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2022.05.27
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テーマ: 読書(8637)
カテゴリ: 本日読了
2022/05/24/火曜日/蒸し暑さの後ひんやり

〈DATA〉
理論社/今江祥智
1995年6月 第一刷

〈私的読書メーター〉〈日米開戦前、大阪のプラネタリウムを兄と訪れた洋は遠い未来、北斗七星は変形し不動の北極星もかつてのように織女星と入れ替わると知り驚く。小3の男児がこの世の絶対が崩れることを科学を通して出会う導入は物語の顛末を仄めかす。それは父の突然な死であり、子煩悩な父の愛人の存在であり、軍人が授業に立ち学生は学べず勤労動員、空襲で焼け出され昨日までの暮らしを失うという…そんな洋一家の日々を抱擁した任侠人佐脇さんの漢振りには惚れる。洋の優しさと大阪弁が見事に溶け合う。ラスト自身の背中を見つめる洋の視点の跳躍は印象的〉

この本を読みながら何となく『君たちはどう生きるか』の

彼を成長させるおじさんは、深い人間理解と洞察をコペルくん自ら得られるよう導くチューターであり、何というか登場者はみな官立風に立派なのである。

方やぼんぼんは大阪船場のシティボーイで、商人風な彩りの酸い甘いの大人事情を子どもがうっすら感じ取るないまぜの自由と人情がある。

ぼんぼんの父亡き後、叔父の手配で用心棒の居候として家にやって来た佐脇60男の色気はどうしたことか。特段筆が変わる訳でもないのに、あくまで小学生洋の目を通したものなのに、実に不思議。大阪弁マジックやろか?

陸軍が特別な軍事訓練で中学プールを占拠して何やら隠密に行動しているのを探りに、佐脇が海軍少尉に扮して黒塗り車で乗り込む段、庶民の骨頂、溜飲下げること甚だしい。

佐脇の最期の痛々しさは、それでも尚軍人のとは全く異なる、これも一つの花の散り様。大阪生まれ文楽の見せ場のようであって、文藝の血脈さえ感じられる。

大阪も堺も大空襲で沢山の犠牲が出たが、目と鼻の先の京都ではそれが免れた。洋が淡い恋心を抱いた二人の女の子はたまたま住んだ所の違いで全く異なる状況に置かれる。

京都の女の子エッちゃんの声を背中に聞きながら、薄汚れたツギの当たった自分の学生服を強く意識して振り返ることが出来なかった洋。初めて他者と自分の境目を覚えたその時、もう子どもに戻れない自分を知ったのではなかろうか。







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最終更新日  2022.05.27 07:56:41
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