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2023.10.27
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テーマ: 読書(8637)
カテゴリ: 本日読了
2023/10/27/金曜日/天気上々




〈DATA〉 晃洋書房
著者  谷釜 尋徳  タニガマ ヒロノリ
2023年2月10日  初版第一刷発行


〈私的読書メーター〉 なるほど分類384。章ごと参考文献がいかにも学究の第一次資料。といっても堅苦しい研究書とは違い、版画なども織り交ぜながら旅歩きへの憧れを駆り立てる本に仕上がっている。本書が参考にした女性の旅日記(記述者が男性のケースも含む)、年代的には1669年から明治すぐそこ、の1863年まで22巻も!健脚、健啖、物見高さで古の日本女性なれど、すぐ近の共感が湧く。関所越えの緊張、河渡りのヒヤヒヤ、古刹名刹、伊勢参りと言いつつの宿の年若主人の美貌を褒める一筆も。名物、ご馳走、買い物、芝居通いとまぁ我らに似たる人事欠かず。〉


うむ。著者の名前が凄い。
これは本名であるか?尋徳。

漢方医か何か、そんなお家柄よのような。
しかしご本人は、 『江戸のスポーツ歴史事典』 も出されている研究者だ。

事典を作るのは大変な難行と想像する。
本書はその折の、こぼれ話を拾い集めた気安さ。


とはいっても、江戸時代に何故、おなごが日本地理の半分近くを何ヶ月も掛けて踏破できたか。
その背景がきちんと論理立てて示される。

参勤交代のための街道、宿場町、交通などのインフラが整えられたこと。

貨幣経済が全国津々浦々に行き渡り、金貨銀貨を銭貨に両替したり、為替の仕組みもあり、大金を持ち歩く必要がなかった。

また、名所図会なる観光ガイドブックがお土産、グルメのご当地情報を詳細に伝えてくれた。

何よりも庶民が豊かで文字書きそろばんが行き渡り、旅の計画、予算の計上など旅人として自立できていたこと、などなど。


凄いな、江戸時代。
あ、書名の江戸は、地域区分ではなく時代区分。

タイトルだけを眺めると江戸に住む女子が大山詣とか牛に曳かれて善通寺、とかを想像したけれど。

もちろん江戸の商人妻、 中村いと ←こんな人と一緒に旅したい!←の例などもあるけれど、大半が江戸以外から。

藩士藩主の妻なんぞもいるけれど、名主、地主、商人、農民妻もいて、大盤振る舞いも節約もそれぞれに工夫を凝らし楽しむ様子が伺える。

しかし出たちは同じように、足袋に草鞋、脚半に道行、杖に菅笠ファッションである。
この菅笠を、明治初めに日本奥地探検したイザベラ・バードが激賞していたとか。

さて、着物。足さばきが困難と思われるのに、平均で一日30〜40Kmを歩くのだ。

2日に一度は草鞋を買い換え、これが土地の農民の現金稼ぎにもなったろう。

しかも履き潰した草鞋は捨て場が茶屋近くに置いてあり、集められた草鞋は解いて再利用できるものは再び草鞋になる。

もうね、ここまで来ると涙もの
天晴れ日本の民衆。
質素で簡素でつましく、エコロジーな姿よ永遠なれ









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最終更新日  2023.10.27 10:07:17
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