アオイネイロ
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1
誰かが言っていたんだ、海と空は繋がっているとコポ……コポリ、泡がふわりと、目の前を通り過ぎて浮かんでいく。コポリ……コポ、コポ……いくつもいくつも浮かんでいく泡は、銀色の光を纏ってゆっくりと浮上する。目を閉じれば、ふわりと体が浮かんで、まるで泡と一緒になったような錯覚にさえ陥る。――まだ、もうちょっと下までそう思いながらゆっくりと体を動かそうとした時だった。不意にひと際大きい泡の粒が、幾つも浮かんできた。そうして下から現れたのは、泡を伴ったひとつの影。浮いてきたのは、友人だった。彼女は自分の手首を指先で叩いてみせて、そして上を指差す。残念、時間切れだ。彼女の言葉に指で丸を作って返すと、私は上へと向かう。彼女と共に、泡と共に、ゆっくりと浮上する。私の息と、泡の音が混ざり合って、しんと静まり返った世界に溶けて消えていく。やがてザア、という音と共に光が溢れかえってきらきらと輝き出す。白い泡と、波と、光が混ざり合って、そうして私はそこから顔を出した。途端に波のザザア、という音がやけに大きく耳に響く。隣で友人が同じように顔を出して、ぷはっと大きく息をついた。カモメの鳴き声が聞えて、風が水面を撫ぜる。「…………」「………、かえろっか」隣で呟くように言った友人の言葉にうん、と頷き返して、私達はばしゃばしゃと水を揺らしながら、波に揺られながら岸辺へと向かったのだった。
September 27, 2013
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