東方見雲録

東方見雲録

2026.03.08
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カテゴリ: まちづくり
空き地が自然に復活することを期待する段階はすでに過ぎている。必要なのは、低密度の余白を都市を支える構造のなかに能動的に組み込むことである。

 都市計画に暫定的な未利用区分を設け、空き地に関する条例には公共利用を認める猶予を設けるべきである。さらに土地区画整理を行う際には、一定の余白率を確保する基準を導入する必要がある。これは都市のなかに意図的に遊びの場を確保するための政策介入だ。

 不動産ファンドに余白を保持する経済的な誘因を与え、移動の拠点と遊びの場所を時間軸で使い分ける複合的な利用モデルを作ることが現実的である。具体的には、夜間は自動運転車両の充電や待機場所として収益を上げ、昼間は公認の遊び場として開放する動的な管理を導入し、資本と公共性を両立させる。土地を固定的な用途に縛るのではなく、需要に応じて機能を切り替える共有を社会に実装するのである。

 小規模な土地所有者に対しては、一時的に土地を公共に貸し出す仕組みの整備が有効である。利用者も、放課後の外遊び時間を確保する制度や、住民が主体となって暫定利用を管理する体制が求められる。余白を管理不全の結果として放置するのではなく、都市を構成する重要な要素として計画的に提供する視点へと転換すべきである。

摩擦の価値

昭和の空き地消失の構造。

 5年後の都市中心部では、用途が確定していない空き地はさらに減る。その代わり、徹底的に管理された小規模なスペースが増え、移動の結節点周辺では一時的な利用を目的とした社会実験が拡大する。

 10年後には、不動産金融と都市計画を組み合わせた運用がさらに進み、子どもの遊び場はあらかじめ仕組みによって提供される場所へ完全に移行する。効率化が徹底されることで、不確実な場所は排除され尽くす。

 皮肉なことに、全国の空き家数は2023年に900万戸に達して過去最多を更新した一方で、都市部では偶発的な場所が駆逐されるという「空間のミスマッチ」が顕著になっている。これは移動の自由が生んだ空間の偏りを示している。



 この風景が失われた理由を直視することは、これからの都市のあり方を考える出発点となる。郷愁ではなく、都市を動かす制度の問題として、事実を客観的に把握する段階に日本の都市はすでにあるだろう。
引用サイト: こちら


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Last updated  2026.03.15 06:04:54
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