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2023.11.24
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第47話「歯形の誓い」

孤城陥落の真相を知る彭坤(ポンクン)を北軍獄に連れ去り、拷問を続ける凌不疑(リンブーイー)。
すると翌朝、廷尉府侍郎・袁慎(ユエンシェン)が駆けつけ、国の法を守り、掟に従うべきだと諫言した。
「程少商(チォンシャオシャン)との成婚も間近であろう?朝堂で口実を与えるな
 妻に迷惑しかかけぬのなら、私が取って代わっても構わんぞ?」
実はその頃、少商は御前で左(ズオ)御史中丞から追及されていた。

凌不疑が彭坤の身柄を勝手に奪ったことが発覚、崇徳(スウトク)宮に皇太子や三皇子、城陽(ジョウヨウ)侯・凌益(リンイー)らが集まった。
左御史中丞の話では程娘子が夫のため嘆願に来た身重の王姈(ワンリン)に乱暴したという。

皇帝は頭を抱えたが、そこへ凌不疑が現れる。
「左大人は打たれ足らず、私の新婦に難癖を?」

左御史中丞は凌不疑が勝手に彭坤を拷問したと非難した。
するとすかさず少商が彭坤も孤城陥落に関わっているからだと反論する。
驚いた左御史中丞は城陽侯の顔色をうかがったが、凌益は視線を逸らした。
「小越(ユエ)侯が捕らわれたのが引き金です
 乾安(ケンアン)王を陥れた彭坤は孤城の件も隠せないと悟り、造反したのです
 でも当時、一介の副将に主帥を陥れる度胸があるでしょうか?首謀者は別にいるはずです」
少商は全て王姈から聞いたと明かした。
夫は都の者と往来があり、密かに夫と接触し続けた者こそ黒幕だという。
事情を知った皇帝は子晟も廷尉府と一緒に捜査することを認めたが、拷問させないよう三皇子に監督を任せた。


「少商!」
「…小越侯を泳がせていたのね?
 文修君(ウェンシウジュン)への仕打ちも、御史台への報復も、全て私のためだと思っていた
 でも実際は私はただの口実だった」
少商は裏で画策していたのが不疑とも知らず、皇后や皇太子を救うため奔走していたと思うと悔しくて涙が出た。

「少商、誤解しないでくれ…君への行動は全て真心からだ」
「なら教えて、将来、枕を共にし、子をなす相手の真の姿を…成婚するのに私はあなたを知らない
 子晟、大切なことを隠していない?話してくれたら信じる」
少商は核心に迫った。
しかし不疑が何か言おうとしたところで東宮の侍従が駆けつける。
「凌将軍、太子殿下がお呼びです」



凌益は皇太子に頼んで東宮に子晟を呼んだ。
皇太子は親切心で父子の対面に協力したが、父の顔を見た凌不疑は捜査があると断って引き返すことにする。
すると凌益は息子を引き留め、成婚前に父子で話がしたかっただけだと訴えた。
「私が彭坤を調べることになぜそれほど焦っている?審理を引き延ばしたいと?」
「お前の身体を心配しているだけだ」
しかし不疑は偽善など必要ないと捨て台詞を吐いて出て行ってしまう。
皇太子は力になれなかったと落胆したが、凌益にはこの短い時間で十分だった。

王姈は少商の嘆願のお陰で夫との面会が認められた。
しかし独房ですでに息絶えた夫の無惨な姿を発見する。
検視の結果、彭坤は独房に舞い込んだ花びらで喘息発作を起こし、急死していた。
王姈の話では夫は重度の喘息持ちで、草花も嗅げなかったという。
凌不疑が呆然と亡骸を見ていると、知らせを聞いた凌益が皇太子と一緒にやって来た。
「明らかに報いだな、乾安王を陥れたことで孤城の陥落を招き、お前の舅父一族は惨殺された
 …これで肩の荷が降りたであろう、少商と成婚して憂なく暮らせ」
その時、激情に駆られた不疑が凌益の胸ぐらをつかんだ。
「お前だな!お前が殺したんだ!」
驚いた皇太子が慌てて子晟を止めると、不疑は皇太子の手を払い退けて出て行った。



その夜は激しい雨になった。
憤懣やる方ない凌不疑は人けのない大街で酒をあおりながら、怒号を響かせる。
その時、少商がやって来た。
少商はへたり込んだ子晟に寄り添い、自分がそばにいるとなだめる。
しかし不疑はもはや望みは絶たれたと泣き崩れた。
「結局、私は何もできなかった…少商、目を閉じると見えるんだ
 全身が血まみれになった彼らが私を責め続ける、なぜ敵を討ってくれないのかと…
 本当は私も死んでいた、十数年も耐え続けたのに…全て無意味だった…
 退路は絶たれた、少商、それでも私のそばにいてくれるか?」
「何が起きてもあなたを助ける、どんな時もあなたの味方でいる」
「程少商…実は…私の名は…」
「若主公ォォォォォォォォォォォ~ッ!」
その時、梁邱起(リャンチゥチー)と梁邱飛(リャンチゥフェイ)が駆けつけた。
「大変です!夫人が…夫人が…」



凌不疑と少商が杏花(キョウカ)別院に駆けつけると、崔祐(ツイヨウ)が霍君華(フォジュンホワ)に付き添っていた。
霍君華はもはや虫の息だったが、驚いたことに我を取り戻している。
「思えばあの時、あなたに嫁ぐべきだった、あなたに嫁いでいたらこんな末路は迎えなかったわ」
その時、霍君華は崔祐の肩越しに凌不疑の姿を見つけた。
「…こちらへ」
霍君華は不疑をそばに呼ぶと、最後の力を振り絞って身体を起こし、顔を近づけた。
「…忘れてはならない、我らの仇を」
「約束します、決して忘れません、この仇は必ず討ちます」
すると安心したのか、霍君華は最期に阿狸(アリ)の名を呼んで旅立った。



凌不疑は一睡もせず母の棺に付き添った。
心配した少商は薬湯を届けたが、不疑はどこか達観しているように見える。
「少商、私が驚天動地の挙に出ても私への気持ちは変わらないか?」
「棺の前で誓うわ、私、程少商は凌不疑を決して裏切らず、彼が離れない限り諦めないと誓います」
すると少商と不疑は互いの腕を噛んで歯形を残し、誓いの印とした。
「互いに噛んで誓った、この傷が互いの心を結んでる、改めて聞くわ、私に何か話はない?」
不疑は喉まで出かかったが、結局、真相を明かすことはできなかった。
「…何もない」

≡≡≡ ⊂⌒~⊃。Д。)⊃ ズコッ!言わないのかーい!

中庭から崔祐の怒鳴り声が聞こえた。
凌不疑が外へ出てみると、崔祐が凌益と淳于(チュンユー)氏に激怒している。
崔祐は思わず凌益を殴りつけたが、不疑に止められ、その場を離れた。
「母の霊前に何か用か?」
聞けば7日後は凌益の五十路の生辰、凌氏一族も集まるため霍君華を招待に来たが、思いがけず訃報を知ったという。
凌益は宴を中止にすると言ったが、不疑は決まっているなら開けばいいと勧めた。
「当日は私も礼品を持って伺おう」
その話を回廊で少商が聞いていた。

つづく


(Ŏ艸Ŏ)息を止めて子晟の告白を待ち…

(๑≧ꇴ≦)その度にプハーッとなって…

そしてまさかの3段落ちw





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最終更新日  2023.11.24 17:40:29
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