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長門湯本からクルマで20分ほど山道をのぼると、古来から湯治場として名高い俵山温泉に着く。かなり山深い。まさに「分け入っても分け入っても青い山」といったふうだ。
緑したたる山に抱かれた清涼な空気が湯治客を迎えてくれる。ここは3~40軒の旅館が軒をつらねているこじんまりとした温泉街だが、ほとんどの旅館は内湯をもっていない。外湯は3つ。すべて源泉100%加水なし掛け流しの正真正銘の温泉だ。
しかもpH値9.8と、長門湯本を上回る強アルカリ性温泉。この値は全国でも有数だとか。
細い路地まで古びた旅館でびっしり。湯治客の多さを物語る。
旅館同士が温泉設備は競いあうのではなく、限られた湯量の温泉をともに守り、共存している・・・そんな場所だ。
時代を巻き戻したような古い旅館の佇まい。こうした日本家屋の旅館は、都会から来た者にとっては、それだけで珍しい。
入浴料は700円だが、同じ施設内のレストラン涼風亭を利用すると200円引きになった。食事もしようと思う人は、先に食べて温泉の割引券をもらおう。
こちらが「白猿の湯」と同じ建物内にある和仏料理のレストラン、涼風亭。若者向けのメニューが豊富だった。
Mizumizuが食べたのはグラタン。普通に美味しい味で、こういう湯治場で食べる洋食としてはかなり満足できるレベルだった。Mizumizu連れ合いは海老フライに舌鼓をうっていた。
白猿の湯は、さすがに西日本一のアルカリ度を誇るだけあって、ヌルヌルといっていい肌触り。泉質のよさと設備の清潔さを両立しているところが、「なんちゃって湯治客」にとってはありがたかった。
内湯をもたない旅館はどこも、休憩もできるようになっている。料金も安い。桜並木が見下ろす川のせせらぎを聞きながら、人里離れた山奥の湯治場でゆるりとするのも、また一興かもしれない。
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