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2024.01.23
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第8話

陸安然(ルーアンラン)の訃報を知り、蘇城(ソジョウ)へ急ぐ穆川(ムーチュアン)。
…一目でいいから君に会いたい、これ以上、人生に悔いを残したくないんだ…
穆川は気が急くあまり安然の幻を見ては本物ではないと気づいて落胆した。

一方、安然は冬青(ドンチン)に説得され、穆川に手紙で元気だと伝えることにした。
「九殿下が来たらこれを渡して…」
しかし穆川が都からわずか2日で到着、農民から九皇子が田んぼにいると知らせが届く。
安然はすぐ駆けつけたが、穆川はまた安然の幻覚が現れたと誤解した。

「私が幻だと?」
そこで安然は穆川の腕をつかんだ。
「私は生きてる、バカね、幻と現実の区別もつかないの?」
穆川は目の前にいる安然が本物だと気づき、思わず抱きしめてしまう。



安然は空腹の穆川のため、焚き火で川魚を焼いた。
喜んだ穆川だったが、二兄ならすぐ偽装に気づくはずだと心配する。
しかし安然は盟約のための結婚のため、妹が嫁いでも同じことだと安心させた。
「今は様子見ってところ…欣然(シンラン)のことだから上手くやっているはずよ?」
するとよほど疲れていたのか、穆川はいつのまにか木にもたれかかって眠ってしまう。
「穆川、私に自分が好きか聞いて?…私もあなたが好き」
安然は熟睡している穆川に自分の上着をかけ、屋敷へ戻った。


母は病み上がりの娘の澹州(タンシュウ)行きを反対したが、父は水害で大きな被害を受けた澹州を見過ごすことができないという安然に理解を示してくれる。
しかし安然にも気がかりがないわけではなかった。
二夫人の死が因果応報だと分かっていても母は母、弟は深い悲しみに打ちひしがれている。
何より慶(ケイ)王府へ同行した侍女・霊奚(レイケイ)のことが心配だった。
「欣然の機嫌を損ねるようなことがあれば罰を受けるかも…」

実は安然は穆澤(ムーヅー)が皇帝の勅命を受け、水害支援物資を奪う盗賊の討伐で澹州に向うと知っていた。
安然はこの機会を利用し、再び慶王に近づくつもりだという。
「黒幕である高承賢(コウショウケン)の首を穆澤への手土産にする
 陸家を救う鍵を見つけるには慶王に近づかなくては…」

翌朝、安然は父と母に見送られて馬車に乗り込んだ。
すると車の中に穆川がいる。
「衫越(サンエツ)に聞いたよ、朝一番の船だって
 私も澹州に用があってね、一緒に乗せてくれないか?」
従者の衫越は何とも気まずそうな顔をしていたが、穆川は遊歴の最後の地が澹州だと釈明した。
「澹州は雨季の度に洪水が頻発する、根本的な解決策がないかずっと探っていたんだ」
安然は衫越が変な気を回したと分かったが、穆川の同行を受け入れた。
穆川と一緒に旅する束の間の幸せ、しかしその頃、陸府に慶王の侍衛が現れた。

陸軽舟は侍衛に真実を打ち明けた。
当日は家庭内の諍いで安然が妾に毒を盛られて倒れ、急遽、欣然を身代わりにするしかなかったという。
調査を終えた侍衛は慶王府に戻ると、陸軽舟から預かった安然の手紙と玉佩を届けた。
屋敷内で聞き込みしたところ、安然が毒を盛られたのは事実だという。
…毒を盛られるも闇医者の手により命拾いしました、澹州での再会を楽しみにしています…
「なぜ澹州なのだ?」
その時、慶王府に皇帝の使者がやって来た。
皇帝は澹州で盗賊による物資強奪が横行しているため、慶王に盗賊一掃を命じるという。
…私が澹州へ行くとなぜ分かった?あの女人、ますます面白い…
果たして陸安然の狙いは何なのか。



澹州の現状は想像以上に深刻だった。
民たちが飢えに苦しむ中、店先では白米が高額で売られている。
そこで安然は陸家の倉庫から備蓄している食糧を開放した。
これで民も支援物資が届くまで食いつなげるが、水路や田畑の修復には人手が足りない。
すると穆川は名案が浮かんだ。
「清河幇(セイカホウ)でしょう?」
「なぜ知ってるんだ?」
「内緒よ」
実は安然は当時、慶王府で清河幇の幇主・沈長青(シンチョウセイ)と対面していた。

穆川と沈長青は旧知の間柄、そこで穆川は澹州分舵(ブンダ)から人手を借りたいと頼んだ。
事情を聞いた沈長青は快諾し、早速、腹心の柴広(サイコウ)に指示を出したが、なぜか安然は失笑する。
実は安然は柴広が裏切り者だと知っていた。
あの時、沈長青は慶王が逆賊・柴広の排除に協力してくれたと感謝している。
『危うく清河幇は天下の笑い物になるところでした』
安然は先手を打ち、清河幇こそ高承賢と手を組んで支援物資を強奪している盗賊だと非難した。
「善人面とは笑わせるわ」
言いがかりをつけられた沈長青は激怒、慌てた穆川も何か証拠があるのかと尋ねる。
安然は船を襲う盗賊の手口が明らかに江湖(コウコ)の手練れだと訴え、疑うなら襲われた船を調べれば分かると言った。
「どんな技を使ったか、刀傷を見れば分かるはずよ
 それに高承賢は盗賊すら討伐もできないのにあれだけ羽振りがいい、おかしいと思わない?」



その頃、穆澤の馬車が澹州へ入った。
すると見知らぬ男が現れ、主人に頼まれたと言って米と文を渡して去って行く。
…米問屋と駐屯軍が支援米を横流ししている…
穆澤は安然の仕業だと分かった。
「何度、私を驚かせるつもりだ」

その夜、冬青は燃やさずに持っていた安然の手紙をこっそり穆川に渡した。
穆川は文をひとまず懐にしまい、星空を眺めている安然のもとへ向かう。
「澹州に来た真の目的は?盗賊のことも清河幇のことも君は知り過ぎている
 最も効果的な方法で沈大哥を焚きつけるなんて…」
安然は穆川の鋭い指摘に動揺したが、陸家の港がある町のことに詳しいのは当たり前だとはぐらかした。
しかし穆川は何よりあの無礼な態度が安然らしくないと困惑する。
「私の何を知っていると?」
「人を見る目はある」
「…私もそうだと思っていた、でも今なら分かる、嘘や演技で人を騙すのは簡単よ
 誰かのことを理解するどころか、時には自分さえ見失ってしまう」
「私を心から信頼できないと?」
「違うわ」
安然はそこで話を終わらせ、水を注いで勧めた。
その時、うっかり茶碗が傾いて水をこぼしてしまう。
穆川は慌てて手紙を取り出し、無事を確認して安心した。
「誰からの手紙?」

穆川は安然の手紙だと明かさず、独りで読み始めた。
…時々、思うの、人の世に潜む魑魅魍魎は妖怪より醜い
…どす黒い企みは田んぼの泥より汚い
…人生とは長い夢のよう
…純粋なあなたはこれからも心の欲するままに自由に生きて
「言いたかったのはこういうことなのか」
穆川は急に安心し、確かに人は簡単に理解できないものだと笑った。
しかし自分の手紙だと気づいた安然はヘソを曲げて部屋に戻ってしまう。
「私の真心を世間話のネタにするなんて無神経ね」

沈長青は安然の話を思い出して悶々としていた。
…捜査の手が伸びれば高承賢は清河幇に罪を着せようとするはず
…大事な仲間を守ろうと思わないのですか?
一方、穆澤は高額で売られている米が確かに水害の支援米だと報告を受けた。
蔡望津(サイボウシン)はなぜ陸安然が自分たちのために証拠を集めたのか分からなかったが、穆澤は贈り物をありがたく受け取るという。

つづく


( ゚ェ゚)そうか、てっきり9皇子のおかげで嫁ぐのが嫌になったのかと思ったけれど、姨娘を片付けるためだったのね〜って今さらw





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最終更新日  2024.01.23 14:02:41
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