性があったと思いますが、演出面でのエモーショナルな力強さには欠けた。その結果、俳優たちの演技にも大胆さや冒険が乏しかった。図書館という場も、いまいち活かしきれていなかった。…ある意味で、このラブコメは、功(杉野遥亮)が自立をするまでの物語でもあったのだけど、彼の頼りなげなキャラは最後まで変わらなかった。残り2組のカップルも、例によって取ってつけたような印象で(笑)全体的に薄味のラブコメに終わってしまったと思う。元カノを恋愛リアリティショーに行かせるってのも、処理の仕方としてちょっとビミョーでした。むしろ、下手にラブコメの体裁などにこだわらず、あくまで《ビジネスストーリー》に徹したほうが、かえって物語としては盛り上がったんじゃないでしょうか?
2022.09.10
テレビ東京系、「量産型リコ -プラモ女子の人生組み立て記-」。最終回だけを見ました(笑)。ガンプラを作るドラマだったんですね~。いかにもテレ東らしいマニアックな趣向。もっとはやく内容を把握していれば、きっと初回から観たと思うのだけど、気づいたときには遅すぎたっ!◇大森美香の「ニコニコ日記」にガイセイバーZが登場して以来、「トクサツガガガ」のジュウショウワンとか、 「超速パラヒーロー」のガンディーンとか、女子向けドラマに戦隊ヒーローを組み込む流れがあるけれど、ガンプラ作りって発想はかなりの斜め上だった。でも、わたしも年代的にいって、ファーストガンダムはそれなりに見ていたし、由貴ちゃんがシャアに心酔していたのもあるし、あながち興味のない世界ではない。実際にプラモデルを作るのは大変そうだけど、出来上がりを見るとカッコいいし、なんだか心惹かれます再放送があれば最初から見てみたいと思います。YouTubeには、プラモデル作りの動画もアップされているようです。
2022.09.04
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