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2022.03.30
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テーマ: 読書(8637)
カテゴリ: 本日読了
2022/03/29/火曜日/寒の戻りの寒さ

〈DATA〉
岩波書店/ジョージ・マクドナルド作
モーリス・センダック絵/脇明子訳
2020年11月10日第1刷発行

〈私的読書メーター〉〈定例会本。オリジナルは1872年頃。日の本には丁髷落とせない御仁もいた時代に、少年少女の恋に落ちる物語を昔話を題材にナンセンスと人間心理の発達の妙を取り混ぜて世に送る、大英帝国の成熟度。悪い魔女の叔母に呪いをかけられたお姫さまは少しの弾みでふわふわと宙に浮く。箸が転ばなくてもけらけら笑い続け心ここに在らず、地に足がつかない姫が湖水の中では唯一自分の重さを知り、泳ぎ興じる。そこに出会した王子は一目で恋に落ちるが姫は共に水に落ちるのが面白い。姫の命にも等しい水が日毎消え始め、さあどうする王子さまは⁈〉

もちろん、自分の生命を捧げる。水が底の岩へ落ちていくのを自分の身体で防ごうと決意する。自分に大した関心も示さない姫のために。〉

けー、ありえん。この王子さま。人間界に登場間もない方がこれをそのまま受け止めてそんな王子さまの登場を待ち侘びたら100年以上の眠りに着くこと必至。

自分の欲望のためなら人さまがどうあろうと関心ない、っていうモンスターが跋扈して全てをフェイクに裏返している現在の幻世。って、まあそう鼻白んでいては物語にはならないわけだけど。


___
どうせならシンガーの「間抜けな夫婦」の幸福をもてるほうがよい、と私は思う。


まだティーンエイジャーの王子がそそくさと生命を捨てる決意をするのも、王子の両親であるだろう王と王妃を少しでも思い浮かべる心があればもっと重いものになったろうに。
生命さえ軽いなあ、王子。
_
あ、軽い生命ではないがそれに拘泥しない、リンドグレーンの『はるかな国の兄弟』の「ナンギヤラで会おう」。これは特別。


王子が身を賭するのは愛というよりは名誉のはず、円卓の騎士はその狭間で悶々とするのに、そこがまた軽い。

最終的に人のために号泣したかるいお姫さまはすっかり身体が重くなり、立って歩くこともままならない。その描写は何だか地上に帰還した宇宙飛行士のようで思わずマクドナルドは未来を見たかと?

あと一つ、マクドナルドの好ましく美しい所。王子は森の中でお供とはぐれひとりサバイバルせざるを得ないけれど、これを良しとし、


お姫さまたちだってときには森で迷子になれたらどんなによいだろうかと呟く所。

これこれ。近代以降お姫さまたちは大いに森を彷徨い堪能したから、フランソワーズアルディは「もう森へなんか行かない」って歌えるわけね。

それは「もうそんな年じゃない」ってことなのかもね。すると女の子全体年老いてきたみたい。軽い王子さまもいないって分かったし。

自由とか博愛みたいな若い森的泉的なものも年老いて涸れてしまうのだろうか。





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最終更新日  2022.03.30 09:05:26
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