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父母の愛 より濃ゆく リラ咲けり 石北の 六月火いろ 恋いにけり 金銀の えにしえの糸 桃の花 幼子と 綾取り結び 桃の花 夫の顔 ひとつありけり 春の暁
2023.12.31
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師の在らば 黒髪なびく 青葉騒 珈琲に 薄暑の旅の 衿湿る 珈琲に 明日は別るる 風のリラ 遠コブシ 散るとも見えず 散歩道 心音に 一人静の 花揺るる
2023.12.30
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悲しとて 嬉しとて酒 大晦日清流に ひとひらの花 音もなし 嫁の座を 出てたんぽぽの 浄土かな 松の花 碑に新しき 風匂ふ 情もろき 僧の白足 袋松の花
2023.12.29
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魂祀る 炎天の鳩 声もなし 白鳥座 恋ふ百合の木の 花の無垢 リラの夜の こゑ美しき 都びと 祭酒 こぼし飲みせし 男病む アカシヤの こぼれ番犬 隙だらけ
2023.12.28
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役を退く 草の匂いの かたつむり 長髪の 乙女の背中 雪が舞う 水馬の 生涯己が 影曳けり 戦没の 碑や炎天の 石畳 碑の肩に 触れて病葉 音もなし
2023.12.26
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香水に 遠き日の夢 たぐりけり 仔離れの 犬の涼しさ 土間に寝る 尺蠖(しゃくとり)に 夜の色せまる 枝の先 原稿に 夜の白百合の 影濃ゆく 馬走り 水禍の跡の 糸とんぼ
2023.12.25
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秋風や 母のぬくみの 履堂 溝蕎麦や 街道筋の 墓古び 榾火炎ゆ 多層民家の 荒むしろ ちちろ鳴く 古き厠(かわや)の 縄のれん恋ふるもの 遠くなりゆく 秋の蝶
2023.12.24
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蔵王嶺の 先々しぐれ ケルン積む 修験者の 占め白じろと 秋の風 神風の 袋ゆるびに 秋の風 地酒汲む 秋の最上の 船頭歌 秋雨や 馬のにおいの 旅日記
2023.12.23
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燈火親し 即身仏に 笑み給はる トンネルの 闇を押し出し 稲光 栃の実の 一つ転げて 旅果つる 邯鄲(かんたん)の 闇より深き 埴輪(はにわ)の目 鶏頭や 血の激しさは 父似なる
2023.12.22
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頼らるる 足許寒し 薬瓶雁渡る 水の匂いの 夫婦旅 母恋いの 鳩笛嶺々の いわし雲 坂登り 白壁の家並み 照紅葉 雷神の 一打に山の しぐれけり
2023.12.21
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三平汁 吹きて病室 和みけり 犬の耳 垂れて夜長の 婆の愚痴 胸痛を かばう掌 落葉寒 寒菊の 黄の鮮やかに 一葉忌炎とならむ 今日のよき日の シクラメン
2023.12.20
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遠野火の 背文字に氷柱 雫影 一月の ひかりあまねし 水匂う ボーナスに 遠き月日の 雲流れ 鉄棒に 紅葉ひらりと 誕生日 看護婦の なまりまろやか 菊日和
2023.12.19
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老齢の 秘めし夜ばなし 寒椿 雪降ろす 人なき夜の 屋根軋む 白椿 活けて心の 塵はらう 起き臥しの 冬や重石は 地に置かれ 星ひとつ 蒼く十勝嶺 眠りけり
2023.12.18
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流したき 物は流れず 河凍る 猫柳 呆けの薬の 名を忘る 寒椿 会うためらいに ひとつ落つ 大寒の 遠嶺明るし 心電図 大寒や 去る人すぐに 忘れられ
2023.12.17
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冴え返る 男独りの 鍵の音 冴え返る 中国孤児の 泪跡 白鳥の 愛護や寒波 寄せつけず 父の忌の 冬濤ゆるす 帽子岩 遺されし 少年夜の 雪を掻く
2023.12.16
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看取女の 枷のゆるみに 桃の花 卒業の 子が職探す 風の街 売れ残る 虎魚(オコゼ)三匹 毒づけり 鵯の 来る一樹剪定 ためらへり ひとり棲む 婆に四温の 膝の猫
2023.12.15
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核の無き 空水色に 雁帰る 雁帰る 旅の鞄に 持病薬 漁夫老ゆる 鰊曇りの 波立ちて椋鳥(むくどり)の 一群一樹 覚ましけり かりそめの 病長びき 青氷柱
2023.12.14
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母の日の 母在らば齢 百を越す 海明けに 女自立の 胸炎やす マドンナを 恋うるホームに 菫(すみれ)咲く 花種の 夢七色の 雲を呼ぶ ブランコの 乙女と見しは 二児の母
2023.12.13
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他人(ひと)の子の 育ち盛りや 鯉のぼり 父と子の ボールに風の 光けり 惜春の 鉛筆細く 削りけり 上げ底の 酒一合や 忘年会 起き臥しの 夫の瞼に 水戸の梅
2023.12.12
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初暦 掛けて厨の水 迸る くじ運の よき子誘へり 二日市 絶ち切りし 蔦(つた)這いのぼる メーデー歌 染物の 指むらさきに 木の芽風 桃咲いて 胸にほのぼの 見舞文
2023.12.11
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凧の糸 切れて生涯 逢へざるや 短日の 刻をたがへず 夕鴉 臥(ふ)してより 予算狂いの 十二月 年末の 家裁の門に 悴めり 積み上げし 本そのままに 年を越す
2023.12.10
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職探す 子に鉄塔の 空寒き まゆ玉や 胡座の中に 嬰の睡 底冷えの 夜をひそかに 持薬のむ 大寒の 闇ひき寄せて 般若面 ねむり薬 昼へ尾を曳き 牡丹雪
2023.12.09
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薄氷や 千日包む オブラート 甘言や 冬の金魚の 浮き沈み離婚とや 青空に凧 舞い上がり 故郷に 帰りし姉の 雪卸 広告の 裏にメモ増え 十二月
2023.12.07
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灯影ゆれ 聖夜覚めし 師の遺稿 数へ日の 十指に満たず 針運ぶ 小豆粥 吹きて病むまじ 夫婦箸 極月や 苦薬を共の 爪を切る 押入れに 三年夫の 冬帽子
2023.12.06
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水仙に みつめられいて 注射痕 軒氷柱(つらら) くだきて入るる 水枕 風邪二十日 てのひら乾く 刻流れ 新刊書 小脇に歩む 春隣 大時計 ゆったり打ちて 日脚伸ぶ
2023.12.05
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寡婦の背に 夕日にじめり 雪囲い 古物屋の 隅に積まれて 軍毛布 十二月 八日渦巻く 古日記 風邪呆けに 鵯(ひよ鳥)の一声 ひびきけり 雪の日の 日輪淡く 古テレビ
2023.12.05
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冬ざれの ボート逆さに ホテルの灯 玉葱の メニュー豊かに 冬ぬくし 短足に からむ巻尺 十二月 色紙の くさりで父子の クリスマス 自衛隊 パレード進み 十二月
2023.12.02
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紫蘇は実に 指の先より 老い初むる 秋深く 醜草闇に 安らげり 電気鋸 ひびく路地裏 秋暑し 神無月 おみなに浅き 椅子きしむ 母の忌の 霜月淡く 橋渡る
2023.12.01
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