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【本日の一冊】都市伝説セピア人間界に紛れ込んだフクロウの化身に出会ったら、同じ鳴き真似を返さないといけない―“都市伝説”に憑かれた男の狂気を描いたオール讀物推理小説新人賞受賞作「フクロウ男」をはじめ、親友を事故で失った少年が時間を巻き戻そうとする「昨日公園」など、人間の心の怖さ、哀しさを描いた著者のデビュー作。【目次】アイスマン/昨日公園/フクロウ男/死者恋/月の石読書人・ゆき さんが紹介していた本です。わたしも「昨日公園」にほろりときました。そして「フクロウ男」にはやられた!『ハサミ男』(殊能将之)のアレを思い出しました。(ネタバレになるので詳しく書きませんが)こういうのには、いつもうまくはめられてしまう私ですが、作者が巧みということもあるのでしょう。朱川さんの作品はホラーといっても、ただ怖いだけでなく、人間のやさしさや哀しさ、郷愁といったものが描かれているので読後感が悪くないのがいいですね。
2006年11月26日
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【本日の一冊】 溺レる二人で何本も徳利を空にして、ゆらゆらと並んで歩く暗い夜の情景―「さやさや」。ちょっとだめな男とアイヨクにオボレ、どこまでも逃げる旅―「溺レる」。もっと深い仲になりたいのに、ぬらくらとすり抜ける男―「七面鳥が」。恋愛の過ぎて行く一瞬を惜しむ、傑作短篇集。女流文学賞・伊藤整文学賞受賞。【目次】さやさや/溺レる/亀が鳴く/可哀相/七面鳥が/百年/神虫/無明川上作品、はずれなし! で今のところきています(笑)感覚的に好き、と以前も書いたと思いますが、言葉の使い方が(自分の感性に)ぴったりと合うのが一番の要因かもしれません。川上ワールドにすっかりオボレてしまいそうです。
2006年11月25日
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【本日の一冊】乱歩賞作家白の謎旗本の三男・波之助が発見した女の水死体。首筋には不思議な痣が/県警本部に乱入した男と、たれ込み電話の関連/伝説のスナイパー、その容赦ない攻撃の手口/病院長、童子女の前に現れた予想外の客/江戸川乱歩賞受賞作家による豪華アンソロジー第2弾。 【目次】死霊の手(鳥羽亮)/検察捜査・特別篇(中嶋博行)/920を待ちながら(福井晴敏)/放蕩息子の亀鑑(首藤瓜於)平成以降の乱歩賞作家によるミステリーの中編を集めたアンソロジー。第二弾第一弾(赤の謎)も 楽しめたけど、これもまたおもしろい。鳥羽亮さんは初めて読む作家さんでしたが、他の作品(長編)も読んでみたくなりました。こういう本は、自分ではあえて選ばない作家の作品に出会えるのも楽しいですね。 シリーズで出ていますが、なぜか「青の謎」だけはまだ文庫化されていません。今年の8月に刊行予定だったのになぁ…。
2006年11月25日
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【本日の一冊】砂漠の薔薇ハイソな奥様の輪に加わり、愛娘の「お受験」にのめり込む中西のぶ子。彼女はなぜ親友の娘を殺す必要があったのか。平凡な主婦を殺人へと駆り立てた日常生活に潜む狂気を描く衝撃の犯罪小説。数年前に起こった事件が元になっているのでしょうか。どうしても背景がダブります。だとしたら、いっそのことあの事件をノンフィクションで書いた方がよかったような…。
2006年11月19日
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【本日の一冊】ココデナイドコカ“騙されていることに気づいていた。でも、好きだったから”着物のセールスをしている西に惹かれていった私は、彼の勧めで高額の着物を買い揃えた。病的に厳しかった母を持ち、感情を密閉容器に封じたように育った私が、精一杯勇気を示した行動だった。しかし直後、彼は行方をくらませた…(「密閉容器」より)。現代女性の心理の深奥にせつなく迫る、恋愛小説。 【目次】密閉容器/むらさき/代用品/事情通/偽妻/当て馬/嘘恋人/数字屋/幸福 島村洋子さんの本は初めて読みました。どれも毒を含んだ短編で、いわゆる恋愛小説とはちょっと異なる趣きの一冊です。おもしろかったです。
2006年11月18日
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【本日の一冊】遠いいつか、あなたとも、会えるのね失踪した夫の日記にただ一言記されていた「真鶴」の文字。それにひかれるように、京(けい)は真鶴に足を運びます。十年以上も行方不明の夫を思いながらも京は恋人と付き合い一人娘を育てます。娘の成長に戸惑い、恋人との関係に悩む一方で「いない者」を強く感じ続ける京の心の揺れ動きは「存在とは何か」ということを考えさせられます。常に新しい世界を覗かせてくれる川上弘美さんにとっても「ターニングポイントになるかもしれない」という期待の大作です。リンク先の きたあかりさんのところで見つけて、読みたくなった本です。楽天ブックスでキャンセルされつつも、しつこくポチって手に入れました(笑)川上さんの作品は、感覚的に好きです。といっても、まだそんなに読んでいませんけど。本著で7冊目(だと思う)。幻想的な不思議さとじわじわと沁みてくるせつなさが、いい。そしてうっすらと怖かったりします。またまた ずぶずぶと、はまってしまいそうです。
2006年11月17日
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【本日の一冊】 神様くまにさそわれて散歩に出る。川原に行くのである―四季おりおりに現れる、不思議な“生き物”たちとのふれあいと別れ。心がぽかぽかとあたたまり、なぜだか少し泣けてくる、うららでせつない九つの物語。デビュー作「神様」収録。ドゥマゴ文学賞、紫式部文学賞受賞。 【目次】神様/夏休み/花野/河童玉/クリスマス/星の光は昔の光/春立つ/離さない/草上の昼食 著者のデビュー作が収録されているので購入しました。ああ、デビュー作からしてもう「川上ワールドへようこそ!」っていう感じじゃないですか。行きます。行っちゃいます…この人の作品に登場する人(熊だったり人魚だったり、その他のものも含みますが)はどうしてこうも魅力的なんだろう。「会ってみたい」「話してみたい」と思わせます。だからこそ、不思議なお話の中にぐいぐいとひっぱりこまれてしまうんだなぁ…。この本の解説を佐野洋子さんが書いていますが、これがまたおもしろいです。わたし、佐野洋子さんもお気に入りなんだなぁ~
2006年11月14日
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【本日の一冊】輝きの一瞬名僧の身に起きた信じられないハプニングを描く中島らもの「ココナッツ・クラッシュ」。偶然出会った青年秘書と美少女の不思議な交流を描く藤原伊織の「トマト」。桐野夏生が、偶然妻の別の貌を見掛けて愕然とする夫の姿を鋭く描く「桜」。名手30人が行間に込めた人生の瞬間が、深い感動を呼ぶ魅惑の超短編小説集。 【目次】ココナッツ・クラッシュ(中島らも)/堰(有吉玉青)/トマト(藤原伊織)/死ぬのはごめんだ(高橋直樹)/ねずみ(山崎洋子)/毛蟲(池内紀)/悍妻懦夫(高橋義夫)/燻り(黒川博行)/探偵ごっこ(落合恵子)/桜(桐野夏生)/コンパス(斎藤純)/サドルは謳う(山上龍彦)/おかね座談会(嵐山光三郎)/せめてものディナー(佐々木譲)/相合傘(高橋三千綱)/春分の日(目黒孝二)/橘の宿(加納朋子)/獲物(中村隆資)/聖なる河(泡坂妻夫)/霞ヶ谷(鳥越碧)/死の天使(小沢章友)/おこぜ(内海隆一郎)/長谷川辰之助の暇乞い(関川夏央)/推理小説作家の午後(今野敏)/山月忌(篠田節子)/花火(高橋克彦)/女も虎も(東野圭吾)/たたり(井上雅彦)/生きている山田(太田忠司)/変わらずの信号(斎藤肇) 掌編なので、ちょっと時間が空いた時などに楽しめる一冊です。実は藤原伊織さんの作品目当てだったんですけど、これは既読の一編でした…しっかり再読しましたけど、『雪が降る』に収録されていた一編です。読んだことのない作家さんの作品もあって楽しめましたが、これを機に他の作品も…というほどのものはありませんでした。ちなみに30編の中で一番好きだったのは「花火」(高橋克彦)です。
2006年11月13日
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【本日の一冊】きみに読む物語わたしは、ありふれた男だ。でも、わたしには全身全霊をかたむけて愛する女性がいる。いつでも、それだけで十分だった。10代の夏にアリーと恋に落ちたときから、彼女と離れて暮らしていた辛い日々も、その後の長く幸福な結婚生活の間も、いつでも彼女だけを愛しつづけてきた。その気持ちは、彼女が病気になって記憶を失ってしまった今でも変わることはない。だから、二人の愛をアリーが思いだすまで、毎日わたしは、その軌跡を綴ったノートを彼女に読みきかせる…永遠に一人の女性を愛する男性の姿を、詩的な筆致で綴った究極の純愛小説。 驚くことに本書は実話に基づいた作品なんだそうです。これほどまでに愛されてみたい…と誰もが思うのではないでしょうか。そして、これほどまでに愛してみたいと。一時だけ燃え上がる恋愛ではなく、何十年も変わらず愛おしく感じられる相手にめぐりあいたいと。結婚されている方は、現在の伴侶がその運命の人だったら幸せですよね。そうでなかったら、さっさと別れてしまいましょう (おいっ!)スパークス氏の作品は、「悪意や皮肉といった人間性のネガティブな部分をまったく描かないか、描いても最小限にとどめている」 ため、純粋な「愛」がより際立ってくるのだと思います。(人間の醜い部分をあまり描いていない分、「うそっぽい」「物足りない」と感じる人もいるかもしれませんが)こちらも泣かせてくれます 奇跡を信じて新書判
2006年11月10日
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【本日の一冊】 あなた四人の若い男女に続けざまに起こる異変。それには思いもよらぬ「理由」があった。恐怖と切なさが交錯する「泣ける」長編ホラー。久々に乃南さんの作品を読みました。これはこれで一気に読ませる力がありますが、女刑事音道シリーズの方が好きだなぁ。それほど恐怖を感じるお話ではありませんので、ホラーが苦手な人でも大丈夫だと思います。
2006年11月09日
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【本日の一冊】 弘海小学生・弘海の体に異変が起こり、水の中を好むようになる。心配した両親は、世界中に弘海と同じような子どもが数多くいることを知るが…。ぼくらは、ダイビングプールの底で顔が触れ合うぐらい近くにいた。里沙の目を見ると、ぼくの心臓がドクンと大きく鳴った。水の中では地上よりずっとよく音が伝わるんだ。だからぼくは心配だった。里沙に、ドクンって音が聞こえてしまったんじゃないかって。でも、そのときぼくは気付いたんだ。このドクンって音は、ぼくの体の中からだけじゃなく、すぐ近くにいる里沙からも聞こえていたんだってことに―100万部突破のベストセラー『いま、会いにゆきます』の著者が、淡い恋心、家族の絆をやさしく切なく歌いあげる奇蹟の物語。 市川氏の作品は『いま、会いにゆきます』『恋愛寫眞』『そのときは彼によろしく』についで4作目になりますが、どれも胸にじんわりとくるお話です。本著は前3作に比べると、全体に弱いというか完成度が低いように思いましたが、親の子供に対する愛情はよく描かれていると思います。最近、なかなか子離れができない親、自分の価値観を子供に押し付けてしまっている親が多いようですが、そういう親御さんには是非読んでいただいて、「こどもの幸せ」「親がしてやれること」などを考えるきっかけにして欲しいですね。あ~、でもそういう親は自覚がないから、こういう本読んでも「リアリティがない」とか「小説と現実は違う」とか言っちゃうんだろうけど。全体的には「弱い」と書きましたが、これ映像化したらすごくいい絵になる!と思えるシーンがいくつかあるんですよね。もしかしたら、それを狙って書いたのかも。読みやすく読後感のよい一冊でした。
2006年11月06日
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【本日の一冊】冬のオペラ ←文庫も出ています名探偵はなるのではない、存在であり意志である―勤め先の二階に事務所を構えた名探偵巫弓彦に出会ったわたし・姫宮あゆみは、“真実が見えてしまう”彼の記録者を志願した…。猛暑の下町、雨の上野、雪の京都で二人が遭遇した、哀しくも残酷な三つの事件。【目次】三角の水/蘭と韋駄天/冬のオペラ 北村薫氏の作品は初めてかも。 もっと深みのある方が好きだけど、まあまあ 楽しめました。
2006年11月05日
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【本日の一冊】乱歩賞作家赤の謎長坂秀佳『「密室」作ります』―“喪服婦人”からメールで届いたキイワード。「密室」でそのキイワードどおりの事件が…。真保裕一『黒部の羆』―冬型の気圧配置が強まっていた。山の事故。25年前の馬鹿な男の姿が胸をよぎった。川田弥一郎『ライフ・サポート』―末期癌患者の最後の願いは「娘探し」。同行したプライベイト・ドクターは命を救えるのか?新野剛志『家路』―師走の街で通り魔に刺された男は、被害者でなく加害者だったのか。高野和明『二つの銃口』―迷い込んだ大量殺戮者と、巻き込まれた青年。極限の恐怖と、精神の深淵を描く緊迫スリラー。【目次】「密室」作ります(長坂秀佳)/黒部の羆(真保裕一)/ライフ・サポート(川田弥一郎)/家路(新野剛志)/二つの銃口(高野和明) 平成以降の乱歩賞作家によるミステリーの中編を集めたアンソロジー。豪華ラインナップの第一弾おもしろかった。どの作家さんも長編の方が読み応えがあって好きだけど、中編、短編ものでも充分楽しめます。軽くミステリーを読みたいなぁ… という時におすすめの一冊ですね。 ←シリーズで出ています。「黒」「白」も手元にあるので、楽しみさっくりミステリーな気分の時に読もうと思っています。早く「青」も文庫化されないかなぁ~
2006年11月02日
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