沈黙の要塞 - 石油採掘を巡るスペクタクル・アクション！！【初心者向け】

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2012年07月05日

沈黙の要塞 - 石油採掘を巡るスペクタクル・アクション！！【初心者向け】

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カテゴリ：洋画 - スティーヴン・セガール (爆笑辛口)

　石油採掘を巡るスペクタクル・アクション
　No.06　【初心者向け】
沈黙の要塞
On Deadly Ground
　アメリカ（1994年5月）102分

　■ 監督スティーヴン・セガール
　■ 出演
　スティーヴン・セガール
　マイケル・ケイン、ジョアン・チェン
　ジョン・C・マッギンレー、R・リー・アー

肉魚肉魚甘魚菓唐

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交互に記事を更新し始めて早2ヶ月　並べて見てみると
セガールプロ なのか　入院プロ なのか　はたまた　セガール入院 なのか
一向に気が抜けない更新が続き　早７月となりました。

今回はその6回目。

それでは今回も始めましょう。

-STORY-

巨大石油会社の消火技師フォレスト（セガール）は、
会社とイヌイット族との採掘を巡る争いに巻き込まれ重傷を負う。

イヌイットの女性マースー（チェン）に助けられた彼は
巨大石油採掘プラットホームを舞台に
地球環境お構いなしの冷徹な社長（ケイン）に戦いを挑んでいく。

-解説-

『沈黙の戦艦』の大ヒットを受け、豪華キャストと巨額の費用をかけ
セガール 自らメガホンを取り 製作されたスペクタクル・アクションです

セガールにとっても前作の成功を橋頭堡に 世界に飛躍 する絶好の機会で

シルベスター・スタローン 、 アーノルド・シュワルツェネッガー らハリウッドスターと
肩を並べる大きなチャンスが訪れたと言えるでしょう

そこでセガールはクライマックスにシリーズ最大の火薬量を導入する程の
大掛かりな爆破シーンを用意しスペクタクル・アクション大作映画にふさわしい
自身のキャリア中最大の壮大な撮影に挑みました。

広大なアラスカの雪原を進むヘリの先には人跡未踏の地にそびえる巨大な油井掘削装置
その大火災を目の前にしてへりの操縦士は『熱いですよ』と　映画は早くもここで
小さな笑い を取って来ます。

セガールは逸る気持を抑えられなかったのでしょうか
巨大プロジェクト開幕早々数分で　 鬼の篩（ふるい）がけ 　は飛ばし過ぎです。

さて、今回のセガールの敵は環境破壊も厭わない悪徳巨大企業です

その前に
DVDジャケの物凄く悪そうに写るセガールをどうしてもスルー出来そうにありません

何百枚と撮影する宣伝写真の素材の中からなぜわざわざ極悪犯の様に見えるこの一枚を
チョイスしたのか　これを見るだけで

本作の 地底を探索 しながらの 宇宙的浮遊感 を容易に理解出来ると思われます

これでは親の敵を一捻りにし撃ち殺し爆破した不敵な顔にしか見えません
普通懲らしめるだけなら一捻りで十分な所ですが親の敵であれば話は別です

スープの缶のコーン一粒残さない 念入りさ に缶を不燃物で仕分けする 細やかさ が加わった
日々の生活に追われる主婦の方なら 日常的に抱く ヘタレな『誰か』に向けての殺意の様な
日々よく見かける表情だと思われます

そういう意味では本作は 女性映画 という側面もあると言えるでしょう。

セガールは欺瞞の悪徳経営者のパートナーで石油プラント火災の消化技師の役柄です

石油プラント火災に向かうヘリの絵図らはスタローン映画を観る様な
本格的ハリウッド・アクション映画の手応えを感じます。

ハリウッド映画に新たな才能が誕生かと錯覚する見事な手腕でしたが

セガールを始末しようとする悪徳企業家の罠にハマり、爆発に巻き込まれた事を皮切りに
途中かくまってもらったエスキモーの部落で魔法の様な看病を受ける

スピチュアルな設定が火を吹き ます。

ここから映画は　終始セガールの 一人遊び に徹した　壮大な お茶濁し のスリルを味わう
大人の男の ホビー感覚 溢れた アトラクション と化して行きます。

アバター から先取りする事20年。
21世紀の映画のあり方について提唱する 映像的体験 として　ハリウッド・システムを相手に
勇気ある意欲作 を制作するに至ったと言っても過言では無いでしょう。

セガールの居場所を突き止めた悪漢たちはエスキモーの村に踏み込み村人と小競り合いになり

セガールを嵌めた 実行犯の男 が部族の長を撃ち殺してしまいます。
この男はその前も悪徳を突き止めたセガールの身内を殺害しており　これら一連の行動は

セガールに殺されたいと言わんばかりの 部類のドM行為 と言えるでしょう。

この後連中との対決の為　移動手段を犬ぞりで行なう様な村から
最新式の スノーモービル を突如出現させ瞬時に目的地へ移動し

誰も行かない様な崖の淵に 最新鋭の武器庫 を出現させ追手のヘリを撃墜し

『緊急用だ』 の一言でもはや本作の柱とも言えるスピチュアルな体験の予言や
文明対自然 のテーマを次々と覆す セガール・マジック が随所でお見舞いされます。

それに合わせて脚本ばかりか演出もドンドン雑になって行きます。

不正に気付いた身内の部屋で展開される肉弾戦は
悪人が 蚊トンボ のように薙ぎ倒される　お馴染みの胸がすく場面ですが

最後にブーメランの様なもので頭を叩き割られた悪人は　バタンキューした後なぜか

寝た子が明日放送分の ワンピース の録画セットでも思い出したかの様に
ユルユルと立ち上がり　まるで何も無かったように仕切り直し
改めてセガールに　再び頭を叩き割られます。

プロでも画面を巻き戻したのかと錯覚させる　思わずリモコンに手を伸ばす一幕です。

この様に他の作品でも
一旦無かった事にして再び制裁する仕切り直しは　セガール映画では好んで使用され
スポーツの実況で 決まり手をリプレイ する演出と　同じ効果を狙ったものとして

靴の上から足の裏を掻くかの様な　炊飯器の蓋の上から のりたま を振り掛ける様な
極めて豪快な 稀有な作家性 を感じる画面作りと言えます。

又、セガールに追い詰められた悪徳企業家は　崩壊する石油施設の中で
逆さ吊りの刑 にあい　ヤケを起こし撃ち殺して見ろとセガールを挑発します。

普通の映画なら　主人公が自ら手を下すまでも無く悪漢はその後自らの悪業によって
自業自得の末路を迎えるものですが

セガールは身内と部族長の仇とばかりに、足のロープを撃ちぬいて
悪徳企業家を石油の中に頭からドボンしてしまいます。

火達磨になりながら落下すれば　自ら石油に引火するド派手な退場になりましたが
頭から漬かった画面はタレに漬かる焼き鳥の様に間が抜けて見え

オスカー俳優の マイケル・ケイン 演じる企業家の制裁に ブラックな末路 は
やや微妙な顛末となりました。

バットマン作品 などの ハリウッド・大ヒット作 に見る悪漢達のブラックな末路に
若干被った演出を　セガールがあえて選んだ狙いとは

京都市右京区花園は『宗妙心寺』にある日本最古級の釣鐘を
年末に百八でも八百でも無表情で頭で連打する様な風体の人物が

映画製作に関わる者として　あえて取り入れた
名作映画に対する敬意の現れである　トリビュート、

別名　 鬼のパクリ返し 　でした。

その後映画は　悪の実行犯やら　社長に付いて離れず悪行を入れ知恵する 悪の女秘書 やら

石油施設が崩壊するその最中　なぜか都合よく一同に介して
セガールの半径１０ｍ以内の場所で　次々と自発的に死亡し

悪漢の悪行に血圧が上がり安い年配の鑑賞者の方々も納得の 悲惨な末路 を迎える

やさしい作りになっております。

セガール映画最大級の予算を掛けた超大作を　ファンなら一度ご覧あれ。