話飲徒然草〜Tokyo Meanderings

話飲徒然草〜Tokyo Meanderings

2015年03月21日
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8月最初の土日と夏期休暇を絡めて、家族でつかの間の温泉旅行に行きました。旅行中はいつにもまして家族サービスに尽くしました。その代わりに帰路ささやかな我がままを聞いてもらい、渋谷で家族と分かれて別行動させてもらえることになりました。
こんな時にまでよく行くよなあと我ながら少しばかり呆れつつ、向かったのは東急百貨店の本店試飲コーナーです。

この日のアイテムは新着ブルゴーニュ。実は今回、どうしても試してみたかった銘柄があったのでした。ドメーヌ・シャルロパン・パリゾの「フラン・ド・ピエ」です。価格は1万円前後と闇雲に高価な銘柄でもないし、入手に困難を極めるわけでもありません。しかし私の日ごろのワインライフにおいては、なかなか口にする機会のなかった銘柄でした。
写真 4
何度かこちらのコラムでも書いたように、ドメーヌ・シャルロパン・パリゾは私がもっとも好むブルゴーニュの作り手のひとりです。そんな私でもこの「フラン・ド・ピエ」だけはなかなか購入しようというふんぎりがつきませんでした。
この銘柄、格付けはACブルゴーニュなのです。おそらくコント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエが特級ミュジニーの畑で造るブルゴーニュ・ブランと並んで、最も高額なACブルゴーニュということになるでしょう。
フラン・ド・ピエの何が特別なのかといえば、「台木を用いずに自根のブドウから作られている」ということです。
19世紀後半ヨーロッパでは、「フィロキセラ(ブドウネアブラムシ)」の大量発生により、ブドウ樹はほぼ壊滅状態となり、ワイン造りは大打撃を受けました。しかし、1884年この害虫に対して免疫性のあるアメリカ産のブドウ樹を台木にして、その上に在来苗を接木することで、欧州のブドウ作りは蘇りました。
要するに、現在ヨーロッパで栽培されているワイン用の葡萄のほぼすべて(一部例外あり)はフィロキセラに耐性のあるアメリカ産台木に接木されたものなのです。

パリゾ氏は2001年、自身が所有するマルサネ・ラ・コート村の畑の僅か0.25haの区画に試験的に台木に接木されていないピノ・ノワールを植樹しました。この試みがうまくいけば、フィロキセラに犯される前のブルゴーニュのピノノワールの味わいが再現されるということで、フランス国内でも話題になったとのこと。いうなれば実験的な要素の強い銘柄です。


私が今まで二の足を踏んできた理由は、やはりそうは言っても、作られる畑はマルサネから、格付け的にはACブルゴーニュということで、どうしたって香味のレベルは知れているのではないか、台木を用いない自根のピノノワールから作られることに興味は感じるものの、所詮は実験的な産物に他ならず、その費用を消費者に転化するのはいかがなものかということでした。

ロブマイヤーのグラスに注いでもらうと、ルビーの色調は中程度からやや濃い程度でしょうか。赤と黒の中間ぐらいのリキュール的なフルーツ、ダージリン、オレンジピール、それにスミレの花束のようなかぐわしくフローラルな香り。飲んでみると、甘酸っぱいチャーミングな果実味の第一印象。色調同様に決して強くはないのですが、味わいはナチュラルな中に抑揚と表情があって、うねるように口の中に広がります。余韻の長さや果実の深みなど、ACブルの水準を大きく超えているのは確かです。
まあ10VTのパリゾはそもそも出来がよいらしいので、彼が作る通常のACブルと飲み比べないとフェアではないのかもしれません。それにいろいろと予備知識を得たあとでの試飲なので、どうしても先入観があるのかもしれません。旅行帰りにわざわざ立ち寄ったということに対する達成感のようなものもあるでしょう。いろいろフィルターがかかっているのかもしれませんが、それでも地域名のワインがここまでの水準になるということに新鮮な驚きを覚えました。
聞くところによると、こうして自根で栽培された葡萄は樹勢が弱いのだとか。葉が生い茂らない分、養分が果実に回るということなんでしょうか。また、01年植樹ということですから、樹齢が上がってきたことも良い影響をもたられているのでしょう。一方で、Burghound.comによれば、すでにこの畑もフィロキセラに犯されており、いつまで作り続けられるかわからないとのこと。
 まあ純粋に1万円前後という価格に見合う内容なのかとか、旅行帰りに家族を置き去りにしてまで試すべき一杯だったのかとかということはありますが、私自身は長年気になっていた銘柄をようやく飲む事が出来たことで、休暇の締めくくりにふさわしいイベントでした。
************

このコラムを書いたのは2013年の8月でしたが、その直後の持ち寄りワイン会で ooisotaroさん がフランドピエのファーストビンテージである05年をお持ちくださり、2度目のフラン・ド・ピエを堪能することができました。
写真 5
http://plaza.rakuten.co.jp/szwine/diary/201308150001/

最近はあまり話題に上ることもありませんが、セールなどで安く出ていたら、あらめて購入してみたいと思っています。
★楽天でフラン・ド・ピエを検索★





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Last updated  2015年03月22日 17時54分32秒
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shuz1127 @ Re[1]:祝日セール情報1103 Holiday Sale Info(11/03) Echezeaux14さん、お久しぶりです。 10月…
Echezeaux14 @ Re:祝日セール情報1103 Holiday Sale Info(11/03) お久しぶりです。 ワインと関係ないです…

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