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2004/04/29
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テーマ: 食品の安全性(2)
カテゴリ: カテゴリ未分類
私は獣肉はほとんど食べず動物性タンパク質は魚貝類、鶏肉くらいで牛肉が消えても困りませんが、牛肉に限らず効率重視の飼育はいろいろな問題を抱えているようです。
先日、倶知安で楽天日記でお知り合いになった えぞふじさん にお会いできて、安全でおいしいたまごをわけていただいています。
誠実な生産者の顔が見えるものが安心材料のひとつだと思います。

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米国でBSE(牛海綿状脳症、狂牛病)が発生、日本が米国からの牛肉輸入を禁止して4カ月が経つ。4月下旬に開かれた日米協議で、輸入再開のシナリオが描かれ、秋にも再開の見通しになっている。
BSEの侵入を防ぐため、肉牛の全頭検査、危険部位の除去などについて、日米専門家会議を設置して、5月中旬から協議を始め、夏までに結論を出して再開にもっていこうというものだ。これで、米国産に依存していた外食産業には、輸入再開は救いの神に違いない。牛丼ファンにも朗報だろう。一般消費者は、食肉店やスーパーには、国産牛肉、米国以外の外国産牛肉もあったから、米国産がなくても、たいして困っていないと思う。ただ、米国産牛肉が何の心配もなく食べられることになれば、それにこしたことはない。

これから、再開のシナリオを説得あるものにするため、日米の専門家が技術的問題を検討するのだが、一般消費者にとって牛肉は日常食べるだけのものでしかない。日本国内の牛肉生産の実態を知らないし、ましてや米国など外国のことはほとんど分からない。専門家の安全のお墨付きがすべてである。しかし、この輸入禁止を機に、牛肉について知るのは、安全な牛肉を食べるためにも必要なことだろう。

横田哲治さんという農業、農政のジャーナリストがいる。牛を育てた経験もあり、20年以上前から米国、オーストラリアなど世界30数カ国を訪れ肉牛の生産地、現場を見てきている。その横田さんが4月に出したばかりの著書「牛肉が消える!」(日経BP社刊)で、米国の牛肉生産の実態、オーストラリアなど主要対日輸出国の実態を分かりやすく教えてくれる。一般の消費者や牛肉に関連する仕事に就いていない人でも興味深く読める内容になっている。


フィードロット方式は、従来の放牧による飼育でなく、牧草もない柵の中に多数の牛を入れ、牛の運動を制限して肥育を促進させる。肥育状況はきっちり管理され、ビタミン剤、飼料添加物も与えられる。雌牛には成長を妨げないように発情抑制剤を投与する。横田さんは、自然の理に従わない牛の肥育に、警鐘を鳴らす。
米国の検査体制への疑問、大手食肉業者の政治的な圧力にも触れながら、横田さんが高く評価しているのは、オーストラリアだ。食肉加工場で処理された牛を最後まで追跡可能な「トレーサビリティシステム」が確立され、機能しているという。米国の安全性確保の体制は、オーストラリアにとても及ばない、と語る。
そのオーストラリアは、11年ほど前から「オーストラリア産松坂牛」を生産、肥育用子牛として、また肥育した成牛を肉にして日本に輸出している。松坂牛は黒毛和牛種のトップブランドだ。子牛は日本で肥育された後に国産牛として店頭に並ぶ。オーストラリアは黒毛和牛の飼育に適した環境にあり、今後急速に生産が拡大すると予想する。カナダ、アメリカでも生産が広まると見ている。生産コストは10分の1と圧倒的に低い。純粋種を基にしているので、どこで育てようが味、品質は変らない。和牛は日本だけでしか生産できないという神話は、崩れているのだ。オーストラリアだけでなく世界のどこでも松坂牛が育ち、日本の生産者は壊滅的な打撃を受けることになる。
日本には、松阪牛、近江牛、神戸牛の三大ブランドのほか、160以上のブランド牛がある。松阪牛でも飼育業者の高齢化、若い後継者がいない、飼育技術を持つ人が減っているなど深刻な課題がある。ブランド名は残っていても実際の生産はじり貧の方向にある。

かくして、BSEなどが世界中に広がり輸入も止まれば、牛肉が消えるのである。有機畜産のガイドライン設けた国際機関コーデックス委員会が2001年7月、ガイドラインにまとめた。自然の繁殖方法の利用、家畜へのストレスを最小眼にする、動物性医薬品(抗生物資を含む)の段階的使用中止、など今後の国際な畜産の在り方を示すものである。このガイドラインに沿って、日本では有機畜産法案が現在準備中で、2005年に国会出される予定だ。この法案の中身が日本の畜産、牛肉生産の将来を左右することは間違いない。

横田さんの考えの原点は「食は命」である。この思想に立ち、牛肉問題にメスを入れたこの本が語る知られざる真実は実に興味深い。
(出典:NIKKEI BP)





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最終更新日  2004/04/29 07:54:04 AM
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