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面接を受けた会社からは、まだ返事がこない。まあ、おそらく金曜日だろうとは思っていたので、特に想定外というわけでもないがやっぱりそわそわする。昨日、今日と今勤務している会社の役員会で、相変わらず私はスケープゴートとしてやり玉に挙げられ、それだけでなく、役員のひとりからは自分の管理能力のなさを棚に上げて私の仕事ぶりを非難され、ほんとに腹が立って怒鳴り返しそうになってしまった。これが、4月からは転職することが決定しているならば、ほんとに怒鳴っていたところだ。あるいはものすごい嫌味を言うか。なんとか抑えることができてよかったが。今の私は、中間管理職として上からは怒られ、下からは幸いそれなりに慕われてはいるものの、何でもかんでも相談してくる部下が多く(まだ新人が多いせいもあるが)、本当に毎日毎日神経が磨り減るようなことばかりだ。そんななかで、私が気持ちをなんとか保っていられるのは、こんな仕事もあと2か月かもしれない、という希望を持っているからに他ならない。それが、もし不採用であることが分かってしまったら、これからの私は何を心のよりどころにすればよいのだろう…?あまりにナーバスになっている私を見かねて、夫がこの週末、近場の温泉に行こうとプランを立ててくれた。それで一泊二日で海が前面に見えるホテルでフレンチフルコースディナー付の温泉旅行に行くことにした。「採用されたらお祝い旅行だし、不採用ならお疲れ旅行だ」と夫。こういうところは、夫はとても気が利いて優しいと思う。不採用だった場合に備えて、少し気持ちを整理しておこう。不採用だった場合のメリットは、まず環境が変わらないので、慣れた仕事をまたやることができる。仕事の手順や知識に関してのストレスはほとんどない。それから、職場のアンサンブルの活動もこのまま続けることができる。この音楽仲間は気心が知れていて、2週間に1度の練習を私はとても楽しみにしている。もし転職することになったら、これを辞めなければいけなくなるだろう。それはとても残念だ。それから、今の職場は私の住んでいるところからとても近く、地下鉄でわずか2駅。しかも下り方面なので、朝の電車はガラガラだ。通勤のストレスはまったくない。パニック障害を持っている私にとって、これはものすごいメリットなのである。そして何よりも、仕事上W氏と会える機会があるし、デートもしやすい。W氏との共通の話題も多いので、W氏との関係はいい距離感で続くだろう。…おそらく明日の夕方には結果が分かっているだろう。私はそれまで、上記のようなことをぐるぐる考えて、なんとか気持ちをなだめなければいけない。
2016.01.28
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先週の金曜日に、「まだ選考中です。大変申し訳ありませんが、来週中にはご連絡しますので、もうしばらくお待ちください」というメールがきた。通常、この業界は1~2か月待たされるのが普通なものだから、こんなメールがきて驚いた。それで夫は、すっかり私が採用された気になっているのだが、私はもし不採用だったときのことを考えると、あまりに期待しすぎてはいけない、と自分を戒め、結果については考えないようにしている。これまでに何度も何度も落ちてきた結果、身についた思考回路が働いている。とはいえ、やっぱりあれこれ考えてしまうのだが、全く箸にも棒にも引っかからないということではなかった、ということだけは言えそうだ。あとは、この週のうちに最終的な決定をくだすための役員会などを通す必要があるか、あるいは私の処遇について話す必要があるか、はたまた、私ともう一人別の人が残っていて、どちらにするのかを決めかねているのか…。いずれにしても、考えても仕方ないのは分かっているので、考えまい。…とはいえ…(以下、ループ)
2016.01.25
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今から一週間前となる、月曜日の夜。W氏と3時間程度の短いデートだった。場所はこれまでに何回か使ったことのある赤坂のホテル。あまり時間がないからと、いつにもましてW氏はセックス重視で2時間ほどベッドで過ごした後は、買ってきた惣菜を食べて、お風呂に入った。私はこの日はもともとあまり体調が優れず、お風呂に入っているときからすぐにのぼせてしまって、めまいがしていた。このままだと、赤坂見附から地下鉄に乗るのはちょっと辛そうだなと思ったが、帰らなければいけない時間が過ぎていたので、急いで身支度をしてホテルを出た。地下鉄の駅までの数分間、冷たい夜風が頬に気持ち良かった。これならば大丈夫だと思ったのだったが、いざ赤坂見附の駅に行き、ホームに並んでいたら、急にパニック発作がやってきた。ものすごい動悸とめまいで倒れそうだった。目の前が白くなってきたので、これはまずいと思い、急いで改札口に向かった。早く地上に出なければ。その一心で、必死で改札に向かっている途中、人混みのなかにW氏の姿を見つけた。彼は私の姿を認めて、目顔であいさつをしてきた。しかし、私はとても普通に振る舞えず、(具合が悪いから外に出る)ということを伝えたくて、必死で目で訴えたつもりだったが、全く通じていないようだった。いぶかしそうな顔をするW氏を無視して、私は改札にパスモカードをタッチしたが、当然出ることができなかった。そこで少し冷静になった。今、人の列に戻れば、W氏と同じ車両に乗ることができる。万一車内で倒れても、W氏が助けてくれるだろう。そう思って、もう一度ホームに戻り、ちょうど来た電車のW氏と同じ車両に乗った。W氏は私が来たことに気付いていないようで、私が消えていった改札口の方をずっと見ていた。私はそんなW氏を見ながら、(気になるなら追いかけてきてくれればよかったのに…)と思っていた。何も伝えていないのだから、こんなふうに思うのは私の身勝手であることは十分わかっているのだが、なんていっても、W氏は医者なのだ。私の顔色が悪かったら気づいてくれるだろうと期待してしまうのだが、さすがにそこまで注意力があるわけでもなかったようだ。私が降りる駅に到着し、私が出口に向かうところで、W氏と目が合った。彼はちょっと驚いたような顔をしていたが、目顔でうなづいたので、私も目で笑って電車を降りた。帰宅してから、私はあのとき、パニック発作に襲われていたことをメールに書いた。そしてあんな姿を見せたくなかった、もっと強くなりたいと思う、とも書いた。するとW氏からは、私の体調が悪いときは今度からタクシーで送る、気が利かなくてごめん、と返信があった。そして、私のあのような姿を見て、一層好きになった、強くなる必要なんてない、弱いところも含めてまるごと全部愛しているのだ、と書いてきた。こんなメールをもらったら、そりゃ嬉しいとは思う。でも、私は心のどこかで、W氏はやっぱり私とのことは「いいとこどり」で面倒なことは避けて、楽しいことだけを求めているのではないかと思っている。なんで、と言われたら分からない。単にそう感じてしまうのだ。W氏はことあるごとに、私のことがまるごと好きで、「優れているところ」だけを愛しているわけではないと言ってくれているのだが、それにもかかわらず、だ。
2016.01.24
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面接が終わったばかりのときには、私は相当落ち込んでいた。自分がまったく知らない分野のことに関する質問に対して、あまりにもしどろもどろの返事になってしまったし、逆に自分の専門に関する質問に対しては、あまりにも嬉々として喋りすぎた。私は自分の喋り方が嫌いだ。声も嫌いだし、発声の仕方も嫌いなのだ。なんとかして、もっとエレガントな話し方ができないかと思って、あれこれ練習してみたものの、発声の仕方というのはなかなか直らないということに気付いただけに終わった。そんなわけで、今日の面接での自分の姿を振り返ると、後悔ばかりがたってしまって、気分はブルーだった。でも、私の面接のことをとても気にかけてくれていたW氏には、とりあえず終わったということをメールしようと思って、スマホでぽちぽち打ち始めたら、やっぱり文体が愚痴っぽくなってしまった。無理やり明るいメールなんて書けないし、いいや、このまま送っちゃえ、とそのまま送ったところ、W氏からは、「カオルちゃんのプレゼン内容は非常に面白いものだし、ほかの候補者がどんな人たちだか知らないけれど、カオルちゃんが採用されるに決まってる。果報は寝て待て、というから、あとは心配しないでのんびりしたら?」と返事がきた。このメールの最後には、「何をお祝いしてあげようかと考えているW」とあった。そうなのだ。今回みたいに、結局結果がくるまでは心配したって意味がないようなことの場合、どんなにだめだと思っていたとしても「絶対に大丈夫だよ!」と言ってくれる方が嬉しいし、「残念だったね」「気にしちゃだめだよ」なんて言葉は意味がないのだ。私たちにはもうどうしようもないのだから、考えるなら楽しいことを考えた方がいいに決まってる。きっとW氏は、がん患者にも同じように「絶対大丈夫。気力を持って楽しく過ごしなさい」と言っているはずだ。W氏のことを考えるとあたたかい気持ちになる。彼は来る日も来る日も患者を診て、励ましたり、悩みを聞いたり、ときには叱ったりしている。開業して20年、一度も突発的に休診したことはないそうだ。そうやって、地道に地域医療を担っていると自負して、生涯現役でやっていこうとしている。彼はとても気持ちが安定しているので、つい甘えたくなってしまう。
2016.01.15
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今日、1月15日が中途採用面接の日だった。一か月ほど前からこの日に行われることは分かっていたのだが、年末年始、プレゼンの準備をする時間がほとんど取れなかったため、今週は23時頃帰宅した後、連日夜中までかかって準備をする羽目となってしまった。こういうときに限って、今の勤務先での仕事であれこれ問題が起こるのだ。なんとかぎりぎりのタイミングで準備は終えたが、ほかに関連分野を調べる余裕はなかった。それで、今日の面接では、自分のプレゼン自体はそれなりにうまくいったものの、その後の質疑応答では思ってもみなかった質問が矢継ぎ早になされ、私の知識不足や経験不足が露わとなってしまった。しかし、4人いる面接官のうち、1人は私にとても好意的で、ひとりの人間であれもこれもとすべてをカバーできるスーパーマンなんていない、ということを言ってくれたのだった。1時間にもわたる面接が終了した後、会議室を出た私を、好意的な発言をしてくれた面接官が建物の出口まで送ってくれた。その途中、私を励ますような言葉をかけてくれたり、ほかに10人ぐらいの候補者がいるが、それぞれ皆、狭い分野しか知らないのは当然で、あとはほかの社員とのバランスだ、というようなことを言ってくれたのだった。やさしいなあ、と思いながら、お礼を申し上げて失礼しようとしたとき、私の大学院時代の恩師のうちの1人であった教授の退職パーティの幹事をやったのは自分なのだ、ということをポロリと言った。なるほど。彼にとって私は兄弟弟子みたいなものだったのだ。だから味方になってくれたのかもしれない。結果が出るのは1月末だとのこと。人事は尽くした。後は天命を待つのみ、だ。
2016.01.15
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私がいよいよ本気で転職しようとしていることがわかったW氏は、一度は「だめだだめだ!」と言ったものの、その後は一転して私を応援してくれている。転職のための面接は来週なのだが、そのための準備はちゃんとやっているか、内容は詰め込み過ぎずに、印象的なことをゆっくり話す方がいい、などとアドバイスらしきものもくれるようになった。こうした変化は、私が転職したほうがむしろ付き合いやすくなるとW氏が気づいたからかもしれない。あるいは、私が違う場所に行くほうが、新しい話題も増えて話すのが楽しくなる、とも思ったのかもしれない。いずれにせよ、W氏がまるで手のひらを返したようにサポーティブになってくれて私としてはとてもありがたいかぎりだ。数日前のW氏とのデートも8時間コースだったが、ほとんどの時間をいちゃいちゃ抱き合って過ごした。セックスだけじゃなくて、喋る時間が長い方が満足度が高いのは、私だけでなくW氏についてもあてはまるようで、デートのあとには「今日も充実していた!ありがとう!」と即座にメールがきた。だんだん長い時間一緒にいることが普通になってきた。まるで夫に対する愛着と同じような愛着が出てきているのを感じる。同じような種類の愛情を、同時に2人に対して持つ、というのはありえない、と思っていたが、今、それが起こりつつある…。
2016.01.10
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怒涛のような2015年が終わり、新しい年がやってきた。振り返れば2015年は、W氏との関係が突然始まり、そしてT氏との関係が突然終わり、大学院時代の古い友人であるB夫からプロジェクトに誘われるとともにB夫の職場への転職の誘いを受け、10年前に仕事で一緒になった海外の友人たちとの「同窓会」を実施して再会を果たし、そのときにかつての恋人、X氏とも再会して私のした数々の非礼を詫びるなど、古い関係が復活したり、腐れ縁が切れたり、新しい関係が始まったり、とても賑やかな一年だった。今年はどんな一年になるのだろうか。なんてことをしんみりと考える余裕は今の私にはない。例年のことであるが、年明け早々に締切の仕事があって、今年も私は紅白歌合戦を横目で見ながら、PCにひたすら向かっていた。そんなときに、W氏からメールが入った。65歳を超えてから、残りの時間が10~15年ぐらいしか残されていないことに気づき、愕然とした。何ができるのか?何をしたいのか?周囲をみてもリタイアした同級生たちは皆、居場所がなくてもてあましている。自分は幸い定年がないので、働けるうちは働くのが幸せだと思っている。しかも、今の自分にはカオルちゃんというかけがえのない人もできた。恵まれすぎてこわいぐらいだ。続くもう一通のメールの方でも、年を越えるということに対し、一抹のわびしさを感じる、というようなことが書いてあった。そしてまた、もし何かを言わないで死んだとしたら、心残りだと思うのは、私に対して「20年後にあの世で待っているよ」ということを言えないことだ、とあった。私に遺言をすることで私の人生を縛りたくないし、縛ることができるわけでもない。言うだけ虚しい、と。彼はやはり常に死を考えているのだ。私はまだ45歳なのに、年上とばかり付き合っているせいで、私まで常に死のことを考えるようになってしまった。まあ、いつ死んでもおかしくないわけなので、これは悪いことではないのかもしれないけれども…。それからW氏からのメールに、私たちのメールのやりとりが1000通を超えたと書いてあった。9か月で1000通。すごい膨大な量のやりとりだ。W氏が先に死んだら、私は彼とのメールのやりとりを一通一通読み直すことにしよう。
2016.01.01
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